真紅の抗戦者 〈Infinite Dendrogram〉 作:抹茶
1話 困惑
□皇都ヴァンデルヘイム南門前 モノ
「なかなか刺激的な体験だ。しかし折角貰ったこのボディが壊れるかと思ったよ」
視界を前に向けるとそこには未知が溢れていた。視界に映る機械的な町並みと空を覆う厚い雲、肌を撫でる風の感触、微かに感じる土草の匂い。全てが初体験でありその情報を処理するのに自身の演算機構が悲鳴をあげているのは容易に予測できた。感動を感じるのはさておき、ひとまず自身の目的のためにはまずはこのボディに慣れようと歩き出そうとしたところ・・・
(動かないね...)
ピクリとも動かなかった。そもそもワタシは体というものを動かしたことはない、それもそのはずワタシは自我を持っているとは言っても所詮は機械、人間が何年も掛けて成長と共に獲得していくであろう技能をたかが数秒で会得できるはずもなかった。
(ふむ困ったね...どうするべきかな)
今出来ることといえば思考することのみ、しかし思考したからといって解決策が見つかる訳でもないのだが。
(これは万策尽きたかな...?)
半ばの諦めと共におそらくワタシと同じであろう周りに現れるもの達を見送りながらただ立ち尽くしていた。
___________________________
数時間だろうか?数日だろうか...かなりの時間が経過した後突如慣れ親しんだ感覚を取り戻した。
「おや?これは...」
先程までタンパク質や脂質、水分で構成されていたはずの体が気づくと金属などでできた機械によるものに置換されていた。それに伴ってか自身の外部に露出している両手両足が黒い機械チックなものに変わっているのが見て取れた。
「これはいったいどいうことなのだろうか...?」
自身の体を触り確認するが答えは見つからなかった。確認したところワタシの体は女性体をモデルにしているようだった、特にワタシには性別というものはなくアバターに関してはお任せにしていたのでおそらくあの管理AIの趣味なのだろう。女性にしては大きくも小さくもない背丈、頭髪は黒く腰辺りまで伸びていることが確認できた、
「ほう...これは」
そこでワタシはステータスというものが見れることに気がついた。ステータスとは自身の能力をいくつかの項目にわけ数値にして可視化できるようにしたものであった。またそこでは管理AIが語っていた〈エンブリオ〉についても確認することが出来た。
モノ
レベル:0(合計レベル:0)
職業:なし
HP(体力):49
MP(魔力):7
SP(技力):14
STR(筋力):-11
END(耐久力):-13
DEX(器用):-12
AGI(速度):-13
LUC(幸運):-14
〈エンブリオ〉
【虚数逆転 ゼノン】
TYPE:ボディ
到達形態:Ⅰ
『保有スキル』
《
①自身のSTR・END・AGI・DEX・LUCのステータスを逆転させる
②自身のジョブ、自身が使用したアイテムの使用によるステータス補正を逆転させる。
③自身が装備する武器・防具・アクセサリーのステータス補正を逆転させる。
④自身のSTR・END・AGI・DEX・LUCのステータスについて-を正と定義する。
パッシブスキル
《
このスキルは発動状態の切り替えが可能。
このスキル発動状態時STRを×3倍する。
スキル発動状態時5秒毎にHPを1%消費する。
パッシブスキル
ステータス補正
HP補正:-E
MP補正:-E
SP補正:-E
STR補正:-F
END補正:-F
DEX補正:-F
AGI補正:-F
LUC補正:-F
「おそらくこの〈エンブリオ〉がワタシの体を機械にしたのだろう。それにしてもステータスがマイナス...?」
このステータスから読み取れることとしておそらく自身の能力に下降補正が入っていること、そしてなぜか自身のステータスはマイナスにまっている項目が確認できた。
「ふぅ...我ながらなんとも前途多難なことだね。」
ため息を吐きながらひとまず門へ歩いていくのだった。
なにかおかしな所や誤字などあればご指摘ください。
※6/21修正