マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 注意! 今回かなり大きめの独自設定があります。


閑話 十代対紅葉 その四 相棒

 ◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「行くぜっ! スチーム・ヒーラーでオーシャンに攻撃!」

「くっ!?」

 

 紅葉 LP1400→1100

 

 スチーム・ヒーラーが放つ水蒸気に巻かれてオーシャンは破壊される。だけどこれだけで終わりじゃないぜ!

 

「スチーム・ヒーラーの効果発動! 戦闘で相手モンスターを破壊した時、その元々の攻撃力分のLPを回復する!」

 

 十代 LP2000→3500

 

「メインフェイズ2! 俺は魔法カード『光の護封剣』を発動! これで3ターンの間相手は攻撃が出来ない! これで俺はターンエンドだ。へへっ! どうだ紅葉さん」

「ああ。まさかあの状況でバブルマンからのスチーム・ヒーラーに繋げるとは驚いたよ。このぐらいはな」

 

 俺が冗談めかして言うと、紅葉さんも茶目っ気たっぷりに親指と人差し指を広げて返す。たったそれだけしか驚いてないって事かよ。

 

「おい見たか? なんて試合してんだこの二人は」

「ああ。互いに()()()()()()逆転の一手をドローしあっている。なんて無茶苦茶な引きだよ!?」

 

 周囲の観客がさっきからざわついているが、それくらい普通だろ? ギリギリ土壇場での逆転がデュエルの一番面白い所だぜ!

 

 さ~てこれでLPは俺の方が断然有利。だけどモンスターの数的には紅葉さんの方が有利。ここからどう動いたもんか。

 

 

 

 紅葉 LP1100 手札0 モンスター エアーマン フォレストマン 魔法・罠 伏せ1

 十代 LP3500 手札0 モンスター スチーム・ヒーラー 魔法・罠 光の護封剣(残り3ターン)

 

 

「しかし光の護封剣とは厄介だな。俺のターン」

 

 紅葉さんがその言葉とは裏腹に楽しそうにカードを引く。

 

「……これじゃないな。俺はこのままターンエンドだ」

「じゃあ俺のターンだな。ドロー!」

 

 俺もカードを引く。だけど今この状況を何とか出来るカードじゃない。

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

 その後更に1ターン。紅葉さんは引いたカードを伏せ、俺はそのまま手札に加える。

 

 さっきまでの激しい殴り合いから一転して動きのない静かな戦いだぜ。だけど、どっちかがこの状況を動かすカードを引いた時点で一気に終わりまで一直線だ。俺はふとそんな感じがした。

 

 

 

 

 紅葉 LP1100 手札1 モンスター エアーマン フォレストマン 魔法・罠 伏せ2

 十代 LP3500 手札1 モンスター スチーム・ヒーラー 魔法・罠 光の護封剣(残り1ターン) 伏せ1

 

 

 いよいよ。次のターンで光の護封剣は消える。そこからが勝負だ。だが、

 

「フフッ。十代。今お前はこう思っているんじゃないか? 次のターン光の護封剣が消えてからが勝負だって」

 

 ドローしたカードを見た途端、紅葉さんがイタズラ気味に笑いながらそう言う。

 

「確かに光の護封剣は3ターンの間攻撃を封じる優秀なカードだ。だけど、必ずしも3ターン凌ぎ切れる訳じゃない。俺は魔法カード『サイクロン』を発動! 光の護封剣を破壊する」

「げっ!?」

 

 光の護封剣が3ターンを待たずに破壊される。だけどスチーム・ヒーラーとエアーマンの攻撃力は互角。せめて相打ちに。

 

「更に俺は魔法カード融合回収を発動! 墓地の融合とE・HEROザ・ヒートを手札に加える」

 

 ヤバい! 俺がさっき使った融合回収を紅葉さんも使ってきた。互いにHERO使いな以上、この後の展開も何となく分かる。

 

「俺はザ・ヒートを攻撃表示で召喚し、融合を発動! 場のエアーマンとフォレストマンを融合し……現れろっ! 『E・HERO Great(グレイト) TORNADO(トルネード)』っ!」

「なっ!? おい紅葉!? いくら何でも生徒相手にそれはマズいって!?」

 

 ザ・ヒート ATK1600

 Great TORNADO ATK2800

 

 炎を操るヒーローザ・ヒートの後で紅葉さんの場に暴風と共に現れたのは、まさに名前の通り竜巻を纏う風のヒーローだった。それを見て国崎のおっさんが慌てたような声を上げる。……分かるぜ。どう見ても手ごわそうだもんな。

 

「さあ十代。着いてこれるかな? トルネードの効果。融合召喚成功時、相手の場の全てのモンスターの攻撃力を半分にする」

 

 スチーム・ヒーラー ATK1800→900

 

 猛烈な風が吹きあがり、スチーム・ヒーラーの身体が宙に浮く。これはマズいっ!?

 

「バトルだ。トルネードでスチーム・ヒーラーに攻撃! 『スーパーセル』!」

 

 十代 LP3500→1600

 

 さっきのエアーマンの物より更に強力な竜巻が放たれ、空中で身動き取れないスチーム・ヒーラーを呑み込んだ。攻撃力が下がってるからダメージがデカい!?

 

「さあ。この攻撃をどう躱す十代? ザ・ヒートでダイレクトアタック!」

 

 ザ・ヒートが炎を纏って突進してくる。これを喰らったら俺のLPは消し飛ぶ。だから、

 

「させるかよっ! 速攻魔法発動。『クリボーを呼ぶ笛』! デッキからハネクリボーを守備表示で特殊召喚する! 来てくれ相棒っ!」

 

 クリクリ~っ!

 

 ハネクリボーが俺とザ・ヒートの間に割って入り、そのまま俺の代わりにザ・ヒートの攻撃を受けて破壊された。

 

「ふぅ。助かったぜ! いつもありがとうな相棒!」

 

 カードとしては破壊されたものの、半透明の精霊の姿でふわふわ浮くハネクリボーに礼を言うと、大丈夫とでも言う様に手を軽く振った後で紅葉さんの方に向き直る。そして紅葉さんもまた、どこか懐かしい物を見るような目でハネクリボーを見つめていた。

 

「……どんな危機的状況であっても持ち主を守る。流石だなハネクリボー。いや、“相棒”!」

「相棒って……さっき最初に会った時もハネクリボーが反応してたし、ひょっとして紅葉さんもハネクリボーを使っていたのか? だけどこれは俺はデュエルキングの武藤遊戯さんから」

「それは当然だな。だって()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 な、何だって!? 俺はその言葉にめちゃくちゃ驚く。

 

「まあ細かい話は後だ。今はこのデュエルを楽しもうじゃないか。俺はこれでターンエンド。さあ。お前のターンだ十代」

 

 ……そうだな。確かにハネクリボーの事は気になる。だけど、今はまず紅葉さんとのデュエルが先だよな! しかし、

 

 

 紅葉 LP1100 手札0 モンスター トルネード ザ・ヒート 魔法・罠 伏せ2

 十代 LP1600 手札1 モンスター0 魔法・罠0

 

 

 こっちの場はまた丸裸。く~っ! 容赦ねえな紅葉さん。俺がいくら逆転しても、終始その上を行ってくる。これが元世界チャンプ。これが国崎のおっさんが言っていた最高のHERO使い。

 

 いやホントどうすっかなこれ。常にがけっぷち。一つでもミスったら即トドメを刺されるってのに、まさに絶体絶命って状況なのに、ぞくぞくする程ヤバいのに、それに比例してワクワクが止まんねえ!

 

「俺のターン! ドロー! ……行くぜ紅葉さん。俺は魔法カード『ミラクル・フュージョン』を発動! 俺の墓地のフレイム・ウィングマンとスパークマンを除外し、『E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン』を融合召喚!」

 

 俺が引き当てたカードこそ、この大ピンチを逆転する一手。俺の場に光り輝く鎧を纏ったヒーローが舞い降りる。

 

 シャイニング・フレア・ウィングマン ATK2500

 

「このカードは墓地のE・HEROの数×300攻撃力を上げる。今俺の墓地に居るHEROは全部で()()。よって攻撃力は2100アップ!」

 

 シャイニング・フレア・ウィングマン ATK2500→4600

 

「ちょ、ちょっと待った! ミラクル・フュージョンで2枚除外したから残り5枚の筈。何故7枚分もっ!?」

「……成程。さっき俺の墓地の融合をスパイ・ヒーローで引っ張り出した時か」

「そういう事!」

 

 国崎のおっさんが疑問の声を上げる中、紅葉さんは冷静に真相を見抜く。そう。スパイ・ヒーローのコストでデッキから墓地にランダムに2枚送った。その時に送られていたのが『E・HEROクレイマン』と『E・HEROワイルドマン』だったんだ。

 

「仲間との絆によりヒーローは強くなる。これが俺の、俺達の全力全開だ! 行くぜバトルフェイズ! シャイニング・フレア・ウィングマンで、トルネードに攻撃! 『シャイニング・シュート』!」

 

 光のヒーローから放たれる光がトルネードを包み込もうとしたその時、

 

「見事だ十代。だけど俺も元世界チャンプとしてこんな所でやられるわけにはいかないな! 速攻魔法発動。『残留思念』! 相手の攻撃宣言時に墓地のモンスター2枚を除外することで、このターンの戦闘ダメージを0にする。俺は墓地のオーシャンとフォレストマンを除外っ!」

 

 紅葉さんの前に半透明のヒーローが2体現れ盾となる。だけど、

 

「まだまだぁっ! シャイニング・フレア・ウィングマンが戦闘で相手を破壊した時、その元々の攻撃力分のダメージを相手に与えるっ!」

「分かっているさ。俺は自分の残留思念にチェーンしてもう1枚の伏せカードをオープン! 罠カード『緊急隔壁』。相手ターンのバトルフェイズ終了まで、自分の場のモンスターは戦闘では破壊されず、相手はモンスター1体のみでしか攻撃できない」

 

 光に呑み込まれる直前、地面からせり出した壁がトルネードを覆って光を遮る。これでこのターン戦闘で破壊されず、戦闘ダメージも受けなくなった訳だ。

 

「あ~くっそ~! 今のは完全に決まったと思ったんだけどなぁ」

「いや。今のは割と本気で危なかったぞ十代。まさか両方共使わされるとは思っていなかった」

 

 よく言うぜ。確かにさっきは一瞬焦った顔をしていたけど、もう余裕が戻っているじゃん!

 

「俺はこれでターンエンド。ここでは決めきれなかったけど、次のターンで決めてやるぜ!」

「それはどうかな? 確かにそのモンスターは強力だ。仲間との絆の強さはまさに全力全開と言えるパワーだろう。……だけど忘れちゃいないか?」

 

 紅葉さんは勢いよくカードをドローする。その眼にはまるで諦めの色はなく、

 

 

 

 

「ヒーローは、いつだって()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 どこまでもデュエルを楽しむ男の姿がそこにはあった。

 




 次回で十代対紅葉戦は終了予定です。本来ならこの話で終わる筈が、ハネクリボーを挟んだら少し長くなりました。

 ちなみにこの作品内での独自設定として、あくまで最初にハネクリボーを所有していたのは紅葉であり、紅葉が色々あって遊戯に託し、その後遊戯が十代に託したという流れがあります。

 何で遊戯の手に渡ったのかはまたいずれ……その内……話せると良いなぁ。




 この話までで面白いとか良かったとか思ってくれる読者様。完結していないからと評価を保留されている読者様。

 お気に入り、評価、感想は作家のエネルギー源です。ここぞとばかりに投入していただけるともうやる気がモリモリ湧いてきますので何卒、何卒よろしく!
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