マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様 作:黒月天星
イロモノキャラの登場です。
午後11時55分。もうすぐ日付も変わろうという時に、俺の持っている通信機に連絡が入る。
『野郎共。準備は良いか?』
『こちらチック。配置についたよお頭』
『クリフだ。現在金庫前』
『ゴーグ。準備完了』
『こちらミーネ。いつでも行けるよ』
通信機からそれぞれ聞こえてくるのは、各自ターゲットに対していつでも仕掛けられるという合図。そして、
『バランサー。そっちはどうだ?』
『こっちも現場に到着した。……最終確認だ。本当にやるのか?』
正直俺としてはここでこのまま回れ右したい。なので万に一つの可能性に賭けて一応聞いてみたのだが、
『ああ。確かにお前の言う通り、デュエルで勝たなきゃ意味はないのかもしれない。だが、それはそれとして私達にもプライドがある』
通信機からは一人の声しか聞こえない。他の奴らは自分達の頭の声に耳を傾けているのだ。
『どんな障害があろうとも、私達なりのやり方で必ず依頼のブツ。お宝へ繋がる鍵を手に入れてみせる。そう。それが』
『『『『『我らっ! 黒蠍盗掘団っ!』』』』』
いつものように決め台詞を一分の乱れもなく発する一味。……ふぅ。まったく。やっぱりダメか。予想はしていたがここまで決意が固いんじゃ仕方ない。
『OK。じゃあそろそろ始めるとするか。……
『『『『『おうっ!』』』』』
こうして俺達は、
俺が何故こんなことになったのか。それはしばらく前に遡る。
◆◇◆◇◆◇◆◇
万丈目ブラザーズの一件から一週間。俺は実に穏やかな日常を過ごしていた。
タニヤロスで意気消沈していた三沢を慰めたり、学生の本分は学業ということで皆で勉強会をやったり、毎日幻想体達の相手をしたりだ。
最近はオールドレディによる読み聞かせ会もちょこちょこ挟み、罪善さんが居るとは言え気分が悪くならないように一日ニ十分以内で終わらせている。……と言っても幻想体一体の逸話がニ十分そこらで終わるわけもなく、数日掛けてやっと一体分のペースだな。道のりは長い。
他の大きな出来事と言えば、遂に
ただ残念なことに、吹雪は目を覚ました
さりげなく俺も色々聞き出そうとしてみたが、どうやら芝居とかそういうものの可能性は低い。やはりダークネス状態とは言え、闇のデュエルで魂を一度封印された影響は大きいようだ。
だが毎日のように明日香やカイザーが見舞いに行っているので、何かしら良い影響があると信じたいな。
あとこの前は学園に、世界の海を股にかける超大富豪の貿易商アナシスとかいう人が来て十代とデュエルしていたな。新たに設立予定の海底デュエルアカデミアのシンボルとして、セブンスターズとは別口で三幻魔を狙っていたらしい。
デュエル中にLPを1000万円で売ってとか無茶苦茶な盤外戦術をしていたが、金に興味のない十代には通じずそのまま十代の勝利となった。俺だったら……ちょっと悩んでいたかもな。大金だし。
気に入られた十代がそのまま攫われるというトラブルがあったものの、自力で学園まで帰ってきたからまあ良しとしよう。
こんな比較的穏やかな日常がずっと続けば良いのに。そんなことを思っていたのだが、
「黒蠍一の力持ち。剛力のゴーグ」
「黒蠍団の紅一点。茨のミーネ」
「どんな罠でも朝飯前。罠外しのクリフ」
「お宝頂きゃあとはトンズラ。逃げ足のチック」
「そしてこの私。首領・ザルーグ」
「「「「「我らっ! 黒蠍盗掘団っ!」」」」」
いつものセブンスターズの集会場所である洞窟。そこで俺の目の前でそう言ってポーズを決める者達。こいつらが次のセブンスターズだというのだからたまらないな。俺の日常はもうお休みタイム終了らしい。
黒蠍盗掘団といえば、普通に現実で存在するカード及びその関連シリーズの事だ。どうやら目の前の奴らはそのカードの精霊らしい。タニヤもそうだったし、意外と精霊の率が多いなセブンスターズ。
ちなみに黒蠍シリーズは、他のカードのイラストにもメンバーが時折描かれるくらいに有名かつ人気があり、全員が相手に戦闘ダメージを与えることで効果を発動するのが特徴だな。やや基本ステータスが低いのが難点だが。
しかし今日の朝、次に動くセブンスターズが決まったので顔合わせをしろと、アムナエルこと大徳寺先生に言われた時からおかしいとは思っていた。
それが実際に会ってみて良く分かった。
「ハッハッハ。まあ我らの自己紹介としてはこんなものだろう。これからよろしく頼むぞバランサー。いや、久城遊児よ」
ザルーグがにこやかに笑いながら俺に手を差し出してくる。
今の自己紹介だったのっ!? 会っていきなり戦隊ものみたいな名乗りを挙げられただけなんだけどっ!? こんな濃い奴らの調整なんて無理だろいい加減にしろっ!
ただまあそれでもやらなきゃならないのが調整役の辛い所。俺も仮面で表情が読まれないのを幸いと、なるべく冷静に握手に応じる。
『あ、ああ。よろしく。……というか、今俺の名前を』
「ふふ。我々の情報網を侮ってもらっては困る。その程度の事とっくに調査済みよ」
何っ? 俺はここで素顔を明かしたことはあっても、フルネームを名乗ったことはまだない。つまり目の前の男達は、僅かな情報だけで探ってそこまで辿り着いたということになる。
これはスパイとして気が抜けない相手になるな。そう考えたのだが、
「お頭。調査も何も、たまたま俺達が知ってただけじゃないか」
「そうそう」
「あっ!? バカっ! 速攻でネタばらしする奴があるかお前らっ!」
たまたま知ってた? それってどういう……いや待て?
「もしかして……お前
「うむ。その通り」
「へへっ! 実は俺達、お頭の命で大分前からアカデミアに潜入してたんだ」
大きく頷くゴーグと、得意げに鼻を掻くチック。そう言えば、普段からやけに実物のカードに似た人が居るなと前から思っていた。しかしまさか本物の精霊だったとは。隼人のようにそっくりさんかと思って油断していたな。
「こっちも驚いたぜ。何せ前にお前がここで仮面を外した時、出てきたのが同寮の奴の顔だったんだから」
「ああ。驚いた」
なるほど。そういう事だったのか。……ってことは他の二人も? そういう視線を向けると、すぐに察しがついたのか残りの二人も話してくれる。
ミーネはブルー女子寮にて鮎川先生の補佐役。クリフは警備員の一人として潜入していたらしい。こっちはあまり接点がないからよく分からないな。
「……ということで、お前の事はある程度分かっていたという訳だ。これを元に驚かしてやろうと思っていたのに、この二人が要らぬネタばらしを」
「ゴメンゴメン。ついね!」
「すまない」
手を合わせて謝るチックと静かに頭を下げるゴーグ。ザルーグはそれ以上咎めはせず、クリフとミーネも苦笑しながら見ている。
ここを見るだけでも、どうやら団員達の仲が良好だというのが分かるな。これは敵に回すと中々厄介だぞ。連携とかいかにも上手そうだし。
「しかし、俺達以外にも学園に潜入している者が居たとはな。これなら仕事もスムーズに行きそうだ」
『いや別に潜入をしていたわけじゃないんだが。それに俺はあくまで調整役。戦う相手のカードや戦い方の情報を流したりとかを期待しているなら無駄だぞ』
「えっ!? いや、そういう事は別に期待していないんだが?」
仕事がスムーズにというザルーグの言葉に、俺から鍵の守り手達の情報を聞き出すつもりかと考えて釘をさすが、ザルーグは何のことだとばかりにキョトンとした顔をする。
『なんだ。そういう事じゃないのか。……じゃあ何がスムーズに行くんだ?』
「決まっている。俺達の仕事と言えば……これだっ!」
ザルーグは懐から紙を取り出し、それをバッと大きく広げた。それと同時に他のメンバーが一糸乱れぬ連携で簡易的な台を造り、紙が置けるスペースを用意する。
紙は何枚かに分かれていて、それぞれに鍵の守り手の簡単なプロフィール、部屋の間取りなどが記されていて、その他あちこちに印や注釈まで書かれている。
これは……まさか!?
「俺達は黒蠍盗掘団。依頼された内容は七精門の鍵を奪う事。それで仕事と言ったら当然
まさかの泥棒宣言だったよコンチキショウっ! 俺これも調整すんの? どうしろって言うんだっ!?
それがっ! 黒蠍盗掘団っ! の決め台詞で大体押し切れるというある意味強キャラの黒蠍盗掘団の登場です。
能力の高い残念系のイメージが強いのですが、果たしてどうなることやら。
次回は私用により、投稿は一週間後を予定しています。
個人的に幻想体と絡みがありそうなキャラクターは誰? (既に精霊が見える遊児、十代、万丈目、茂木は除く)
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丸藤翔
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天上院明日香
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前田隼人
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三沢大地
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クロノス教諭