マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様 作:黒月天星
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さ~てどうしたものか。
俺がコウモリ達に通された部屋では、明らかに臨戦態勢ですよって感じの明日香、カイザー、そしてやや虚ろな表情の吹雪がカミューラと向かい合っていた。
『緊急招集を受けて急行してみれば、まさか茶会のお誘いか? それにしては茶菓子がないのは寂しいな。言ってくれれば学園祭で何か買って来たんだが』
「ふん。まあそれだけなら実に平和でしょうねぇ。だけど残念。調整役兼審判役としての仕事よ」
軽くおどけて尋ねるが、カミューラは皮肉気にそう切り捨てる。まあ分かってたけどな。ティーパーティーというには些か雰囲気が物騒だもの。
そこからカミューラに事の次第を聞いてみると、今日は戦う気は無かったが偶然この居城が明日香達に発見されてしまったらしい。
まだ迎撃態勢が整っていなかったカミューラは、他の鍵の守り手がやってくる前に慌ててこの三人を確保。しかしいつまでもこのままにしておく訳にもいかず、仕方なく審判役を呼ぶハメになったとか。
このカミューラの性格なら、審判役なんか知った事かとばかりに動いてもおかしくない。しかしわざわざ俺を待った。何の為に? ……まあ良い。今は審判役としての仕事を果たす時だ。
『事情は分かった。調整役として本来ならこんな急なデュエルは避けてほしいが、今回は状況が状況だ。審判を務めよう。場所はどうする? ここで行うのか?』
「いえ。ここじゃ少々手狭ね。大広間まで移動するとしましょう。異存は無いわよねぇ? アナタ達」
「……良いわ。ここまで来たらもう兄さんを連れて城を出るより、バランサーの前でカミューラ。貴女を倒した方が早い」
明日香は力強く宣言し、カイザーは何も言わずに頷く。察する所明日香は吹雪の事が気にかかっているようだが、それが勝負にどう影響するのやら。
そうしてカミューラの先導でやってきたのは、城に入ってすぐの所にある広間。
そこで今回戦う二人。明日香とカミューラが向かい合って立つ。……おっと。忘れていた。
『そう言えば、他の鍵の守り手に誰か連絡したか? 急な話だったのでこちらはまだ連絡していないのだが』
「いいえ。私はしていないわ」
「俺もだ。その前にカミューラに城に招かれて、城の中からは何故か通信機器が不調になっている」
通信機器が不調? ……カミューラが何かしたか? そう思ってカミューラを見ると、何も言わずにただニヤニヤと嗤うのみ。さしずめ他のメンバーを来させない為の妨害か。
「別に観客が必ずしも要るって訳でもないわよねぇ? ……まあ気になるというのなら、今から呼び掛けて来るまで待つ? 私は構わないわよ。それなりに時間がかかるでしょうけど」
時間……ねぇ。わざわざ俺が来るまで待って、なおかつ他のメンバーが来るのを待つ。時間稼ぎか、或いは別の目的があるのか。ただ、
『いや。どうやらもうその心配はないらしい。見ろ』
俺はその言葉と共に広間の入り口を指差す。そこには、
「お~! 何だよ。もう始まってんのか」
「天上院君っ! 無事かっ!」
真っ先に駆けこんできた十代と万丈目を始め、三沢、クロノス教諭の姿があった。皆してコスプレを止めて普段着だ。それを見てカミューラはあからさまに顔を歪める。
「貴方達っ!? 連絡もしてないのに良く来たわね?」
「おうよ! なんかネク……俺の友達の友達から、湖にセブンスターズが現れたからたまにはこっちから攻め込んでみたらどうだって聞いたからな! それで早速近くに居た万丈目や三沢、クロノス先生に声をかけてやって来たって訳だ!」
「心配したぞ天上院君。連絡を取ろうとしても君とカイザー、大徳寺先生に繋がらず、これは真っ先に突撃したのかと思い慌ててやって来た。ああ心配しないでくれ。コスプレデュエルの方は翔や隼人等に任せてある。司会をあの響紅葉プロが買って出てくれたんだ」
二人はそんな事を言っているが、何やら聞き逃せない単語が出てきたんだけど。何でネクがわざわざ十代にそんな事を? あと響さんになんて事させてんだっ!? おまけに大徳寺先生に連絡が取れないとは一体?
「……まさかあの人形っ!? こちらの動きに勘づいて邪魔をっ!? 忌々しい」
ぽつりとカミューラもそんな事を言っている。こっちはこっちでネクと何かしら因縁があったのかもしれない。しかしこれで妨害工作はあまり意味が無くなったな。
「まあ良いわ。ここまで人が集まってしまったのは誤算だったけど、どのみちあと僅かの事。……さあ。デュエルを始めるとしましょう」
気を取り直すように言うカミューラに対し、明日香もまた構えを取って両者デュエルディスクを展開する。ちなみにカミューラの物はコウモリの羽を模した特注品だ。
『宜しい。では最終確認だ。セブンスターズ側からはカミューラ。鍵の守り手側からは天上院明日香。戦うのはこの二人で間違いないな?』
「ちょっと待つノ~ネっ! 生徒を危険な目には遭わせられませン~ノっ! ここはこのクロノス・デ・メディチが」
「いや。ここはこの万丈目準がっ!」
「おっ!? 立候補アリかっ! じゃあハイハイ! 俺がやるっ!」
おっと。ここでクロノス先生と万丈目、十代と残る鍵の守り手は全員立候補か。だが、
「いいえ。やるのは私。貴方達全員もう一回ずつ戦っているじゃない。今度は私の番。……もう見てるだけなんて嫌だから」
「あら? チェンジは無し? ……まあ私としてもそこの元気いっぱいの坊やは苦手だし、クールぶって実は熱いなんて子も大っ嫌い。残る一人は顔で論外。という訳でまだアナタの方が幾分かマシだけどね。そこのカイザーがまだ選べるなら好みだけどそうもいかないし」
明日香はふるふると首を横に振り、カミューラも十代達を一目見て軽く手をしっしと振る。存外タニヤ並に好みにうるさいらしい。あとまた顔で弾かれたクロノス先生は泣いていい。
『では双方前へ。デュエルが始まる前に何か言っておく事は?』
「こちらは無いわ。相手がどんな手で来ようと、ただ全力で戦うだけ」
「ではこちらからは一つ。私はこれまでのセブンスターズ。ダークネスや筋肉女、アビドス三世、タイタンのように甘くないわ。当然
端的に終わった明日香に対し、カミューラはそんな事を言って胸元から手のひらサイズの人形を取り出す。こうやってプレッシャーをかけるカミューラお得意の盤外戦術か。
「これでも私はコレクターでね、そうして魂を込めたお人形を作ってコレクションするのが趣味なの。アナタの魂はどんなお人形になるのかしらねぇ?」
「どうかしら? 私が勝つのだからそんなこと気にする必要はないわね」
「へぇ。……生意気な」
怖ぁっ!? 二人して口元は笑っているのに目が笑ってない。火花バッチバチじゃんっ!?
二人の圧にあてられたか、男性陣は皆冷や汗をかきながら後退る。至極正しい判断だ。俺も正直逃げたいが、審判役だから最後まで残らなきゃチクショウ!
『で、では問題なさそうなので、デュエル開始の合図は二人に委ねよう。両者健闘を祈る』
ここから先は女の戦い。男の出る幕はない。
「「デュエルっ!!」」
カミューラ LP4000
明日香 LP4000
「まずは私のターン。ドロー」
「あら? さっさと自分から先攻を取りに行くだなんて、余裕がないのかしら?」
「アナタが遅いだけでしょう? 私は手札から『不死のワーウルフ』を攻撃表示で召喚。カードを1枚伏せてターンエンド」
不死のワーウルフ 星4 アンデット ATK1200
いきなり互いに舌戦をかましながら、カミューラは全身毛むくじゃらの狼男と伏せカードを出してターンエンド。だけどあんなモンスター見た事ないぞ。アニメオリジナルか?
「不死のワーウルフ。確か戦闘で破壊された時、デッキから同名カードを攻撃力を500上げて特殊召喚する厄介なカードだったわね」
「ふふっ! お嬢さんにしてはよく勉強しているわね。そう。我ら吸血鬼、及び不死者たるアンデットは不滅。破壊されても何度でも蘇るわ」
成程リクルーターか。攻撃力を上げて出てくるとは面倒な。しかし、それだけなら対応策はある。
実際明日香も口では厄介と言ってはいるが、別段焦った顔もしていない。
「私のターン。ドロー。確かにワーウルフは戦闘破壊したら強くなって蘇る厄介なカード。だったら……
サイバー・チュチュ ATK1000
そう来たか。明日香の場に現れたのは、短いスカートを穿いたバレリーナ。このカードの効果は、
「ふっ。可愛らしい子が出てきた事。我が僕の餌にでもなりに来たのかしら?」
「いいえ。戦う為よ。バトルっ! サイバー・チュチュの効果。相手フィールド上に存在する全てのモンスターの攻撃力がこのカードの攻撃力よりも高い場合、直接攻撃出来る! 『ヌーベル・ポアント』」
サイバー・チュチュはくるくると回転しながら迎撃しようとするワーウルフをすり抜け、そのままの勢いでカミューラに回し蹴りを叩き込んだ。
カミューラ LP4000→3000
「くっ!? この女」
「私はカードを1枚伏せてターンエンド。クスッ。サイバー・チュチュの効果も知らないなんて、お勉強が足らないんじゃない? 吸血鬼さん」
痛みに怒りの目を向けるカミューラに対し、明日香はそう言って不敵に笑った。
だから怖いんだって二人共っ!?
という訳で明日香対カミューラ戦開幕です。
なんだかんだここまで戦いを先延ばしにしてきたカミューラですが、遂に戦いの場に出ます。当然原作で話題になった
この話までで面白いとか良かったとか思ってくれる読者様。評価を保留されている読者様。
お気に入り、評価、感想は作家のエネルギー源です。ここぞとばかりに投入していただけるともうやる気がモリモリ湧いてきますので何卒、何卒よろしく!
読者様からの推薦など泣いて喜びますよ!