【完結】がっこうぐらし!RTA/卒業生チャート+α 作:兼六園
不穏になってきた大学編はーじまーるよー。
前回は武闘派と袂を分かつところで終わりましたね。今回は三日目朝から再開です。
のちの展開でとあるキャラを味方に引き込める可能性を上げたいので、接点を作るためにも部屋を出て外をうろつきましょう。
人のことを抱き枕にしている椎子姉貴から脱出して、早速外へいざ鎌倉。
刀を持ってゆくと余計な警戒心を煽るかもしれないので、ペグを数本だけ装備。
大上流は刀がメインですが、古木流には短剣術もあるという設定みたいなので、実はペグのみでも古木くんは強いです。
明らかに外国のナイフ術とCQCをベースにしているようにしか見えない動きを武術と言い張りながら数体の『やつら』を倒していると、しばらくして誰かがやって来ました。
フルフェイスのヘルメットにバイクのスーツ、腰には古木くんと同じように装備された数本のアイスピック……驚いたねえボウヤ、奇しくも同じ構えだ。まあボウヤじゃないですが。
ライダースーツでも隠しきれないめぐねえ並のπからして女性、そして武闘派でまともに戦える女性は一人しかいない。
そう、彼女は右原篠生です。頑丈なライダースーツに噛みつかせてからアイスピックで頚椎をブスリ♂……合理的な戦い方ですね。
しかし何体ものやつらに囲まれていては苦戦は確実。義によって助太刀……致す!
シノウを後ろから掴もうとしてるやつらの1体にペグを投擲し、空いた手で彼女が頚椎に突き刺して放置したアイスピックを引き抜き装備。
VR版みたいに自由なアクションが可能なら、顎を切って噛めなくする事も出来るんですが、まあそれはそれとして。
古木くんの筋力なら普通にぶっ刺せるので、シノウを囲むやつらを倒してからお返ししましょう。敵対しない為の最低限の好感度も稼げたでしょうし、そろそろ部屋に帰ります。
ちなみに、シノウは好感度を上げまくるととあるイベント後から攻略出来るようになります。メガネくんの脳が破壊されますが。*1
おっと、帰る前にペグの回収はお忘れなく。
──とかなんとか言いつつ大学内に戻ると、トーコの部屋に入ろうとしているみーくんを発見したのでついでに混ざります。
警察だ!(RTA板倉)と中に入ると、トーコとくるみ姉貴がゲームで遊んでいました。
みーくんの用というのは、外に遊びに行きたがるゆきちゃんやるーちゃんたちの為に行ける範囲を聞きたかったというものらしいです。
じゃあ説明してやるか、しょうがねえなぁ……と、腰を上げたトーコ主催の説明会が始まりました。皆への説明として、ホワイトボードに校内の図を描いてくれます。
部室棟、図書館、武闘派と穏健派の使う校舎と共有部分、そして椎子姉貴が居た理学棟と、その間に区画が小さくあります。
その小さい部分にバツマークを加えて、トーコはここに近づかないようにと忠告します。曰く、この部分はお墓とのこと。
──そんなわけでグラウンドへ。捕まったら罰としてスポンジバットでケツをぶっ叩く地獄のレース、しよう! ウチもやったんやからさ!
……あ駄目ですかそうですか。
じゃあ仕方ないのでゆきちゃんとるーちゃんを抱えてグラウンドを走ります。
そのうえで全力疾走するスミコとくるみ姉貴に追い付く古木くんの素早さに驚かれつつも、こうして(ほぼ必要ない)好感度稼ぎに勤しみます。ぶっちゃけ時間進行で発生する空気感染イベントまでやることないんですよね~。
なのでこうして全員を鍛える。おらっ、りーさんとめぐねえも走るんだよ! おっぱいに栄養持ってかれてる貧弱フィジカル共がよ……!
本来ならGNるーちゃんを生きていると思い込んでる精神異常者なりーさんの気を遣うイベントなのですが、実妹が生きているのでまるで健全な学園アニメみたいな光景になっていますね。
などといったところで今回はここまで、次回は事態が進展します。お楽しみに。
──大学構内、グラウンドにて、古木は駆けていた。その身に少女二人分の重さを文字通り抱えながら、眼前を全速力で走る少女と女性の背中に追いつく勢いで駆けていた。
「ぎゃああああっ来んな来んな来んな!!」
「ふ、ふ。まるで風がごときその俊足、素晴らしいものだ……っ!」
悠里の妹、瑠璃を肩車し、ゆきを片腕で抱えながらも、古木はその足を更に加速させる。二人──くるみとスミコを追い抜いて眼前に躍り出ると、息を切らす様子もないまま淡々と言った。
「反対を向いて、もう一本走れ」
「いや無理だって500mは走ったぞ」
「せめて……き、休憩させてくれないか……」
「ならん。お前達の体力なら問題ない、走れ」
刀を持っていないにも関わらず、まるで刃物のような鋭い雰囲気が突き刺さり、くるみたちは疲れとは別の意味で顔を青くして踵を返す。
「くそっ! 鬼! 悪魔! 古木さん!」
「くるみくん……それは鬼と悪魔に失礼だ」
「そんなに元気なら二本に増やすか」
「やめろォ────ッ!!」
悲鳴混じりで再度疾走する二人を追いかける瑠璃とゆきを抱えた古木という珍妙な光景を見ながら、グラウンドの端で、本来であれば野球部辺りが使っていたのだろうベンチに座る三人──瑠璃の姉、悠里と美紀、慈は会話を交わす。
「元気ね、あの人たち」
「馬鹿と天才って本当に紙一重なんですね」
「……あんまりそういった事は言わないであげてくださいね、美紀さん」
心の底から呆れきった表情を浮かべる美紀に、慈は窘めるように口を開く。一拍置いて、おもむろに悠里は呟くように続けた。
「でもね、ちょっと心配なの」
「何がですか?」
「るーちゃん。実はああやって楽しそうに笑うことって、少なかったのよ。でも今はゆきちゃんたちに影響されてか、よく笑うようになったし、元気に走り回るようにもなった」
「よかったじゃないですか」
そうね……と言って、悠里は言う。
「あの子が今よりも元気になって、どこまでも……どこへでも行けるようになったら……」
「さみしい、ってことですか」
「それもあるけど、怖いのよ。もし目が覚めたら、全部が夢だったら……とか、これが夢で、本当はもっと辛い現実が待っているんじゃないか……とか、どうしても考えてしまう」
「──悠里さん」
不安そうに胸の内を吐露する悠里に、慈はそっと伸ばした手を肩に置くと笑いかける。
「大丈夫ですよ。これが現実で、あの子はきっと、貴女の元から居なくなったりしません」
「……めぐねえ」
「当然、悠里さんも妹の為だからって無茶なことをしないように……ね?」
「……約束します」
悠里はこくりと頷いて、それからすくっと立ち上がると、決心したように宣言した。
「──私、体を鍛えるわっ!」
「めぐねえの話聞いてました?」
「聞いてたわよ。そのうえで、考えたの。もしもるーちゃんが居なくなってしまったら、私が自分の足で追いかけたい。それに……足手まといにはなりたくないから」
「──なるほど。それなら、体を鍛えるというよりは体力作りが必要だな」
美紀に視線を向けた悠里の言葉に、戻ってきた古木が瑠璃を肩から下ろしながら返した。
「古木くんっ」
「どうも、慈さん」
「あら、ゆきちゃんは?」
「あの二人と混じって走り込みをしています」
ちら、と古木が向けた視線の先には、グラウンドの端を駆けるくるみとスミコ、ゆきの姿があった。ふと、悠里は古木に質問をする。
「体力作りの方がいい、というのは?」
「『やつら』の足は基本的に
腰に抱きついてじゃれてくる瑠璃の頭にゴツゴツとした手を置く古木の言葉に、悠里は得心が行ったように納得する。
「なら、私もあれに混ざろうかしら」
「それがいい。大事なのは早く走ることではないからな、自分の流れで走れ」
「あ、そうだわ。めぐねえもやらない?」
「…………えっ?」
「いいじゃない、めぐねえくらいの歳で出来た脂肪は減りにくいですよ」
「────」
悠里の何気ない言葉に、慈はピシッと固まる。それからぎこちなく古木に向き直ると。
「……古木くんは、太っている女性のことを、どう思ってます……?」
「慈さん、もしかして体重が」
「私は太ってないですよ!? ……けど、まあ、その……やはり、男の人はスレンダーな女性の方が好みですよね……と思いますか」
「はあ」
指と指を突き合わせてもじもじと身をよじる慈に、古木は不思議そうに疑問符を浮かべる。いまいち乙女心を理解していない古木に、それとなく美紀が助け船を出した。
「古木さんの美的感覚が平安貴族でもないなら、太っている女性よりも、痩せている女性の方が好ましいですよね?」
「誰が平安貴族だ……。確かに健康面でも痩せていることに越したことはないが……そんなに見た目というのは大事か?」
「古木さんはそうでしょうけど」
最後まで要領を得なかった古木だったが、くるみたちに混じった悠里と──周回遅れの早さで走る──慈を見送りつつ、古木と美紀は並んで立っていた。
「スミコさん、あのゴスロリ衣装でよく元陸上部のくるみ先輩と並走できますね」
「見た目のわりに動きやすいらしい」
普段の痛々しい言動が鳴りを潜めた、真剣な表情での運動を行うスミコに、珍しいものを見るような目線を向ける美紀と古木。
「それにしても、古木さんってとことん女性に対して
「そうだろうか」
「……もし仮に、めぐねえの顔に火傷があったとして、それでも好ましいですか?」
「当然だろう。例え火傷の痕が顔にあったとしても、きっと慈さんの心は今と変わらずに美しいと思うが」
「それ、あとで本人に言ってあげてください」
少なくとも、古木は人の魅力を表ではなく内面で判断するタイプであった。へぇ……と呟く美紀に、古木は続ける。
「それで、気になることでもあるのか?」
「ええ、さっき桐子先輩が言ってた立ち入り禁止の区画が気になっていて」
「なら、俺と行けばいい」
「……では、さっそく」
その場から離れて、立ち入らないようにと言われていた"墓"に、二人は訪れる。
「……ここ、まさか」
「墓……とはそういうことか」
そこにあったのは、コンテナだった。
中から聞こえてくる呻き声から、そこが感染者を隔離する檻であると理解していた。
ふと視線を上げると、窓の奥から誰かが花を落とす光景を視認する。美紀は知らないが、古木はその女性が、武闘派に居た一人だということを覚えていた。
「今のは……」
「──かつて仲間だった者も、この中に居るんだろう。やりきれんな」
「…………ですね」
二人は手を合わせて、静かに黙祷すると、その場をあとにする。
ランニングのやめ時を見失ったくるみ達が、グラウンドを『やつら』のようにノロノロと歩いている様子を古木と美紀が発見したのは、それから数分後の話である。
次→1月13日00時00分(予定)