マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 注意! 今回独自設定タグが仕事します。

 ココロこと憎しみの女王はこんなんじゃないだろうという読者様は、ウチの作品内ではこういう風だと温かい目で見守っていただければ幸いです。


正義であろうとする少女と騎士の誓い

 

 さて。崩壊する城からの脱出を果たした俺達だったが、そこからの事をざっくりと語ろうか。

 

 まず十代達鍵の守り手と幻想体達、そしてアムナエルこと大徳寺先生は全員無事だった。

 

 それぞれが自分の持ち場の部屋に突入し、そこの防衛システムをデュエルで撃破。機材を幻想体達の協力によって破壊する事に成功し、城の崩壊直前に幻想体経由でディーの避難指示が届いて城から退避したという訳だ。

 

 まあ元々消耗が激しかった吹雪は途中で意識を失い、黒蠍のクリフに背負われていたが。それ以外は全員大きな怪我が無くて良かった。

 

 そして脱出した後で城の外でスタンバっていた大鳥と審判鳥に出くわし、あわや戦闘になりかけたとか。そう言えばさっきまで暴走ココロと外でやり合っていたから二体共気が立っていたんだよな。

 

 ただそこは幻想体(主にレティシアと葬儀さん)の仲裁によって事なきを得たとか。話し合いで済んで助かった。

 

 そうしてバランサー状態で合流した俺達だが、そこでまたひと悶着。ココロがアムナエルを見て悪党認定したのだ。中身はともかく見た目は悪い魔法使いっぽいからな。結果また総出でココロを宥めてどうにか抑え、これからについて話し合う事になったのだが、

 

「先ほどの十代による提案の通りだ。我々セブンスターズは、本日はこれで引き揚げさせてもらう。独断とは言え元身内が発端だからな。これ以上約束を破るような事はしない。無論そちらから停戦を破って一戦交えようというのなら話は別だが」

『次回の日程はまた近日中に連絡させていただく。流石にもう今日のような(審判役)を通さない戦いはこりごりだ』

 

 戦闘による疲労等もあって許可は取ってあるというアムナエルの一言。そして十代達に追い打ちをかける理由もなく、これ以上の戦いは無事避けられた。

 

 そしてカミューラの身柄についてだが、いったん明日香や吹雪と一緒に学園側の医務室まで連れて行って預ける事に。アムナエルの見立てでは今回の騒動でカミューラの力は大分落ちているらしく、貸与されていた道具のサポート無しでは吸血鬼らしい芸当は回復するまでできないとか。

 

 そして、城が崩落したことで力の流れは少しずつ正常に戻っていく。力が完全になくなる訳ではないが、幻想体達もカミューラの企てが無くなった事で実体化が保てない(という建前)で姿を消し、黒蠍盗掘団は先に万丈目の部屋に精霊化して戻った。これで今回の一大騒動は終わりを迎えたのだった。

 

 

 

 

「……ただいま。あああぁ~。疲れた。ホントに疲れた。もう今日は動きたくねぇ」

 

 アムナエルの謎の移動法(カミューラの霧化とはまた違う、闇に包まれて瞬く間に移動する奴)に便乗し、一足先にオシリスレッド寮に戻ってきた俺は自室に戻るなりベッドにダイブする。

 

 これは先に帰って遊児として皆を出迎えないといけないからだ。決して城からここまで歩くのはしんどいからという訳ではない。なんであれだけ戦って皆普通に歩いて帰れるんだよ。

 

 さっき見たらコスプレデュエル大会の方は今も盛況だった。俺が回ったイエローからも見知った顔が何人か来ていて、宣伝は無駄にならなかったようだと少し安堵する。

 

 流石に紅葉さんの姿はもう見えなかったがそこは仕方ない。あとで十代にデュエルの内容を聞かせてもらおう。それじゃあ、

 

「あいつらが戻るまでもうしばらくかかるだろ? それまで休む」

『どうぞどうぞ! ゆっくり休みなよ。今回は忙しかったからねぇ』

 

 ディーが珍しく労るように声をかける。それだけ今回はこいつにとって見応えのある見世物だったという事なのだろう。

 

『本来アニメ版の流れで言うなら、学園祭編とカミューラとの一戦は別々の話。それを一日でまとめてやった上、幻想体達も巻き込んだ一大決戦だ。思った以上に面白い内容に十分楽しませてもらったよ!』

「楽しんでもらえたなら何よりだよこの野郎」

 

 そのまましばらく休んでいると、

 

『ただいま~! 帰ってきたよお婆ちゃん!』

『おやおや。お帰り。何か物語を聴いていくかい?』

『それも良いけど、今日は私がお婆ちゃんにお祭りのお話を聴かせてあげるのっ! はいっ! このお土産にもらったプチシューを食べながら聴いて聴いて』

 

 コクコク。

 

『……そうかいそうかい。それは楽しみだねぇ』

 

 レティシアとオールドレディ(それと喋れないけどテディ)のなんかほっこりする会話が聞こえてきた。

 

 カタカタ!

 

「……ああ。ありがとう罪善さん。こりゃ気持ち良いや」

 

 罪善さんの光を受けながら、他の幻想体達について思い浮かべる。

 

 まず葬儀さんと雪の女王、ヘルパーは今精霊化した状態で十代達に付いている。ないとは思うが、万が一今の疲弊した状態で鍵の守り手が襲われでもしたら大問題だからな。

 

 ネクは下手に放っておいてもまた厄介な事になりそうだし、護衛しつつ葬儀さんに見張ってもらっている。まさかどさくさで三幻魔の力を溜め込もうとしていたのは驚いたが、結局時間が無くてそんなに溜まっていなかったとか。

 

 途中来てくれたウェルチアースは、今はどこかの海でタイタンと一緒に漁の真っ最中。大漁だったら少し分けてくれないかね。

 

 大鳥と審判鳥はまた森に帰っていった。だが罰鳥だけはクロノス先生が気に入った(或いは何かやらかしそうな気配がする)のか、皆を送り届けるまでは一緒に行くようだ。

 

 そして一番肝心な、リスクレベルWAW(上から二番目)で今日実体化したばっかりの二人の魔法少女なのだけど、

 

 

『なるほどなるほど。三幻魔の封印に七精門の鍵。そしてそれを狙って襲ってくるセブンスターズ。そいつらが今回の敵って訳ね! セイちゃん!』

『……まあそんな所。それで今の管理人こと遊児は、そこに潜入しているスパイって訳。だから見た目が多少悪党らしくても仕方ないわね』

 

 

 どうにかこうにかココロを宥めつつ、セイさんが今の状況を説明していた。

 

 セイさんが言うには、ココロは暴走する度に直近の記憶をなくすという。少し話した所、どうやらセイさんと戦った辺りから記憶がぼやけているらしい。

 

 俺の悪党認定も少しあやふやだったのは不幸中の幸いで、どうにか落ち着いたという事でセイさんが辻褄を合わせるべく頑張ってくれている。もうちょっと休んだら俺も手伝うからな。……しかし、

 

『OK! セイちゃん。その最後のセブンスターズ……アムナエルだっけ? そいつの居場所が分かってるんなら、こっちから乗り込んでやっつけちゃえば良いんじゃない? とりあえず部屋の外からワタシがアルカナ・スレイブを撃ち込んで、セイちゃんがバックアップしてくれれば』

『……はぁ。このバカセンパイ。話を聞いていたの? そのアムナエルは遊児の協力者。セブンスターズの真の黒幕は別に居るって。下手にアムナエルを倒しても逆効果。それどころか黒幕に余計警戒されるのよ。だからわざわざスパイとして潜り込んでいるっていうのに』

『え~っ!? 面倒だなぁ。正義の味方として拠点ごとまとめて吹き飛ばせれば楽なのに』

 

 どうやらココロはいわゆる脳筋スタイルという奴らしい。搦め手なんか要らない。世の悪党はとりあえず力でぶっ飛ばせば全て解決と言わんばかりだ。

 

 セイさんの口調が若干荒くなっているのは呆れているからか、それとも長い付き合い故の物だろうか。

 

 少し休んで俺も説明に加わり、一応だがココロの中で今の状況に収まりがついたようだ。それは、

 

『まっ! 要するにこれまで通り悪党をやっつけていけば良いのよね! 大丈夫! この魔法少女ココロちゃんに任せなさい!』

「全然細かい所は分かってないじゃないかっ!?」

『……もうそれで良いわ。ただし悪党を見つけたら、いきなり有無を言わさず再起不能にするんじゃなくて私でも遊児でも誰でも良いから仲間に連絡する事。……()()()()だってそうだったでしょ?』

『分かってるって! 正義の味方には仲間が必要だもんね! 頼りにしてるよセイちゃん! 管理人さんも!』

 

 ココロはそう言ってカラカラと笑い、セイさんはため息を吐きながらよろよろと椅子に座り込む。

 

『……悪いわね。ウチのバカセンパイがこれからも迷惑かけると思うわ。バカで歪んでいて自分の正義を否定されたり倒す悪党が居ないと暴走するような子だけど、少なくとも()()()()()()()()()その思いと実力は本物よ。……そして、私も』

 

 そう言ってセイさんは俺の目の前までやってくると、静かに両膝を突いて跪き頭を垂れた。そして一本の細剣がどこからともなく俺の前に浮かび上がる。

 

 これは……映画とかで見た事があるな。確か騎士叙勲の作法だったか? 詳しくは知らないけど、つまりは仕える人から騎士の任を受ける為の儀式だ。

 

『遊児。貴方は私の主君として自分を磨き、私を呼び出してみせた。なら……今度はこちらの番。騎士としての誓いと契約をここに』

「……やりたい事は何となく分かったけど、俺はこういう時の作法なんて知らないぞ?」

『そう思って略式にしておいたわ。貴方はただ私の両肩をその剣の横で触れ、一言“許す”と言えば良い。細かな部分は私の方で代行するから』

 

 何だ。それなら簡単だ。俺は細剣を手に取ると、セイさんの両肩に一度ずつ軽く触れる。そして「許す」と一言述べた時、何故か胸のペンダントが強く光り輝いた。

 

『契約は完了したわ。これより私は貴方の騎士。あらゆる害意から貴方を護る剣にして盾。騎士としてのこの力と誇り、存分に振るわせて頂くわ。我が主様』

「ああ。よろしく頼むよセイさん!」

 

 そう言うとセイさんは静かに微笑む。そして一瞬だけ、閉じた隻眼から絶え間なく流れる黒い涙が止まったような気がした。

 




 という訳で次回かその次で学園祭編は終了予定です。いやあ長かった。

 今回の事でも分かるように、ココロは些か明るくおバカかつ闇も抱えているという自分でも少々ややこしい性格です。ただ定期的に発散させればまだ何とかなる程度にはセイも居るので抑えられています。

 ちなみにセイを騎士に任じた遊児ですが、それは果たして吉と出るやら凶と出るやら。なんだかんだセイも色々抱えていますからねぇ。




 この話までで面白いとか良かったとか思ってくれる読者様。完結していないからと評価を保留されている読者様。

 お気に入り、評価、感想は作家のエネルギー源です。ここぞとばかりに投入していただけるともうやる気がモリモリ湧いてきますので何卒、何卒よろしく!
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