マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 さて。皆様長らくお待たせいたしました。独自設定タグが今回から気合を入れ始めます。




 それと今のアンケートはこの話で終了となります。皆様の多くの投票に感謝いたします。


積もる違和感。そして辿り着いた答え

 十代とカイザーの戦いから数日。俺はディーとの会話の中で考えたことの確証を得るため、これまで感じていた違和感を一つずつ調べていくことにした。まずは手近な所から行くか。

 

「『E・HEROジ・アース』?」

「ああ。HERO使いの十代なら持ってもおかしくないかなぁって思ってさ」

 

 制裁タッグデュエルがもう数日に控えているというのに、のんきに寮の近くの木陰で昼寝していた十代に世間話風に聞いてみる。

 

 これまで十代のデュエルを何度か見てきたが、原作にてデッキのエースとして使っていたジ・アースを一度も使用していなかった。偶然にしては毎回影も形もないというのはややおかしい。

 

 そして代わりに主力として使っているのは、フレイム・ウイングマンやサンダー・ジャイアントといったHERO達。これは原作では、十代がハネクリボーを託される前のデュエルで使っていたモンスター達だ。

 

 では何故今とそんなにもデッキが違うのか? 例えば考えられるのは持っていないからとか。

 

「う~ん。……()()()()()()()()()()? 俺HEROのカードは結構知ってるつもりだけど、そんな名前のカードは記憶にないぜ」

「そっか。……いや。俺の勘違いって奴だ。忘れてくれ」

 

 持っていないではなくそもそも知らないか。……となると、

 

「そういえば、十代っていつもハネクリボーを使ってるよな? あれってどこで手に入れたんだ?」

「ハネクリボーか! 聞いて驚くなよ。これはなんと、あの武藤遊戯さんに貰ったんだ!」

「えっ! 遊戯って……あの武藤遊戯っ!?」

 

 予想外の十代の答えに、俺は内心叫び出したい衝動に駆られる。遊戯と言えば無印の主人公だ。無印とGXの世界は繋がっているとは知っていたが、まさか主人公同士のそんな出会いがあったとは。ぜひ見てみたかった。

 

「ここの入学試験の日、会場に向かっている途中で偶然会ったんだ。その時俺にラッキーカードだって渡してくれたんだぜ!」

「そういう事だったのか。確かにこれまで何度も十代のピンチを救っている訳だし、ラッキーカードと呼ぶにふさわしい活躍をしているな」

「ああ! 今じゃ大事な俺の相棒だぜ。……なぁ? 相棒」

 

 クリクリ~!

 

 十代のその言葉と共に、半透明のハネクリボーが十代の傍らに出現して返事をする。しかしハネクリボーが十代の手に渡る経緯も違うか。

 

 俺がこの世界に来てからならともかく、()()()の出来事まで違うとなると……これはちょっとマズイことになったかもしれないな。

 

「あっ! そうだ! そろそろ話してくれても良いだろ遊児。そっちも相棒のことを紹介してくれよ!」

 

 十代がどこかワクワクしたような表情で言う。相棒? ……ああなるほど。結局タッグデュエルの件もあって話が立ち消えになっていたが、罪善さんについて話すことになっていた。

 

 話の本筋に関わることになるかもだが、もし俺の予想が正しければ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 なら多少関わってでも、主要メンバー達と友好な関係を築いておく方が良さそうだ。後々のためにもな。

 

「……まあ丁度良い機会かもな。出てきてくれ罪善さん」

 

 カタカタ。

 

 俺の呼びかけに呼応して、罪善さんもその姿を現す。まだ日中だからそこまで怖くはないが。やはりハネクリボーと並ぶとどうしても違和感がある。見た目がホントどうにかならないものかね。

 

「うおっ! ……すっげえ。やっぱり罪善さんも精霊だったんだな!」

「ああ。俺も驚いたよ。カードの精霊なんてものが本当にいるとは思っていなかった。見えるようになったのもごく最近なんだ」

 

 十代は罪善さんをまじまじと見つめる。よくこの見た目にビビらないな。流石十代だ。

 

 クリクリっ! カタカタ。

 

 ハネクリボーが陽気に翼を広げて挨拶をすると、罪善さんも軽く光を放って反応する。地味にこの二体って攻守属性レベル種族全部同じなんだよな。だから相性が良いのかもしれない。

 

「まあ見た目こそおっかないが、近くに居るだけで心が落ち着くし、悪い奴ってわけでもないんだ。ハネクリボーとも相性が良いみたいだし、これからも仲良くしてくれよ」

「おう! もちろんだぜ。よろしくな罪善さん!」

 

 その十代の言葉に、どこか罪善さんも嬉しそうに見えた。……他の幻想体はまたそのうち紹介するとしようか。

 

 

 

 

 聞きたいことをあらかた聞いた俺は十代と別れ、今度は本棟の図書室に向かった。そこに備え付けられているパソコンの方が、生徒各自で持たされている小型の奴より性能が良いからな。俺の調べ物にはこっちの方が良い。

 

「…………あった! 流石カイザー。名前で検索したら普通にヒットしたな」

 

 まず調べるのは、カイザーこと丸藤亮のデュエルアカデミアでの記録。成績などは調べられないが、実績などは普通に載っている。彼のことだから()()()()から何かやっていると思ったがやっぱりだ。

 

 それを読んで分かったのは二つ。カイザーは以前からアカデミア主催での様々な大会において優勝していること。そして……()()()()()()()()()()()()ってことだ。

 

 一緒に明日香の兄である天上院吹雪についても検索したが、こちらは原作と同じく留学しているようだった。ただし留学先までは不明。……もし原作通りならアメリカ・アカデミアだが、こっちももしかしたら変わっているかもしれないな。

 

 

 

 

 次に調べたのは二人の人物。俺が知る原作において重要人物である『響紅葉』と『響みどり』の姉弟だ。正直この二人の検索結果によってはとんでもないことになるのだが……。

 

()()()()()……か。これはどう捉えるべきだろうな」

 

 まず弟の紅葉は原作と同じくプロデュエリストとして活動している。しかし記録によると、5年前に突然謎の病で入院している。これは俺の知っている原作の流れで言えば、おそらく闇の決闘の後遺症だ。

 

 紅葉は闇の決闘で敗北し、相手に“本気のドローをする度に自身の命をすり減らす”という呪いをかけられる。確かそれが元で長期入院したはずだ。

 

 だが、驚くべきことに記録によると、紅葉はそれから4年後。つまり去年()調()()()退()()()()()()。現在はまたプロデュエリストとして活動中だ。

 

 ……なんでこうなっているのかは分からないが、まあ原作より良い流れになっているのは間違いないな。

 

 そして姉のみどりは原作において、デュエルアカデミアのオシリスレッド1年の担任をしていた。だが、俺は考えてみれば一度も姿を見ていない。

 

 最初はたまたまタイミングが合っていないだけかと思っていたが……。

 

「こちらは教師として在籍はしているけど、現在長期休暇中か。それじゃあ会わない訳だよ」

 

 これは紅葉が復調したことと関係があるのだろうか? どうにも分からないな。

 

 他にもいくつか違和感の心当たりを調べた後、大分暗くなってきたので、手に入れた情報をまとめるべく一度寮に戻ることにした。すると、

 

「大変だよぉっ! 隼人君が……退学させられちゃうかもしれないんだ!」

 

 寮に帰るなり待ち構えていた翔に泣きつかれた。十代と翔の次は隼人かよっ!? オシリスレッドの面子はなんでこう崖っぷちばっかりなんだっ!?

 

 

 

 

『……で、その隼人君の父親が成績の悪い息子を連れ戻しに来たけど、隼人君自身はまだこの学園に居たい。だから何とかならないかと交渉したところ、明日隼人君と父親のデュエルで決着をつけることになったと』

「そういうことだ。それで今は十代達の部屋で作戦会議をしている。……話を聞く限りでは、その父親はかなりの腕らしいからな。今の隼人でどこまでやれるか」

 

 俺は自分の部屋でディーの光球と話している。十代達には少し用があるので後から合流すると言っておいた。

 

 ちなみに今罪善さんに精霊化して十代達の方に行ってもらっている。まずないと思うが、何かあれば知らせてくれる手はずだ。

 

 それと十代にはこっそり知らせているので問題ない。罪善さんが居るだけで周囲の人を落ち着かせる力があると聞くと「その力は無くても大丈夫さ! 俺は隼人を信じてるからな。まあ何かあったら呼ぶぜ」と返された。実に心強いな。

 

『事情は分かったけど、久城君はどうして行かないんだい? 隼人君とも縁があるんだろう?』

「ああ。ちょっと確かめたいことがあってな。それが済んでから行くさ。……ちなみに聞くが、()()()()()()()()()()()()()()?」

『そうだねぇ。ここもほぼ原作通りに進んでいるね。……まさか罪善さんを行かせるとは思っていなかったけど』

 

 そりゃあ俺や幻想体の動きは流れにはないだろうな。だけどそれでもほぼ原作通りか。つまり隼人の退学騒ぎも流れの内。……ここまで来るともう確定かな。

 

『どうしたんだい? そんなに考えこんじゃって?』

「いやなに。俺としたことが、最初から()()を間違えていたんだなぁとちょっと黄昏れていただけだよ」

『ほうほう。何を間違えていたんだい? 聞かせておくれよ』

 

 ディーはどこか楽しげにそう口にする。答え合わせをしようってか? 良いだろう。

 

 

 

「なに。簡単な話だ。…………()()()()()()()()()()()()()()()()()()? ()()()()()()()()()()()()()()()。……違うか?」

 

 

 

 正直当たってほしくない結論だ。だから俺はほんの少し、ほんの少しだけ外れてほしいという期待を込めて目の前の光球を見つめ、

 

『……大・正・解っ!! や~っと気がついたね!』

 

 そのどこまでも楽しげな声で語られる言葉に軽くため息をついた。そのくらいは許されるだろう?

 




 という訳で、ついに遊児が原作そのものが違うと自覚しました。原作知識がほぼ当てにならなくなった遊児がどう行動するか、こうご期待です。



 次話の投稿は明後日を予定しています。



 別作品『異世界出稼ぎ冒険記 一億貯めるまで帰れません』の方もよろしくです。
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