マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 今回、デュエルはダイジェストでお送りします。


万丈目対ザルーグ 名探偵と黒蠍

 鍵の守り手と奪われたけれど三沢。十代についてきた翔と隼人。そして堂々と乗り込んだ黒蠍盗掘団が居る中、

 

「犯人は……お前! お前! お前! そしてお前だ!」

 

 いきなり怒涛の急展開だった。名探偵万丈目サンダーが順に指差したのは、全て黒蠍盗掘団のメンバーだったのだから。

 

「な、何を証拠にそんなことを!?」

「そうよ! 犯人扱いするなら証拠があるんでしょうね?」

 

 当然反論するメンバー。他の鍵の守り手達も口には出さないが同じ気持ちだろう。だが、証拠ならあると余裕の笑みを浮かべる万丈目。

 

「証拠は……これだ」

 

 万丈目がそう言って取り出したのは、おジャマを始めとしたこの前手に入れた弱小カードの束。……げっ!? これはマズい!?

 

「昼間鍵の保管場所の確認のため、それぞれの部屋を周った時、俺は密かにこいつらを鍵と一緒に置いてきた。そして俺の部屋には大勢の目撃者(カードの精霊)がいる。さっき部屋にカードを回収に行った際、こいつらは犯行の一部始終を目撃していた」

『間違いない』

『こいつらだ』

『オイラ達は見たぞ!』

 

 口々に叫ぶおジャマ達。他の精霊達もうんうんと頷いている。だが、

 

「目撃者だと?」

「どこに居るの?」

 

 そうだった。黒蠍盗掘団は人の身になっているから、余程存在感のある精霊じゃなきゃ見えないんだった。

 

 それに映像越しに見える俺や十代、大徳寺先生はともかくとして、それ以外の見えない人から見れば些か説得力に欠けるが、万丈目はどう切り崩すつもりだ?

 

 しかし参ったな。ってことは、俺は隠れてたから気づかれてないにしても、クロノス先生の所でテディがばっちり目撃されてる可能性があるんだよな。幻想体を使う人なんて俺ぐらいの物だろうし……これはバレたかな? 

 

「なんなら目撃者達が見たことを詳しく語ろうか? どこに誰が入ったかも分かっているから、細かく調べればそいつの痕跡が必ず出てくるはずだぜ。それが一人でも確定すれば、自ずとそれ以外も信憑性を帯びてくる。そして」

 

 最後に、万丈目は力強くザルーグを指差した。

 

「マグレ警部。貴方がこの一味の黒幕だ。貴方は俺達に鍵をわざと保管させ、手下にその場所を教えていた。そしてわざとらしく疑ってみせて、俺達に弁明させた。そうすることによって、俺達から彼らを疑う気持ちを消したんだ」

「……ふっ! 流石は名探偵を名乗るだけの事はある。めちゃくちゃな推理だが、結果は全て大当たりだ。そう。私達の正体は」

「「「「「黒蠍盗掘団っ!」」」」」

 

 ザルーグは流石に追及を躱しきれないと踏んだのか、早々に他の面々と一緒に正体を現した。まあ精霊に見られている時点で怪しいのは明白だからな。

 

「私は以前七精門の鍵を奪う依頼を受け、部下をこの島に送り込んだのだ」

「時間をかけた割には仕事が雑だぜ」

「「「「「それがっ! 黒蠍盗掘団っ!」」」」」

「なんか面白いぞこいつら!」

「でも、鍵を盗んだだけじゃ七精門は開かない。意外と間が抜けてるわね」

「「「「「それがっ! 黒蠍盗掘団っ!」」」」」

 

 十代や明日香が口々に声を上げる中、黒蠍盗掘団は一つ一つ決めポーズを決めて返していく。何でもかんでもそれで押し通す気かこいつらは!?

 

「まあそれだけでは開かないとバランサーに聞いてはいたのだが、我らも一応確認のためにな。……それでだ。奴の言う所によると、門を開くにはデュエルする必要があるらしいな」

 

 ザルーグは懐から全ての鍵を取り出して掲げる。

 

「という訳で、私とデュエルだ小僧。いや、名探偵万丈目サンダーよ」

「望むところだ! 来いっ! 黒蠍盗掘団」

 

 そう言って外に飛び出していく二人。おいっ!? 折角鍵があるんだからもうちょっと作戦練ってからにしろよ! 絶対アイツ行き当たりばったりで進めてるよ!

 

 慌てて後を追う他の面々。映像はチックの映しているもの頼りなので画面がブレまくっているが、何とか事態は把握できる。

 

『さて。面白いことになってきたけど……久城君はどうする?』

「もちろん行くさ。審判役も兼ねているからな」

 

 ディーが言うにはどうやら万丈目達は寮の前の広場で戦うらしい。人に見られないようそっと部屋を出て寮の裏手に回り、急いでバランサーとしての服に着替える。

 

 そこへザルーグから持たされた通信機から連絡が入った。

 

『俺だ。状況は分かっていると思うが、今からデュエルをやるので至急来てくれ』

『分かった』

 

 俺は言葉少なに返して通信を切り、その足で広場に駆け付ける。

 

「来たな! 待っていたぞ」

『大して待たせてはいないはずだがな』

 

 何せ寮の前だから一分もかからない。そうザルーグに軽口を叩くが、何故か反対側に居る万丈目がこちらを見てどこか不思議そうな顔をしていた。何かあったかな?

 

「さて。デュエルする前に一つ聞きたい。名探偵万丈目サンダーよ」

「何だ?」

「今回の一件。お前は昼間鍵の保管場所を周る時に目撃者たるカードを置いたと言っていたな。では、最後まで鍵の保管場所を誰にも教えなかった()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 その質問に一瞬場に沈黙が降りる。そして、

 

「……いいや。()()()()()()()()()()()()()()()()()。よってクロノス先生の鍵の犯行だけはあくまで想像に過ぎない」

 

 何? ということはテディの事は見られていない?

 

「そうか。ならば今更なので答えるとしよう。クロノス教諭の鍵は私が奪取した。カイザーの鍵を奪った後に()()()()。何なら犯行の手口でも語ってやろうか?」

「……いや。良い。それよりも今はデュエルだ」

 

 それを聞いてザルーグはこちらにウィンクをしてくる。どうやらザルーグも分かってこの質問をしたらしいな。俺の事を庇って一人でやったと嘘を吐くなんて。すまないザルーグ。

 

「ワタ~シのあの鉄壁の保管場所を破るなんて、中々やりまス~ノ! 間が抜けてるけど腕は良いみたいなノ~ネ」

 

 なんかクロノス先生は感心していたが、それやったの正確にはテディなんだけどね。

 

 

 

 

「「デュエル」」

 

 万丈目 LP4000

 ザルーグ LP4000

 

 そうして始まったデュエルだったが、モンスターと伏せカード1枚という静かな立ち上がりのザルーグに対し、万丈目は最初のターンで手札を駆使してエースモンスター『アームド・ドラゴンLV7』を召喚! いきなりザルーグにプレッシャーをかけていく。

 

 これは最初からザルーグの敗北濃厚かと思ったが、どうやら俺は知らず知らずのうちに黒蠍盗掘団の事をキワモノキャラだと侮っていたらしい。

 

「ここは折角なので、デュエルの場には我々自身が参上する。集まれ野郎共。お勤めだ!」

「黒蠍一の力持ち。剛力のゴーグ」

「黒蠍団の紅一点。茨のミーネ」

「どんな罠でも朝飯前。罠外しのクリフ」

「お宝頂きゃあとはトンズラ。逃げ足のチック」

「「「「「我らっ! 黒蠍盗掘団っ!」」」」」

 

 なんとザルーグは、僅か2ターン目にして魔法カード『黒蠍団召集』の効果により、手札から全黒蠍メンバーを場に揃えてみせたのだ。

 

 おまけに伏せてあったカードは、黒蠍盗掘団が全て場に居る時のみ使用可能になる『必殺!黒蠍コンビネーション』。攻撃力こそ下がるものの、全ての黒蠍が直接攻撃可能になるという効果により、一気に万丈目のLPは半分に。

 

 さらに相手にダメージを与えた時に黒蠍盗掘団はそれぞれ効果が発動するため、万丈目はLPの他に手札・場・デッキがそれぞれ削られるという苦難に見舞われる。おまけにコンボ成立後、再びザルーグの手札に黒蠍コンビネーションが戻ってくるという二段構えだ。

 

 いやホントに良く出せたな。成立条件が厳しすぎてほぼロマンカードの域なんだぞ黒蠍コンビネーション。だが、

 

「その程度のコンボでは、俺はびくともせん! 罠発動! 『レベル調整』」

 

 流石は俺の推し万丈目。素早くLVモンスターを蘇生させる『レベル調整』の効果でアームド・ドラゴンを蘇生させ、自分のターンに効果の発動を狙う。……レベル調整は魔法カードだった気がするが、何故か罠扱いになっていたのはアニメ版だからだろうか?

 

 十代を苦しめたモンスター破壊効果で黒蠍団を一掃しようとするが、

 

「甘いっ! 罠発動! 『黒蠍団撤収』。場の黒蠍団は全て手札に戻る!」

 

 ザルーグは効果による破壊を自分から手札に戻す効果で回避。アームド・ドラゴンの直接攻撃でLPを大きく失うものの、黒蠍団のメンバーはお頭が自分の身を盾にして仲間を守ったとますます奮起する。

 

「今のは効いたぜ。だが、これで勝負は決した! 私のターン!」

 

 そこでザルーグは再び手札から黒蠍団招集を発動! これでまた黒蠍コンビネーションが決まればほぼ万丈目に勝機は無い。だが、万丈目もただそれを見過ごすような男じゃなかった。

 

「そうはさせん。罠発動! 『おジャマトリオ』」

「なっ!? こいつら」

「俺達の場所がないっ!?」

 

 おジャマトリオは()()()()()おジャマトークンを3体特殊召喚するカード。先に出されてしまっては場が圧迫されて黒蠍団も召喚出来ず、全員揃っていないから黒蠍コンビネーションも封じられる。実に上手い手だ。

 

『すいませんね!』

『お宅の場なのに』

『すっかりお邪魔して!』

「ホントに邪魔だこいつら」

 

 実にもっともだ。そのくせ奴ら自身はすっかりくつろいだ様子なのが何とも言えない。

 

 その後ザルーグは余った場にミーネのみを特殊召喚。ミーネを墓地に送ることで相手モンスターを破壊する『黒蠍 愛の悲劇』によってアームド・ドラゴンを破壊する。

 

「あとは任せたよ。お頭」

「ミーネ。お前の命は預かった。……ミーネの仇。喰らえっ!」

 

 万丈目の場はこれでがら空き。そこにザルーグ自身の直接攻撃が入り、万丈目のLPは残り僅かとなる。

 

「さらに、今の私の攻撃で効果発動! 相手の手札からランダムに1枚捨てる」

 

 万丈目の手札は1枚。これを捨てれば場・手札に何もない状態となってしまう。ザルーグは自分の圧倒的優位を確信していただろう。だが、

 

「……まだ俺にもツキはあるようだぜ。俺の手札はこの1枚のみ。『おジャマジック』。このカードが手札か場から墓地に送られた時、デッキからおジャマイエロー、ブラック、グリーンを手札に加える」

 

 おっとそう来たか! 普通の魔法のように使えない代わりに、条件を満たせば手札を3枚も増強するカード。これはザルーグも自身の効果が裏目に出た形で苦い顔をする。

 

「俺のターン。俺は『強欲な壺』を発動して2枚ドロー! 魔法カード『融合』を発動!」

 

 窮地から万丈目が呼び出したのは、おジャマ3体を融合素材とする『おジャマ・キング』。オシリスレッド寮よりデカいパンツ一丁のおジャマの王なんて誰が喜ぶんだ!?

 

 さらに万丈目は魔法『おジャマッスル』を発動し、ザルーグの場のおジャマトークンを全て破壊してその数×1000の攻撃力をおジャマ・キングに加算。結果攻撃力3000の強力モンスターへと変貌する。

 

 これにはザルーグも唖然とせざるを得ない。というかここに居る他の面々もだ。絶望的状況をひっくり返したのもそうだが、絵面がとにかくヤバい。

 

「行けっおジャマ・キング! 『おジャマッスル・フライングボディアタック』!」

「ぐわあああっ!?」

 

 おジャマの王が宙を舞い、その巨体でLPごとザルーグを押し潰した。

 

 ザルーグ LP0

 

 

 

 

 万丈目WIN!

 




 黒蠍戦終了しました。

 原作ではもう少し万丈目の迷推理が炸裂した後目撃者カミングアウトとなるのですが、ややマンガ版に寄っている今の万丈目は速攻で証拠を提示しました。




 次回なのですが、現在作者の別作品『異世界出稼ぎ冒険記』のリメイク版の執筆作業のため、こちらの投稿頻度がしばらく不定期になります。

 5月28日辺りにまず小説家になろうにて初投稿予定なので、気が向いたら読んでいただければ幸いです。
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