マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

128 / 280
 注意! 今回独自設定タグが仕事します。


黒蠍盗掘団と七精門の鍵奪取作戦 その一

『ちょっ!? ちょっと待ってくれ!? いくら何でも直接鍵を分捕りに行くというのはマズいだろっ!?』

「そうか? そもそも我々はそれが本業なのだが」

 

 一様にうんうんと頷く黒蠍メンバー。ノ~っ!? この場で常識人は俺一人かよっ!? 何とか思い留まらせないと。

 

『いやだから、鍵を手に入れるには正式な手順があるんだ。守っている奴らをデュエルで打ち負かさない限り、鍵だけあったって門は開かない!』

「何? デュエル? ……ああ! そう言えば確かに依頼人からこんなものを受け取っていたな」

 

 そうしてザルーグが取り出したのは、一般的に使われているデュエルディスク。特注ではなく量産品だ。

 

『そうそう。ザルーグもカードぐらい持っているだろ? それで鍵の守り手とデュエルしてだな』

「なるほど。情報提供感謝するぞ。まあそれはそれとしてだ。早速どうやって鍵を盗み出すか考えよう」

『いや聞けよっ!?』

 

 この調子である。どうやら黒蠍盗掘団としては、自然とそういう考えに寄ってしまうようだ。いくら言っても結局盗むという手段に行きついてしまうのでたまらない。

 

 仕方ないので後でこのことを大徳寺先生、及び大徳寺先生から彼らの依頼主である影丸理事長に報告したのだが、

 

「えっ!? 現状維持っ!?」

「そうなのにゃ。鍵の入手方法は各メンバーに一任されてるし、本人が助けを求めない限り他のメンバーは手出し無用というルールにゃ」

 

 大徳寺先生の言葉にどっと疲れが出る。

 

 だからってなぁ……。そもそも理事長は鍵そのものよりも、どちらかと言えば戦いによって得られるデュエリストの闘志の方が必要なんじゃなかったっけ?

 

「まあ鍵だけ手に入れても門は開かないし、どうせ戦う事にはなるからあの連中は放っておけって話にゃ!」

「なんか投げやりな感じですね」

 

 あいつらに依頼したのアンタだろ理事長っ!? 責任取れっ! かと言って、このまま放っておいたら面倒ごとの気配しかない。どんな手段で盗みにかかるか分からないのが本当に怖いのだ。

 

 それならまだ俺が近くで見張っていた方がマシだ。それでなるべく穏便に盗みを成功させて、扉が開かないことを認めさせるしかない。

 

「……大徳寺先生。最悪俺が犯罪者として捕まるようなことになったら弁護お願いします」

「……善処するにゃ」

 

 

 

 

 そして数日後。

 

『野郎共。今日はいよいよお勤めだ。準備は良いな?』

『『『『おうっ!』』』』

 

 通信機越しにザルーグと団員達の声が響く。

 

 最初は下手に人的被害が出ないよう計画には俺も口を出すつもりだったのだが、

 

「人的被害だと? 出すわけがないだろうがバランサーよ。おい! お前達!」

「「「「盗みの掟三箇条。“誰も痛めず、傷つけず、貧しき者からは何も盗まず”。それがっ! 黒蠍盗掘団!」」」」

「……ということだ。お宝を手に入れるために必要とあらば罠や障害を破壊することは辞さないが、堅気の奴らを傷つけるつもりはねぇ」

 

 そう自信満々にポーズをとりつつ言ってのけるザルーグ一同。その言葉に偽りはなさそうと判断し、俺は特に計画に口を出すことは無かった。強いて言うなら全体の確認作業程度だ。

 

 少し準備する物があるということでザルーグのみ一度島を離れて明日到着予定だが、逆に言えばザルーグが来た時点で作戦開始となる。

 

 今回の作戦はかなり大がかりだ。

 

 まずセブンスターズの手から鍵を守るため、防犯点検も兼ねて一度鍵の所在を確認したいという触れ込みで、ザルーグが警察(コードネームはマグレ警部)として堂々と島に潜入する。ちなみに変装はかなり本格的なものであり、細かく確認しなければぱっと見はバレない。

 

 これは実際に既にセブンスターズによって三沢の鍵が奪われている以上、危機感は少なからずある筈だ。そこに付け入る隙が生まれる。

 

 それぞれの鍵の守り手の保管場所を確認したら、そこで他の黒蠍メンバーを保管場所の近くに配置する。

 

 当然すぐ見つかるが、そこで敢えてザルーグが怪しんで見せることで鍵の守り手自身に弁明させ、疑いを逸らせるという作戦だ。まさかここまで堂々と犯人が下見するとは思わないという盲点を突く訳だ。

 

 その後全員の鍵の場所を調べたらその夜が本番。予め各鍵の守り手の部屋の間取りは全て調査済み。正確な場所さえ分かれば、どこであろうとも奪取可能と言うのが黒蠍団の判断だ。

 

 そして深くザルーグの身元を突っ込まれてバレる前に、全ての鍵を電撃作戦で一夜で奪取する……という流れだ。

 

 正直敢えてメンバーの姿を見せて疑わせるというのはかなりリスキーだが、直接保管場所を見た方が奪取の可能性は格段に上がる。もちろん最悪の場合の逃走経路も準備済みだ。

 

『私が島に着いたら作戦開始だ。ぬかるなよお前ら』

『分かってるって! お頭も遅刻しないでくれよ!』

『うむ』

『まったくだ。前のお勤めの時だってそれで酷い目に』

『こらっ! アンタ達。くっちゃべってないで準備準備! バランサーも聞いてんだから。……お頭はくれぐれも遅刻しないようにね』

『分かっているさミーネ。……では野郎共。そしてバランサーよ。後で会おう』

 

 それを最後にそれぞれの通信が切れる。作戦間際ながらもこの余裕っぷり。流石は黒蠍盗掘団だ。

 

 一応大徳寺先生と鮫島校長には調整役として、今回のセブンスターズは鍵を物理的に狙っているという事だけは報告しておいた。

 

 ただし怪しまれないよう手口や日取りまでは教えていないし、鮫島校長もそれなら三幻魔の復活には及ばないとして必要以上の警戒はしていない。寧ろ防犯システムの穴を調べる良い機会だと考えているようだった。

 

 なので俺が今回の計画に関わっていたとしてもお咎めは無いと言質を取ることに成功した。一番の懸念が無くなってホッとする。

 

 さあ。あとは早い所この作戦を成功させて、速やかにデュエルでの鍵の奪い合いに持っていくのみ。上手く行ってくれよ!

 

 

 

 

 実際作戦は途中までは順調に進んでいた。ザルーグは無事警部として潜入し、鍵の守り手の保管場所を一つ一つ確認していったのだ。

 

 十代・明日香・万丈目・大徳寺先生・カイザーの鍵の保管場所までは確認が取れた。カイザーの鍵の保管場所がやや意表を突いていた(なんとデッキケースの一つに紛れ込ませていた)が、場所さえ分かれば問題はない。だというのに、

 

「このクロノス・デ・メディチ。部外者にそう易々と部屋を覗かせるつもりはないノ~ネ」

「ですが、これは防犯上必要な処置でして。せめて鍵の隠し場所だけでも」

「ノンノンノン。お断りでス~ノ。直接鍵を狙うようなコソ泥など、この私がふんじばってやるノ~ネ!」

 

 意外に頑固なクロノス教諭は室内に入れるのを拒否。おかげでクロノス教諭の鍵の在処だけ分からずじまいとなった。結果として、

 

「……で? 何で俺も参加することになったんだよっ!?」

「まあそう言うなバランサー。計画にはアクシデントもハプニングも付き物だ」

 

 来客用に与えられた部屋の一つ。そこでザルーグはそう言って笑っているが、こっちとしては笑うどころの話ではない。

 

「今回のお勤めはスピードが命だ。やるなら一度に全ての鍵を奪わないと事件が発覚して警戒される。だが厄介なことに、標的の一人クロノス教諭だけ鍵の正確な位置だけが不明だ。ある程度の目星は付いているがな。なので」

 

 そこで一度言葉を切り、ザルーグはブルー寮の地図を広げていくつかの場所に線を引いていく。これは……。

 

「まずそれ以外の鍵を全て同時に奪取し、私以外の団員は一足先に合流地点である七精門に向かう。私はブルー寮のカイザーの鍵を担当するが、幸いクロノス教諭の部屋もまた同じブルー寮。カイザーの鍵を奪取した後、そのまま私がクロノス教諭の部屋に向かう。その間にバランサーには室内の様子を確認し、鍵の場所を探り当ててもらいたい」

「しかし、俺は盗賊じゃないから忍び込むスキルなんて」

「もちろん侵入経路と脱出経路は準備してある。そういう心得が無くても大丈夫なように調整もしよう」

 

 そう言いながらザルーグの手は素早く動き、地図に新たな線を書き加えていた。どうやらこれが俺用の侵入経路と脱出経路らしい。

 

「場所を探り当てるだけで良い。あとは私がやる。見つからなかったとしても、探した場所を選択肢から外せるだけで大分楽になる。……どうだ? 引き受けてはくれないか?」

 

 その言葉に俺は少し思案する。仮にも黒蠍団はプロフェッショナルだ。最悪俺が手を貸さなかったとしても、時間は掛かるかもしれないが何とかなる算段は付いているのだろう。だから俺に頼むのはあくまでも保険。手を貸してくれたらいいな程度の事。

 

 さりとて本人が言ったように、今回の事はスピードが胆だ。時間がかかればかかるほど、失敗の可能性は大きくなる。今回の事にもそれなりの準備期間が必要だったのに、これが失敗したら次はいつまでかかるか分からない。

 

 あんまり時間がかかり過ぎれば理事長がしびれを切らして乗り込んでくる可能性すらあるのだ。失敗している場合じゃない。なので、

 

「…………分かった。協力しよう。ただし鍵が見つかるかどうかまでは保証できないぞ」

「それで十分だ。感謝するぞバランサー!」

 

 感謝は良いから必ず一発で成功してくれ。

 

 

 

 

 そして、その夜午後11時55分。

 

『OK。じゃあそろそろ始めるとするか。……七精門の鍵奪取作戦を』

『『『『『おうっ!』』』』』

 

 作戦決行は午後12時丁度。

 

 それに向けての最終確認を兼ねた連絡を終え、俺はいつものバランサーの格好で準備された侵入経路を通ってクロノス先生の部屋に侵入する。あとは鍵を探すだけなのだが、

 

「スヤ~。スヤ~」

 

 鍵はすぐに見つかった。しかしその場所は、

 

 

「嘘だろ!? なんで()()()に敷いてんだよっ!?」

 

 

 寝息を立てるクロノス先生の枕。その下から僅かにはみ出る鍵の一部を見て、俺は小声で毒づいた。

 




 遊戯王なのにデュエルしない奴らの戦いでした。まあ次回も続くのですが。

 鍵の保管場所は完全に独自設定です。本来なら原作でクロノス先生は鍵を失っているので標的にはならないのですが、この話ではまだ持っているので急遽考えました。


 次回も少し遅く来週までには投稿する予定です。

個人的に幻想体と絡みがありそうなキャラクターは誰? (既に精霊が見える遊児、十代、万丈目、茂木は除く)

  • 丸藤翔
  • 天上院明日香
  • 前田隼人
  • 三沢大地
  • クロノス教諭
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。