マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 さあ。ここからが本番です。


計画始動と集結する人外達

 

 ◇◆◇◆◇◆

 

 鍵の守り手とセブンスターズの戦う城の外。霧に包まれた湖に、人外の者達が集結しつつあった。

 

 キイキイっ! キイキイっ!

 

『騒がしい。静まるが良いっ!』

 

 キンッという高音と共に、周囲を舞っていたコウモリ達の大半が一瞬にして巨大な氷柱の中に閉じ込められる。完全な氷漬けではなく、中に空いた空洞の中に押し込められる形だ。

 

 それを成したのは言うまでもない。幻想体雪の女王(お忍びスタイル)である。

 

『ふむ。ご機嫌斜めといった所か。雪の女王』

『当然だ葬儀。妾の舌を唸らす良き甘味を供した故、祭りの催しに興じつつ喧伝するのはまだ許そう。だがこの妾に人形風情の捜索をさせるなど』

 

 憤慨する雪の女王と、それをまあまあと宥める死んだ蝶の葬儀。そして、

 

『それにその人形風情を見つけたからこそ、こうして大事になる前に動けたのではないか。なあ? 君はそうは思わないか? ()()

『は、離せぇっ! おいヘルパーっ! 何とかしろっ!』

〈ピピっ! ベビーシッタープロセスを終了します。お家に帰る時間だよ〉

『おのれっ! やけに素直に言う事を聞くと思ったら()()()()だったかっ!? ぬぉ~ん。あと少しで力が溜まり切ると言うのにぃっ!』

 

 葬儀の腕一本に抱え込まれてジタバタするネクとそれに付き従うヘルパー。

 

 勿論ネクも対策はしていた。まずちょっかいを出していたコウモリからカミューラも三幻魔の力を狙っていると見抜き、邪魔者を追い払う為わざわざ十代の元まで行ってカミューラの居場所を力の流れから推測、密告した。

 

 これでようやく邪魔者は居なくなったと七精門の真上に陣取るネクだったが、普通に葬儀と雪の女王に発見されてしまう。

 

 幽体を使役するネクと、幽体を解放する葬儀の相性は最悪。それでもヘルパーに任せれば時間稼ぎくらいは出来ると踏んでいたネクだが、肝心のヘルパーはあくまでネクの()()()をしている扱いなので同じ保護者枠の葬儀とは戦闘拒否。こうしてあえなく捕まってしまったという訳だ。

 

『さて。この城に三幻魔の力が流れ込んでいるというのは本当なのかね?』

『ああ本当だっ! それで変に流れが弄られていたばかりに力の吸収が遅く。せめてそいつの邪魔もしてやらないと私の気が収まらんっ!』

 

 どう考えても八つ当たりする気満々のネクだが、実際邪魔しないとどう考えても良くない事になると葬儀は直感していた。それほど流れ込む力は看過できないものだったのだ。

 

『これで()()()()()()()()()とは。三幻魔の力とは実に凄まじい。幻想体で例えるならリスクレベルALEPH級か』

『……だが、封印されているのならそこまで怖れるものでもあるまい? どうやら()()()()()()()()()()()()()()()ようだ。早々に城に乗り込み、仕掛けなりなんなりを破壊してこの些事を終わらせるとしよう』

 

 そう言って雪の女王が悠然と歩を進めようとした時、

 

 

 ゴォーンっ! ゴォーンっ!

 

 

 鐘の音が鳴り響いた。音の出所は城の最上部。そこに設置されている鐘が、大きく揺れ動いて荘厳な音を周囲に響かせる。

 

『……っ!? マズイっ!? ()()()()()()()()()()()()()()

 

 そのネクの言葉と、城から暗い波動が周囲に拡がるのはほぼ同時だった。

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇

 

『……勝者。カミューラっ!』

 

 個人的には納得いかないが、それでも審判役としての仕事はきっちりしなくてはいけないのが辛い所。静かに俺は勝者の名を宣言する。

 

「オ~ッホッホッホっ! オ~ッホッホッホっ!」

 

 カミューラの高笑いが響き渡る中、LPが尽きた明日香は力なく倒れ伏した。

 

「明日香っ!? ……貴様ぁっ!」

「おっと。アナタの役目はもう終わりなのよっ!」

 

 倒れた状態で必死に掴みかかろうとする吹雪を軽くあしらい、カミューラはゆっくりと胸元から白い人形を取り出す。アレはっ!?

 

「敗者の末路。当然憶えているわよねぇ? さあ。鍵と魂は頂くわっ!」

 

 カミューラがそう言った瞬間、明日香の身体が光の粒子に変換されて消えたかと思うと、人形がどこか明日香の面影のある姿に変貌する。そして明日香の首に掛けていた鍵もまたカミューラの元に。

 

 だが、それを黙って見ていられる奴らばかりではない。

 

「このぉっ! 次は俺が相手だっ!」

 

 熱くなった十代が、猛然とカミューラに向かって突進していく。だが()()()()()()()()()。俺は十代の前に立ち塞がる。

 

「なっ!? 退けっバランサーっ! カミューラを倒せば明日香も助かるんだろ? だったら」

『退く訳にはいかない。俺は司会進行役の任も負っている。少なくともカミューラ自身がOKしない限り、連戦をさせる訳にはいかないっ!』

 

 これがセブンスターズが一度に動かなかった理由の一つ。()()()()()()()()()()()()()N()G()

 

 勿論互いの立場や抜け駆け禁止などの意味もあったが、連戦を禁止にしないと一人相手にどちらかの陣営がまとめて戦いを挑むなんて事がアリになるからだ。

 

 いくらデュエルが強かろうが、使い手の体力はまた別。特に闇のデュエルなんてものは体力をとんでもなく消耗する。その連戦は危険過ぎるという事で鮫島校長から提示され、理事長も承諾している。

 

『それでも無理やり戦おうとするのなら、俺はカミューラの側につかねばならなくなる。……頼む。今は退いてくれっ!』

「……ならカミューラっ! 俺とデュエルしろっ! お前がOKを出したら良いんだろ?」

「いや。俺が相手だっ! 天上院君の仇は俺が取る」

「ノンノン。可愛い生徒をこれ以上危険な目には遭わせられないノ~ネ。このワタ~シが」

 

 まだ戦う資格のある三人が、仲間を救うべく思い思いに奮い立つ。倒れている吹雪や資格をなくしたカイザー、三沢もその目には闘志が燃え盛っている。

 

 だが、受けるかどうか決めるのはカミューラ。そしてカミューラがそんな連戦を受けるなんて事は、

 

「そうねぇ。普通に()()()()()()()()()()()()()()受けてあげても良いんだけど……ざ~んねん! もうその必要はなくなってしまったのよねぇ」

『カミューラ。何を言って……なっ!?』

 

 その瞬間。強烈な振動が俺達を襲った。城のあちこちが震え、パラパラと小さな石の欠片などが周囲に降り注ぐ。

 

「じ、地震かっ!?」

「皆っ!? 何かに掴まれっ!」

 

 地震にしてはやけに断続的に続く振動。しかしこの規模は間違いなく地震のよう。

 

 それぞれ慌てて壁や手すりに摑まるそんな中、カミューラはゆっくりと両手を広げながら広間の中心に歩みを進めた。

 

『カミューラっ! 早くこっちへ』

「慌てることは無いわバランサー。これは()()()()()()()。私が三幻魔の力を手に入れる為のねぇっ!」

『何っ!? どういう事だっ!?』

 

 どこか恍惚とした表情で語るカミューラ。どう考えてもただ事じゃない。俺は手すりに掴まりながら問い質す。

 

「私は常々思っていたの。セブンスターズとして戦い、鍵の守り手を全滅させた暁には三幻魔の力を使わせてくれる。それが我らが雇い主との契約。……だけど、どうにも胡散臭いのよね。ああ。三幻魔の力がじゃないのよ。()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 そこは俺も考えていた。何せ入団テストで平然と途中から形式を変える理事長だからな。あまり信用できない。

 

「だから、そもそもの前提を変える事にしたの。わざわざ鍵の守り手を倒すより、()()()()()()()()()()()()()()()()()()ってね!」

『なっ!? そんな事できる訳がっ!?』

「出来るのよぉっ! その為にわざわざ戦う順番を限界まで後回しにし、情報を集めて今まで入念な準備をしてきたのだからっ!」

 

 カミューラはどこか狂気的とも言える笑顔でこちらに笑いかける。まるで何かにとり憑かれているかのように。

 

「この城もその一つ。私がただ決戦の舞台にするだけにこんな城を建てたと思って? いいえ違うわ。これは()()()()()()。七精門から漏れ出る力を集め、それを呼び水に七精門を無理やりこじ開け、三幻魔を手中にする為の装置っ! そして、ついさっき力は十分に集まったわぁ!」

『力が集まったって……まさかさっきの鐘の音はっ!?』

「その通りっ! あれが合図よっ! 島外からも人が集まり、もっとも活気に満ちるこの学園祭の日。それを機に七精門から漏れ出る力を十分に蓄え、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そして起動の鍵は……これよっ!」

 

 そしてカミューラが得意げに取り出したのは、先ほど明日香に勝利を捨てさせる事になった『幻魔の扉』のカード。

 

「幻魔の力を借り受け、幻魔と繋がるこのカード。まさかあの人も、自分が渡したこのカードで三幻魔を横取りされるとは思っていなかったでしょうねぇ。だけど、私の力を見誤ったのが運の尽き。……さあっ! いよいよよっ!」

 

 さっきから地震の間隔が短くなっている。これはまるで鼓動のようで。

 

「だからごめんなさいね坊や達。もうわざわざ鍵を奪う必要はなくなったの。仮に今戦いを受けて私が負けたとしても、仕掛けが一度起動した以上もう七精門が開くのは止められない。なのでアナタ達はそこでこれから起こる事を見届けると良いわっ! オ~ッホッホッホっ!」

「……チクショウっ!」

 

 悔し気にカミューラを睨みつける鍵の守り手達。

 

 そりゃそうだ。こいつらは純粋に戦って封印を守ろうとしていた。他のセブンスターズ達も立場は違えど、極めて真っ当なやり方(黒蠍盗掘団はその在り方から例外として)で戦いを挑んでいた。

 

 だけどカミューラのやり口はそれら全てを踏みにじるものだ。真っ向から否定するものだ。悔しくない訳がない。

 

 だが、無情にも振動の間隔はどんどん早くなっていく。

 

 そして遂に限界を迎え、

 

 

 

 

 ()()()()()()()()

 

 

 

 

「……は? な、何故……何故っ!? 計算は完璧だった筈っ!?」

「どういう事だ? 何にも起きないぜ?」

 

 ここに居る全員の頭に疑問符が浮かび、カミューラ自身も呆然としている。奴の言い分からすれば七精門の解放。つまりは三幻魔の復活を意味する筈だが。

 

「もう復活したという事か?」

「いや。それにしては静かすぎる。……おい雑魚共。何か感じるか?」

『いいえ。万丈目のアニキ。もし本当に復活したのなら、オイラ達精霊なら離れてたってすぐ分かるはずなのよん!』

 

 三沢が油断なく周囲を見渡すが変わった所はない。

 

 万丈目がおジャマを呼び掛けて尋ねるも、代表してイエローがそれはないと断言する。じゃあ一体これは?

 

 

『それは()()から説明しようっ!』

 

 

 そこに響き渡るどこかで聞いたような声。これはまさかっ!?

 

「……何者かしら?」

『何者とはつれないなカミューラよ。これでも同じ釜の飯……は食ったことは無いが、共に同じ雇い主を持った同僚だと思っていたんだが?』

 

 先ほどまで閉じられていた広間の扉が開かれ、そこから()()()()が勢いよく飛び込んでくる。

 

 そう。こいつらは、

 

 

 

 

『黒蠍一の力持ち。剛力のゴーグ』

『黒蠍団の紅一点。茨のミーネ』

『どんな罠でも朝飯前。罠外しのクリフ』

『お宝頂きゃあとはトンズラ。逃げ足のチック』

『そしてこの私。首領・ザルーグ』

『『『『『我らっ! 黒蠍盗掘団っ!』』』』』

 

 

 

 

『せっかくのお祭り騒ぎだ。我らも参加させてもらっても構わないだろう? 元同僚よ』

 

 いつもの集結ポーズをとりながら、トラブルメーカー達は混沌とした場に参上した。

 




 読者が忘れた時にやってくる。それがっ! 黒蠍盗掘団っ!

 という訳で久々再登場です。こんなぶっとんだキャラ達をあの一回こっきりで使い潰す訳ないじゃないですか!

 こいつらこの状況の原因を何やら知っているようですが果たして……。まあ続きは次回で。




 この話までで面白いとか良かったとか思ってくれる読者様。完結していないからと評価を保留されている読者様。

 お気に入り、評価、感想は作家のエネルギー源です。ここぞとばかりに投入していただけるともうやる気がモリモリ湧いてきますので何卒、何卒よろしく!
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