マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 注意! 途中で視点変更があります。軽度のキャラ崩壊があります。少し話は短めです。


女吸血鬼は頭を悩ませる

 ◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「さ~て。イエロー寮に着いたは良いのだが」

『ネクちゃんもヘルパーちゃんも居ないね』

 

 はぐれた二体を探してここまでやってきた俺達だが、ここまで一向に姿を見かけなかった。さらに言えば、ブルー寮からレッド寮に向かっている筈の葬儀さんや雪の女王とも会っていない。

 

 一応俺が持っているカードからそれぞれに呼び掛けることは出来るのだが、困ったことに会話は出来ても居場所までは分からない。おまけに何故かさっきから電波障害のような状態になっていて、ヘルパーに至っては通信自体が困難だ。

 

「どう考えても厄介事の気配がするんだよな。ネクも一緒だし」

『心配だね。どこ行っちゃったんだろう?』

 

 カタカタ。

 

 さっきからレティシアも悲しげだ。笑顔を大事にするレティシアにしては珍しい。ポンポンとテディが片手で俺にしがみつきながら、もう片方の手でレティシアの背を擦っている。

 

 半透明の罪善さんも柔らかな光をレティシアに当てて慰めているようだ。

 

「大丈夫。すぐ見つかるさ! 今下手に手分けするとまたはぐれそうだし、ひとまずもう一度屋台を一から周って……んっ!?」

 

 話している途中、俺の持っている携帯パッドにメールが入った。こんな時に一体誰だろう? 何の気もなく画面を開くと、

 

 “緊急事態”。

 

 という題名で、カミューラから急な召集の連絡が書かれていた。ああもうこの忙しい時にっ!? 一体どうしたってんだ?

 

 大慌てでバランサーの衣装を調達(またふらっと現れたディーが部屋から取ってきた)し、森の中で着替えつつ守護者である大鳥と合流。

 

 審判鳥と罰鳥はそれぞれレッド寮とイエロー寮に残し、俺達は比較的ブルー寮に近い島の湖。つまりカミューラの待つ城へと向かう。

 

 そこで俺達を待っていたのは、

 

 

 

 

「待っていたわよバランサー」

『これは……一体どういう状況だ?』

「どういうって……バカな人。見れば分かるでしょう? ()()()()()()()()よ」

 

 何故か城の一室にて、先に帰った筈の明日香とカイザー、吹雪と一緒に紅茶を嗜むカミューラ達の姿があった。

 

 いやホントにこれどういう状況!?

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 時間はカミューラがコウモリ達を通してネク達を発見した時まで遡る。

 

「何なのよ。一体何なのよアレはっ!?」

 

 カミューラも訳の分からない事態に頭を悩ませていた。何か妙だと探らせてみれば、よりによって七精門の真上に妙な人形と機械が陣取っている。

 

 コウモリ越しに調べた結果だが、どうも三幻魔の力をこの城に流れる途中であの二体。正確に言えば人形の方が吸い取っている。そのせいで城に流れ込む頃には力が想定より大分減ってしまっているのだ。

 

 ならあの二体を排除する手だが、厄介な事にアレは精霊だ。しかもどちらも実体化出来るほどの格があり、おまけに場所が最悪。例えるなら無尽蔵に力が湧いてくるスポットなので、下手に戦えばこちらも相当の損耗を覚悟しなければならない。

 

 そしてトドメの一手として、

 

「人形はともかくあの機械の精霊……確かバランサーが使っていたわね」

 

 これまでのコウモリ達による地道な調査。その中でバランサーがあの機械のカードを使用したデュエルがあった。つまりは下手に手を出せば、バランサーにこの一件がバレる可能性がある。そうなったら確実に邪魔をされるだろう。

 

「……仕方ない。忌々しいけどひとまずここは様子見ね」

 

 これまで練りに練った策を邪魔されたのは良い気分ではないが、まだ最悪の段階という訳でもない。想定より少ないとはいえ元の量が量だ。時間を掛ければいずれは規定量に達するだろう。

 

 これ以上動いて邪魔者、バランサーや鍵の守り手に勘づかれないよう今は静かに待とうと、祝杯用に用意しておいたワインを景気づけに開けてグラスに注ぐ。その時、

 

 キイキイ!

 

 先ほどとはまた別コウモリが一体戻ってきた。そういえば念の為城の周囲も見張らせていたのだと、カミューラも今になって思い出す。

 

「あら? ……ああ。さっきの邪魔者の衝撃が強くて忘れていたわ。さあおいで。何があったか見せてちょうだい。まあ流石にさっきのより酷いものは出ないでしょうけど」

 

 カミューラは余裕をもって優雅にワインを口に含みながら感覚を同調し、そのまま見た内容にワインを吹き出しそうになった。

 

「なっ!? ()()()()()()()()()()()()()()!?」

 

 そこに見えたのは鍵の守り手たる天上院明日香。そして資格こそもうないものの元守り手のカイザーこと丸藤亮に、元セブンスターズのダークネスこと天上院吹雪だった。

 

 

 

 

 これはただ間が悪かったとしか言いようがなかった。

 

 コスプレデュエルの途中でブルー寮に戻ろうとしていた明日香と吹雪。そして二人を送っていく事になったカイザー達。だがその道中で、明日香が三人の思い出の場所である湖に寄って行こうと提案したのだ。

 

 勿論中等部の頃からここで暮らしていた三人だ。思い出の場所は幾つもある。だが先ほどの大会で少し気分が浮き立っていた事。丁度昔の様に三人揃っていた事。その内の一つが場所的に近かった事等の偶然が重なり、三人は湖に足を運ぶこととなった。

 

 しかし来てみれば湖は霧に覆われ、よく見れば一糸乱れぬコウモリの大群が流れとなって霧の中に入っていく。これはおかしいと少し調べてみた結果、霧を抜けた先で明らかに怪しい中世風の城を見つけてしまったという訳だ。

 

 霧だけなら自然現象で誤魔化すことも出来ただろう。だが偵察の為にコウモリを大量に放ったのが完全に仇となった。

 

 それに鍵の守り手達は以前、タニヤが数日で巨大闘技場をこっそり建築していたのを知っている。そこから連想すれば、この城もセブンスターズ絡みであるとすぐに分かるだろう。

 

「マズいわね。普段ならともかく今はマズいわ」

 

 無論カミューラとてセブンスターズの一人。腕に覚えはあるし、真っ向勝負で負けるとは思っていない。そして事前に各メンバーのデュエルを分析し、デッキもコウモリ達に探らせているので情報戦でも負けるつもりはない。

 

 しかしいくらなんでも残っている鍵の守り手を全員相手取るのは不測の事態が起きかねないし、三幻魔の力が規定値に達するまでは()()()()()()()も動かせない。

 

 幸いな事にこの霧の中、及び力の流れに沿う地点では城主の許可がない限り通信が阻害されるように調整してある。しかしこのまま戻ってこの城の事を知らされれば厄介だ。

 

「こうなっては力が規定値に達するまで時間を稼がなくては。何か…………仕方ない。僕達よっ!」

 

 カミューラはコウモリ達に命を下すと、ゆっくりと部屋を出る。城の主人として来客を出迎える為に。

 

 

 

 

 一方その頃。

 

「一体……ここは?」

「兄さん。私から離れないで」

「……ああ」

 

 明日香達三人は、大量のコウモリ達に誘われるように城の中に入っていた。

 

 いや、明日香にしてもカイザーにしても、吹雪の事もあるので一度この場を離れようとはした。しかしその前にコウモリの大群に退路を阻まれ、半ば無理やり城に招かれたのだ。

 

 入ってみれば城の内部は実に絢爛。床も壁もピカピカに磨かれ、レッドカーペットが入り口から階段まで伸びている。……整備をしているのが大量のコウモリ達だというのがアレだが。

 

 言ってみれば、この城は()()()()()。勿論生物学的意味ではなく、正しく城主がその城に在り、使われる事でより深みを増す類の物だ。

 

 キイキイ。キイキイ。

 

 目を見張る明日香達の前で、急にコウモリ達がレッドカーペットの両脇に列を成す。それは入口より来たる客人達を出迎えるようにも、

 

 

「あらあら。珍しいお客人ね。鍵の守り手達と懐かしのダークネス。ようこそ我が城へ。城主として歓迎するわ」

 

 

 ゆっくりと優雅に階段を降りる主人に敬意を表するようにも見えた。

 

「アナタは?」

「私の名はカミューラ。誇りあるヴァンパイア一族の最後の一人にして、この城の城主。そしてセブンスターズの一人。本来なら出会ったが最後即決闘なのでしょうが……」

 

 カミューラはそこまで言うと、くるりと明日香達に背を向けて軽く流し目を送る。それは並の男であればそれだけで魅了されるような魔性の笑み。

 

「フフッ。城主としては客人をもてなさないのは無作法というもの。バランサー(審判役)が到着するまでの間、お茶でも如何かしら?」

 

 

 

 

 優雅な女吸血鬼の時間稼ぎが始まった。




 緻密な策ほどただの間の悪さで崩れるものです。

 今回は緊急アンケートを実施します。期限は短めで次話、来週までを目安にしています。

 大筋は既に決まっていますが、追加でそういうシーンを追加するかもしれません。これだと思う答えを回答していただければ幸いです。

ズバリ。カミューラと戦うとしたら誰?

  • やはり主人公でしょ! 遊児(バランサー)
  • 原作通りなら……。 十代
  • 原作を越えろっ! カイザー
  • 原作なんか気にしねえっ! 吹雪
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