マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様 作:黒月天星
しかしながら、肝心の服装の描写をしていなかったと後になって気が付き、いくら何でもそれでは選びづらいだろうと少し差し込ませていただきました。
少し短めですがご了承ください。
「うぉ~っ! すっげ~! 幻想体のコスプレじゃんっ!」
「良く出来てるんだな!」
「ホントホント。特にこの憎しみの女王ちゃんの衣装なんかもう可愛いの一言だよ!」
昼休み。俺は迫るコスプレデュエル大会に向け衣装の意見を聞くべく、本棟の食堂で食事をしながら十代達に衣装のラフ画を見せていた。
「これどうしたんだよ遊児?」
「俺の知り合いというか……まあそいつがモノ作りが趣味でさ。学園祭の事を聞いてこれを送ってくれたんだ。この中で俺の選んだ奴を俺用に仕立ててくれるってさ」
実際ディーは俺のペンダントなんかも作っているし嘘は言っていない。
「ちなみに、俺が今の所候補に考えているのはこれだ」
ラフ画の中から俺は6枚抜き出して広げる。ひとまず明らかな女性用(憎しみの女王やレティシア、雪の女王)と、見た目のインパクトが強すぎる大鳥などの物を抜いた残りだ。
「どれどれ……罪善さんに死んだ蝶の葬儀、幸せなテディにヘルパー、絶望の騎士、……最後の奴は何だ?」
「ああ。これは正確に言えば幻想体じゃないんだが、まあ候補の一つだ」
ネクモチーフの衣装は、ゆったりとした薄青色のローブを所々黒い革ベルトで縛るというややぶっとんだもの。そんな見た目ではあるが、幻想体自体ぶっとんだ者が多いのであまり違和感がない。
普段使いはゴメンだが、祭りという事でならアリかもしれないと一応候補だ。
「自分でも考えているんだが、やはり皆の意見も聞きたくてな」
「おう! そういう事なら任せとけよ! 俺なら……これが良いな!」
十代が選んだのは葬儀さんの衣装。
どこか喪服を思わせる、白い蝶の翅をあしらった黒のロングコートとズボン。そして小道具として用意された白と黒の二丁拳銃。
全体的に白と黒の二色でまとめられており、どこか落ち着いた雰囲気を醸し出している。
「へへっ! やっぱ二丁拳銃はロマンだよな! それになんかこう……出来る男ってイメージがあって格好良いぜ!」
「そうだよな。それにどこかこう……品がある服装だ」
喪服という点がやや不謹慎かもだが、それを補って余りある品格がある。悪くない。
「アニキは格好良さ優先っすからね。僕は……そうっすね。憎しみの女王ちゃんの服がダメならこれなんかどうっすか? 僕ロイドデッキ使いだから、こういうメカメカしいのも割と好きっす!」
そう言って翔が指差したのはヘルパーをモチーフにした衣装。
まるでパワードスーツの様に滑らかな白い装甲に覆われ、背中からは4本のアームが伸びている。関節部からチラリと覗くのは何かの回路のような部品。流石に普通に曝け出す物ではないのであくまでファッションだろう。
胸の中央には赤い宝石のようなものが埋め込まれている。ここが点滅したりここからビームが出たりするのだろうか? だとしたら凄いが。
そう言えば翔はマンガ版で、『変身』というプレイヤーがパワードスーツを装備する珍しいカードを使っていた。こっちの翔もそういうのが好きなのかもしれない。
「確かにSFチックな良さがあるな。隼人はどうだ? お薦めとかは有るか?」
「俺は……この中だったらこれを薦めるんだな」
隼人が選んだのはテディをモチーフにしたもの。
茶色の毛皮のようなケープを首に巻き、両腕はテディのようなモフモフのグローブを装着している。……もう一度言おう。モフモフである。下手したら自分から抱きしめられに行きたいほどだ。
そしておまけとばかりに頭にはクマ耳を模した付け耳。どちらかと言うと女性向けな気もするが、このくらいなら十分男性でも許容範囲だ。遊園地とかでもよくあるし。
「なんかデス・コアラに似てて気に入ったんだな!」
「ちょっと。それ完全に隼人君の趣味じゃないっすか」
「それを言ったら翔だって十代だって自分の好みを言ってるんだな!」
俺の衣装を選ぶはずだったんだけどな。まあ楽しんでいる様だから良いけど。
「ふんっ。まったく騒がしい連中だ」
「まあまあ。いつもの事じゃない」
「万丈目! 明日香も」
「万丈目さんだ」
そこへ万丈目と明日香が料理を乗せたトレイを持って連れ立ってやって来た。この二人の組み合わせは結構珍しいな。不思議に思ったのが顔に出たのか、明日香が笑って説明する。
「万丈目君に食事に誘われたの。丁度ジュンコもももえも用があって私一人だったし、たまには良いかなって」
「そういう事だ。さあ天上院君。このバカ共は放っておいてあちらの席に」
「あら。ここも空いているわよ!」
万丈目が言い終わる前に、明日香はスッと隣のテーブルにトレイを置いて着席してしまった。
明日香に気がある万丈目としては二人っきりで食事をしたかったのだろうが、先に席につかれては仕方ない。渋々とばかりに同じテーブルにトレイを置く。
「それで? アナタ達は何の話をしていたの?」
「そうそう。聞いてくれよ二人共。実はさぁ」
十代はこれまでの事を二人に説明する。
「……っていう訳なんだ」
「久城君が着る衣装を選ぶ筈が、いつの間にか僕らの好きな衣装はどれかって話になっちゃってね」
「どれ。見せてみろ。そういう目利きもまた上に立つ者の嗜みだ。天上院君もどうぞ」
「私はあまりそういうのは得意じゃないのだけど」
二人もテーブルに置かれた衣装のラフ画を覗き込む。まあ意見自体は多い方が良いか。
「……どれも悪くないが、久城に合うのはやはりこれだろう」
少し考えた後、万丈目は罪善さんモチーフの衣装をトンと指で叩いた。
それは一見すると地味な服装だ。紺色を基調としたどこぞの制服のような恰好。その膝や肩、胸部などの要所要所を茶色の革のような物で補強している。ちょっとした防護服と言い換えてもいいだろう。
頭部には罪善さんの物と同じ茨の冠。流石に本物の茨だったら刺さりそうなのでそこは偽物だと信じたい。
付属するのは罪善さんの姿があしらわれた十字架のようなメイス。どこぞの聖女が持っていそうな形だが、杖ではなく棍棒の一種である。
「これは他の物に比べて華やかさで劣る。しかしその分実際に使う事を前提とした機能美があるように思う。祭りの服装としては些か問題があるが、久城に合った服という意味であれば俺はこれを推す」
「万丈目」
祭りのコスプレとは少し意味合いが違ってくる気がするが、万丈目なりに筋の通った意見だ。参考になる。
「じゃあ最後は私ね。私なら……これにしようかな」
ここまできたらお約束と言うか、明日香が選んだのはこれまで選ばれなかったセイさんこと絶望の騎士の衣装。
こちらは憎しみの女王の物とは違いセイさんのドレス姿ではなく、どちらかといえばマントを纏って甲冑を着込んだ西洋の騎士って感じだ。
全体的に青と黒を基調とした色合いなのだが、首周りから裾に向かう毎に少しずつ色が濃くなっている。だがただ濃くなるのではなく、夜がより深くなっていくように所々星のような模様が描かれている。
付属品はこちらはセイさんの使っていた細剣のような物。持ち手に星座があしらわれ、武器でもあり芸術品でもあるという印象を受ける。
「万丈目君はさっきああ言ったけど、やっぱりお祭りなら華やかさは必要よね。その点これなら見た目がきれいだし、はっきりとコスプレだって分かるから良いと思うわ」
俺に似合うかどうかはひとまず置いておいて、確かにこれは見た目の美しさという意味ではダントツだろう。
しかし皆に意見を出してもらったが、それぞれにちゃんと良さがあってなかなか決められないな。コスプレがこんなにも奥が深いとは。
結局こちらも昼休み中には決められず、これまでの意見を元に授業が終わってから自室で考えることにした。タイタンの事と言い、最近優柔不断になっている気がするな。だが、
「はい。じゃあ今日の授業はここまでですにゃ。……あと久城君はこの前の居残り掃除があるから残ってほしいのにゃ」
授業終わりがけに大徳寺先生から居残りを命じられた。表向きは以前アビドス3世の襲撃時に一人居残り掃除を先送りにした分。しかし大徳寺先生のこちらへの目配せに、何かセブンスターズ絡みの話だなと察する。
「そう言えばそうだった。悪いな皆。先に帰っていてくれ。……遅くなるようだったら夕飯を取り置いてくれると助かる」
「分かったぜ。だけどなるべく早めに戻れよ。飯は温かい内に食べるのが一番だからさ!」
そうして十代達を先に帰し、生徒達も全員出て行って残るは俺と大徳寺先生のみとなる。
「それで大徳寺先生。わざわざ俺一人を残したという事は……何かありましたか?」
「そうなのにゃ。ちょっとスケジュール的な問題が発生して、タイタンも含めて急ぎ話し合いが必要になったのにゃ」
成程。では早速行かなくちゃな。場所はいつもの所だと当たりを付けて教室を飛び出そうとし、
「あと居残り掃除の件は本当だからしっかり頼むにゃ! ほらっ!」
その前に差し出された掃除道具を何とも言えない表情で受け取った。しまらないなぁ。本当に。
如何だったでしょうか?
服装は基本原作よりですが、一部原作と繋がりのある図書館のネタも混じっております。
アンケートはタイタン編が終わるまでを一応の目安とさせていただきます。奮ってご参加いただければ幸いです。
学園祭にて遊児が着るべきコスプレのモチーフは?
-
やはり基本にして王道。罪善さん
-
二丁拳銃に喪服。溢れる厨二心。葬儀さん
-
やはりモフモフが一番。テディ
-
メカメカしいSFチック。ヘルパー
-
貴方をいつも護ります。セイさん
-
人形アンドオカルティズム。ネク