マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 注意! 途中視点変更があります。そして独自設定タグも少し仕事します。


探す遊児。見つけたカミューラ

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「お~い十代っ! 無事かっ!?」

 

 うおおっ! 紅葉さんだ! 本物の紅葉さんだ! 俺が慌ててレッド寮に戻ってきた時、最初に見たのは十代と鎬を削る元世界チャンプ。響紅葉の姿だった。

 

 漫画版の重要人物であり、この世界では五年前に謎の奇病で入院するも、去年退院して現在プロデュエリストとして活動している人物。漫画版準拠なら今も入院中の筈だが、アニメだと少し流れが違うらしい。

 

 しかし漫画版でも屈指の強キャラであり推しの一人を実際に見ると、これは中々に心が弾む。

 

「丁度良い所に戻ってきたな遊児! 今スッゲ~良い所なんだ! 俺が今戦っている相手は誰だと思う?」

「知ってるよっ! 元世界チャンプの響紅葉さんだろ? その事もあって慌てて帰ってきたんだ! ……だけど今はそれよりもだ」

 

 映像で見た憎しみの女王の事を尋ねようとすると、十代も察しがついたのか場所を教えてくれる。その態度から考えると、どうやら今の所は暴れるような事もなく落ち着いているらしい。

 

 出来ればここでじっくり紅葉さんと話をしてみたい所だが、状況が状況だ。俺は別れの言葉もそこそこに、急いで憎しみの女王の居るステージに向かった。

 

 

 

 

「何? 居なくなった?」

 

 だが、俺が辿り着いた時にはもう遅く、ステージにはブラマジガールが残るのみだった。コスプレデュエル実行委員長の万丈目に尋ねると、俺が来る少し前にここを発ったのだという。

 

「ああ。観客達が大盛り上がりの中、急に『もうここには悪は居ないみたいだし、ワタシはそろそろお暇するね! じゃあ皆! これからも良い子でね!』と言い残してな。一応うちの雑魚共に追いかけさせたのだが」

『途中で見失っちゃって……ごめんなのよ~』

 

 万丈目の傍らで、半透明のおジャマ達がしょんぼりしている。まあレベル差があり過ぎるからな。追いつけなかったのは仕方ないか。

 

 しかし憎しみの女王でなくココロと自称するか。セイさんこと絶望の騎士は名前に無頓着だったからこっちが名付けたけど、どうやらこっちはそうじゃないみたいだ。

 

「そういえば久城。憎しみの女王のカードはどうした?」

「それが、今回はデッキに入れておかなかったんだ。さっきここに来る前に部屋によって確認したらカードがなくなっていた。どうやら自分で持ち歩いているらしい」

 

 カードがあれば呼び出す事も出来たんだが。そう上手くは行かないか。

 

 ちなみにレティシアは今部屋で留守番中の幻想体達にお土産を渡している。オールドレディとウェルチアースって焼きそば食うんだろうか?

 

「あと、あのブラマジガールって……本物だよな?」

「おそらくな」

 

 ココロが居なくなった後も、ブラマジガールはステージに残って時々デュエルをしたり、或いは他のデュエルしている奴に応援したりしていた。応援された奴が他の観客から嫉妬の炎の籠った眼で見られているのは気にしないことにする。

 

 まあブラマジガールが何故実体化しているのかは不明だが、さしずめアニメで言う一日限りのお祭り騒ぎ回といった所か。純粋に楽しんでいるようだし、今は放っておいても良いか。

 

「しかしこれからどうする? 俺はこの通り実行委員長の責務で忙しい」

「それは……見れば分かるな」

 

 全身XYZの気合の入ったコスプレだからな。動くのも大変なレベルだし、この状態でデュエルの解説なんかもやるのだから忙しいだろう。今は偶々休憩中だから話が出来るが、すぐにまた忙しくなる。

 

 見れば翔や隼人らも忙しく動いている。手伝いたい所ではあるが、こっちはこっちでやる事が多いから大変だ。

 

「万丈目はこのまま大会の方を頼むよ。俺はまた宣伝がてら憎しみの女王……ココロを探しに行く。それにネクとヘルパーともはぐれたままだしな」

 

 こんな時ヘルパーが居れば、ココロを探すのにも役立つ筈だ。まずはヘルパーを探すとするか。

 

 

 

 

「あっ!? 忘れてた。これお土産な! 食う時はちゃんと温めろよ。精霊達もな!」

「あ、ああ。後で食う。スマンな」

『『『ありがとうございま~すっ!』』』

 

 とりあえずイエロー寮で買った(及び大量にレティシアがおまけで貰った)タコ焼きを万丈目とおジャマ達に激励として渡し、十代に事の次第を説明しに行く事にした。……紅葉さんや国崎さんとも話したいしな。

 

 

 

 

「そっか。結局会えなかったのか」

「ああ。祭り中にネクとヘルパーともはぐれたし、探す相手が増えて嫌になるな」

 

 十代達の所に戻ると、何故か紅葉さんが大勢の生徒(レッドにイエロー、少しだけブルー)を相手取ってデュエルしていた。

 

 今からデュエルをお願いするのも迷惑だろうし、観客席で十代からデュエルの様子を聞きがてら状況を伝える。

 

「ジ・アース? 本当に紅葉さんはジ・アースを使ったのか?」

「ああ。あんなヒーロー初めて見たぜ! もうカッコいいのなんのって! ……そういえば遊児。前に俺にジ・アースの事を聞いてたよな? って事は遊児はあのカードの事を知ってたんだよな? どこで知ったんだよあんなの?」

「あ、ああ。内緒だ」

 

 流石に漫画版で見たとは言えないしな。しかし不思議な話だ。ジ・アースは漫画版で重要な役割を担う世界にそれぞれ一枚しかないプラネットシリーズの一つ。

 

 紅葉さんはかつて世界大会で優勝した時に手に入れたという話だったが、そんな有名なカードならヒーロー大好き十代が知らない筈がない。となると考えられるのは……。

 

「よお久城。さっきは碌に挨拶も出来なかったが元気そうだな」

「国崎さんっ!」

「おいおいよせよ。これでも同じ釜の飯を食った仲だろ?」

 

 そこに国崎さんがふらりとやってきた。俺が一礼すると、国崎さんは手をひらひらさせてそう言う。

 

「しかし驚きました。まさか国崎さんが紅葉さんと友達だったなんて」

「まあ最近は会ってなかったんだけどな。この島で十代、お前のデュエルを見てさ。なんとなく久しぶりに会って話したくなってよ。それで話した時にみどりさん……紅葉の姉さんな。みどりさんが次の学園祭でこの島に行くって言うからそれに便乗してこっちに来たって訳だ」

 

 響みどり。この人もまた漫画版の重要人物だ。こっちの世界でもどうやら学園の教師らしいけど、今は長期休暇をとっているらしい。多分今回来たのはその事についてだろう。

 

 その後も俺達は色んな話を国崎さんから聞かせてもらった。紅葉さんについての話とか、ジャーナリストとしてあちこちを回った話とか。十代は国崎さんが実はこの学園に潜入していたって聞いてちょっと驚いていたな。

 

「よし。じゃあそろそろ行くかな」

「もうか? 紅葉の奴は……ああ。まだかかりそうか」

 

 さっきから紅葉さんが次から次へと倒しているが、まだまだ生徒の数は残っている。……あっ!? 今三沢が行ったな! これは他の奴らより長引きそうだ。

 

「流石にこれだけの連戦ですから紅葉さんもお疲れでしょう。お話はまたの機会に取っておきます。今日はありがとうございました。じゃあ十代。こっちは頼む。もしアイツらが戻ってきたら、俺が探していたと伝えてくれ」

「分かったぜ!」

 

 国崎さんの前なので名前を伏せるが、十代は元気よく返事をする。……ホントに分かってるよな?

 

「おっと。忘れる所だった。……ほらっ!」

 

 別れ際、国崎さんが俺に何かを投げ渡す。これは……パソコン用のチップか?

 

「前にも言っただろ? ()()()()()()()調()()()()()って。そのデータは好きに使いな」

「……感謝します」

 

 俺は国崎さんに深く一礼すると、そのまま二人に別れを告げて歩き出した。

 

『遊児お兄ちゃん!』

「レティシアか」

 

 そこにタッタカ走ってくるのは実体化したレティシアとテディ。荷物が多いからとテディもつけたけど、どうやら無事にお土産を渡せたらしい。テディは戻るや否や俺に飛びついて再び背におぶさる。

 

『おばあちゃんもエビさんも喜んでたよ! 魔法少女のお姉ちゃんは居なかったの?』

「ああ。入れ違いになったみたいだ。ヘルパーやネクも探さなきゃだし、俺はまた宣伝も兼ねて行ってくるよ。レティシアはどうする?」

『お兄ちゃんと一緒に行く!』

 

 レティシアは考えるまでもないとばかりに即答。そのまま俺の手を握る。さっきからずっと半透明状態で傍に浮いている罪善さんも、賛成とばかりに歯をカタカタ鳴らす。

 

『行こっ! ……ところで、どこに探しに行くの?』

「そうだな。まずはネク達とはぐれたイエロー寮に向かってみようか。その後でブルー寮だ。葬儀さんや雪の女王もこちらに向かっている筈だし、途中で落ち合えるかもしれない」

 

 さ~て。ネク達はどこへ行ったのやら。のんびり祭りを楽しむにはまだまだかかりそうだ。

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「おかしい。想定ではもう溜まり切っている筈なのに」

 

 島にある湖の畔に佇む古城。その部屋の一つにて、吸血鬼カミューラは苛立ちの声を上げていた。

 

 実を言うと、彼女はセブンスターズとしての活動にあまり熱心ではない。無論契約上鍵の守り手と戦う事自体は了承しているが、あくまでそれは彼女の背負う大願の為。吸血鬼一族の復興の為である。

 

 逆に言えば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そして契約者である影丸理事長が提案した復興の方法は、三幻魔の力を使う事。

 

 つまり彼女は鍵の守り手を全員倒すという手段より、直接三幻魔の力を我が物にして一族の復興を目指す手を取ったのだ。

 

 自分の順番を繰り下げながら情報を集め、今日この日の為に計画を練りに練った。無論途中で計画が理事長に露見しないよう慎重に、かつ必要な物資を大胆にもセブンスターズの活動の一環として理事長に請求したりもした。

 

 それが今日、遂に叶う。あとは()()()として七精門から洩れる三幻魔の力を規定値まで蓄えるだけ。だというのに、

 

「何故っ!? 七精門から洩れる力は確かに検知している。長い時間をかけて力の流れを調べ、今日僅かに流れをズラす事でこの城に自動で流れ込むように調節もしたわ! 邪魔な鍵の守り手やバランサーが祭りにうつつを抜かしている今が絶好のチャンスだというのに、何故想定よりも力の溜まりが遅いのっ!?」

 

 まるで流れる途中で誰かに()()()でもされているような。そう考えた時、カミューラはハッとした。

 

(まさか自分と同じように、この機に乗じて三幻魔の力を利用しようと企んでいる者が!?)

 

 何せ自分がそうなのだ。同じ事を考える者が居ても何ら不思議ではない。そうと分かればカミューラの行動は早かった。

 

「行きなさい我が僕達よ。何か異変が無いか調べておいで!」

 

 早速僕たるコウモリ達を操り、城から七精門までの力の流れを逆に辿らせる。それからしばらく経ち、

 

 キイキイ。

 

「さあおいでなさい。何を見たのか私に教えてちょうだい。……これは!?」

 

 早速戻ってきたコウモリの一体と感覚を同調する。そしてコウモリが見聞きした事柄がカミューラの頭に流れ込んだ。それは、

 

 

 

 

『なんだこのコウモリ達は? シッシッ! 私が気持ちよく力を蓄えているのを邪魔するんじゃないっ! 何とかしろヘルパー!』

〈ピピっ! 了解〉

 

 よりによって七精門の真上に陣取る西洋風の人形と、コウモリ達を身体から突き出たアンテナから発する音波で追い散らす白い機械の姿だった。

 




 という訳で裏で互いにエネルギーの取り合いをしていたネクとカミューラでした。

 ちなみに国崎さんについては独自設定です。原作では別れる時あんなにカッコいい事を言っているのに、その後一切登場していませんからね。

 出てはいないけど個人的に各地で情報を集めていたのではないかと考え、今回を機に遊児に託すという流れになりました。
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