【完結】がっこうぐらし!RTA/卒業生チャート+α 作:兼六園
前回のラブライブ!
走者兄貴「ハァ……ハァ……敗北者……?」
太郎丸「乗るなエース! 戻れ!」
古木くん「レッドファイ!」
──後編はーじまーるよー。
前回は小生意気なメスガキを""
それでは学食兼購買部倉庫に向かい、フラグを立てつつ寝袋を取りに行きましょう。
保健室のマットレス×4は合計八人までは寝られますが、現在は九人いるので一人余ってしまい、無理やり押し込めば窮屈さからストレスが上昇してしまうので、古木くんには寝袋で寝てもらいます。いいだろお前唯一の男子だぞ。
……ストレスといえば、古木くん、なんでかストレスが7もあるんですよね。最大で10なので限界寸前だとわかります。
今回は直感の数値がダウンするだけで済んでいますが、これで『不眠』や『拒食』を引いていたらメンタルヘルスが必須になるでしょう。
とは言っても難しい話ではありません。治し方は簡単です、ヒロインにバブみを感じてオギャれば良いだけなので。要するにヒロインに甘えてゆっくり休めってことです。
成人男性が年下の学生や高校教師、酒豪に甘えるのは難しい……だって? そうか? 私には相手がネカマだろうとバブみを感じさせるならオギャれるだけの自信がある。
フルダイブVRでアホほどネカマに絡まれて鍛えられた観察眼を舐めるな……。
精度の高いボイチェンで迫ってきたあの野郎が……むぎゃおおおおお!?(発作)
……がっこうぐらしのフルダイブVR版とか出ねーかなーとは思ってますが、私はフルダイブ系ゲームでは基本的にアバターを敏捷特化の黒い格好の女の子に固定してるので、同じサーバーの人から「シンプルに動きがキモい」「お前の重力どこに向いてんの?」「必要とあらば関節を逆に曲げる奴」「マネキンが操作してんのか?」「黒くて小柄で素早いとかゴキブリじゃねえか」という数々の応援メッセージを頂いてるんですよね。
つまりVR版がっこうぐらしが発売したとして、RTAなんてやったら確実に見た人がえげつないくらいに酔うと思います。よって没。そもそも出るわけねーじゃん、はっはっは……(藤岡弘、)
──んだらば話を戻しまして。
食堂に向かうイカれたメンバーを紹介するぜ! ストレス爆上げ剣士、古木くん。危機察知能力全振り、ゆきちゃん。固有スキル【威嚇】で怯ませられるがっこうぐらし界の
……なんか犬っぽくねぇよなあ? ままええわ。そんなわけで1階へとやってきたのだ。
ヒロインは、直感の数値によって、時間経過で食堂に集まるやつらの挙動から『もしかしてあいつら……生前の行動をトレースしてるんじゃねえか?』と億泰のような鋭い指摘をしてくれます。
そのテキストが発生するまでの間に、倉庫から寝袋を取ってきます。この辺に卒業生チャートらしさが出ていますね(適当)
寝袋を確保して戻ってくると、ゆきちゃんとりーさんが話し掛けてきました。
椅子に座ってぼけーっとしているやつやトレーを掴んでうろうろしているやつらを見て、上記の話題を出してくれます。
これで7日目に利用するフラグが立ったのでもうここに用はありません。邪魔になる奴だけ排除して、さっさと3階に戻りましょう。
……やることねーなー、やることねーなー。どうするよ暇だぁ。金もねぇしなぁ~。
スミコのお陰でお酒があるのでめぐねえとの交流は夜に回せるんですが、今みーくんたちは屋上に居るんですよねぇ。くるみ姉貴、りーさんの好感度は多分上々。
ゆきちゃんもまあまあ高い筈なのであとは加入したばかりのみーくんの好感度を上げれば、8日目に手紙を飛ばすイベントが発生し、2日後にヘリが飛んできて最終イベントに繋がるのですがね。
とはいえまだ4日目だし7日目のラッシュを切り抜けさえすれば全員の好感度が一定数上昇するので、この辺は難しく考えなくてよいかと。
──本格的にやること無くなってきたので倍速します。夕方頃まで進めて、イベントが発生しないか確かめつつ全員が生徒会室に集まるのを待ちましょう。ゆきちゃんの好感度が一定を越えていると……来ましたね。
はい。なんだかんだで誰も犬の名前を知らないため、全員で名前を考えるイベントです。そう、実は今まで誰もこの犬の事を『太郎丸』とは呼んでいないんですよ。原作知識で私が勝手に太郎丸と呼んでいるだけなんです。
といっても、誰がどう名付けても結局はゆきちゃんのネーミングで太郎丸に決定されるんですけどもね、初見さん。尚この時点でゆきちゃんの好感度が8割を越えている場合、プレイヤーが名付け親になる場合も御座います。
……なんだ? 私のムナンチョヘペトナス太郎川くんになんか文句でもあんのか?
まあそんなことはどうでも良いのです。スミコの†ケルベロス†とかいう頭が2つほど足りてないえげつねぇネーミングは無視して、太郎丸という名前に賛同してゆきちゃんに媚びましょう。
無事太郎丸の名前が『太郎丸』に決定しましたので、夕食の準備をしましょう。太郎丸は……太郎丸だった……?(ゲシュタルト崩壊)
……はい。馬鹿な発言もそこそこに、本日の食事を決めます。缶詰と無洗米、レトルトのパックをモールから持ち帰っているためメニューは気にしなくて問題ありません。
……おや、今回はめぐねえとりーさんではなく、古木くんとみーくんが料理をするようです。一緒に料理をすると好感度が少しだけ上昇するのでこれはうまテイストですね。
屋上の野菜を適当に刻んでドレッシングを回し掛け、お手軽にサラダを作り、複数のカレーのレトルトを鍋に混ぜ込んで鍋いっぱいのカレーにします。レトルトとはいえスパイスがしっかり入っているので混ぜるとこれが意外に旨い。
炊飯器2つ体制で炊き上がった九人分のお米をよそい、いざ鎌倉。うん、美味しい!(岡村)
太郎丸にはしれっとKとみーくんが確保していたらしいドッグフードを食べさせます。ゲームだからか仕様なのか、ドッグフードはなぜか購買部にあるため明日予備を取ってきましょう。
食事も終わり、ビタミンサプリも飲み、満腹になり──次にやることと言ったらもう決まっています。でん!缶のやつ。
──そうだね、大人組で酒盛りだね。
スミコがどこから引っ張り出したのか生徒会室の隅に置いていたクーラーボックスからひょいひょいと酒を取り出し、机に並べます。
完全に乗り気のスミコ、久しぶりのお酒をチラチラ見てるめぐねえ、呑めなくないけどさほど好きでもない古木くんで三者三様ですね。
持久力によって酔う酔わない、悪酔いするしないが決まるお酒ですが、古木くんはかなり持久力が高いので1~2本は平気でしょう。
子供の見ている手前、泥酔してダル絡みでもしようものなら好感度が地に堕ちるのは確定的に明らか。意地でも古木くんは酔わせません。
……しかし酒なんてあんまり美味しくないものをよくもまあグビグビ呑めますね。
私は妹と二人暮らしなので酒は呑みませんが、フルダイブVRゲー仲間は頻繁に呑みながらプレイしてゲロ吐いてログアウトしてますし。
ワインは美味しいのを選ばないと不味いやつはマジで不味いし、ビールは苦いし、呑むならやっぱり果実のチューハイですわよ(子供舌)
1缶をちびちびと呑む古木くんの傍らでは、スミコが既に3本目に手を出しており、めぐねえがたった今2本目を飲み干しました。
久しぶりに呑む酒は旨いか? 明日は二人とも二日酔い確定ですね。
まあたまにはこんな贅沢も良いでしょう。酒は百薬の長なんて呼ばれるように、程々に嗜めばストレス発散のよき相棒となります。
──悪い例が目の前に二人ほど居るのは気のせいです。スミコが壁にへばりついて何か言っているのも気のせいだし、めぐねえがもたれ掛かってきて謎の言語を話しているのも気のせいです。
いち教師として子供を
つまみ代わりのきゅうりのスライスをポリポリかじり、太鼓の達人よろしくTNPよく会話を聞き流しつつ、時間も遅くなってきて眠いだろうゆきちゃんやるーちゃんを寝かせるようりーさんたちに指示を飛ばしておきます。
……と、寝室に使っている放送室から戻ってきたのはくるみ姉貴とみーくんでした。あんたたち本当に仲良いわね~。
……ダル絡みされてる古木くん、呂律が回らず言葉を聞き取れないめぐねえ、壁抜けしようとするプレイヤーのように壁に対して直立不動のスミコ。まるで地獄絵図みたいだぁ……。
よし、仕方ないのでいっちょ私の自分語りでお茶を濁しますか。(隙自語)
そうですね……私がフルダイブVRで遊ぶ時は女の子のアバターを使うと話しましたが、大抵のゲームは声がリアルのままなので、ネカマやネナベをするにはそれなりに高価なボイスチェンジャーを使わなければならないのですが……。
私の場合、見た目はめちゃくちゃ可愛い美少女アバターなのに声がめちゃくちゃ低音なので、初見の相手は先ずビビります。
仲間からは『喋るな』だの『声帯取り換えろ』だの『黒い
一時期のアダ名は『
なんでやろなぁ……(すっとぼけ)
さて、そろそろ寝る準備に入りたいので無理やりにでもスミコとめぐねえを担いで放送室に戻りましょう。あとは大人組のステータスチェックもしておきます。酒呑んどけばストレスは多少なりとも軽減される筈なのですが……。
大上 古木
・ストレス6【直感↓】
・恐怖1
・性欲3
佐倉 慈
【状態異常:泥酔】
スミコ
【状態異常:泥酔】
……うーん左スワイプ。
──食後の晩酌とばかりに酒を取り出したスミコに注意しようとするも、気分転換は必要だろうと大目に見た古木が後悔してから数分。
「──でぇすぅかあらぁ、わりゃしだってきょーしとして出来ることはなんでありぇ精いっぱい頑張ってるんでしゅよぉ~~~!?」
「そうですか」
「きいてますか古木くぅ~ん??!」
「聞いてますよ慈さん」
缶の中身を右手で呷り、左腕に抱きつく形でしな垂れかかる慈の話を聞き流す。
「めぐねえ呼びも嫌ではないけど教師としての威厳○△□×△◎!?」といった様子で何を言っているのか聞き取れなくなってきた辺りで、生徒会室に戻ってきた二人に目線を向ける。
「……うわ。めぐねえ完全に出来上がってんじゃん。スミコさんは……なにあれ」
九割ほど飲み干された日本酒の瓶を抱えながら額をゴリゴリと壁に押し当てるスミコ。
ぶつぶつと何かを呟きながら、酔いからかその美麗な顔を真っ赤に染めていた。
「ふふふ……聞いているかい古木くん。古木くん? 古木くん、今日の君は……固いじゃないか……固いな……なんでだい……?」
「スミコさん、それ壁です」
呆れた顔で美紀が言う。
ほっとけほっとけとくるみに言われ、スミコをそっとしておく事にする。二人で古木と慈の向かいに座ると、くるみはのらりくらりと慈の言葉に相槌を打つ古木に気になったことを聞いた。
「めぐねえのこと『慈さん』って呼んでんだな」
「会話がループし始めた辺りで名前で呼べとしつこく迫られた」
「……お疲れさん」
ちなみに何回目? と聞けば、三回目、と返ってくる。さしものくるみでも、流石に同情を禁じ得なかった。カシュ、と音を立てて二本目を開けた古木の手元の缶ビールを見て、美紀が問う。
「お酒って美味しいんですか?」
「……呑んでみるか?」
「堂々と飲酒を勧めてきましたね」
「舐めるだけにしておけ」
まだ口をつけていない手元のそれの中身を、紙コップに移す。底にうっすらと張る程度の少量を美紀に渡して、缶の方を一息に煽る。
すん、と匂いを嗅いで、鼻に刺さる苦味から顔をしかめる美紀は、決心して紙コップを傾け舌先でビールを数滴舐め──眉を潜めた。
「……うぇ」
「くっ」
予想通りの反応で小さく笑った古木へと、じとっとした目付きを向ける。美紀は反抗のつもりで嫌みったらしく言葉を返した。
「よくこんな苦い物を呑めますね」
「そうだな。俺も、旨いと思ったことはない」
「じゃあ、どうして?」
缶ビールを揺らして、古木は言う。
「苦い思い出を、苦い味で洗い流したいんだろう。俺も時折こうして酒を呑む」
「古木さんにも、苦い思い出が……」
「あるとも」
腕にしがみつく
「慈さんだって人の子だ。愚痴だって吐きたくなる。しかしてお前達が生徒である以上、おいそれと吐き出すわけにもいかない。
俺も、壁と話してるそいつも、酒でも呑まないと弱音を吐くことが出来ないんだ」
「……あたしとか、美紀とか、先に寝たあいつらじゃあ力不足か?」
「プライド、だろうな」
相談してしまえばいいのに、という言葉には『言うは易し』と返さざるを得ない。
「難儀ですね、大人って」
「そうだな。とはいっても、やはり、『酒は飲んでも呑まれるな』とはよく言ったものだ。悪い例がここに二人いる」
「ははは、確かに」
美紀に言われ、古木が返し、スミコと慈の醜態を見てくるみが笑う。
「──あっ、そういえばさぁ。古木さんってめぐねえのことどう思ってんの?」
「突然男子学生めいた話題を切り出したな」
「『そういえば』は会話をバレルロールさせていい免罪符にはなりませんよ先輩」
「すげーボロクソ言うじゃん」
膝の上に置いていたシャベルをコツコツと小突きながらくるみは続ける。
「いや、だってさ、気にならない?
古木さんめぐねえに抱き枕にされてるし、めぐねえ胸でかいし」
「だから寝袋を取りに行ってきたのだが。それと、胸の大きさだけが女性の魅力にはならないと思うぞ。少し失礼じゃないか?」
「でも男って胸好きでしょ」
「否定はしないが……」
あ、しないんだ。とは、美紀の呟きだった。
いつの間にか腕にしがみついたまま寝息を立てていた慈を机にうつ伏せに寝かせると、汗で額に貼り付いた髪を耳元に梳して言う。
「慈さんは素敵な方だ、と思う。これほどまで子供に愛情を向ける大人は、これほど魅力的な女性は他に………………居ないだろう」
「今脳内のデータベースと比べましたよね」
「……もう寝た方が良いな。スミコを連れていってくれ。俺が慈さんを運ぶ」
「あ! 誤魔化した!」
器用に小声で叫ぶくるみの言葉を無視して退席を急かす古木。やれやれとでも言いたげな顔をする美紀に窘められ、くるみは渋々スミコを二人掛かりで両腕を肩に回して運ぶ。
古木くんが……増えた……? 増えてませんよ。酒くさっ! という声が部屋から出て行く際聞こえ、扉が開かれたままになる。
夜は大人しくなるとはいえ、一応『やつら』が来ないとも限らない。手早く慈を抱き上げ、足で扉を閉めると、廊下を歩く最中に古木は慈の顔を見てふと気付いた。
「慈さん、
「……ぁぃ、大丈夫れす」
「寝る前に、水飲みましょうね」
「…………」
腕の中で静かになった慈を抱える古木。廊下に誰も居らず、あまりにも静寂が続いているからか──不意に、思い出したように母親の言葉が、顔が──優しい声色が想起される。
『■■、私とお父さんは、いつか必ず、貴方より先に
『でもね、貴方の名前の通りに、私たちは■■を永遠に想い、無償で愛し続けます』
『ですから貴方も、いつか出会うだろう好きな人の事をいつも思う、優しい人になってね』
──まぶたを細めて、古木は口を開くと、絞り出すように声を出す。
「……ままならないな」
優しい人になれと言われたが、今の自分を見て、母はどう思うのだろうか。
胸の奥でちりちりと燻る炎が日に日に大きくなっている。そんな錯覚を覚えながら、古木は放送室へと戻っていった。
次→8月23日00時00分