マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様 作:黒月天星
それがどうしてこうなった?
作者自身もビックリです。
◆◇◆◇◆◇◆◇
『いよいよだが、準備は良いかタイタン?』
特待生寮の前にて、バランサーの格好の俺とタイタンは決戦前の話し合いをしていた。
この三日間準備はしたが、作戦の成功率は正直微妙だ。俺が提案したとはいえ、一つ間違えばある意味死ぬより辛い目に遭う事になる。だというのにタイタンは、
「ああ。例の品も用意し、今日までで出来る限りの準備は済ませた。あとは戦いに臨むのみだ。バランサーはどんと構えてこの善なるタイタンの戦い……いや、
そう言って笑った。……いや、
かつて闇の世界に堕ちた者だからこそ、その辛さと恐怖は身に染みているだろうに。それでも己を奮い立たせるべく笑うタイタンに、俺はそれ以上何を言えば良いか分からなかった。
さて。そろそろ時間だと鍵の守り手達を待ち受けていたのだが、
「ノォォォっ!?」
「なっ!? クロノス先生っ!?」
何故か一番乗りはクロノス先生。頭を罰鳥に突っつかれながら凄まじい勢いで走り込んできた。また悪だくみでもして罰鳥に察知されたらしい。
クロノス先生はこちらを見るや、慌てて服と頭を整えシャキッとした態度をとる。いや先ほどの件ずっと見えてますから。今さらですよ。
そんな事を思いながらも俺は意識を切り替えるべくゴホンと咳ばらいを一回。罰鳥も空気を読んだのか突くのを止めてクロノス先生の頭の上に止まる。……いやそこかよっ!? クロノス先生も冷や汗を流してるぞ。
『アナタが一番乗りですか。その様子だと……アナタが此度の戦いに出るという事で構いませんか?』
「ちょっ!? ちょっと待つ~ノっ!? ワタ~シはそこのタイタンに個人的な話があって先にやってきたノ~ネ。……あと何かタイタン白くなってるノ~ネ?」
話? というか知り合いだったのかこの二人。
「……成程。あの件か。
視線を向けるとタイタンは軽く頷き、そのままクロノス先生と一緒に建物の陰に移動する。内緒話を盗み聞きするのはマナー違反だと思い俺は待機していたのだが、
「……ノ~ネ。……料金……」
「…………三か月……未払い……上乗せ」
「……待つノ~ネ! ……領収書……振込……ノ~ネ」
何やら料金だの未払いだのちょろちょろ聞こえてくるな。どうやら金のやり取りをしていたらしい。こそこそ話すのは良いがそういうのは聞こえないようにやってほしい。
少しして戻ってきた時には、何故かクロノス先生が少しだけやつれたような顔をしていた。戦う前からこれで大丈夫か?
「話はついた。こちらのクロノス教諭とは以前少し面識があってな。その時の清算をしていたのだ。これでおおよそ解決だ」
『そ、それは良かったな』
よく分からないが解決したのならそれで良い。次はこれからの事を考えよう。
『では改めて。これから他の鍵の守り手が来るわけですが、タイタンとの戦いはそちらに任せるという事で宜しいので?』
「そ、それは……」
俺が問いかけると、クロノス先生は少しだけ迷っているように感じられた。
思えば前回のアビドス3世の時もそうだったように思う。カイザーが戦うと決まった時、クロノス先生はホッとしたような心配するような顔をしていた。色々と葛藤があるのだろう。そこへ、
「……フフフ。フハハハハ!」
「何がおかしいノ~ネ?」
「これが笑わずにいられようか! よりにもよってお前が生徒の事を心配するとはなハハハハハっ!」
突如タイタンが仮面の上から顔に手を当てて笑い始めた。それはクロノス先生を嘲笑うようで、それでいてどこか試しているようで。
「ハハハ……はぁ。良いだろう。なら望み通りクロノス教諭は後回しにしてやろうではないか! だがその代わり、それ以外の鍵の守り手を闇のデュエルで闇の世界に引きずり込んでやろう! この闇のデュエリストタイタンがなぁ!」
「な、何でス~ト!?」
「最近はセブンスターズも大分減ってしまったからなぁ。闇の世界に引きずり込み、立派な闇のデュエリストにしてやろう。最初は……そうだな。あの明日香とかいう女が良いか。兄妹揃って闇のデュエリストになればさぞ喜ぶ事だろうよ」
タイタンがとても渋い声で凄い下衆な事を言う。俺はただ成り行きを見守るだけだ。そして、
「……るノ~ネ」
「おやぁ? 聞こえんなぁ? 今何か言ったか?」
「黙るノ~ネこの悪党っ!」
クロノス先生がキッとタイタンを見据えて一喝した。
「ワタ~シとした事が、こんな輩に協力を仰いでいたナン~テ、メディチ家の恥なノ~ネ。彼らは私の大事な生徒。お前などに指一本触れさせはしないノ~ネっ!」
その言葉に迷いはなく、しっかりと地を踏みしめるその立ち姿はどこか覚悟を決めた男のもの。
それを見たタイタンは、一瞬だけ納得したかのように頷いたかと思うと、
「……その意気や良し。分かった。私の相手はお前だ。クロノス・デ・メディチよ」
「かかってくるノ~ネこの自称闇のデュエリストっ! 決して闇は光を凌駕出来ないと教えてやるノ~ネ!」
これは戦うのはこの二人で決まりだな。そこへ丁度他の鍵の守り手達も駆けつけてくる。丁度良い。
『両者やる気十分で大変結構。では二人共、奥へどうぞ』
こうなれば俺は進行役として粛々と進めるのみ。それぞれに特待生寮の中に入るよう促していく。
さあ。これからだ。……ところで罰鳥よ。このシリアスな場面でクロノス先生の頭に乗ったままというのは笑っちゃうから止めてくれ。
特待生寮の地下。奇しくも以前十代とタイタンが戦った場所。そこが今回の戦いの舞台だった。俺達が居る側の反対では、
「前も思ったけど……ここ何か嫌な感じね」
「全くっす」
「俺も同感なんだな」
以前囚われの身になった明日香や、当事者である翔・隼人なんかはどこか居心地が悪そうにしているのに、肝心の十代はまるでケロッとしている。それどころか、
「大丈夫か? 震えてるぞ?」
「何なら俺が代わろうか? タイタンとは前にも一度戦ったし」
「これは武者震いなノ~ネ! そんな心配生徒がするんじゃありませン~ノ」
戦いの前に緊張しているのかと、クロノス先生に万丈目と一緒に呼び掛ける余裕がある始末。だがクロノス先生は心配ないとばかりに部屋の中央に進み出る。
自身のコートと一体化する特注のデュエルディスクを装備し、デッキをセットするその様子は気合十分。武者震いというのは間違っていなさそうだ。それにしても、
『タイタン。さっきのアレはやり過ぎじゃないか? アレじゃ悪党というより下衆とか外道だ。それに鍵の守り手が全員揃ってから始める手筈だっただろ?』
「まあ良いではないか。芝居は多少オーバーな方が良い。……これで奴も本気になっただろう」
俺がこっそり指摘すると、タイタンは軽く笑って返す。
そう。さっきタイタンが言ったことは
あとは出来る限りヘイトを稼いで盛大に
「バランサーよ。予定変更だ。このデュエル……全力で行く」
『……急だな。何かあったか?』
「ああ。他の相手であれば当初の予定通りわざと負ける筈だった。だが、今の奴は例外だ」
突然の宣言に内心驚きながらも尋ねると、タイタンはクロノス先生にじっと視線を向ける。さっきの話の中で何か気にかかる事でもあったのだろうか?
『……分かった。だけど全力で行っても勝てるとは限らないぞ。クロノス先生の実力は本物だ』
「ああ。そうでなければ困る。……では、行くとしよう」
タイタンもそう言ってデュエルディスクを展開。悠然と舞台中央に足を運ぶ。と言っても俺も最終確認の為に一緒に行くんだがな。
『では最終確認を。鍵の守り手からはクロノス・デ・メディチ先生。セブンスターズからはタイタン。両者異存はないか?』
「ない」
「ないノ~ネ」
外野からは十代が「はいは~い! 俺がやる!」と言っていたが無視する。どう見てもこっちの二人が納得しそうにないからな。
「して、決闘のルールは如何になノ~ネ?」
「至ってシンプルだ。勝者が鍵を手に入れ、敗者は闇の世界に引きずり込まれる闇のデュエル。それはこの私さえも例外ではない。……まあ勝つのは私だがな」
「な~にが闇のデュエルなノ~ネ。そんなまやかし。私には通用しないノ~ネ」
「クロノス先生っ! 油断すんな! 闇のデュエルってのは本当に」
「ノン! ノンノンノン! それ以上言うんじゃありませン~ノドロップアウトボーイ。さあ。デュエルを始めるノ~ネ」
闇のデュエルを認めないクロノス先生に忠告する十代だが、クロノス先生はそれをはねのける。……何だろう? 信じていないというよりこの反応は……まあ良いか。今はこっちの事だ。
「ハハハ。もっと生徒の言葉に耳を傾けても良いのだぞ。これがお前の別れの言葉となる……いや、どうせすぐに向こうの世界で再会するのだから変わらぬかぁ?」
『タイタン。試合前の挑発はもうその辺で。あとはカードで語るものだ。では両者構えて。タイミングはそちらに預けるぞ』
タイタンが何を思ってここまでクロノス先生に拘るのかは分からない。だが、今日の俺の仕事は審判役と
予定とは少し違うが、全力でぶつかるというのならそれはそれで良い。さあ。始まるぞ。
「「デュエル!!」」
クロノス LP4000
タイタン LP4000
今ここに戦いの火蓋が切られる。
「先攻は私が貰う。ドロー。……私は『ヘルポーンデーモン』を攻撃表示で召喚。さらにカードを2枚伏せターンエンドだ」
ヘルポーンデーモン ATK1200
タイタンの場に両腕が剣と鉤爪になっている悪魔の兵隊が出現する。相手のカード効果の対象になった時、サイコロを振ってその目により効果を無効に出来るチェスデーモンシリーズの一つだ。
「あいつらかぁ。俺も結構苦戦したんだよな。あの時はタイタンが出目をイカサマしてたっぽいけど」
「フハハ。今の私はそのような小細工をしなくとも、この溢れる闇の力で良き目を引き寄せられるのだよ。さあクロノス教諭。お前のターンだ」
「ハッ! そんな虚仮脅しに引っかかる私じゃないでス~ノ。私のターン」
十代が独り言ちる中、クロノス先生もカードをドローする。
「さしずめそのモンスターはブラフですネ。弱小モンスターを囮に罠を仕掛けるなんて見え透いていまス~ノ。なら私は永続魔法『
カードの発動と共に、クロノス先生の場に中世ヨーロッパ風の砦のような建造物が出現。加えて全身歯車で出来た兵士が砦を背にするように現れる。
古代の機械兵士 ATK1300→1600
古代の機械城 カウンター0→1
「上手いんだな! 古代の機械城がある限り、全ての古代の機械の攻撃力は300アップするんだな!」
「そして古代の機械と名の付くカードが召喚される度カウンターが乗る。次への布石もバッチリって訳か」
解説どうも隼人に万丈目。実際1ターン目に土台となる機械城の発動は大きい。300アップというのは意外に馬鹿にならないからな。
「ほぉ。攻撃力が上がったか。さぁ。攻撃してくるが良い」
タイタンは余裕を崩さない。伏せてあるカードに自信があるという事だろうか? だけどなタイタン。古代の機械の特性は、
「言われるまでもないノ~ネ。古代の機械兵士でヘルポーンデーモンに攻撃! ちなみに古代の機械の大半が“攻撃する場合相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない”効果があるので御注意なノ~ネ。当然古代の機械兵士もあるノ~ネ」
「ナニィっ!?」
タイタン LP4000→3600
伏せカードで返り討ちにしようとしたのだろうタイタンの思惑は、機械兵士の銃撃でヘルポーンデーモンが破壊されるだけの結果に終わった。
「私はカードを1枚伏せてターンエンド。ふふん。戦いは華麗でなければなりませン~ノ。このクロノス・デ・メディチ。舐めてもらっては困りまス~ノヨ」
そう自慢げに語るクロノス先生は、間違いなく実技担当最高責任者の貫禄に満ちていた。
頭に罰鳥が乗ってなきゃもっとカッコ良かったんだけどな。
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