あるキャンパー   作:Flak40 L61

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 始めまして、Flak40 L61です。
今年でキャンプ歴は12年程になる者ですが、今年の3月にやっとゆるキャンを手に取りドハマリした新参者です()よろしくおねがいします。

 ところでこのSSですが、富士が遠いもので10年前に行われた日本ボーイスカウト連盟主催の第15回日本ジャンボリーにてスカウトとして参加して以来行けておりませんので、全て筆者の脳内記憶と某G先生を頼りに書いてます故に、実際との齟齬が多かろうと思います。その点ご容赦下さいませ。


新たな光
プロローグ


 地元を離れて二週間になり桜も見頃の時期になった。

俺は國守恭介(くにもりきょうすけ)という、脱サラしたしがないキャンパーだ。

愛車は一トン積で六人乗りの商用トラック。そのエンジンは高トルクが売りの三リッターのインタークーラーターボディーゼル、そしてマニュアルのフルタイム四輪駆動車だ。

お陰でどこからどう見ても業者のトラックにしか見えないというのが玉に瑕だが、高性能な足をしているだけにどこ行っても困らずに良い旅を満喫している。

 今日は静岡に来ているが目的地は、富士山西側の裾に広がる高原地帯、朝霧高原だ。

  

その中でも、とある大会の会場横にあったキャンプ場に向かう予定である。

大会とは"ジャンボリー"と言われるもので、ある国際的な組織の日本連盟が第十五回大会として十年前その地で行ったものを指す。

自分は未だ彼の組織の一粟であり、今は地元の隊の隊長を拝命している。

そんなヤツの思い出巡りのキャンプという訳だ。

……と言っても、もう着いちまってるが。

早速チェックインだが、他人と話するのはどうも苦手でならない。

というのも、元よりチベットスナギツネの様な目付きで大変人相悪い上に、事故で左眼と左人差し指の第二関節から先を失っており。

義眼を付けると余計に人相悪い上に不気味感が増すという理由で眼帯をしてるが、どちらにしろ致命的なレベルの人相の悪さという……

故にマル某として疑われたり、ガラの悪いのに絡まれたりする事にいい加減辟易してるところだ。

お陰でチェックインさえ通り抜ければ独りを楽しめるソロキャンプと言うのは、世間体というものを忘れる事が出来てとても良いのだ。

 

 多少その容姿に驚いている様子だったが、難なくチェックイン出来た。

なので、車で自分が行きたいサイトに行って荷物を下ろす。

ここからならば、富士山が良く見えて良い。

それに今日は平日だから一般客が少なくて大変好ましい状況だった。

 適当に荷物を箱ごと下ろし車は適当に邪魔にならん端の方に停める。

これから設営するが、風向きに気を付けテントを張る。

というのもテントは化繊だ、幾ら難燃性と謳ってあっても所詮は化繊よく燃える。

故にテントの入り口は風下に向け、綿製で下で焚き火が可能なタープもテントの風下に建てるのだ。

……と言っても先ずはグランドシートを敷かねば始められぬ。

グランドシートはテントの下地の破れ防止及び防汚の為に敷く物だ。

正味、レジャーシート程度で十分。

だが、自分の使ってるニ〜三人用のツーリングドームテントは軽トラ用のシートが丁度良い大きさでそれを敷く。

そして、テントを建て……ずにまずコットを組み立てる。

コットとは折り畳み式のベッドだ。

何故先に組み立てるのかと言えば、コットの組み立ては力を要し、テント内で組み立てるのは無理な姿勢で行わなければならず、かと言って地面で組み立てると土や泥が付着し、何の為にテントを底面を防汚したのか分からなくなってしまう。

故にさっさと組み立ててテント設営の時に邪魔にならん、乾いた所に放して、シュラフやマットを乗せておくのだ。

それが済むと漸くテントの設営を始める。

テントは吊り下げ式であるが、このテントは入り口にしない側にスリーブがあり、そこに黒色の骨を差し込み、対角側のペグで固定する耳の棒を骨の穴に挿して固定する。

それを骨が二本クロスする様にしたら、フックを掛けて吊り下げ自立させる。

それが済めば、フライシート用の灰色の骨をインナー入口側に取り付ける。

その上からフライシートを掛けて、四隅と灰色の骨を固定した所の耳のD環にフライシートのフックを掛ける。

そして、各骨にフライシートのマジックテープを止め、入り口反対側のインナー吊り下げフックの左右に黒い金属環で縁取られた穴(ハトメ)がありそこに小さい骨を挿してフライシートのマジックテープをそれに止めれば、テントは建つ。

後は適当に四隅にペグを打ち、入口側とその反対側のフライシートの固定用の環を地面にペグで打ち付ければ完成である。

そしたらその中に、最初に組み立てたコットと寝具一式を投げ込めばテントは終了である。

 続いてタープを建てるが、タープを正確に建てるのは難しい。

というのも、タープは非自立式だからだ。

それに手持ちのタープは軍用の払い下げ品で、ポール等は付属せずポールやペグや紐は別途買った物で構成される。

そんな物をどうやって自立させるかと言えば、先ずは基準となるポールを組み立て、自立させるところから始まる。

紐をテント入口側のインナー両耳のペグに掛け、ポールが両方からのテンションにより支えられ斜めに自立する様にする。それにタープの中心のハトメに差し込み垂らす。

そして、その反対側の方のハトメにもポールを挿して張る位置に持ってき、垂直になる地面に物を置くなりして印を付けポールを基準となるポールの一直線上に倒す。

その先から直角に折れた所をポールと同じ長さになる地点を歩測してそこに一先ずペグを置き、ペグを地面に打ち付け紐を掛ける。

再びポールと紐を手にタープを立てるとハトメから出た先端に紐を掛けテンションを掛ける。

そうすれば自立させるという第一関門がクリアとなる。

後は四隅を基準のポールより短いポールで四隅を二等辺三角形を作る意識で立てて行けばタープが完成する。

それが済めば。荷物をタープの下に移動させイスを組んで机を組み休憩する。

 

 休憩を終え、網敷の焚き火台を組みその下に灰受けとして、トレーを敷く。

続いては薪割りだ。

……と言っても割る薪は少量だ。

理由は杉に火さえ付けば、割る前のを焚べそれから小楢や樫等の難燃性であるが、持続性のある火種に移行する。

故に少数で何ら問題ないのだ。

火種は何かと言えば、適当に刈った雑草や紙や松葉等があるが、今回は麻紐を解したのを使うつもりだ。

……御託はどうであれ薪割りを行う。

先ず地面に樫の薪を並べてそれを台とし、鋼の板の様な剣鉈を取り出して杉の薪を割る。

片刃の為、気を付けなければ左寄りに斜めに割れてしまうが慣れが全て解決する。

その秘訣は何かと訊かれる事がよくあるが、フィンランドの白い妖精宜しく「練習だ」と返す様にしている。

取り敢えず目標数程割れたが、まだ長い場合はどうするかと言えば、「そんな物は膝で割れば良い」とばかりに膝に打ち付けて圧し折る。

折れなければ、剣鉈で真ん中に斜めに切れ込みを与えてやれば圧し折る。

それでも駄目ならば、切れ込みを入れた方の反対側を剣鉈の峰で打って圧し折る。

その様子は戦闘狂(ウォーモンガー)の様だと自分をよく知る人らから言われ、知らぬ人が見た時はドン引きするだろうけど、この快感と作業効率の良さに勝るものはないとつくづく思う。

 一仕事を終えると、コッヘルに米を二合弱目分量で入れ、それを片手に水場に行く。

まだ飯の時間まで三時間はあるが、米は暫く漬けとかないと焦げるのだ。

ここの水は富士の湧き水なのでさぞ美味かろう。

米を研ぎ、水を人差し指の第一関門程度いれ自陣に戻る。

それからは暫く放置して辺りの散策に出かけるつもりだ。

ジャンボリーにて開会式に大集会に閉会式を行ったアリーナが隣で更に向こうに自分らが使っていたキャンプサイトがあった。

いつかまた来ようと思ってたが、脱サラしなければ、再びこの地でジャンボリーが行われるまでなかっただろう。

そう思えるだけに、今この地に居る事を幸運だと思う。

 

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