マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 注意! 今回も独自設定タグが仕事します。


扉は再び開かれる

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 それは、時間を少しだけ遡る。

 

『ワタシハ『ヴァンパイア・レディ』ヲ守備表示デ召喚。カードヲ一枚伏セテターンエンド』

 

 ヴァンパイア・レディ DEF1550

 

 そのカミューラの分身体の一ターン目の動きは実に堅実だった。モンスターを守備表示で出し、伏せたのは罠カード『妖かしの紅月』。

 

 素直に攻撃してくるなら罠でバトルフェイズを強制終了し、返しのターンで手札の『不死の王国-ヘルヴァニア』を発動しモンスターを一掃。コストとして捨てた『ヴァンパイア・ロード』を『死者蘇生』で復活させて攻めに出る。

 

 もし守りに徹するのならそれでも良し。そのままヴァンパイア・レディを生け贄にヴァンパイア・ロードに繋げれば良いだけの事。攻撃力もそこそこで、効果破壊にも強いヴァンパイア・ロードなら少し強気に出しても問題はない。

 

 手札も含めかなりの好スタートだった。だが、一つだけ誤算があるとすれば、

 

「俺のターン。ドロー」

 

 

 相手が友人二人(吹雪と明日香)を傷つけられて怒りに燃えるカイザーであった事だ。

 

 

「俺は手札から魔法カード『パワー・ボンド』を発動! 手札の『サイバー・ドラゴン』3体を融合し、『サイバー・エンド・ドラゴン』を融合召喚するっ!」

 

 三つ首の機械竜が雄たけびを上げて場に出現する。

 

 サイバー・エンド・ドラゴン ATK4000→8000

 

「攻撃力8000ッ!?」

「パワー・ボンドの効果。このカードの効果で特殊召喚したモンスターは、その元々の攻撃力分が追加される。そしてサイバー・エンドには貫通能力がある」

 

 つまりサイバー・エンドの攻撃がヴァンパイア・レディに直撃すると、守備表示であっても分身体のLPは消し飛ぶ。だが分身体としてはそれも想定内。

 

 むしろパワー・ボンドのデメリット。エンドフェイズに効果で上がった分のダメージをカイザーが受け自滅するのを冷静に処理しようとし、

 

「そして俺は手札から速攻魔法『サイクロン』を発動! お前の伏せカードを破壊する」

『ナニッ!?』

「やはり高攻撃力モンスター用の罠を伏せていたか。その手は明日香との戦いで一度見させてもらった。()()()()()()()

 

 破壊される妖かしの紅月。それを見てカイザーは、普段より僅かに険のある表情で呟く。

 

「カミューラ本人ならまだしも、その動きを真似るだけの影に構っている暇はない。バトルっ! サイバー・エンド・ドラゴンで、ヴァンパイア・レディに攻撃。『エターナル・エヴォリューション・バースト』っ!」

 

 断末魔を上げる間もなく、そのままあっけなく分身体はヴァンパイア・レディを焼き尽くした熱線の余波で消し飛ばされた。

 

 カミューラ(分身体)LP4000→0

 

 

 デュエル終了。カイザーWIN。

 

 

 そして防衛システムが無くなった事で、部屋の中央に浮かぶ制御装置に目を向けるカイザー。

 

「さて。あとはこれをどうするか」

『悩む事はない。こちらで対処しよう』

 

 次の瞬間。制御装置が炎に包み込まれる。カイザーがハッと振り返ると、そこにはデュエルが始まる前に周囲の罠を封じるべく別行動をとっていたアムナエルが立っていた。

 

「良いのか? 壊してしまっても?」

『私はこの件を独自の判断で解決して良いと仰せつかっている。どのみちカミューラにしか使えない可能性が高い以上残しても害になるだけだろう』

 

 なら破壊した方が手間もかからないと、アムナエルは淡々と語る。カイザーとしてもこれを残す事によってまた今日のような事が起こるくらいならとそのまま納得する。

 

「よし。では皆と合流するとしよう」

『……おやっ!? ()()()()()()()()()()()()()?』

 

 アムナエルはそこで途中まで一緒に居た二体。ネクとヘルパーの姿が無い事に気が付く。

 

「ああ。あの人形と機械のコンビなら、貴方が来る少し前に出て行った。何でも『ここはお前に任せる。あの吸血鬼に邪魔された分をしっかり返してやらんと気が済まん』らしい」

『……ふむ。まあ精霊がそう簡単に罠でどうにかなる筈もないか』

 

 カイザーの言葉にアムナエルは一瞬考えるも、すぐにまずは生徒達の安全を確保するべきだと気持ちを切り替えた。

 

 

 

 そして、時間は現在に戻る。

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「ぐ、ううぅ!?」

「ここまでだな」

 

 LPが尽き、力なく膝を突くカミューラ。

 

 闇のデュエルではあったが、最後のトドメはLPピッタリだったから少しは身体への負担も減っている筈だ。いくらなんでもダメージデカすぎで大怪我しましたってなったら後味悪いからな。すると、

 

「……んっ!? 明日香の人形がっ!?」

 

 さっき皆の手助けで取り返した明日香の人形。それが強い光を放ち、慌てて床に置いて離れると見る見る内に元の姿に戻っていく。

 

「明日香っ!? 大丈夫か!?」

 

 慌てて駆け寄ると大きな怪我はなさそうでホッとする。どうやら意識を失っているだけのようで寝息も規則正しい。良かった。そのままでいるのもアレなので、いったん壁まで引っ張って寄りかからせる。

 

 さて。あとはカミューラだが、

 

「そんな……この、私が……」

 

 ゆっくり歩み寄ると、カミューラは放心状態で俯いていた。まあ無理もない。

 

 善悪はどうあれ、カミューラが今回の事にどれだけの労力をつぎ込んできたか想像もできない。しかしとんでもない苦労をしたのは分かる。それが止められたんだからキッツイよな。だけど、こいつのやろうとした事を考えると簡単に許すことも出来ない。

 

「さあ。これで今回の一件は終わりだ。諦めて投降しな。そうすればアムナエルにとりなしくらいはしてやる」

 

 契約違反という事でどんな罰が下るかは分からない。ダークネスのように魂が封印されるのかもしれないし、タイタンのように闇の世界に落とされるのかもしれない。まあ罰を受けるのは当然だが、あんまりとんでもない事なら少しくらいは口出しもしようと考えていると、

 

 

 ズンッ!

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。あれはっ!? 幻魔の扉っ!?

 

「……えっ!?」

 

 俯いていたカミューラは一瞬反応が遅れ、異変を感じて振り向いた瞬間扉がギギィと不気味な音を立てて開く。そして、

 

「カミューラっ! 逃げろっ!」

「何故扉が……あぐっ!?」

 

 扉の中から半透明の手が現れ、カミューラへと伸びてそのまま首元を掴んだ。

 

 チクショウっ! これが幻魔の扉の代償。使用者が負けたら魂が幻魔の物になるって奴かっ!? しかし今回のデュエルでは扉の発動を無効にして終わらせたはず……まさかっ!? ()()()()()()()()()()()()なのかよっ!?

 

「カミューラっ!」

 

 俺は急いで駆け寄って、カミューラが連れていかれないよう身体を抱きかかえる。代償だか何だか知らんが、折角発動を止めたのにカミューラを持ってかれてたまるかっ! ……だが、

 

「なっ!?」

 

 突如カミューラの姿がまたブレたかと思うと、まるで幽体離脱でもするかのように身体から半透明の姿が浮き出る。これは前ネクがダーク・ネクロフィアの時に見た幽体と同じ奴か?

 

 そして俺が押さえているのが生身の方で、幽体の方が扉の手に掴まれているのだから非常にマズイ。

 

「クソっ! このっ! 罪善さんっ!」

 

 カタカタ!

 

 何とかもう片方の手で幽体のカミューラを掴もうとするが、俺の手を普通にすり抜けてしまって掴めない。罪善さんが光を放つも、扉から伸びる手は一瞬怯んだだけですぐに復帰してカミューラを引っ張ろうとする。

 

 どうする? 幽体を弾いたり追っ払ったりなら俺のペンダントを翳せば何とかなるが、幽体に触るのは無理だ。罪善さんでも止めきれてないしこのままじゃ。

 

「あっ!?」

 

 そこで一気に扉の手の力が強くなり、ズルっとカミューラの幽体が肉体から抜け出る。同時にただでさえ体温の低かったカミューラの身体から、どんどん命の灯が消えていく。

 

 ダメ。ダメだっ! 手を伸ばすももう届かず、そのまま俺の目の前でカミューラの幽体は幻魔の扉に吸い込まれ、

 

 

 

()()()()()()()()()()()()!』

 

 

 

 突然バンっと部屋に響いた外の扉を開く音。聞き覚えのある声と共に、幻魔の扉に吸い込まれる直前カミューラの幽体が動きを止める。

 

 カミューラの身体を抱えながら俺が見たものは、

 

 

『負けたからと幽体になって逃げようとは小癪な真似を。だが残念だったな。幽体なら私の得意分野よ。計画を邪魔した分キッチリお返しをさせてもらうからなっ!』

〈ピピっ! レスキュープロセス実行中〉

 

 

 カミューラの幽体までワイヤーを伸ばすヘルパーと、そのワイヤー越しに白い光を伝わらせてカミューラを繋ぎとめる()()使()()()()()な人形ことネクの姿だった。ナイスネクっ!

 




 ネクとヘルパー乱入!

 幻魔の扉の描写的に、肉体ごとではなくいったん魂(幽体)を分離させてから引き込んでいる様子だったので、その瞬間であればネクなら干渉出来るんじゃないかという独自設定トンデモ理論です。

 あとはまあ前半の描写ですが、原作カミューラ戦では初見だったので罠に引っかかったけど、一度見たカイザーなら分身体くらいワンキル出来て当然だよねということでこんな結末になりました。あっさりし過ぎという読者様にはお詫び申し上げます。

 さてこの後幻魔の扉をどうしたものか。次回をお楽しみに!



 この話までで面白いとか良かったとか思ってくれる読者様。完結していないからと評価を保留されている読者様。

 お気に入り、評価、感想は作家のエネルギー源です。ここぞとばかりに投入していただけるともうやる気がモリモリ湧いてきますので何卒、何卒よろしく!
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