マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様 作:黒月天星
注意! 今回は独自設定タグが思いっきり仕事します。
今回は十代視点です。
これは、少しだけ未来の話。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「『
「ぐうぅっ!? ……この痛みはっ!?」
黒竜のブレスでワイルドマンが破壊され、俺のLPが削られると同時に、普段デュエルで受ける衝撃とは別の激痛が俺の胸に襲い掛かる。
「言ったろう? 魂と命を賭けた戦いだと。だから文字通り命を削ってもらう。これが
俺とデュエルしている謎の男。セブンスターズの一人、仮面の男ダークネスと名乗るドラゴン使いはそう言った。
事の始まりは今日の昼。授業が終わって昼飯をパクつこうとした俺、そして一緒に授業を受けていた万丈目と明日香、三沢は大徳寺先生に校長室に呼び出された。
校長室には鮫島校長の他に、カイザーやクロノス先生も待っていた。そしてそこで校長から聞かされたのは、俺にはよく分からない話だった。
何でも、この学園の地下には三幻魔とかいう伝説のカードがあって、それが七精門という七つの柱で封印されている。三幻魔が世に出るととんでもないことになるらしい。
その封印を解こうと、セブンスターズって奴らが学園にデュエルを挑んできたというのが鮫島校長の言葉だ。クロノス先生が言うには要するに道場破りみたいなものらしい。
それでその封印を解くために使われる七つの鍵。それをここに集まった皆で一つずつ守ってほしいという話だった。
面白れぇ。やってやるぜ! どんな強い奴が来るのかワクワクするしな! 俺は鍵の一つを手に取り、以前異世界で墓守のおっさんから貰ったペンダントと一緒に提げる。
それを皮切りにしてカイザー、万丈目、三沢、明日香、クロノス先生、大徳寺先生が一つずつ鍵を手に取る。この七人で守るわけか。
「……んっ!? そういえば大徳寺先生。遊児には声をかけなかったのか? あいつの実力は知ってるだろ?」
「そうだな。奴ならそこらの生徒の数倍は頼りになる。直接防衛に回せなくとも、サポート役に回すだけでも大分違うはずだ」
俺の言葉に万丈目も追随する。遊児なら腕は確かだし、時々カッとなる点を除けば物事をいつも冷静に見ている奴だ。ここに呼ばれても良いはずだけど。
そう聞くと、大徳寺先生と
「ウオッホン……ああ。それなんだがね。君の言う久城遊児君も候補には入っていたんだよ。だが大徳寺先生がどうしても自分も鍵を守ると聞かなくてね」
「にゃにゃっ!? …………コホン。そ、そうなのにゃ。僕も教師として、可愛い生徒を守るために立ち上がらなければと思った次第なのにゃ! ナハハハハ!」
な~んか怪しいんだよな。大徳寺先生ってそんなキャラだったっけ? だが、俺や他の皆も大なり小なり今回の事に考えることがあったらしく、それ以上突っ込むことは無かった。
そしてその夜、寝ている時にハネクリボーに起こされたと思ったら、急に変な光に包まれて、気が付けば俺はこの島の火山の頂上に立っていた。気になって様子を見に来たらしい明日香も巻き添えに。
そこに現れたのはセブンスターズの一人ダークネスを名乗る男。俺達を呼び出したのは自分だと言い放ち、俺に闇のデュエルを挑んできやがった。
おまけに最悪なのは、
「十代っ!」
「アニキ~っ!」
「翔君っ!? 隼人君も!?」
同じ部屋で寝ていたはずの翔と隼人が、
「光の檻に守られてはいるが、あれは時間と共に消滅する。このデュエルが長引けば、彼らはマグマの中だ」
「汚ねぇぞっ! あいつらはこの戦いに何の関係もねぇっ!」
「生半可なことを言うなよ遊城十代。七精門の鍵を賭けたこの戦い。貴様には全能力を出し切って戦ってもらう。これはそのために用意した舞台。お互いの魂……いや、命をも賭けて、我々はこのデュエルに挑まねばならん。それが、この私の闇のデュエル」
このデュエル。翔や隼人のためにも負けられない。絶対にっ!
「『
「うっ!? うぐぅっ……」
だがダークネスは手強かった。主力の真紅眼の黒竜を破壊したと思ったら、今度はさらに厄介な真紅眼の闇竜で猛攻を仕掛けてくる。墓地のドラゴンの数だけ攻撃力の上がる効果を持ち、今やその攻撃力は4500まで膨れ上がっていた。
俺のモンスターは破壊され、そのブレスがソリッドビジョンとは全然違う痛みを俺に浴びせてくる。
「もうやめてっ! このデュエルを中止してっ! ……私の鍵を渡すから、隼人君と翔君、十代を助けて」
「待てよ。明日香。……こんな熱いデュエル。俺から取り上げるなよ。……LPはまだ残ってるぜ。俺のターン! ドローっ!」
明日香が鍵を渡そうとするのを制して、俺は気合を入れてカードを引く。……よし! この手札ならいける。後は、トドメまでどうもっていくか。
「わぁっ!? 助けてアニキっ!」
そこに翔の今までとは違う叫び声が響き渡った。
見ると、下の溶岩が荒れ狂って波を起こし、その一部が翔達の居る光の球に届く。そしてその衝撃で、
「わ、わああっ!?」
「翔っ!?」
……急に全てがスローモーションになった気がした。光の球から翔が、信じられないと言った表情でバランスを崩し落ちていくのが見える。隼人はまだ何とか光の球にしがみ付けているが、今は翔の方が先だ!
「うおおおっ!」
俺は一時デュエルを中断し、力の限り駆け寄って落ちていく翔の腕を掴む。だが、
「げげっ!?」
勢いが付きすぎて踏み止まれず、翔と入れ替わりになる形でくるっと回転して自分が溶岩に投げ出される。
マズいっ! これじゃあ俺が丸焼きになっちまうっ! ハネクリボーが現れて俺に光の膜を張ってくれているが、それでもこの溶岩じゃどれだけ保つか。
俺はこれから来る熱さと痛みに耐えるべくグッと身体に力を入れ……すぐに身体が何かにぶち当たった。
「……痛っ! イタタタッ! 溶岩って割と硬いんだな。それに思ったよりも熱くない…………はぁ!?」
冗談か何かみたいに、さっきまでグツグツと泡立ち煮え立っていた溶岩が、そのままの形で凍り付いていた。
「なっ……何だこれぇっ!?」
幻か何かかと思ったが、触ってみるとすげえ冷たい。本物の氷だ。ハネクリボーがやったのかと目で尋ねてみたが、ハネクリボーはぶんぶんと首を横に振る。
その光景に俺以外の皆、翔も隼人も明日香も目を丸くして言葉も出ない。……いや、ダークネスだけは違った。奴はこの凍り付いた溶岩とは別の、火山の岩陰をじっと見据えていた。そして、
「……横槍を入れるとは、何のつもりだ
『それはこっちのセリフだダークネス。関係のない奴を巻き込むとはどういう了見だっ!』
ダークネスの言葉と同時に岩陰から現れた奴。その一喝を聞いた時、俺の全身に何とも言えない感覚が走って僅かに身を竦ませる。エコーがかかったような不思議な声なのに、何となく初めて聞いた気がしないような。
首から下をすっぽりと覆う黒い外套に、首回りに巻かれた羽毛のファー。そして頭に乗せているのは外套と同じく真っ黒のつば広帽子。
だが、それよりなにより特徴的なのは、顔に着けられた独特の形の仮面だ。鳥の嘴を模したようなその仮面は、歴史の授業で見覚えがある。確か
『人質をとって鍵の守り手を呼び出すまでは俺も百歩譲って認めよう。手荒ではあるけど十代が仲間を見捨てるはずもないしな。だが』
仮面のせいでどこを見ているのかよく分からないが、そいつ……バランサーは一瞬だけこちらを見たような気がした。しかしすぐにバランサーはダークネスに向き直る。それも明らかに怒っていると分かる態度で。
『こうしてデュエルが始まった以上、もう人質の意味はないはず。解放してやれ。これでもまだごねるっていうのなら……俺も黙っちゃいられない』
そいつは外套の中からデュエルディスクを取り出し片腕に装着すると、そのままデッキをセットする。
『
これが俺と、これから始まるセブンスターズとの戦いの中で長く関わっていくことになる謎の男。バランサーとの出会いだった。
という訳で、短いですが次章への繋ぎということで、少し次回予告風に書いてみました。
本編はまだもうしばらくかかりそうですが、気長にお待ちいただければ幸いです。
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