マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 注意! 今回は少し短めです。


祭りの終わりはキャンプファイヤーで。

 

 トントン。トントン。

 

「……んっ!?」

 

 外から聞こえるノックの音で、俺はハッと目を覚ます。まいったな。少し横になるだけの筈が、思いっきり眠ってしまっていたらしい。

 

 何故起こしてくれなかったのかと周囲を見ると、レティシアは爆睡しているしテディは枕代わりにされている。オールドレディはレティシアに気を遣ってか珍しく静かだし、ココロは姿が見えない。ディーがフラっと居なくなるのはいつもの事。そして、

 

 

『……スゥ……スゥ』

 

 

 俺の隣、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()というレアな様子を見て内心驚きながらも、

 

「は~い」

 

 寝ぼけた顔を軽く張って目を覚まし、ノックされる扉を開けると、そこには十代の姿があった。

 

「おう遊児っ! そろそろキャンプファイヤーの時間だぜ! 宣伝しまくって疲れてんのかもしれないけど、これを逃したら悪いと思ってよ!」

「何? もうそんな時間か。こうしちゃいられない。身支度を整えるから数分待ってくれ」

 

 断りを入れて部屋に戻り、他の面子を起こさぬよう静かに支度を整えて部屋を出る。そして祭りの締めであるキャンプファイヤーに向かう中、

 

「そういえば遊児。……助けてくれてありがとうな」

「何がだ?」

「何って、幻想体達の援護の事だよ。お前が言ったから皆助けに来てくれたんだろ?」

 

 一瞬バランサーの事がバレたかとビビったが、城に助けに行った幻想体達の事についてだったので適当に話を合わせる。

 

 あくまでカミューラの事については知らないが、幻想体達が不穏な動きを察知したので助けに向かわせたという筋書きだな。

 

「何っ!? 明日香が倒れた!?」

「ああ。さっき吹雪さん、それと捕まえたカミューラと一緒に保健室まで担ぎ込まれた。命に別状はないらしいけど、しばらく安静が必要だってさ」

 

 明日香の事は俺も知っていたが、それを十代に言う訳にもいかないので知らないフリをする。しかし、やはり祭りには出れそうになかったか。……残念だ。

 

 今はクロノス先生が傍に付いているらしい。本来なら十代や万丈目達も一緒に居たかったらしいが、クロノス先生の「ここはワタ~シに任せて、貴方達は学園祭に戻りなさイ~ノ。生徒の本分は学業ですが、今この瞬間にしか手に入らない思い出というのもありまス~ノ」との言葉でこちらに戻ったとか。

 

「……それはクロノス先生が正しいな。明日香を心配するのは当然だけど、だからと言ってこっちをおざなりにしたらそれこそ明日香に怒られるってもんだ。「後は頼むとは言ったけど、その為に学園祭をサボるなんて許さないわよっ!」……ってさ」

「そっか。そうだよな! ……んっ!? 俺明日香がなんて言ったかまで話したっけ?」

「……ああ。幻想体達に聞いたんだ。それよりほらっ! キャンプファイヤーが派手に燃えてんな!」

 

 やばっ!? ついバランサーとして聞いた事がポロっと出た。俺は何とか誤魔化しながらキャンプファイヤーに辿り着く。そこには、

 

 

 

「も~。ほんと~に大変だったんだからね万丈目君。コスプレデュエルが盛り上がっている所で実行委員長兼解説役が居なくなっちゃうんだから。途中でブラマジガールも消えちゃうし」

「そうなんだな! でも十分それまでに場が温まっていたから、閑散とするなんてことも無く割と盛況のまま続いて大忙しだったんだな!」

「そうだったのか。俺が居ない間良く保たせた。お前らも少しはやるものだと褒めてやる」

 

 疲れ切りながらもどこか充実した顔で愚痴る翔と隼人に、それを口が悪いながらも労る万丈目。

 

 

 

「ああ。またお逢い出来ましたわね葬儀様! 蝶頭の君! 私ずっと探しておりましたのですわ」

「まっ。待ってる間もそこそこ楽しめたけどね。他のコスプレも結構本格的だったし」

『おやっ!? 君達は昼間の! 宣伝を見て来てくれたとは喜ばしい事だ』

 

 明日香の取り巻きの……ジュンコとももえだったか? その二人と和やかに談笑する葬儀さん。

 

 

 

『ぬえええぃ。結局これだけ苦労して溜まったエネルギーは予定の五分の一程度とは情けない。それもこれもあの吸血鬼めのせいだ。え~い今日は飲むぞ! ヤケ酒だ!』

『お~良い飲みっぷりだネク! さあもっと飲め飲め! 今日はとことん付き合うぜ!』

『ミーネ……なんでこの人形こんな酔っぱらってるんだ? それ祭りに配慮してノンアルなのに』

『場酔いって奴でしょ。まあ気持ち良く飲める分には良いんじゃない?』

 

 顔を真っ赤にして騒ぐネクと、一緒になって笑ってる黒蠍盗掘団。

 

 

 

『見つけたわよ悪党! 今度こそ正義の味方としてお仕置きしてあげるっ!』

『どれ。妾も少し力を貸すとしよう。其の者には冷たい灸を据えねば思っていた所だ』

『ちょっ!? ちょっと待って!? 話せば分かる! 話し合おうよ!?』

『『問答無用!』』

『ぎょえ~っ!?』

 

 精霊化しているとは言え、ココロと雪の女王に追い回されるディー。

 

 そして、催し物の成功を喜ぶ多くの生徒達の姿があった。

 

 キャンプファイヤーに照らされ、思い思いに騒ぐ皆の顔は皆(ごく一部は除くが)とても楽しそうで、

 

「……なんか良いよな。こういうの」

「ああ。これぞ祭りって感じがするよな! さあ。俺達も混ざろうぜ! まだまだ祭りはこれからだ!」

 

 クリクリ~!

 

 十代はそう言って、精霊化したハネクリボーと一足先に走り出す。そして俺も駆け出そうとした時、

 

 ガシッ!

 

「……あのぉ。何でこんな力強く俺を掴んで離さないのでしょうか皆さん」

『あら? 騎士たる私を置いていくなんて、寂しい事をする主君を捕まえているだけだけど?』

『むぅ~。ヒドイよ遊児お兄ちゃん。目を覚ましたら居ないんだもん。慌てて飛んできたんだよ?』

 

 コクコク。ギュ~。

 

 薄く笑うセイさんに肩を、頬を膨らませるレティシアに手を、寂しがるテディに背中を掴まれ冷や汗ダラダラの俺。だってしょうがないだろっ!? 皆気持ち良さそうに眠っていたんだもの! だけど、

 

 カタカタ!

 

「ああ。分かってるよ罪善さん。祭りはまだ終わってない! だから最後まで皆で盛り上がろう! ……なのでもう少し力を緩めてくれると嬉しいなぁ」

『『ダ~メ!』』

 

 ですよね~! ……ただこれこそが、このたった一日の愉快な大騒ぎが戦いの報酬だというのなら、それはそれで悪くはない。

 

 そう思ってしまう俺が確かに居たのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして、大成功で終了した学園祭の翌日。

 

 俺はバランサーとして、急遽セブンスターズ(もうアムナエルこと大徳寺先生しかいないが)の集会に呼び出された。そこで影丸理事長に告げられた言葉に、

 

『……何ですって?』

『いくら聞き返そうと無駄だバランサーよ。これは決定事項。覆す事は叶わぬ』

『だからと言ってこれはないでしょうっ!? 俺はあくまでアムナエルの代理にしてバランサー(均衡を取る人)。審判役です。それが何で』

 

 俺は心の底から理不尽な展開に怒鳴りつける。その内容ときたら、

 

 

 

『何で()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 友人達とガチでやり合えという、最悪の命令だったのだから。

 




 という訳で学園祭編終了です。最後は駆け足になりましたが、楽しんでいただけたでしょうか?

 本文には出ていませんが、紅葉もたっぷりデュエルして満足した上でみどりさんに捕まってこってり絞られて帰りました。国崎さんも道連れを喰らっています。




 では一つの区切りがついたという事で恒例のおねだりを。

 この話までで面白いとか良かったとか思ってくれる読者様。完結していないからと評価を保留されている読者様。

 お気に入り、評価、感想は作家のエネルギー源です。ここぞとばかりに投入していただけるともうやる気がモリモリ湧いてきますので何卒、何卒よろしく!

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