マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 注意! 今回独自設定タグが少し仕事します。


計算は偶然に敗れ、七星は城に集う

「お前達どうしてここにっ!? カードは部屋に置いてきた筈だ」

『落ち着け現雇い主様よ。普段おとなしくしている我らとて、たまの祭りにハメを外したくなる時もある。おまけに何故か今日はこの島中に力が満ちていてな。普段なら実体化も一苦労なのだが……この通りだ』

 

 ザルーグは万丈目を宥めながらそう語る。そう言えばザルーグ達黒蠍盗掘団のカードは万丈目に預けてたんだった。

 

 しかしさっきはブラマジガールやココロこと憎しみの女王も普通に実体化していたし、どうやら力の流れが活発になっているらしい。これが祭りの日だけならまだ良いが、日常になったらもう抑えるのがきつすぎるぞ。

 

『久しぶりにシャバに出て楽しもうとしてみれば、なにやら元同僚が祭りを台無しにしようとしている。それを知って黙ってはいられんな』

「おのれぇっ! アナタ達。一体何をしたぁっ!?」

『ふっ。そうカッカするなカミューラ。黙っていれば紛れもなく良い女なのが台無しだぞ』

『まっ! 私程じゃないけどね』

 

 怒り狂うカミューラに対しザルーグは余裕の表情。ついでにミーネが茶々を入れるのでカミューラの苛立ちは酷くなるばかり。

 

『まあ慌てるのはもっともだ吸血鬼よ。なので順を追って説明しよう。今回お前はデュエルで鍵を奪う正攻法とは別に、直接三幻魔の力を我が物にしようという企てを立てた。だが……実は()()()()()()()()()()()()()()()のだよ。失敗したがな』

「何ですってっ!?」

 

 そこからザルーグが語ったのは、以前セブンスターズとしてデュエルする前に自分達が行った窃盗行為について。つまり俺も加担するハメになった七精門の鍵奪取作戦についてだった。

 

『俺達は盗賊だ。その在り方に従い、鍵の守り手達から一度は鍵を奪取した。しかし、やはりデュエルで奪わなくては門は開かなかった。……だが俺達もプロ。鍵で門が開かなかった時の為に次なる手を打ったのだ』

「次なる手?」

 

 十代が不思議に思ったのか聞き返す。確かに鍵を奪ってからデュエルまで一日もなかったからな。次の手などそうそう打てるもんじゃない。

 

 だが、こいつらはとんでもない事をやらかしやがったんだ。

 

『な~に簡単だ。普通に開かないのなら壊せば良い。という訳で……()()()()

「…………は?」

『爆破だ。念の為用意しておいた爆薬を使い、門を封印している柱の一本を物理的に破壊しようと試みた。まあ結果は俺達が三幻魔のカードを手に入れていない事からお察しだろう。精々ヒビが多少入った程度だ。……ああ心配するな。勿論防音処理は施しておいたから、生徒達の安眠妨害はしていない』

 

 そういう問題じゃないんだよなぁ。見ろっ! 皆して唖然とした顔をしている。普段落ち着いているカイザーまでもだ。

 

『ちなみにこの事を知っているのは()()()()()()()()()()()だ。厳重に入り口を見張っていたから流石のお前の僕達も入っては来られなかったようだな』

「何てことを」

 

 カミューラも愕然としている。そりゃそうだよな。あとさりげなく俺の名前を一切出していないのはありがたい。だが、

 

『成程そういう事か。カミューラっ! お前はさっきこう言ったな? この城の特殊な仕掛けを施した七部屋を七つの封印そのものに見立てたと。もし()()()()()()()()()()()()としたら?』

「そ、そんな筈ないわっ!? 何度もシミュレーションを行い、計算は完璧だった筈っ!?」

『だが奴らの爆破までは計算に入れていなかった。つまり他の六本はともかく、()()()()()()()()()()は幾ら綿密な計算を行おうとも……いや、綿密な計算だからこそ誤差が出る』

 

 俺が淡々と語ると、カミューラはただでさえ青白い顔を更に真っ青にして黙りこくる。

 

「つまり……三幻魔は復活しないって事か?」

「そうなるな。偶然とはいえお手柄だぞお前達っ!」

『よっ! 救いのヒーローっ!』

『『『『『それがっ! 黒蠍盗掘団っ!』』』』』

 

 おジャマを含めた皆に喝采を受ける中、また集結ポーズを決めてドヤ顔を決める黒蠍盗掘団。しかしあの時の爆破がまさかこう繋がるとは。

 

『さあどうするカミューラ? 城のからくりが使えなくなった以上、もうこれは真正面から戦う道しか残されていなさそうだが? 勿論普通に戦うという事であれば、俺は審判役としてきっちり戦いを見届けよう。それが嫌いな相手であってもな』

 

 わざと最後の方を厭味ったらしく言ってやる。何せ未遂に終わったとはいえ今回のこれはあまりにも悪質だ。一つ間違えばこれまでの戦いが根底から覆る事になる。

 

 だが、そうなってはあの理事長が次にどういう手を打ってくるか分からない。最悪理事長本人が乗り込んでくることもあり得る。人に闇のアイテムをポンポン貸し与えるような人には出張ってほしくない。

 

 なのでなるべく穏便に済ませるべく、カミューラにまともに戦う意思があるか尋ねたのだが、

 

「……ふっ。ふふ……オ~ッホッホッホ!」

 

 そう上手くは行かないらしい。今の今まで黙りこくっていたカミューラが急に高笑いを始めた。

 

「何なノ~ネ? 大掛かりな仕掛けが失敗して落ち込んでいるのかと思っタ~ラ。自棄にでもなったノ~ネ?」

「ホッホッホ……いいえ。そうではなくてよクロノス先生。確かにそこの邪魔者達のおかげで儀式は中断したわ。でもねぇ」

「ヒィっ!?」

 

 突如カミューラが不気味な笑みを浮かべるのを見てクロノス先生が一歩後退る。……あの顔はヤバい。笑ってこそいるが瞳の奥は全然笑っていない。寧ろプッツンし過ぎて却って冷静になってるって感じだ。

 

「中断したならまた始めれば良い。柱一本程度なら()()()()()()()()()()()()()()()。……それでは皆様。ごきげんよう」

『俺がさせると思っているのか』

 

 ふらりと幽鬼のように踵を返すカミューラを、俺は近づいて今度こそ引き留める。また三幻魔を復活させようとするのであれば、流石に見過ごす訳にはいかない。

 

「あら? ダメよぉバランサー。私は()()セブンスターズの一員。バランサーの役割はあくまで審判や司会進行といったサポート役で私を止める権限はないわ。寧ろそこの皆様が勢い余って襲い掛かってくるのを防がなきゃいけないのが辛い所よねぇ?」

 

 俺の後ろの方から、鍵の守り手達の敵意に近い視線がカミューラに浴びせられるのが分かる。頼むから今詰め寄ってきたりはしないでくれよ。

 

「今からあの人(理事長)に連絡する? ……出来ないわよねぇ! あの人とのホットラインがあるのはセブンスターズの七人のみ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

 どこか狂気すら感じる笑みを浮かべながらこちらの痛い所を突いてくるカミューラ。だが、

 

 

()()()()()()()?』

 

 

 さらに一歩カミューラに詰め寄ると、それに合わせてカミューラが一歩後退る。

 

『俺は確かに正式なメンバーじゃない。だが、俺は以前言った筈だ。直接あいつらに危害を加えるような事があれば、俺がお前をぶっ潰すとっ!』

 

 参った。バランサーとしては明らかな越権行為。これがバレたら俺も処罰対象かもな。

 

 でも、ここでコイツを放っておいて三幻魔を復活させる訳にはいかない。俺は処罰覚悟で外套の中に隠したデュエルディスクを展開しようとし、

 

 

「覚悟を決めている所悪いが、その心配はないぞ。バランサー」

 

 

 ……っ!? この声はっ!?

 

 カツン。カツン。

 

「おい見ろっ!? 階段だっ!」

 

 三沢の声に、この場の全員が広間から上に伸びる階段を見上げる。そこから足音と共に降りてきたのは、

 

「バカなっ!? 何故アナタまでこんな所にっ!? どこから……いえ、まだ私の順番の筈。アナタが出しゃばってくる筈がないのよ」

「どこから来たかは秘密だが、私が来た理由はお前が最もよく分かっているのではないのかね? ……ふむ。鍵の守り手達にはお初にお目にかかるな」

 

 肩パットの付いた灰色のフード付きマントを羽織り、素顔を口元に巻いたマスクと赤い飾り布で巧妙に隠した男。

 

 そして、俺がこうしてセブンスターズのバランサーになる原因となった男。

 

「私の名はアムナエル。君達からすれば()()()()()()()()()()だ。短い間ではあるがよろしく頼む」

 

 いや何でアンタがここに出張って来てるんですか大徳寺先生っ!?

 

 

 

 

「アムナエル。最後のセブンスターズ」

 

 誰ともなく呟く声が聞こえた。確かに鍵の守り手達からすれば、その言葉には強烈なインパクトがある。

 

『よお! アムナエル! 元気だったか?』

「ああ。そちらも負けたとはいえ元気そうで何よりだザルーグ。黒蠍盗掘団よ」

 

 相変わらずポーズを決めながら和やかに声をかけるザルーグに対し、アムナエルは軽く頷きながら応える。凄いなこれは。床に倒れている元ダークネスこと吹雪も含めてセブンスターズ大集合だ。タニヤやアビドス3世、タイタンも居ればなぁ。

 

 しかし俺にしてみればまた違う意味で問題だ。カミューラの動向に気を配りつつ、俺は静かにアムナエルの近くに走り寄る。

 

「アムナエル。貴方がどうしてここに? ……学園祭の仕事はどうしたんですか大徳寺先生?」

「流石に事態がここまで大事になっては静観ばかりもしていられないのでね。収拾を図る為にやって来たという訳だ。……心配要らないのにゃ。た~っぷり写真を撮っておいたからしばらく居なくても大丈夫なのにゃ!」

 

 互いに会話の前半だけ他にも聞こえるように話しながら、後半は声を潜めて静かに話す。だからなんか前半と後半でおかしなテンションになっているが勘弁してもらいたい。

 

「さて。バランサーよ。越権行為だと覚悟の上でカミューラを止めようとしたようだが、その役目は私に任せてもらうとしようか」

「……はっ! 規則を破っているのはそちらも同じでしょうアムナエル。セブンスターズの一人が動いている間、他のセブンスターズは手出し無用がルールの筈」

 

 アムナエルとカミューラ。二人の視線が交錯する。

 

「確かに本人から協力要請を受けない限り別のセブンスターズの介入はご法度。だが、ここまでやらかして()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「なんですって?」

「此度の一件。既に私からあの方に報告させてもらった。カミューラよ。あの方の代理としてお前に通達する。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 アムナエルがビシッとカミューラを指差した瞬間、カミューラが首に巻いていたウジャト眼を模したチョーカーが仄暗い光を放つ。

 

「なあっ!? ま、まさかっ!?」

「敗北による契約不履行ならまだしも、契約違反とあればそれ相応の代償を払ってもらう。具体的に言えば吸血鬼よ。夜の貴族よ。……お前に相応しい闇に還るが良い」

「ああっ!? ああああああっ!?」

 

 

 

 

 チョーカーから発生した黒い闇が、一瞬にして装着者を飲み込んだ。

 




 少し早いですがアムナエル参戦です。

 しかしアムナエルは他のセブンスターズ達と交流するシーンが見られないので、ザルーグやカミューラへの態度は完全に想像で書いています。

 なんだかんだザルーグ達はコミュ力高いので嫌われてはいなさそうなんですよね。直接邪魔されたカミューラは除いて。
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