マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様 作:黒月天星
これまで原作沿いでしたが、いよいよ戦うキャラ自体が変化します。
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「何やら揉めている様だな」
『そのようですね。王を前にして誰が戦うか中々決まらぬ模様。それだけ後の世にも王の名は鳴り響いているという話でしょうな』
鍵の守り手達を待つ間、俺は王様の傍らに控える。一応皆の前なので口調も改まったものだ。最初に使った時は王様に笑われたけど。
しかし今回のデュエルの調整に関しては手間取ったな。
毎度毎度宣戦布告していたら咄嗟の襲撃への対処が遅れるかもと、今回敢えて連絡なし(鮫島校長と大徳寺先生には伝えてある)で鍵の守り手達を招集した訳だが、それぞれの場所が散らばっていたものだから探すのが面倒だった。
寮に居たクロノス先生や、居残りが終わるタイミングの分かる十代達はともかく、何でカイザーと明日香は灯台に居たのやら。十代達の帰宅コースに近かったから良かったが、あそこは密会場所にでもなっているのだろうか?
「王の名か……微妙に間違って伝わっているのと、
『……王様?』
「……っと。つい感傷に浸ってしまった。さて。どうやら決まったようだな」
その言葉に鍵の守り手達の方を見ると、一人の男が前に進み出てくる。それは、
「そなた。名は?」
「デュエルアカデミア。オベリスクブルー所属。三年。丸藤亮。カイザーと呼ぶ者も居る」
そう。カイザーである。
マンガ版において、あの万丈目相手にノーダメージで勝利するという圧倒的実力を見せつけたデュエルアカデミアの帝王。
鍵の守り手達の中で、いや、アカデミア全生徒の中で最強候補の一人。その男がアビドス3世の前に立つ。
「あ~悔しいっ! 俺も神様とデュエルしてみたかったぜ!」
十代がとんでもなく残念そうな顔でこっちを見ている。そりゃあデュエル馬鹿からすればこんな機会は二度とないだろうしな。実際はもう何度もデュエルしているが。
クロノス先生はどこかホッとした顔。だがそれと同じかそれ以上にカイザーを心配するような顔だ。自分が神と戦うのは気後れするが、それ以上に生徒が傷つくかもしれない事にも心を痛めているって所か。
「神と呼ばれる伝説の王アビドス3世よ。俺がどこまでやれるかは分からないが、挑ませていただく」
「……うむ。良かろう。そなたが余の相手だ」
顔を見なくても分かる。格式ばった態度ではあるが、王様は今とんでもなくワクワクしてる。
カイザーの名は学園でも響き渡っていた。自身を何度も打ち負かした十代ですらまだ勝ったことのないという強者。
実際俺も何とか王様とデュエルしてもらおうと申請してみたのだが、肩書としてはオシリスレッド扱いの留学生だったため順番待ちが大分先となって間に合わなかった。
それが自分に
だが、それはそれとしてこちらも仕事をしないとな。
『では最終確認だ。鍵の守り手からはカイザーこと丸藤亮。セブンスターズからはアビドス3世。戦う二人は前に』
船の甲板の中央。少し広がった場所に両者進み出る。俺はレフェリー代わりとして二人の間に。
……よし。ここでミイラか十代が乱入してくるなんてことがあったら力づくで抑え込まないといけなかったからな。おとなしくしてくれているようでホッとする。
『結構。では互いに全力を尽くしてほしい。デュエル開始のタイミングは二人に委ねよう』
特にルールの変更もないし、理事長としてはデュエルさえ滞りなく進めば文句はないだろうから俺からこれ以上言うこともない。なので最低限の説明だけしてさっさと離れながら、
『本来なら審判役としてあまり片方のみに肩入れしてはいけないんだが、王様……ご武運を』
俺はアビドス3世の背中に向けてちょっとしたエールを送る。それに対して、
「無論だ。余は生涯無敗の王なるぞ」
ほんの少しの洒落っ気を込めて、王様はそう返した。
生涯無敗の王と学園最強の帝王。その二人が向かい合うのを少し離れた場所(神官やミイラ達の側。一応表向きはセブンスターズ側だし)で見ていると、
『さ~てさて。面白くなってきたよ! やはりシミュレーションの華はありえざる一戦がある事に尽きるね。ジュース飲むかい久城君?』
何か久々に出てきた気がするなディー。アビドス3世の前でも姿を現そうとしなかったから、実質七日ぐらい姿を見なかったことになる。その為か若干いつもよりハイテンションだ。
『やめとく。というかそれまたウェルチアースのアレじゃないか』
『まだまだたっぷり在庫は有るからね』
ふわりふわりと宙に浮く光球と缶ジュースという妙な光景だが、今周囲の目は二人に向いているから大丈夫だろうという判断だろう。しかし、
『今の言葉からすると、本来アビドス3世の対戦相手はカイザーじゃなかったみたいだな』
『その通り。本来ならここで十代とぶつかる筈だった。その結果どうなるかは……君なら察しがつくんじゃないかい?』
多分この前最初に十代と戦った時と似たような流れになったのだろう。それはそれで良いものだとは思うが、だけど今はこの通りだ。俺がアビドス3世と出会ったことか、或いは別の要因で戦う相手がカイザーに変わったらしい。
『……でも、面白い組み合わせではあるけど結果は大体予想できるね。流石にアビドス3世がカイザーに勝つのは難しいんじゃないかな』
『おっと。それはどうかな?』
確かに最初の頃のアビドス3世では厳しいだろう。だがディーはどうやら知らないらしいな。無理もない。しばらく姿を見せなかったものな。なので優しく、そして少しだけからかうように教えてやる。
『ディーが知っているのは
さあ王様。デュエルを思いっきり楽しんでくれ!
「「デュエルっ!!」」
アビドス3世 LP4000
カイザー LP4000
「先攻は余がもらう。ドロー!」
「いよいよか。一体神様ってのはどんなデュエルを見せてくれるんだ?」
十代が言うように、アビドス3世の一挙手一投足に注目が高まる。
「余はカードを1枚伏せ、手札から魔法カード『手札抹殺』を発動。互いに手札を全て捨て、捨てた分だけドローする。余は4枚捨てて4枚ドロー」
初手手札抹殺とは中々やるな。これなら捨てたくないカードを先に伏せられたアビドス3世の方が手札調整はしやすい。
カイザーは当然初手5枚をそのまま捨てて5枚ドロー。互いに墓地が肥えた訳だがこれがどう戦局に影響するか。
「ふむ。余はモンスターを1体裏守備で場に出し、さらにカードを1枚伏せてターンエンドだ」
アビドス3世は静かな立ち上がり。だがまだそれ以外カード情報は無く、動きが分からないから知らない相手から見たら不気味だろう。
「俺のターン。ドロー。手札の『サイバー・ドラゴン』の効果! 相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、手札から特殊召喚できる。さらに俺は手札から『融合呪印生物-光』を召喚!」
サイバー・ドラゴン ATK2100
融合呪印生物-光 ATK1000
「流石お兄さん! 十代のアニキも苦戦したサイバー・ドラゴンだ! それと……あれ何? 機械族でもないしサイバーって名前もついていないけど」
翔が兄の活躍に嬉しそうだが、融合呪印生物を見て首を傾げている。勉強が足りないぞ。あれこそサイバー・ドラゴンと相性バッチリのカードの一つ。……しかしこれは厄介だぞ王様!
「融合呪印生物-光の効果! このカードは融合素材モンスター1体の代わりにする事ができる。そしてこのカードを含む融合素材モンスターを生け贄に捧げることで、そのモンスターを素材とする光属性の融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚できる。来いっ! 『サイバー・ツイン・ドラゴン』!」
サイバー・ツイン・ドラゴン 光属性 ATK2800
機械の竜と光り輝く岩石を生け贄に融合デッキから呼び出されたのは、二頭を持った機械竜。2800と中々の攻撃力を持っている上に、2回攻撃が可能というシンプルに強いカードだ。
「攻撃力2800か」
「続けて行くぞ。俺は手札から魔法カード『死者蘇生』を発動! 墓地のサイバー・ドラゴンを攻撃表示で特殊召喚!」
死者蘇生の効果で、先ほど墓地に行った機械竜がカイザーの場に再び現れる。……ってこれはまさか。
「攻撃力2800で2回攻撃できるサイバー・ツイン・ドラゴンと、攻撃力2100のサイバー・ドラゴン。攻撃1回でアビドス3世のモンスターを破壊して、残りの攻撃が全て直接決まったら!?」
「……ワンターンキルか」
翔の気づきに万丈目が静かに補足を入れる。カイザーもなんとも大胆なことを考えるな。
「神相手に出し惜しみも加減も出来るほど余裕はないからな。手が揃わぬ内に速攻で決めさせてもらうっ! バトルフェイズ。サイバー・ドラゴンで、裏守備モンスターに攻撃っ!」
機械竜の口から放たれた光線が、アビドス3世のモンスターに襲い掛かった。
無敗対最強とか明らかに強そうな感じにして漢字で好きなんですよね。まあ余計な言葉も一部くっついてはいますが。