マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 注意! この話は独自設定がかなり仕事します。


入団試験終了 そしてセブンスターズの初戦

「ぬうっ!?」

『ぐあああっ!?』

 

 かくして魔弾の射手の効果によって両者引き分けに持ち込んだ訳だが、終わった瞬間身体に激痛が走ってたまらず膝を突く。

 

 ……ぐっ!? これが闇のデュエルかよ。前にダーク・ネクロフィアとやった時の身体の感覚が無くなっていく感じも嫌だったけど、こういう直で痛みが来る奴もこれはこれで嫌だな。だけどこれで終わり……じゃないっ!?

 

 戦いの前に俺達を囲んでいた炎が、消え去る前に一際勢いよく燃え盛る。そしてその近くには丁度バランスを崩していたダークネスの姿が。……え~い。一か八かだ。

 

『雪の女王っ! 頼むっ!』

 

 今さっき精霊化したばかりで、どういう相手なのか分からない。もしかしたらこちらに危害を加えようとするかもしれない。だが咄嗟に思い浮かんだのは先ほどのデュエルで見た猛吹雪のイメージで。消火に手を貸してほしいという俺の願いは、

 

「……なっ!?」

 

 振り向いたダークネスが見た、燃え盛る炎が一瞬で凍り付く様という形で応えられた。

 

『ふんっ! かの無礼な竜の炎など、妾の手に掛かればこれこの通りよ。妾が凍らせきれなかったものは、春の日差しと温かき人の心のみ。身の程を知るが良いっ!』

 

 カタカタっ!

 

 気が付けば、俺の横に普通に雪の女王が実体化していた。あとドサクサで罪善さんも。罪善さんの方は俺に向かってきた炎を抑えてくれたらしい。

 

『ありがとう。雪の女王。罪善さんも』

 

 なるべく幻想体達が出てこれることはセブンスターズには秘密にしておきたかったが、さっきのデュエルを見て勘づいている奴も居るだろうし今更か。

 

「……むぅ。バランサーよ。貴様私相手に最初から引き分けを狙っていたとはな」

『ハッハッハ。まさか。引き分けに持ち込むのがせいぜいだったってだけだ』

 

 どうにか立ち直ったダークネスの追求に、俺はそう笑って返す。実際ギリギリだったからな。あの状況で引き分けに持ち込める手札になったからやっただけで、そうじゃなかったら普通に勝ちを狙ってた。これでも負けたくはないからな。

 

『ほぅ。精霊の実体化とはな。面白い』

『面白がってもらわなくても結構だがな。さっきのデュエルについて何か釈明があればお聞きしたいんだが?』

 

 出たな理事長。声だけだけど。急に闇のデュエルにしやがってこの野郎。軽く皮肉ってやるが、奴はまるで堪えた様子がない。

 

『フフフ。まあ良いではないか。確かにお前は実力を示してみせた。バランサーよ。お前を正式にアムナエルの代理として認めよう。これからの仔細はアムナエルから聞いておるな。……ではダークネスよ。明日の先陣は任せるぞ』

「承知した」

『さて。ここに集いし者共よ。明日からいよいよ決戦だ。それぞれの奮闘に期待するとしよう』

 

 そこまで一方的に言うと通信が途絶える。オイ待てこらっ! せめて一言謝っていけっ! 俺だけじゃなくてダークネスにもっ!

 

 それを聞いて、周囲の人影が一つ、二つとどこへともなく消えていく。……今のが解散の合図だったのっ!? というか俺まだ全員の顔と名前も一致してないんだけどっ!?

 

『ったく。なんて雇い主だ。……そうは思わないか? そっちも』

「それがお前の素か?」

 

 やべっ!? さっきからついつい口調がいつもの調子になってた。

 

「別に隠すことは無い。お前との決着はいずれ日を改めてとしよう。ではな」

 

 ダークネスはそれだけ言うと身を翻して去っていった。何か罪善さんを避けていたような気もするが……よく分からないな。

 

 しかし……疲れたなぁもうっ! 周りに人影が居なくなったのを確認すると、俺は近くの壁にもたれかかりながらズルズルと崩れ落ちる。

 

「こんなのが大徳寺先生を抜いてあと五人……いや、理事長も入れたら六人かよ。これは強敵だぞ十代。万丈目」

 

 俺は汗で蒸れる仮面を外して、そう誰に言うでもなくポツリと呟いた。

 

 

 

 

「だからよ。それで俺がそのセブンスターズって奴らからこの鍵を守る役を任されたんだ!」

「凄いよアニキっ!」

「流石十代なんだな」

 

 翌日、俺は十代達の部屋で十代から話を聞かされていた。

 

 学園の地下に眠る三幻魔のカードを狙うセブンスターズから挑戦を受け、学園側から七人の鍵の守り手が選出されたこと。そのうちの一人に自分が選ばれたことなどだ。

 

「……んっ!? なんだよ遊児? あんまり驚いていないな」

「えっ!? ……ああ。勿論驚いてるさ」

 

 十代に突っ込まれて慌ててそう返す。……スマン十代。俺もうその事の大半知っているんだ。選出メンバーの件とかも。……()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 今回のセブンスターズの襲撃だが、実は理事長から鮫島校長にとっくに話はついていたりする。そうじゃなきゃそもそもこんな戦いは成立しないからな。

 

 正確にどういう取引があったかまでは知らないが、理事長がセブンスターズを組織してカードを奪わせようとしているのに対し、校長もまた七人の守護者を選出して迎え撃つ。ここまではどうやら互いに合意している。

 

 だが鮫島校長の選出したメンバーは、なんと七人中五人が生徒という無茶苦茶ぶり。いくら成績優秀だろうが何だろうが、こういう大事な場面で生徒ばかりというのはまずない。そこらの生徒なら一蹴できてこその先生だし、人材は豊富のはずだ。

 

 しかしこの選出には訳がある。つまりはこれが()()()()()()()()()なのだ。

 

 正直な話、三幻魔を手に入れるだけなら理事長は特に問題ない。何せ合鍵を持っているんだから。だが直接乗り込んだらいくら何でも外聞が悪いし、何より三幻魔の完全復活にはデュエリストの闘志が大量に必要。それも生徒の闘志なら尚良い。

 

 だからおそらく取引の内容としては、自分が直接動かない代わりにセブンスターズを差し向けて堂々と奪いに行く。それに対してそちらは七人の守護者(生徒が大半)を揃えて防衛させろ。無事退けられたのなら三幻魔を諦める……とかそういった感じだろう。

 

 まあそうして鮫島校長、そして理事長の計画を知って止めようとしていた大徳寺先生、ついでに色々あって俺も加わって話し合った結果、このような選出になったわけだ。

 

 ちなみに大徳寺先生がセブンスターズ側にも関わらず選出されたのは、いわばもしもの時の保険だ。

 

 昨日も見た様に、理事長はいざとなったら平気で約定を破り捨てるからな。セブンスターズ側が勝ってしまっても困るが、あまりに守り手側が優勢だと普通に直接乗り込んでくる可能性もある。

 

 なので守り手側が優勢過ぎたらそのまま大徳寺先生がセブンスターズの難関として立ちはだかり、逆に劣勢であれば()()()()()()()()()()()()防衛に加わる。……まあその加わる誰かって言うのが俺の予定なんだけどな。

 

 という訳で、表では学園生活を送りつつ、裏では身体がボロボロの大徳寺先生の代理でセブンスターズに潜入してちょこちょこ情報を探るという酷いハードスケジュールになってしまった。八人目の守護者……とか言ったら格好良いかもしれないが、実際はスパイ活動なんだよな。

 

 そういった色々を既に知っているとはいえず、俺は何も知らない風に十代の話を聞いていった。

 

 

 

 

 その日の夜。

 

 俺は自室で変装用セットを仮面以外着込んで待機していた。もう夜も遅く、十代達も眠っている頃合いだろう。

 

『いよいよだね。……ところで、ダークネスは一体誰を狙うつもりだと思う?』

「さあな。結局それを聞き出すことは出来なかったから」

 

 原作知ってるなら分かってるだろうに。ふわりと急に現れて白々しく聞いてくるディーに対し、俺はいつもよりそっけない態度で返す。

 

 ダークネスが行動を起こすのは今日だ。それは昨日聞いたから間違いない。しかし誰を狙うかは分からない。そしてダークネスの事だから、おそらく相手が誰だろうと闇のデュエルを吹っ掛けるだろう。

 

 闇のデュエルはやるだけで互いにとんでもない目に遭う。俺が何とか耐えられたのは、俺が多少なりとも幻想体達に馴染んでいたことや、身に着けていたペンダントやこの服の力が大きい。

 

 しかし、選出メンバーの中でそういった耐性があるのはおそらく十代と万丈目だけだ。というか耐性があってもキツイ。

 

 なので俺は最悪の場合を考えて、誰が挑まれてもすぐ駆け付けて被害を抑えられるように準備していた。幻想体の皆を分散して各メンバーの近くに向かわせ、デュエルが始まったら俺を呼んでもらうというやり方だ。来る日取りが分かっているからこそ取れるやり方だな。

 

 

 そして、遂にその時がやってくる。

 

 

「十代っ!」

 

 ……っ!? マズイっ! 狙いはそっちかっ!? 俺は外から聞こえてきた叫びにも近い声にハッとし、急いで仮面を掴んで外へ飛び出す。

 

 目指すは十代の部屋。だが、

 

「……んなっ!?」

 

 そこで十代の部屋から強い光が発せられたかと思うと、そのままシンッと静まり返る。扉は開きっぱなしだったのでそこから中を覗き込むと、()()()()()()()()()()()

 

 おいおいマジか!? 十代だけじゃなく翔や隼人も居なくなってるぞ。今の今までここには人の気配があった。それなのにこれとは……ダークネスの奴やってくれるな。

 

 カタカタっ! カタカタっ!

 

 罪善さんが何かに反応して実体化し、俺の服の袖を引っ張る。どうやらどこに跳んだか分かったらしい。

 

『どうせ罪善さんにも分かっているみたいだし、急ぎだろうから場所だけ教えよう。……あの山の頂上さ。そこに彼らは居るよ』

 

 ディーが教え、罪善さんが引っ張っていこうとするその先にあるのは、この島唯一の火山。……え~っ!? あんな所に居るのかよっ!? 急がないと間に合いそうにないな。

 

 俺はカードを通して幻想体達に呼び掛けると、急いで近くの森に走り出した。乗せてくれると良いんだけどな……大鳥。

 




 理事長と鮫島校長との取引の内容、メンバー選出の条件は完全に独自設定です。

 アニメで見た時にいつものメンバーが選出されているのを見て、なんで生徒ばかりなんだと不思議に思った点を掘り下げたらこうなってしまいました。もっと違う理由があったのかもしれませんが、この話ではこんな感じです。

 次回で接続話のあのシーンの裏側に移ります。

 次は三日後投稿予定です。
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