マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様 作:黒月天星
ファラオなんか完全にノリで入れたのにわりと票が集まってるし。
次回は……調子が良ければ明日ですかね。
十代と翔が退学っ!?
慌てた隼人からのその言葉を聞いて、真っ先に思い浮かんだのは原作のとある場面。十代が自らのデッキを、翔が自身の退学をかけて本気で戦った序盤の山場だ。
その時は十代が勝ったが、翔の退学の理由がクロノス教諭の早とちりにあったことで退学を免れるという流れだった。
もしやその時がついに来てしまったのかと最初は考えたのだが、よくよく話を聞いてみると少し事情が違っていた。
まず事の発端は今日の朝、十代達の部屋にこの学園の倫理委員会が乗り込んできたことから始まる。倫理委員会っていうと……あれかっ! 朝レティシアを探していた時にすれ違ったゴツイ車っ! どうやらあれがその倫理委員会だったらしい。
そうして査問委員会に出頭させられた十代と翔だったが、その罪状は昨日立ち入り禁止の特待生寮に入って内部を荒らしたこと。それによって当初退学させられそうになったが、学園側の用意した選手との制裁タッグデュエルに勝てば退学は取り消しになるという。
「流石デュエルアカデミアというか、生徒の処分までデュエルで決めるか普通?」
「それがこの学園なんだな。……それで俺はその処分が納得いかなくて、さっき校長先生の所に直談判しに行ったんだな」
意外と友達思いの所があるな隼人! だが、隼人と途中から来た明日香が校長に直談判したものの、結局査問委員会で決まったことなので処分は変えられないと断られたらしい。
二人して自分が十代とタッグを組むと言ったらしいが、翔そこまで弱いかね? もちろんタッグと個人戦は勝手が違うが、翔もうっかりミスさえ何とかすれば結構強いと思うんだけどな。
さて、ここまで話を聞いてみた所、俺の中にいくつかの違和感が浮かび上がる。
一つ目は連行されたのが十代と翔の二人だけだったという点。寮の中に入ったというのなら、隼人や明日香、一緒にではないが俺もそうだ。なのに十代と翔
次にいくら何でも昨日の今日で対応が早すぎるということ。寮に入ったのは夜中、ことが片付いたのは実質今日だ。つまり入った時点で誰かから連絡がいくぐらいじゃないとこんな早い対応は出来ない。
しかし、寮に入る所を目撃しているぐらいならそのまま乗り込んで注意の一つでもすれば良い話だ。それにむしろ侵入者であるタイタンの方が連絡がいきそうなものだ。
三つ目はいくら何でも罪に比べて罰が重すぎるという事。無論立ち入り禁止地区に入ったのだからペナルティがあるというのは納得できる。しかし問答無用で退学というのはいくら何でも重すぎる気がする。
そして最後はもう言うべくもないが、
原作では十代と翔が戦う流れのはずなのに、なんで二人のタッグデュエルって話になってるんだよっ!?
最近本当に俺の知らない流れが多い。元々描写されていない事件が多かったのか、もしくは俺の存在が本筋に影響を与えているというのだろうか? この調子だと原作知識がまるで当てにならなくなりそうだ。
とにかく二人の様子を見に行くべく、俺は授業を早めに切り上げて隼人と共に部屋に向かった。
「僕なんかじゃダメだぁ~っ! 絶対負けて退学だ。隼人君。僕と変わってくれよぉ」
そして扉を開けるなりこれだよ。翔は戦う前からこの調子で、隼人に選手は代えられないと諭されている。
「ふむ。俺が少し朝の散歩で出ている間に、随分とまあ厄介なことになったな」
「ホントっすよ! ……今からでも遊児君と代わってもらえたりしないかな?」
「さっき隼人も言ったけど、選手自体は十代と丸藤君に決められてて変更は不可らしい。こっちは応援くらいしか手が出せないな」
「そんなぁ」
翔は隼人にくっついたまま悲痛な表情を浮かべる。隼人がコアラだとしたらくっつかれる側じゃないかいそれは?
「心配すんな。勝ちゃあ良いんだろ? 勝ちゃあ?」
対して十代は平常運転。いつもの調子でデッキを見直している。もしやタッグデュエルの経験でもあるのかと思ったが、経験は無いけど無いから面白いんじゃないかと素で返してきた。
「まだお前のデッキの特性何にも知らないからな、まずは腕試しにデュエルといこうじゃねえか!」
単にお前がデュエルしたいだけだろと言いたかったが、まあタッグパートナーのことを知るために一試合するのは間違っていない。
こうしてまだ翔はどこか浮かない顔ながらも、早速寮の裏手の海岸で二人でデュエルする事になった。これは一応原作通りになった……と言うべきなのだろうか?
「……また翔のうっかりが出たっぽいな」
二人のデュエルが始まった訳だが、いつの間にかやって来た明日香とファラオも加えて三人と一匹で観戦。ただし俺だけは別の離れた所から観戦だ。何故なら、
『そうみたいだねぇ。今のタイミングなら、パトロイドの効果で十代の伏せカードを確認してから攻撃した方が良かったかもね。……結果は変わらないにしても、相手の行動が分かってるかどうかは気持ちに差が出るから』
カタカタ。カタカタ。
『よく分からないけど、あのモンスターさんは赤くピカピカ光ってて可愛いと思うの』
俺の傍で、ディーと幻想体達が一緒に観戦してるからだよっ! ヘルパーだけはおとなしくカード状態で待機しているが、ついいつもの調子で喋りかける所を誰かに見られたら完全に不審者だからな。少し離れた所から二人のデュエルを見守る。
しかし前に戦った時もそうだけど、今日は特に翔の動きが悪いな。
翔の攻撃を罠で回避した後、返しのターンで十代が反撃。パトロイドを破壊され、なおかつ直接攻撃を受けただけで翔が戦意喪失しかける。
何とか隼人からの声援で気力を取り戻したものの、次のターンに強欲な壺で2枚ドローした瞬間動きが急に止まった。
『おやおや~? 何か思い入れのあるカードでも引いたみたいだね』
「さてな。……おっ! 長考はそろそろ終わりみたいだな」
翔が発動したのは融合のカード。俺に月一テストでやったように、手札のジャイロイドとスチームロイドを融合し、スチームジャイロイドを融合召喚して十代のモンスターを撃破する。良い感じだぞ!
しかし、翔の善戦はここまでだった。十代の出したサンダー・ジャイアントによってスチームジャイロイドは破壊。モンスターの総攻撃を受けてLPを削り切られてしまう。
「ガッチャ! 翔。面白いデュエルだったぜ」
「やっぱ僕ダメだ。タッグデュエルに勝つなんて無理だよ」
そう言って落ち込む翔に歩み寄ると、十代は先ほどのドローが少し気になったのか翔の手札を勝手に見てしまう。終わったからといって他人の手札を勝手に見ないようにな十代。
どうやら翔の手札にはパワー・ボンドがあったらしい。これを使えば召喚されたモンスターの攻撃力は2倍となる。勿論反動は大きいが、上手く使えば場を制圧できるカードだ。何故これを使わなかったのかと問う十代だが、
「やっちゃダメなんだ! お兄さんから封印されているカードなんだ。……やっぱり、僕じゃアニキとタッグを組むなんて無理なんだよぉ」
そう言葉を残して、翔はどこかへ走り去ってしまう。隼人も翔を追って走り出した。
『う~ん! こういうのは見ていて実に良いよね! 成長途中だからこそのこの葛藤。これは子供過ぎても大人過ぎても見れないモノさ! ……そうは思わないかい?』
「俺はお前ほど悪趣味じゃないんでね。……さて、どうしたもんか」
俺はディーにぴしゃりと言いながら少し考える。
これが描写されていないけど原作に沿った流れなら、俺がわざわざ何か言わなくても勝手に翔はどうにかなって立ち直るだろう。もうどんどん流れが変わり始めている以上、これ以上首を突っ込んで流れを変えない方が良い。
ただ、もしとっくに修正しないとヤバいレベルで流れが変わっている場合、その時はむしろ積極的に動かないとどうにもならなくなる。今はどっちだ?
『ねぇ。遊児お兄ちゃん』
「……うんっ!? どうしたレティシア」
ふと気づくと、レティシアが精霊の状態で話しかけてきた。
『あの人、なんだか暗い顔してた。行ってあげようよ』
「えっ!? だ、だけどなぁ」
『あの人お友達なんでしょう? なら行った方が良いよ。……私は皆が笑顔でいてほしいの』
「…………そうだね」
俺としたことが、こんな肝心なことを忘れていたなんてな。
流れ云々じゃない。翔は同じ寮のメンバーで友人だ。一緒に食事もしたし、笑いあってバカな話もした。この前はグミも分けてもらったしな。そんな奴を放っておくわけにはいかないか。
カタカタ。カタカタ。
罪善さんは何も言わず(もともと口は利けないが)コクコクと頷く。
「ありがとなレティシア。罪善さんも。じゃあここは一つ。翔を追いかけるとしますかっ!」
『へぇ~! 関わっちゃうんだ? まあそれはそれで面白そうだ!』
ディーは相変わらず観客気分でそんな事を言ってる。観客だっていうのなら、少しはこっちにヒントぐらい教えてくれても良いのにな。
翌日。
コンコン。コンコン。
「……久城だ。入っても良いかい?」
「久城君っ!? ……どうぞ」
「失礼するよ」
授業が終わった後、俺は静かに部屋の扉を開けて中に入る。翔は……居た! 自分のベッドの中で、布団にくるまってうずくまっているな。
結局昨日、翔はあのまま自室に入ったっきり出てこなかった。後を追った隼人が言うには、ひどく落ち込んでいて今はそっとしておいた方が良いとのこと。なので一日おいて様子を見に来たのだ。
「調子は……良くなさそうだな」
一目見て分かるほど翔は落ち込んでいた。夢見も良くなかったのだろう。目の下にうっすらとクマが出来ている。
俺は
「まあ調子が悪い日もあるさ。今日はゆっくり休むと良い。……ほらっ! ドローパンだ」
「あ……っと」
昨日の夕食も今日の朝食にも翔の姿は見えなかった。あれから何も食べていないとすれば、そろそろ腹が減っていると思い見舞いのドローパンを投げ渡す。翔は軽くお手玉しながらもしっかりキャッチした。
「……わっ!? これ、黄金のタマゴパンっすよ! 本当に貰っても良いの?」
「それは縁起が良いな。タマゴなら栄養もあるだろう。……この前分けてもらったグミの礼だ。しっかり食べておきなよ」
「あ……ありがとう」
翔は最初は遠慮がちに一口、そしてそのままガツガツと食べ始める。やはり腹が減っていたらしい。聞けば黄金のタマゴパンは珍しいらしいが、黄金だろうが普通だろうがタマゴはタマゴだ。そこまでの差はないと思うのだが。あくまで縁起物だな。
翔は食べ終わると、何も言わず俺に深々と頭を下げた。これはべつにこの前のグミの借りを返しただけなんだけどな。
「あの……アニキ達の様子はどう?」
「ああ。十代は何やら張り切っているようだった。誰とかは知らないがデュエル申請書を用意してたな。隼人は……何やら気合の入った目でカードを見つめていたな」
ちなみに二人は当初翔と一緒に授業を休もうとしていたが、付き添いで休むというのは流石に認められない。翔が一人になりたがっていたということもあって、あまり授業に出ない隼人もほぼ無理やり出席させた。
「先に言っておくが、あの二人は二人なりに何かの行動を起こそうとしている。無理やり授業に行かせたのも俺だしな」
「……そっか。アニキ達は頑張っているんだな。……僕と違って」
「翔も頑張っているように思えるけどな」
俺が疑問に思ってそう言うと、翔はどこか自嘲するように笑った。
「やめてよ。……久城君も昨日のデュエル見てたんでしょ? 僕には才能が無いんだ。……だからお兄さんは、パワー・ボンドを」
「昨日もそんなようなことを言っていたな。良ければ……どうしてそんな事になったのか、話してもらえないか?」
今の翔の状態は、タッグデュエルによる退学の危機が発端だろう。しかしそれとは別に、昨日のあのパワー・ボンドのこともまた影響していると勝手に推測する。それぐらいあの時の十代に対しての翔の態度は尋常じゃなかった。
「…………分かった。久城君には黄金のタマゴパンのお礼もあるしね。その分だけ話すよ」
そうして翔は、過去にパワー・ボンドを封印されることになった事件をポツリポツリと話し始めた。
遊児黄金のタマゴパン二度目! 十代ほどじゃないですが、結構良い引きしてます。
どんどん増える違和感。しかしそれは流れに対しての違和感とは少し違うようです。
レティシアと組ませるとしたら誰?
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憎しみの女王(魔法繋がり)
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マッチガール(幼女と少女の境目)
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赤ずきんの傭兵(依頼人とボディーガード)
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キュートちゃん(可愛いは正義)
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幻想体じゃないけどファラオ(ほのぼの)