マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

167 / 280
 注意! 今回軽度のキャラ崩壊があります。

 私の知っている明日香さんはこんなのじゃないと思われる方は、この話だとこんな感じですと温かく見守って頂ければ幸いです。


明日香対カミューラ その二 二人のプリマ

 

 カミューラ LP3000 手札4 モンスター 不死のワーウルフ 魔法・罠 伏せ1

 明日香 LP4000 手札4 モンスター サイバー・チュチュ 魔法・罠 伏せ1

 

 

「良いぞ~明日香っ! 先制パンチが決まったぜ!」

「ワーウルフを戦闘破壊したら攻撃力を上げて再び現れる。ならば戦闘をせずに直接攻撃に打って出るとはやるな」

 

 十代達からの声援に、明日香は軽く手を上げて応じつつカミューラから目を離さない。

 

 そう。初撃こそ決まったとはいえ、カミューラの場は未だ健在。まだまだ油断はならない。

 

「よくもやってくれたわね。私のターン。ドロー。……私は手札から『ヴァンパイア・バッツ』を攻撃表示で召喚!」

 

 ヴァンパイア・バッツ 星3 アンデット族 ATK800

 

 カミューラが呼び出したのは、さっきから周囲を飛び回っているコウモリに似たモンスター。しかしまたアニメオリジナルかよ。

 

「このカードが場に居る限り、私の可愛いアンデット族の攻撃力は200アップする。わざわざ破壊されなくとも攻撃力は上げられるのよ」

 

 ワーウルフ ATK1200→1400

 バッツ ATK800→1000

 

「攻撃力の底上げね」

「バトル。不死のワーウルフでサイバー・チュチュに攻撃! その小娘を引き裂いておやりっ!」

 

 ワーウルフが主人の命に従い、少女に食らいつくべく吶喊する。だが、

 

「罠発動! 『ホーリーライフ・バリア』。手札を1枚捨て、このターン相手から受ける全てのダメージを0にするわ! そしてモンスターは戦闘で破壊されない」

 

 その爪と牙が少女に届く直前、光の壁が展開されてワーウルフを阻む。戦闘ダメージもないのでは攻撃しても意味がない。

 

「生意気な。私はカードを1枚伏せてターン終了。……だけど、もうその小娘の効果は使えないわ。こちらの場にはサイバー・チュチュと攻撃力の同じヴァンパイア・バッツが居るもの」

 

 カミューラは悔しそうに、しかしすぐに気を取り直してそんな事を言う。

 

 そう。サイバー・チュチュの効果はあくまで相手が自分より強くないと使えない。同じでは発動できないのだ。

 

「あら? 私がサイバー・チュチュ頼りのデュエリストだとでも思ったの? なら教えてあげる。私のターンっ! 私は魔法カード『強欲な壺』を発動! カードを2枚ドローする」

 

 明日香は更にカードをドローし、その瞳を僅かに細める。何か仕掛ける気か。

 

「私は魔法カード『融合』を発動! 手札の『エトワール・サイバー』と『ブレード・スケーター』を融合! 現れて! 『サイバー・ブレイダー』」

 

 サイバー・ブレイダー ATK2100

 

 明日香が手札の2体のモンスターを融合して呼び出したのは、目元をバイザーで隠した長髪の女性。

 

 サイバー・ブレイダー。これは実際に公式でもカードが出ているので俺も知っている。このカードの特殊な点は、相手の場のモンスターの数によって効果が変動する点だ。

 

「サイバー・ブレイダーの効果。相手の場のモンスターが2体の時、このカードの攻撃力は倍になる!」

「何ですってっ!?」

 

 サイバー・ブレイダー ATK2100→4200

 

 全身から闘気を迸らせるサイバー・ブレイダーが、バイザー越しに相手モンスターを睨みつける。

 

「私が知らないと思って? ヴァンパイア・バッツの二つ目の効果。戦闘及び効果で破壊される時にデッキから同名カードを墓地に送る事で身代わりに出来る。大方バッツとワーウルフで場を維持しつつ上級モンスターに繋げるつもりだったんでしょうけど、この高攻撃力でLPを削り切ってしまえば関係ないわ」

 

 今さりげなくヴァンパイア・バッツの壁役として有能な効果が明らかになったけど、事態は一気に動き出した。

 

 カミューラの残りLPは3000。サイバー・ブレイダーでヴァンパイア・バッツを攻撃すれば、いくら破壊を免れてもカミューラのLPは吹き飛ぶ。

 

「バトルよ。サイバー・ブレイダーで、ヴァンパイア・バッツを攻撃っ!」

 

 サイバー・ブレイダーが場を滑るように突進し、コウモリ目掛けてハイキックを叩きこもうとする。その瞬間、

 

「ふふっ。甘いわねぇお嬢さん。罠発動! 『妖かしの紅月(レッドムーン)』」

 

 クスリと笑うカミューラの場に、血の様に真っ赤に輝く月が浮かび上がる。

 

「妖かしの紅月。相手モンスターの攻撃宣言時、手札のアンデット族1枚を捨てる事で発動。攻撃を無効にし、攻撃力分のLPを回復する。ついでにその後バトルフェイズは強制終了になるわ。私は手札の『ヴァンパイア・レディ』を捨てて発動!」

 

 カミューラ LP3000→7200

 

 月から放たれる波動はサイバー・ブレイダーの攻撃を食い止め、代わりにカミューラに血の雨の様に降り注いでLPを回復させる。

 

「うぇ~。何だアイツ!?」

「まさしく吸血鬼だな」

 

 他の鍵の守り手が口々に言う様に、真っ赤な光を浴びて恍惚とするカミューラの姿はまさに怪物とされた吸血鬼に相応しかった。

 

「……ふぅ。ご馳走様。え~と何だったかしら? 高攻撃力でLPを削り切ってしまえば関係ない? ……()()()()()()()()()()()()()

「くっ!? 破壊耐性があるとは言えヴァンパイア・バッツを攻撃表示で出してきたのは、こちらが攻撃力を上げて一気に削ろうとするのを読んでの事だったと?」

「まあ、そういう事ね」

 

 クツクツと嗤うカミューラに、まんまとしてやられた形の明日香が悔しそうな顔で唸る。

 

 しかし妙だな。明日香はこれまで一回もセブンスターズとの戦いに立っていない。なのに何故ここまで明日香の動きが読め……まさか!?

 

『カミューラ。お前まさかとは思うが不正行為はしていないよな?』

「失礼ねバランサー。私もデュエル中にそんな事はしないわよ。……ただ、()()()()()()()()()()()()()()()のは反則じゃないわよねぇ?」

『……成程。そっちか』

 

 一応の確認として声をかけると、カミューラは悪びれない態度でそう返す。

 

 確かにカミューラはこれまでコウモリを介し、俺や鍵の守り手達の動きを探っていた。その際学園での授業のデュエルなども調べていたのだろう。

 

 直前にデッキを組みかえる事もあるし確実にではないが、動きや構築の癖みたいなものはバレていると見た方が良い。そしてさっきのサイバー・ブレイダーは明日香のデッキのエース。当然対策もしているという訳か。

 

「汚いぞ! 正々堂々デュエルしろっ!」

「正々堂々? 虫唾が走る言葉ねぇ。私は勝つ為に全力を尽くしているだけ。準備不足で勝手に喚いているんじゃないわよ坊や」

「バランサー。これは不正には当たらないのか?」

『……グレーゾーンと言った所か。デッキを直接覗く現行犯ならともかく、以前デュエルを見てそれを元に対策しただけであれば反則には当たらない』

 

 憤慨する十代を横に万丈目が確認してくるが、相手の出方を読んで対策する事自体は罪じゃないしな。対策がダメって言うならそもそもサイドデッキの存在もダメになる。

 

「さあお嬢さん。バトルフェイズは終わったけどまだそちらのターンよ。やる事がないならさっさとターンエンドしなさい」

「……私はカードを1枚伏せ、サイバー・チュチュを守備表示に変更。ターンエンドよ」

 

 カードを伏せた事で、明日香はこれで手札を使い切った。手札消費の激しい融合を使って一気に決めに行こうとしたからだ。

 

 しかしまだ明日香の場には攻撃力4200のサイバー・ブレイダーが居る。大幅にLPを回復したカミューラではあるが、場だけ見れば優勢なのは明日香の方だ。

 

 さて。ここからどう動くか。

 

 

 

 

 カミューラ LP7200 手札3 モンスター 不死のワーウルフ ヴァンパイア・バッツ 魔法・罠 伏せ1

 明日香 LP4000 手札0 モンスター サイバー・ブレイダー サイバー・チュチュ 魔法・罠 伏せ1

 

 

 

「では私のターンね。ドロー。……さあどうしましょうか? サイバー・チュチュを引き裂くのは簡単だけど」

 

 カミューラはそこでサイバー・ブレイダーの方をチラリと見る。

 

「返しのターン。下手に攻撃表示のままでいればそちらのモンスターの餌食。折角回復したLPも大分削られてしまうわね」

「何が言いたいの?」

「ええ。だから私こう思ったの。()()()()()()()()()()()()()()()()()()ってね。フィールド魔法発動! 『不死の王国-ヘルヴァニア』っ!」

 

 カミューラのカードの発動と同時に周囲の景色が切り替わる。

 

 そこは荒れ果てた大地。そしてその中に静かに佇む中世風の城。……ってこの城じゃんっ!?

 

「ヘルヴァニアっ!? 禁断のフィールド魔法なノ~ネっ!?」

「ふふっ。禁断ねぇ。まあ禁断であって()()じゃないのよね。その証拠に、この通りデュエルディスクはしっかりと認識しているわ」

 

 クロノス先生が恐れ慄いているが、これもまた俺の知らないカードだ。カミューラアニメオリジナルのカード多いなっ!

 

「あのカードが禁断と言われる由縁。それは毎ターン手札のアンデットを1枚墓地に送る事で、()()()()()()()()()()()()()()()凶悪さから。発動ターンプレイヤーは通常召喚を行えないデメリットはあるが」

「アンデットはそもそも墓地からの復活を得意とするカード。召喚制限なんて大したデメリットにもならないのよねぇ。クスクス」

 

 カイザーが補足説明してくれるが、成程それはえげつない。

 

 実質アンデット使いにとって、モンスターを捨てる度に毎ターンブラックホールが発動するようなものだ。おまけに制限も非常に軽い。制限があるから禁止ではないという考えだろうけど、確かにこれはこの時代において使うのを自重して欲しくもなる。

 

「これで薙ぎ払ってしまえば、あとはこちらの破壊耐性のあるヴァンパイア・バッツだけ。手札も場も空っぽのお嬢さんなど赤子の手を捻るようなものですものねぇ。オ~ッホッホッホ!」

 

 カミューラはそこで余裕の高笑い。確かにこれが決まれば戦況はほぼカミューラに傾く。だが、

 

「フィールド魔法発動にチェーンして速攻魔法発動! 『プリマの光』」

「ッホッホッ……何?」

「知っているかしら? 始まりは誰もが見習いよ。だけど舞台に立ち続け、自らを磨き続けた時、見習いはいつか輝かしい主役(プリマ)となるわ。プリマの光の効果。サイバー・チュチュを墓地に送り、手札から『サイバー・プリマ』を特殊召喚する!」

 

 サイバー・プリマ ATK2300

 

 発動と共にサイバー・チュチュが光に包まれ、光が収まった後にそこに立っていたのは仮面を着けた立派な主役だった。だが、

 

「はっ! 今さら攻撃力が上がろうが、ヘルヴァニアの効果でまとめて……なっ!?」

 

 カミューラは唖然とする。何故ならヘルヴァニアが崩壊を始めていたからだ。

 

「サイバー・プリマの効果。このカードが召喚、()()()()に成功した時、場の表側表示の魔法カードを全て破壊する。プリマが立つ舞台には、こんな荒れ果てた場所は相応しくないから代えさせてもらうわ」

 

 明日香が淡々と語る中、遂にヘルヴァニアは完全に崩れ去って周囲は元のホールに戻る。

 

 ちなみにサイバー・プリマは現実では生け贄召喚の時のみ効果が発動する筈だが、これもアニメ版の効果らしい。

 

「おのれぇ。よくも私のヘルヴァニアを」

「高笑いなんてしている暇があったら早く効果を使えばよかったのに。それにしても……」

 

 明日香はそこで一度言葉を区切り、

 

「相手の情報を調べてからでないと戦えず、折角の禁断のカードも調子に乗ってこの有り様。貴女……策士としてはともかく()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「……っ!?」

 

 それはまるで、吸血鬼の心臓に杭を打ち込むように。

 

 孤高なるオベリスク・ブルーの女王は、二人のプリマを従えて言葉でカミューラを貫いた。

 




 という訳で明日香対カミューラ その二です。

 しかしカミューラの代名詞であるアレの影に隠れがちですが、ヘルヴァニアも十分この環境ではぶっ壊れなんですよね。毎ターン手札1捨てのブラックホールって。

 他にも現環境でも使えそうな強カードが割と多いし、決してデッキは弱くはないと思うんですよね。カミューラのプレイングがやや粗いだけで。

 次回はいよいよあのカードが登場します。お楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。