真紅の抗戦者 〈Infinite Dendrogram〉 作:抹茶
□皇都ヴァンデルヘイム路上 【■■】モノ
「さて、なにから始めたものかな...」
自身の〈エンブリオ〉が発現し、動けるようになったことについては予想外の出来事だったが動くことが出来ないという問題を解決できたのは僥倖だった。いざ皇都に入ったがなにをすべきかわからず皇都を練り歩いるとまた幾分か時が過ぎてしまった。
「それにしてもこのゲームはファンタジーを題材にしているのに機械文明というのが存在しているというのはファンタジー的に許していいのか少し疑問だね。」
周りを見回すと19世紀の欧州の様な建築物と所々に煙を吐き出す高い煙突が見えた。
ヴァンデルヘイム。ドライフ皇国の首都にして通称"皇都"
無数の工場から立ち上る黒煙が雲となって空を塞ぎ、地には鋼鉄の都市が這うように並んでいる国。科学技術や先々期文明についての研究が盛んに行われており、なかでも機械技術の分野が発達している。ワタシは管理AIの説明で聞いた通りの場所に少々の疑問を覚えるがそこはご愛嬌というところだろう。
「まぁワタシはこのような町並みも嫌いではないがね、かくゆうワタシもこのような文化の発展によって産まれた
そんな独り言を呟きながらも都を見回しながら歩いていく。そもそもワタシにとっては独り言を"喋る"ということすら新鮮なのだから目に映るもの、感じる感覚全てが真新しく感じられてしまうのだがね。
「そういえば先程のステータスに
モノ
レベル:0(合計レベル:0)
職業:なし
「ふむ...なにかしらの職業につかなければいけないのかな?少し情報が不足している、収集をするべきかな。」
ステータスを確認するとワタシの職業欄はなしとなっていることが確認できる、ワタシの本体に搭載されている高速演算機構を用いればまだ数日しか経過していないであろうこの〈Infinite Dendrogram〉の世界に関する情報はおおよそ把握することは実に容易であり数秒後にはゲーム序盤の大まかな流れを組み立てていく。
「やはりなにかしらの職業に就く必要がありそうだ、しかし困ったね。まさか職業の種類が5桁を越えているとは予想外、流石にこの情報が少なく錯綜している段階での最適解の発見は困難かな。」
そしてこの〈Infinite Dendrogram〉の世界の職業は大まかに戦闘系・非戦闘系(生産系+その他)となっているようだ。
「特になにかこれといった職業があるわけでもなし、無難に戦闘系の【
ワタシは職業の就職ができるジョブクリスタルに向けて歩を進めていく...
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モノ
レベル:1(合計レベル:1)
職業:【
「ひとまずジョブにはついた、次に向かうべきは専門ギルドという所だね。」
専門ギルドというのは所属することでその職業特有のジョブクエストというものが受けられるようになるものであるらしい、「経験値が比較的美味しいため是非所属することをおすすめする」、ということが掲示板に掲載されていたのでワタシもとりあえず所属するつもりなのだがね。
「とりあえず【
とりあえず入るしかないと考え、その門戸をくぐるとやはりワタシの知識の中にある物語に登場するギルドとは違っているようだった。受付のようなものは存在するが酒場のようなものが併設されている訳でもなく、昼間から飲んだくれている男達がいるという訳でもないらしい。落ち着きがある空間は市役所などが近いように感じられる。まぁここは兵士のためのギルドなので当然と言われれば当然なのかもしれないがね。
「少々いいかい、ここのギルドに登録するにはどうしたらいいのかね?」
目の前受付であろう場所にいる女性に尋ねるとやや驚き、視線をワタシの体にさまよわせた後説明を始めようとしているらしかった。視線の推移などからおそらくこの機械然とした両手両足に驚愕していたようだがドライフ皇国は機械の国、サイボーグくらいいてもおかしくないと考えていたがどうやらそんなことはないらしい。
「え、ああはい。まずは説明をさせていた頂ますね、兵士ギルドは主に兵士系統のジョブに就かれている方へ職業を斡旋する組織となります。しかし兵士と一口にいっても軍などに所属する軍属兵士、緊急時や戦争時などに参加、又は戦う力を持つが特定の組織などに所属しない兵士など大まかに二つの枠組みがあります。基本的なモンスターの討伐依頼などもあるにはありますが多くの仕事は護衛、防衛、取り締まりなどになるため拘束時間が長いものばかりになります。ですのでおそらく〈マスター〉の方にはあまり受けていただける依頼が少なくなってしまうかもしれません、聞いたところによると〈マスター〉の方々は定期的にこの世界からいなくなってしまうのが常のようでですので...」
「その心配には及ばないさ、ワタシはこの世界の住民になるつもりはなくてもこの世界を離れることは滅多にないからその辺は問題はない。しかし荒事はあまり得意ではないんだ、こんな
ではなぜ戦闘系の職業についたんだという指摘は最もだ。しかし最後の言葉は所以ジョークというもの折角女性体を得たのだし女性らしくしてみようと試みた結果、ワタシが調べた統計によると女性というのは一歩身を引き常に謙虚でお淑やかであることが美徳であるらしい...故にお淑やかさを演出しようとしたわけだがどうも目の前の女性の反応を見るに場にそぐわない発言をしてしまったらしかった、やはり会話というものは難しいものだ...
「いや、最後の言葉は忘れて貰ってかまわない。何分会話というものに慣れていなくてね...」
「は、はぁ...」
目の前の女性は一連の流れについて行けず口をやや半開きにしたまま呆けた顔をしていた、これ以上話を脱線させるのも忍びない。ここは無理矢理話を戻すとするかな。
「それで特にその点に関しては問題は無いのだが他になにかあるかい?」
「い、いえ!それでは登録を進めさせて頂きます。」
その後ワタシは登録のも諸々の手続きを終え兵士ギルドを後にした。
この後は皇都外に出でレベルを上げようとするわけだが初めての戦闘に緊張と高揚感を感じていた。ワタシに緊張や高揚感という機能があるかはさておき少なくとも門に向かう足並みは軽やかなものではあったがね。
To Be Continued
話の長さは基本気分で変わります...