マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 いつの間にかUAが20000突破してました。ここまで来ると少し欲が出てきますね。次は目指せ30000です!

 タイトルからしてピンとくるかもしれませんが、今回はあのお手伝いさんも少し登場します。




 次の投稿は明後日を予定しております。……連続投稿は調子が良くないと無理なんです。


小さな魔女とお手伝いさん その一

 

「おいディーっ! ちょっと出てこいっ!」

 

 俺は“元”神様を小さな声で呼びつけた。下手に大きな声を出したらこの子が起きかねない。だというのに、

 

『はいは~い。久城君の方から僕を呼び出してくれるなんて、実に嬉しい限りだねぇ。今日はお祝いだっ! それでどうしたのかな?』

「声が大きいっ! ……これを見ろ」

『これ? …………久城君。これは事案という奴じゃないかい? いくら幻想体とは言えこんな小さな子を手籠めにするなんて』

「違うわいっ!! ……っと、俺をそんな変態に仕立て上げようとするんじゃない。俺が部屋に戻ったら、いつの間にか布団に潜り込んでいたんだ」

 

 俺は現れた光球に一瞬声を荒げ、すぐにまた声を抑えて反論する。……よし。目を覚ましてはいないようだ。ひとまず布団を静かにレティシアに掛け直す。下手に起こして機嫌を悪くしたらマズイ。

 

『冗談冗談! 分かってるって。……これは間違いなくレティシアだね。今彼女のカードはどこに?』

「ここだ。……今日はデッキ調整の時に入りきらなかったから外して部屋に置いていた」

 

 俺は引き出しの中からそのカードを取り出して見せる。流石に数が多くて全ての幻想体はデッキに入りきらないからな。毎回調整して入れるカードを決めて、残りは引き出しに入れている。

 

『どれどれ~…………なるほど。原因が分かったよ。簡単に言うとさっきの罪善さんが引き金だね』

「罪善さんが?」

 

 カタカタ?

 

 カードを少し調べ、何か分かったように言うディーの言葉に罪善さんも実体化して首を傾げる。

 

『さっき罪善さんが特待生寮で良くないモノを吸収したことで、相当量のエネルギーが蓄積されている。それこそ実体化だけには過剰なぐらいにね。結果本来久城君から送られるエネルギーは罪善さんに入りきらず、他の精霊化一歩手前のカードに流れ込んだ。それで一気に精霊化、実体化したんじゃないかな?』

 

 う~む。よく分からん。

 

『一度精霊化したらエネルギーさえあれば割と簡単に実体化できるからね。他にも罪善さんみたくちょこちょここれから出てくるかもよ』

「まあ精霊化自体はディーが前から言っていたから仕方ないで済ませるけどな。問題はここからだ。……正直レティシアってどんな子なんだ?」

 

 背丈からして人間で言うなら歳は十いかないくらいか? 首元に赤いリボンの付いたフリフリの多いドレスを着込み、頭には赤い帽子……ボンネットというんだったか? それを被っている。

 

 全体的に赤が基調のようだが、軽く左右を縛った髪の毛は灰色だ。そして髪飾りというか何というか、両耳の後ろに少し大きめの鈴がそれぞれ付いている。

 

 正直こんな見た目ではあるが、どんなに可愛らしくても幻想体である。起きるなり辺りをやたらめったら破壊するという事もあり得るのだ。

 

『そうだねぇ。……()()()()()()とても良い子だよ。いつも明るく笑顔だし、滅多なことが無い限り人に悪意を持つようなことはない』

「本当か? ああ見えて凄い怪力で、ちょっとじゃれついただけで骨が折れるとかそんなことはないか?」

『それはまあ幻想体だし、見た目よりかは強いだろうけどね。それにしたって()()()身体能力はせいぜい大人と同じくらいだよ』

 

 まあそのくらいならちょっと強い子供ってぐらいで済むか。なんか微妙に引っかかる言い方だが……マズイ。疲れと眠気で頭が回らない。

 

「そ、そうか。……ふわぁ~」

『おやおやお眠かい? まあ無理もないけど。……ひとまずそのベッドで寝たらどうかな? レティシアと一緒に添い寝とか』

「だから俺を変態扱いするなっての。第一レティシアを放っておいてこのまま寝られるか」

 

 大きく欠伸をするとディーがそんな事を言ってくる。俺個人としては可及的速やかに寝たいのだが、レティシアが自然に起きるまで目を放すわけにもいかない。

 

『その点なら心配ないさ。……さっきも言ったけど、レティシア自身は自分から悪さをする子じゃない。誰かにちょっかいを出されない限りはね。……それでも心配なら、僕が代わりに見ておいてあげるよ。それならどうだい?』

 

 ふむ。そこまで言うなら頼んでも良いだろうか? どのみちこのままでは眠くて途中で落ちる可能性もある。それならまだディーが自分から見張りを買って出たという点を有効活用するべきだ。

 

「……分かった。じゃあ俺は上のベッドで寝るから、何かあったらすぐに叩き起こしてくれ。すぐにだぞ!」

『いいとも! ゆっくりお休み!』

 

 俺はしっかり授業の時間に向けて目覚ましもセットし、よろよろと一番上の段のベッドに転がり込む。

 

 そのまま目を閉じて眠りにつこうとするのだが、身体は疲れているのにレティシアの……というより幻想体のことが気になって目が冴えてしまう。

 

 レティシアがここに出てきた理由はおおよそ分かる。依り代たるカードがこの部屋に在ったからだ。……このことから、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()というのが推測できる。

 

 つまり何らかの理由でカードがばら撒かれるとかそんな事になったら、それだけで幻想体を制御するのが格段に難しくなるという事だ。これからは余りとは言えカードを下手に放置するのは危険かもしれない。

 

 そうして悶々と考えていると、突如柔らかな光が俺を照らし出した。何事かと薄目を開けると、そこには罪善さんが静かに発光しながら浮かんでいた。……この光を浴びていると、どこかもやもやした頭が少しだけ落ち着いていくように感じる。

 

「心配してくれてありがとうな罪善さん。……それと、こうなったのは罪善さんのせいじゃないって」

 

 何となくだが、さっきから罪善さんがしょんぼりしているように思えた。もしこれが、レティシアが出てくることになったきっかけが自分が良くないモノを吸収したためだと思ってるためならそれは違う。

 

「特待生寮でのことは先に説明しておいてくれれば良かったとは思うけど、まあアレはアレで……良かったんじゃないか? だって、アイツらはどことなく……穏やかな顔で……消えていったんだから」

 

 それにレティシアのこともそうだ。確かに一気に精霊化したのは罪善さんのせいかもしれない。だけどそれは切っ掛けであって、それがなくてもいつかはそうなっていただろう。

 

 俺がそんな事をウトウトしながら途切れ途切れに語って、いつの間にか意識が無くなる直前、罪善さんがほんの少しだけ嬉しそうに見えた。

 

 

 

 

『……城君。久城君ってば。ちょっと起きてくれないかい』

「……うぅ……何だ?」

 

 ディーの呼ぶ声に、俺は心なしスッキリした頭でそう応える。時間は……うん。目覚ましの時間まであと5分。睡眠時間が少なかった割にはスッキリしているのは、罪善さんのおかげかなとぼんやり考える。

 

「モーニングコール代わりか? 気が利くな」

『まあそんなところさ。……ほらっ! 寝起きだと頭が回らないだろう? コーヒーでもどうだい?』

「コーヒー? ああ。そうだな。最近飲んでなかったしたまにはいいか。……だけどコーヒーなんて買ってあったっけ?」

 

 元の世界では時々飲んでいたが、この身体になってからはカフェインの摂り過ぎを避けるべく控えている。だが折角用意してくれると言うならありがたく受け取ろう。

 

『そう来なくっちゃ! ああ、買ってはいないけど大丈夫。丁度コーヒー作りの名手が居るから。……()()()()()。美味しいコーヒーを淹れておくれ』

〈了解。クッキングプロセスを開始します〉

 

 ……今なんか変な声が聞こえたんだけど。電子音声的な。俺は嫌な予感を憶えてベッドから下を覗き込む。すると、

 

〈コーヒー抽出完了。美味しいコーヒーをどうぞ!〉

「……ああ。ありがとう。……美味いなこれ!」

 

 目の前に伸びた金属製のアームから、紙コップに入った熱いコーヒーを受け取る。火傷しないよう少しずつズズッと口に含み、その深い味わいに俺はつい感嘆の声をあげた。

 

 そこらのインスタントとはまるで違う味わいだ。これは一日何杯って制限しておかないとついつい飲んでしまうな。そうして紙コップの中のコーヒーが半分くらいに減った頃、

 

「……それで気になってたんだけど、君は何かな?」

 

 俺は目の前の謎の白い物体に声をかけた。それは卵を横にしたような白い楕円形で、つぶらな赤い瞳と笑顔を浮かべたような口が付いている。

 

 その身体からは二本の薄い金属の脚部が伸び、地面に接した車輪で器用に移動していた。見様に依っては結構愛嬌のある見た目だ。

 

〈あなたのお供、ヘルパーロボットだよ! 何をお手伝いしようかな?〉

 

「……また幻想体かよ」

 

 この姿にも見覚えがあった。『幻想体 オールアラウンドヘルパー』。どう見ても生き物ではなく機械だが、他にも無機物っぽい奴はいるので今さらか。

 

『少し前に急に実体化してね。名前の通りなんでも手伝えるのかと思って、軽く機能チェックをさっきまでしていたのさ。今のコーヒーがひとまず最後のチェックだったけど……どうだった?』

「コーヒーに関しては文句なしに美味いな。毎朝でも寝起きに飲みたいくらいだ。……そっちは他に分かったことは?」

()()()()()()大抵の家事は可能だね。レシピさえ教えれば調理だってお手の物だし、泥棒除けの防犯機能も付いている。一家に一台ヘルパー君をってね!』

 

 ディーはヘルパーに淹れてもらったコーヒーに、同じく用意してもらったミルクと砂糖をたっぷりと入れて飲みながら返す。

 

「掃除がダメってのは? そんな壊滅的に下手なのか?」

『ヘルパー君の掃除は()()()()()()()()()()()()()。下手すると掃除する前より汚れるかもしれないね。……血の海的な意味で』

「……掃除だけは頼まないようにしておこう」

 

 やはりこんな見た目でも幻想体。とても物騒だ。ヘルパーの目の前では掃除の類はタブーだな。

 

〈あなたのお供、ヘルパーロボットだよ! 何をお手伝いしようかな?〉

「あ~。そうだな。今はもう頼むことが無い。だから何かあるまで待機していてくれ」

〈了解。スタンバイモードに移行します。お手伝いが必要なら呼んでね〉

 

 ずっとヘルパーを稼働させておいて、下手なことを言ったら何が起こるか分からない。なので待機を命じると、ヘルパーはそのまま実体化を解いて姿を消した。……素直で大いに結構だ。

 

 俺はコーヒーを片手にゆっくりとベッドから下りていく。……うん? 何で一番上のベッドで寝たんだったっけ。

 

『ああ。そう言えば久城君。もう一つ言っておかなくちゃいけないことがあるんだけど』

「何だよ急に。今の俺は美味いコーヒーを飲んでかなり機嫌が良いからな。大抵のことなら許しちゃうぞ!」

 

 もう一度コーヒーをズズッと口に含む。……うん! 味もそうだけど香りも良い。

 

『それは実に太っ腹だね! じゃあ正直に言うと……実はヘルパー君の機能チェック中にレティシアが目を覚ましてね』

 

 ああそうだったそうだった。ヘルパーのインパクトで忘れていたが、元々そのせいで俺は一番上のベッドを使ってたんだった。

 

『それでそのぉ……気がついたらいつの間にかいなくなってたんだ。ゴメンね!』

 

 俺はその言葉に飲みかけのコーヒーを吹き出した。そう言う事はもっと早く言えよっ!!

 




 はい。本人はほぼ無害なレティシアと、掃除以外はハイスペックのオールアラウンドヘルパーが参戦です。

 遊戯王シリーズには何だかんだ主人公をサポートするロボやAIが良く出ますからね。この二体はそういう立ち位置で考えています。

 それ以外にも、話が進むにつれてちょこちょこ精霊が増えていきますのでお楽しみに。

レティシアと組ませるとしたら誰?

  • 憎しみの女王(魔法繋がり)
  • マッチガール(幼女と少女の境目)
  • 赤ずきんの傭兵(依頼人とボディーガード)
  • キュートちゃん(可愛いは正義)
  • 幻想体じゃないけどファラオ(ほのぼの)
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