マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 注意! 今回独自設定タグがかなり仕事します。

 カイザーはこんなこと言わないぞと思われる方は、こんな事を言ったかもしれないと温かい目で見守っていただければ幸いです。


アビドス3世対カイザー 生涯無敗と学園最強 その三

『あらあら。これで勝負は決まったかしらね』

 

 むっ!? この妖艶ながらもどこかねっとりとした声は!?

 

『……カミューラか。またコウモリを通して偵察か? いい加減自分の目で見にきたらどうだ?』

『ウフフ! 高貴なる吸血鬼一族は、わざわざそんな事に自ら出向いたりはしないものよ』

 

 さりげなくミイラ達の中に紛れ込んでいたコウモリ。そこから鳴き声ではなくカミューラの声が聞こえてくるのは何か違和感があるな。

 

 いつの間にかディーは姿を消している。相変わらずの秘密主義だよまったく。

 

『それにしても、あのアビドス3世がここまで持ちこたえるなんてねぇ。すぐに無様に負けると思っていたのだけれど、予想以上に粘ってくれたおかげで大分手の内が分かったわ! でも……もうここまでのようだけどね』

 

 そう言えばカミューラはザルーグ達が負けた後、次のセブンスターズ……つまりアビドス3世の事も知っていたらしかった。おそらくコウモリ達を使って事前に情報収集をしていたのだろう。

 

 確かにカイザー相手ならすぐに負けると思われるほど、最初のアビドス3世の実力は平凡だった。

 

 そして今アビドス3世の場にモンスターは無く、カイザーの場にはサイバー・ドラゴンが3体。成程傍から見ると絶体絶命の大ピンチだ。……だが、

 

『おっと。それはどうかな? 折角出張ってカイザーの情報収集をしている所悪いがなカミューラ。王様はまだ諦めていないようだぜ!』

 

 スパイとしては学園側に少々申し訳ないのだが、今の王様はこれくらいのピンチで負けるほど柔じゃないんだよな。

 

 

 

 

「サイバー・ドラゴンでアビドス3世に直接攻撃! 『エボリューション・バースト』三連打っ!」

 

 カイザーの号令と共に3体の機械竜の口に光が集まっていく。直撃すればアビドス3世のLPは跡形もなく消し飛ぶ。しかし、

 

「させんっ! 罠発動! 『アヌビスの呪い』。場の効果モンスターは全て守備表示となり、そのターン元々の守備力が0になる。王に仇成す者よ。報いを受けよっ!」

 

 発動されたカードから放たれる黒い瘴気に蝕まれ、サイバー・ドラゴン達は力なく項垂れる。

 

 サイバー・ドラゴン DEF1600→0

 

「くっ!? またもやカード1枚で捌かれてしまったか」

 

 全て守備表示になってしまった以上もうこのターンは攻撃できない。伏せてあるサイバー・シャドー・ガードナーもあくまで出せるのは相手のターンのみ。必殺の一撃をまたも防がれ険しい表情のカイザー。そこへ、

 

 

「ふむ。そなた。()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 

 アビドス3世がカイザーに心底不思議そうにその疑問を突き付けた。

 

「俺が、怖がっている?」

「ああ。余にはそう感じる。確かにそなたの攻めは苛烈だ。気を抜けば一瞬で余の命脈が絶たれるだろう。だが……それは必死に自らの恐怖心を誤魔化そうとしている故だと思えてならないのだ」

 

 それは直接戦っている王様だからこそ気づく事が出来たのだろう。言われてみれば確かに今回のカイザーのデュエルは苛烈過ぎた。

 

 カイザーは普段リスペクトデュエルを標榜している。これは人によって解釈が異なるが、要するにデュエルの中で全力を出し合い、その上で互いに敬意を持ちつつ全力を超えた先を目指そうというスポーツマンシップ、或いは求道者的な何かのスタンスだと俺は思う。

 

 しかしながら、今回のカイザーは相手が全力を出す前に速攻で叩き潰さんとばかりの動きだ。何と言えば良いのか……らしくない。

 

 カイザーはアビドス3世の言葉にしばし黙り込み、

 

「……そうかもしれないな。闇のデュエル。対戦した者を傷つける恐ろしいデュエルだ。十代は傷だらけになり、吹雪もあんな姿になって帰ってきた。それを見て、確かに俺はどこか怖がっていたのかもしれない」

 

 カイザーのどこか自嘲するような言葉を、周囲の皆は黙って聞いていた。

 

「だが仲間達……後輩達や教師の皆様方は勇敢な者ばかりだ。決して臆さず戦いを挑むだろう。例え闇のデュエルであろうと、相手がどんな強敵であろうともな。()()()()()()()()()。貴方のような強者が敵方に居るとあれば尚更にだ。仲間達をこれ以上傷つけさせない為なら、俺は一時的にリスペクトの精神をかなぐり捨てよう」

 

 そこでカイザーはチラリと一瞬後ろの鍵の守り手達を見、何か覚悟を決めた目でアビドス3世を鋭く見据える。

 

「俺の背を見て目指してくれる後輩達の為にも、敢えて言わせてもらおう。貴方の懐にある勝利を奪い取ってでも、()()()()()()()()!」

 

 それは後輩たる万丈目が言った言葉。ここで何が何でも神と呼ばれた伝説の王を止めるという覚悟の意思表示。自らの恐怖を自覚し、それでも尚戦おうとする帝王の矜持。

 

 それに対するアビドス3世は、仮面越しにだが静かに笑った。

 

「ふっ! 良いだろう。少し普段とは趣が違うようだが、その気迫と覚悟。それでこそ余が戦ってみたいと思ったデュエリストだ。しかしそなたのモンスターは全て攻撃出来ぬ。早くターンを終えるが良い」

「まだだっ! バトルフェイズからメインフェイズ2に移行し、俺は魔法カード『融合』を発動! 場のサイバー・ドラゴン3体を融合し、再び出でよサイバー・エンド・ドラゴンっ!」

 

 げっ!? まだ融合持ってたの!? 十代張りに融合に愛されてるぞカイザー!

 

 サイバー・エンド・ドラゴン ATK4000

 

 カイザーの場に再び三つ首の機械竜が姿を現す。このターンもう攻撃こそできないが、その威容は相手に威圧感を与えるには十分だ。

 

「俺はこれでターンを終了する。次のターン、貴方のエースに対抗するにはこれくらいでないといけないので」

「忘れてはいなかったか。そう。このターンエンドをもって偉大なる王の魂がここに降臨する。第一の棺の効果発動! デッキより第三の棺を場に出す」

 

 その言葉と共に場に三つの棺が揃う。これで条件は整ったな。

 

「三つの棺が場に揃った時、これらのカードを全て墓地に送り、手札かデッキから『スピリッツ・オブ・ファラオ』を特殊召喚する!」

 

 スピリッツ・オブ・ファラオ ATK2500

 

 棺の中より現れたのは王の魂ことスピリッツ・オブ・ファラオ。そして偉大なる王には常に従者が付き従う。

 

「スピリッツ・オブ・ファラオの効果。このカードが特殊召喚に成功した時、自分の墓地からレベル2以下のアンデット通常モンスターを4体まで特殊召喚することが出来る」

「だがそれには墓地にモンスターが居る事が前提条件。これまでの戦いの中で、貴方が墓地にモンスターを送れたのは初手の手札抹殺のみ」

 

 そう。カイザーの指摘通り、棺が高速で展開されたことによって墓地にモンスターを送る機会が極端に減ってしまっていた。本来ならピラミッド・タートルの最後の1枚でそれを呼ぶのが狙いだったのだろうと思うが、

 

「そう。最初の1枚。それで既に支度はおおよそ済んでいたのだ。あの時手札抹殺で捨てたカードは4枚。そして、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「何だとっ!?」

「現れよ! 死して尚王に忠義を尽くす臣下達よ! 余は墓地から『ファラオのしもべ』を2体。『王家の守護者』を1体特殊召喚する!」

 

 ファラオのしもべ×2 ATK900 

 王家の守護者 ATK900 

 

 なんとっ!? まさかこの布陣を初手で手札に揃えていたのか!? 神引きもいい所だろっ!? この世界の奴ら皆して引きが強すぎるぞ。そう俺が呆れかえる中、

 

「だが、展開こそ出来たがそれぞれの攻撃力は900。おまけにカイザーの場には貫通能力を持つ攻撃力4000のサイバー・エンド・ドラゴンが居る」

「そうね。それに亮の伏せているサイバー・シャドー・ガードナーもまだ残ってる。仮にサイバー・エンド・ドラゴンを破壊されたとしても、それが亮を守るわ」

 

 万丈目と明日香が口々に言うが、肝心のカイザーは決して油断も慢心もしていない。……いや、出来ない。そんなことをしたら確実に次のターンにやられると確信しているかのように。

 

 

 次のターンで勝負が決まる。ふと……そんな予感がした。

 

 

 

 

 アビドス3世 LP4000 手札2 モンスター スピリッツ・オブ・ファラオ ファラオのしもべ×2 王家の守護者 魔法・罠 伏せ1

 カイザー LP4000 手札0 モンスター サイバー・エンド・ドラゴン 魔法・罠 サイバー・シャドー・ガードナー 伏せ1

 

 

「余のターン。ドローっ! ……ふっ! やはり王の下に臣下は馳せ参じるものらしい。余は手札から王家の守護者を攻撃表示で召喚」

 

 アビドス3世が手札からモンスターを出したことで、モンスターゾーン全てが王と臣下達で埋まる。ここまで揃うとある意味壮観だな。

 

『でも、所詮は攻撃力900の弱小モンスターの群れ。いくら場を埋め尽くしたとしても』

「さて。この戦いを見守る者共よ。そなたらはこう思ったのではないか? いくら場を埋めようとも、たかが攻撃力900の弱小モンスターの集まり。サイバー・エンド・ドラゴンには遠く及ばぬと」

 

 突如他の鍵の守り手達にこう切り出す王様。いや、もしかしたら俺の横のカミューラの言葉に反応したのかもしれないが。

 

「確かに王の従者達一人一人の攻撃力は低い。だが、()()()()()()()()()()()()()()()! 装備魔法発動! 『団結の力』をスピリッツ・オブ・ファラオに装備!」

 

 そう。これこそがアビドス3世の辿り着いた結論。一人一人の力は弱くとも、その力を一つに集約させることが出来るなら。それは必殺の一撃へと昇華する。

 

 以前オベリスクブルーの取巻も同じカードを使っていたが、その時は4体だったのに対し今回は場を限界まで使った5体。自分の場のモンスターの数×800攻撃力と守備力が上がる団結の力により、スピリッツ・オブ・ファラオは全身に臣下からの力を纏って強化される。

 

 スピリッツ・オブ・ファラオ ATK2500→6500

 

『攻撃力6500ですって!?』

「死してなお続くお前達の忠誠確かに受け取った。行くぞ! バトルフェイズ!」

「このタイミングで、俺は再びサイバー・シャドー・ガードナーを発動!」

「構わんっ!」

 

 カイザーの場に再び影法師が現れるが、王様はそれには目もくれずサイバー・エンドに集中する。影法師はあくまで攻撃対象になった時に相手の攻撃力と同じになるもの。ならばそもそも攻撃しなければ良い。

 

「受けるが良い。王の一撃。スピリッツ・オブ・ファラオで、サイバー・エンド・ドラゴンを攻撃っ!」

「リバースカードオープンっ!」

 

 

 

 最後の攻防の果ては、互いの伏せカードだけが知っている。

 




 次回決着予定です。

 いや本来は今回で終わる筈だったのに、それっぽい描写を書き込んでいったらデュエルが全然進まないっ!? デュエル描写を上手く書ける方々をホントに凄いと思います。
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