マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 読者の皆様。お待たせしましたっ! 投稿再開です。

 大病で倒れていつの間にか一か月。どうにかこうにか復調したは良いけれど、自分でもすっかり内容を忘れて一から読み直していたら遅くなりました。

 投稿頻度はまだ中々戻りませんが、これからも読者の皆様の暇潰しになれば幸いです。


仮面の巨漢は光に感謝する

 ◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 さて。セブンスターズと学園側の戦いもいよいよ中盤といった所だ。セブンスターズ側はダークネス、タニヤ、黒蠍盗掘団、アビドス3世の四人を失い残り三人。

 

 対して学園側は三沢とカイザーを失い残り五人。元々セブンスターズ側として行動している大徳寺先生を抜けば残り四人だ。

 

 人数的には実は大差なく、仮にどちらかが連勝なり連敗するだけで一気に戦局はどちらにも偏るギリギリのライン。そんな状況で俺はバランサーとして、上手い事諸々の調整をしなくちゃいけない訳だが。

 

「……なぁディー。これはどうしたら良いと思う」

『さ~てね。これは僕も想定外さ。まあ……これはこれで面白い』

 

 普段傍観者を気取るディーについ尋ねてしまうほど、目の前の光景はどうしたら良いか悩むものだった。何故なら、

 

 カタカタ。カタカタ。

 

「ふぐっ……うっ……うあぁ」

 

 そこには光を放ちながら荘厳な雰囲気を醸し出しながらもオロオロする罪善さんと、それに跪いて泣きじゃくる仮面の巨漢。セブンスターズの一人にして以前十代と戦ったタイタンの姿があったのだから。

 

 

 

 

 何がどうしてこうなったかと言うと、事の起こりは少し前に遡る。

 

 だんだん人数が減って寂しくなってきたセブンスターズ側の定期報告。アビドス3世が引き分けになってセブンスターズも残り半分を切り、理事長から文句の一つでも言われるかと思ったのだが、

 

『引き分けか。……まあ良い。寧ろ健闘したと言えよう。よくぞアビドス3世をあそこまで鍛え上げた。その手腕見事であったぞバランサー』

 

 声だけではアレなので映像が映るように設置された画面。そこに映る理事長から文句どころか何故か称賛された。どうやら理事長は最初からアビドス3世を数合わせだと判断していたようで、負けたとしても問題ないと考えていたようだ。なら最初から別の人をスカウトしてほしい。

 

『して……体調の方はどうだ? アムナエルよ』

「はい。長い療養により、万全とは言いませんが戦いには支障ない状態までに仕上がりました。お心遣い感謝いたします」

『……そうか。ならば良い』

 

 アムナエルこと大徳寺先生がセブンスターズとしての格好でそう答える。実際は戦いに支障ないだけで、その肉体は朽ちかけもう長くはない。おそらく理事長もその事は知っている筈だが、敢えてなのかそれ以上何も言わなかった。

 

 そして本題である次は誰が行くかという話になったのだが、

 

「私はもう少し後にさせていただきたい。戦いは出来るが出来れば万全の状態までもっていきたい」

「私もまた先送りにさせていただきますわ。今やっている仕込みがもう少しかかりそうなので」

 

 ギリギリまで正体を伏せた方が意味のある大徳寺先生はともかくとして、珍しく本体が来たカミューラもまたもや辞退。実質ダークネスの次から今までずっと先送りだ。

 

『何を企んでいる? カミューラ』

「あら。企むだなんて心外だわ。私はただ吸血鬼一族の末裔としてふさわしい舞台を準備しているだけなのに」

 

 軽く問い詰めてみるが、カミューラは口元に手を当てて妖艶に笑ってみせる。舞台って……タニヤの様に闘技場でも建設してんじゃないだろうな。まだ前の闘技場も残ったままなのにまた追加されたらきついんだけど。

 

『良かろう。ではタイタン。此度はお前に一任する。契約に基づき存分にその力を振るうが良い』

「……ああ」

 

 そのやたら渋い声と共に進み出たのは、ウジャト眼を象った仮面を装着した黒いロングコートの巨漢。タイタンって……あっ!? 前に闇のデュエリスト(自称)として十代と戦った奴だ!

 

 あの時、特待生寮で良くないモノに呑み込まれた筈だが、どうやら助かっていたらしい。悪党のようではあるが少しだけホッとする。

 

『ではバランサーよ。これまで通り調整役としてタイタンの補佐をせよ。必要な物資があればアムナエルを通して連絡を……以上だ』

 

 その言葉と共に映像が切れ、カミューラは用事は終わりとばかりに黒い霧と化してその場から消える。

 

「ではバランサー。私も行くとしよう。後を頼む」

『はい』

 

 アムナエルもまたその場を立ち去る。何せもうすぐ学園祭。大徳寺先生もスケジュール調整やら何やらで大変なのだろう。まあ生徒の側も色々やることがあるのだが。

 

 うちの寮はコスプレデュエル大会とかいうトンデモ行事をやるらしいからな。まさかこの格好で出る訳にもいかないし何か考えないと。だがその前に、

 

『調整役としての仕事もこなさないとな。……という訳で、改めて自己紹介させてもらおう。我が名はバランサー。この度調整役としてタイタン。お前に協力させてもらう。どうぞよろしく』

 

 俺はこの場に一人残ったタイタンに話しかける。仮面の巨漢は静かにこちらを向き、

 

「ああ。よろしく頼む」

 

 ……おや? 何と言えば良いのか、少しだけ以前十代とデュエルした時と雰囲気が違うように感じられた。酷く落ち着いているというか、勿論普段のタイタンを知っている訳ではないのでこれが素という可能性もあるのだが。

 

 そうして早速これからの戦いについて話し合おうとするのだが、

 

「その前に頼みがある。以前お前がダークネスと戦った時に使ったカード。『たった一つの罪と何百もの善』だったか? そのカードの精霊をここに呼び出してくれないか」

 

 罪善さんを? 罪善さんが精霊だという事は以前出した時にバレているから分かるとして一体どうして……まあ良い。

 

『分かった。出てきてくれ罪善さん』

 

 カタカタ!

 

 持っているデッキが光り輝いたかと思うと、罪善さんがフッと目の前に現れて挨拶代わりとばかりに軽く光を放つ。

 

「おおっ! これだ。この光だっ! ()()()()()()()()()()()()()

 

 何やらタイタンが妙な事を言い出し、そのまま罪善さんの下に跪いて嗚咽を漏らし始めた。なんだなんだ一体? 罪善さんも光を放ちながらオロオロしている。

 

 今なら大丈夫だろうとこっそり出てきたディーもこの状況には戸惑いを隠せず、俺達はタイタンがひとしきり泣き終わるまでじっと待つハメになった。

 

 

 

 

『大丈夫か?』

「すまない。見苦しい所を見せた」

 

 ようやく泣き止み涙をコートで拭うタイタン。見苦しいというか驚いたというか。罪善さんもいったん光を弱めて俺の傍に浮かんでいる。……ディーはこっそり天井に張り付いて様子を窺っている。

 

『一体どういう事か、教えてもらっても良いか?』

「……ああ。あれは俺がセブンスターズに入る少し前の事だ」

 

 そこからタイタンが語ったのは、自身が以前闇のデュエリストを名乗り、依頼された標的をデュエルで襲撃していたという事だった。

 

 催眠術をデュエル中に使用する事で、対戦相手に強い精神的ダメージを与え再起不能にする。俺からすればあまりまっとうではない事を生業にしていたのだが、数か月ほど前にこの学園のある生徒を襲撃する依頼があったという。

 

 ……あれか! 十代達の事か! 確かにあの時何で十代が戦っていたのか結局分からずじまいだったが、まさか襲撃の依頼があったとは。

 

『ちなみに依頼した人物は?』

「それは言えない。依頼人の秘密は厳守する。それは最低限のルールだ。……続けよう」

 

 タイタンはまず十代の知り合いらしき人物……天上院明日香を拉致し、十代達を自分の催眠術が使いやすい舞台である特待生寮に誘い込みデュエルを挑んだ。

 

 この辺りは俺も大体知っている。仕掛けを十代に見抜かれ、一時撤退しようとした所今度は本当に闇のデュエルが発動。妙な空間にタイタンと十代、俺が吸い込まれる。

 

 タイタンはそこに溜まっていた良くないモノに憑りつかれてデュエル続行。そして十代に敗れ闇のデュエルの敗者として良くないモノ達に呑み込まれていった訳だが、

 

「ぶよぶよした奴らに呑み込まれた俺は、ひたすら闇の世界を彷徨っていた。出口もなくあるのは奴らとただ闇ばかり。気が狂うかと思った。……だがある時、そこに()()()()()()()()

『それが……この罪善さんの光だと?』

「ああ。間違いない。この温かい光を俺ははっきり覚えている。その光が差した瞬間、周りのぶよぶよした奴らの大半が姿を消したのだ」

 

 良くないモノが罪善さんの光で姿を消した。それって……あっ!? 十代にカミングアウトする直前のアレかっ!

 

 良くないモノが特待生寮から溢れるくらいに増えたから、罪善さんや葬儀さん、テディと協力して片っ端からやっつけたんだったか。どうやらその時罪善さんの光が良くないモノが溢れ出る場所、つまりはタイタンの居た場所まで届いていたらしい。

 

「その少し後で理事長からセブンスターズにスカウトされて無事闇の世界から脱出したが、あの光が無ければ俺はどうなっていたか分からん。礼を言おうにもあの光の正体が分からなかったが、この前のダークネスとの戦いでまた同じ光を感じたのだ」

『……そう言えばデュエルで罪善さんを使っていたな』

 

 さらに思い出すと、あの時罪善さんの光に明らかにセブンスターズの誰かが反応していた。誰かまでは分からなかったがタイタンだったらしい。

 

「他のセブンスターズが居る時に下手に確かめる訳にもいかなかったが、今回の事でようやく確信できた。……お前のおかげで俺は救われた。感謝する」

 

 再びタイタンは静かに罪善さんの前で跪く。すると、

 

 カタカタ! カタカタっ!

 

 急に罪善さんからこれまでにない程の光が放たれ、それがタイタンを包み込んだ。今度は何だ一体っ!?

 

『おやおや。まさか罪善さんの前で罪を告白するとはねぇ』

『ディー。一体これはどういう事だ?』

 

 今の今まで天井に張り付いていたディーが、ふよふよと降りてきた。何やら知っているようなので問い詰める。

 

『以前話したと思うけど、罪善さんは人間の“罪”を糧にしている。罪善さんの前で自らの悪行……この場合は他者を催眠術を使って再起不能にしたという点だね。それを告白した。それはつまり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ディーはそこで一拍置いて、

 

『罪と一緒に自身の存在も食べられなきゃ良いけどねぇ』

 

 なんかとんでもなく物騒なことを口にした。いやそれシャレにならないからっ!? 罪善さんストップっ! スト~ップっ!

 




 罪善さんに罪を告白したタイタンの安否はいかに? まあそこは罪善さんなので悪いようにはしないでしょうが。




 それと今回私事ですが、本日新作『遅刻勇者は異世界を行く 俺の特典が貯金箱なんだけどどうしろと?』を投稿しました。

 処女作の『異世界出稼ぎ冒険記』を大幅改稿してリメイクした物ですが、前に比べて少しは読みやすくなったかと思います。こちらも読者様方の暇潰しになれば幸いです。

学園祭にて遊児が着るべきコスプレのモチーフは?

  • やはり基本にして王道。罪善さん
  • 二丁拳銃に喪服。溢れる厨二心。葬儀さん
  • やはりモフモフが一番。テディ
  • メカメカしいSFチック。ヘルパー
  • 貴方をいつも護ります。セイさん
  • 人形アンドオカルティズム。ネク
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