マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

198 / 280
バランサー対万丈目 その三 審判鳥対XYZ そして突然の……

 

 バランサー LP1300 手札2 モンスター 審判鳥 魔法・罠 深く暗い森

 万丈目 LP2200 手札0 モンスター アームド・ドラゴンLV5 XYZ-ドラゴン・キャノン W-ウィング・カタパルト 魔法・罠0

 

 

 

 やってくれたな万丈目。まさかこれだけ相手の場を削ってなおXYZが出てくるとは予想外だった。

 

(次のターン。XYZを放っておけば、効果でこちらのカードが破壊される。ただ)

 

 正直な所、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 審判鳥のクリフォトカウンター0効果。自分のターン終了時、クリフォトカウンターが乗っていない場合、場の守備表示モンスター、又は裏側表示のカードを全て破壊し、その数×800ダメージを互いに受ける。

 

 手札の『幻想体再抽出』で罪善さんを復活させ、審判鳥共々守備表示にしてターン終了。その瞬間効果により相手の場も含めて3枚破壊され、互いに800×3で2400ダメージを受けて引き分けだ。

 

 さらに言えば、場に出して罪善さんの回復効果を高めるカードがドローできればギリギリの差でこちらの勝ち……なのだが、

 

(今ここに居る審判鳥は()()。それがカードの効果とはいえ暴走なんかしたら)

 

 俺は以前のココロの暴走や、審判鳥がクロノス先生を襲った時を思い出す。まがりなりにも闇のデュエルでそうなったら、周囲に被害が出る可能性が高い。

 

 それに暴走とはいえ半分は自爆のような物。なりふり構わず絶対に勝たなきゃいけない勝負でもないのにそういう事はなるべくさせたくない。

 

 俺は万丈目をちらりと見る。その顔はどこまでも真剣で、どこかまっすぐさのあるもの。そして、次に何をやってくるか分からない顔だ。

 

 ……まいったな。舐めていると取られるかもしれない。本気で倒しに行っていないと取られるかもしれない。それでも、

 

(俺にだって()()()()()()()()()()()()()()()()()はある。それに……もう少しだけ、この楽しいデュエルを長く続けたいんだから困ったもんだ)

 

 

 

 

『俺のターン。ドロー。俺は手札から永続魔法『幻想体 古い信念と約束』を発動! 場のPEカウンターを3つ取り除く事で、カードを1枚ドローする。俺は審判鳥のカウンターを使いドロー』

 

 審判鳥 PE4→1

 

 引いたカードは『幻想体 小さな魔女 レティシア』。効果を使えばさらにドローできるが、相手もドローするので一つ間違うと逆転の可能性が出てきてしまう。

 

 俺は少し悩んだ末、

 

『……俺は手札から幻想体 小さな魔女 レティシアを守備表示で召喚』

 

 レティシア DEF600

 

『えへへ! 黒っぽいお兄ちゃん! こんばんわなの!』

『むぅ。どうして私まで』

 

 場にレティシア(本人)と、抱えられたままのネクが出現する。悪いけどお話は後でな。

 

『レティシアの効果をアームド・ドラゴンを対象に発動! 互いに1枚ドローする。そしてアームド・ドラゴンはこれから2度目のお前のターンまで、攻撃宣言した瞬間破壊される』

『プレゼントだよっ! え~い!』

 

 レティシアが放ったハート形の物体がアームド・ドラゴンの頭上に停まり、互いのプレイヤーに恩恵を与える。

 

「おいおい。俺にわざわざ引かせて良いのか?」

『少々危険だが、多少のリスクを冒してでも今が攻め時だと思ってね』

 

 俺の推しはまさかと思う状況からでも普通に逆転してくるからな。なら悠長に構えて待つよりも、こっちから動いて主導権を狙う方が良い。

 

 そして、俺がリスク覚悟で引いたカードは、

 

『……来たぜ。まず審判鳥の効果発動。相手の場の守備表示モンスター、または裏側表示のカードを破壊する。俺は守備表示のW-ウィング・カタパルトを破壊』

 

 審判鳥の翳す天秤の光により、ウィング・カタパルトが爆散する。まず1体。

 

『次だ。俺は魔法カード『幻想体脱走』を発動! LPを1000コストに、俺の場の幻想体モンスターを1体選択。そのカードより2つまでレベルの高い幻想体をデッキから特殊召喚する。レベル4のレティシアを選択し、デッキからレベル5の『幻想体 魔弾の射手』を攻撃表示で特殊召喚!』

 

 バランサー LP1300→300

 

 魔弾の射手 ATK2000 CC3

 

「くっ!? そのカードは!?」

『さらに俺は魔法カード『幻想体再抽出』を発動。墓地より罪善さんを守備表示で特殊召喚。そして効果により、俺の場のカード×300LPを回復する。俺の場のカードは計6枚。よって1800回復』

 

 罪善さん DEF200

 

 バランサー LP300→2100

 

『魔弾の射手の効果! 場のPEカウンターを3つ。またはLPを1000払い、相手の場のカード1枚を破壊する。俺は1000LPを払いアームド・ドラゴンを破壊。その後乗っているクリフォトカウンターを1つ減らす』

 

 バランサー LP2100→1100

 

 呼び出した魔弾の射手はニヤリと嗤い、肩にかけたマスケット銃をおもむろに一発撃ち放つ。弾丸はぎゅんぎゅんと軌道を変えつつアームド・ドラゴンに迫り、そのまま顎を撃ち抜いて撃破する。

 

 魔弾の射手 CC3→2

 

『行くぞ。バトルフェイズ。審判鳥でXYZに攻撃!』

「攻撃力はどちらも同じ2800。相打ち狙いか!?」

 

 審判鳥のロープに全身縛り上げられるXYZだが、やられ際にキャノン砲の一撃で審判鳥を迎撃。そのまま両者破壊される。

 

『幻想体脱走の効果によりこのターン、相手に戦闘ダメージは与えられない。よってこれで俺はターンエンド。そして魔弾の射手、及び古い信念と約束の効果発動』

 

 魔弾の射手 CC2→1

 

 そこで俺は持っていたコインを指で軽く弾き、手の甲でパシッとキャッチして面を確認する。

 

『表だ。よって破壊はされずこのまま場に残る。……さあ万丈目。どう出る?』

 

 頼みのXYZもアームド・ドラゴンも破壊され万丈目の場はがら空き。対してこっちはLPをコストにカードを破壊する魔弾の射手に、LPを回復できる罪善さん。そして相手の攻撃を抑制できるレティシアが揃っている。

 

 そして万丈目の手札はレティシアの効果で引いた1枚のみ。そんな絶望的な状況なのに、

 

 

「……ふっ。面白い」

 

 

 万丈目は笑って見せた。

 

 勝負を投げた諦めの笑みではない。自暴自棄になった顔でもない。

 

 あくまで冷静に、この引きで逆転して見せるという闘志に満ちた笑みだ。

 

 だからこそ、

 

「俺のターン。……ドローォっ」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「久城。さっき攻めを焦って俺に追加ドローを許したのは失策だったな。そのおかげで逆転の手が来たぜ。……俺は魔法カード『()()()()()()()』を発動!」

 

 おジャマンダラ? また聞いた事のない……さっきのおジャマ・ゲットライドのようにアニメオリジナルのおジャマサポートカードか?

 

「俺の墓地におジャマ三兄弟が揃っている時、LP1000を支払う事で、それぞれ1体ずつ俺の場に特殊召喚することが出来る。戻ってこいお前達」

 

 万丈目 LP2200→1200

 

『カムバ~ックなのよん!』

 

 おジャマ・イエロー DEF1000

 おジャマ・グリーン DEF1000

 おジャマ・ブラック DEF1000

 

 万丈目の場におジャマ達が帰還する。この流れは嫌~な予感がするな。だがまあそれはそれとして、

 

『一気に壁モンスターを増やしたか。だがそれだけじゃ次のターンを防ぐだけで手いっぱい。逆転までは行かないな』

「心配するな。逆転はこれからだ。さらに俺は魔法カード発動! 『おジャマ・デルタ・ハリケーン』! 相手の場のカードを全て破壊するっ!」

 

 げげっ!? これはマズい。

 

 おジャマ達が揃っていないと使えない魔法カードによって、俺の場のカードが全て薙ぎ払われる。

 

『……驚いたな。たった2枚の手札で俺の布陣が壊滅したか』

『びっくりしたの!』

 

 カードは破壊されても精霊としてのレティシアは健在。ネクを抱えながらふよふよと半透明になって俺の横に浮遊する。罪善さんや審判鳥も一緒だ。

 

「俺はこれでターンエンド。形勢逆転だな」

『確かに数の上ではな。だがおジャマ達自体は攻撃力0。そちらは手札を使い切り、LPも俺とほとんど差はない。再逆転は充分あり得るぞ』

 

 もう一ファンとしてはここまでの逆転を見せてもらっただけで嬉しいのだが、ここまで来たら一プレイヤーとして勝負を楽しみたい。

 

「はっ! やらせんさ。ファンの前だからこそこの勝負、()()()()()()!」

『結構だ俺の推しよ。それでこそ、挑み甲斐があるっ!』

 

 叩けば叩くほど、窮地に陥れば陥るほど強くなる。だからこそどこまで伸びるかその先をもう少し見てみたい。そのために、

 

「行くぞっ! ド」

 

 

 ズオオオオオンっ!

 

 

 突如強烈な音と振動が周囲を襲った。そして何故か俺達を覆っていた大鳥の暗闇が晴れ、本来の学園本棟近くの森の中に戻る。

 

『な、何だっ!?』

「おいっ!? あれを見ろっ!?」

 

 困惑する俺に対し万丈目が指さしたのは、遠くから見える巨大な光の柱。

 

『アニキっ!? こっちにもあるのよ~んっ!?』

『あっちにもあるよ遊児お兄ちゃんっ!?』

 

 グルァ!

 

 おジャマ・イエローやレティシア、大鳥が指すように、光の柱は一本ではない。その数合わせて四本。……んっ!? ()()っ!?

 

『どうやらピンときたようだな我が生け贄よ。……おそらくこれは七精門の封印が破れ、三幻魔が復活する前兆だ』

「何をバカな。まだ半分近くも鍵が残っているんだぞ」

 

 万丈目がネクの発言にそう返した瞬間、

 

 ズオオオオオン!

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『これで五本。あと二つだ』

『……もし仮に誰か鍵の守り手が負けたとして、それでもまだここに一つある。勝負も付いていない以上、完全に封印が解ける筈は』

 

 ピカアアンっ!

 

 その瞬間、万丈目が首から提げていた鍵が光を放ち、そのまま首からするりと抜けて宙に浮く。

 

「何っ!?」

『マズイっ!? 捕まえろっ!』

 

 嫌な予感がして慌ててそう言ったが時すでに遅し。飛び掛かったレティシアとおジャマ・イエローの腕をすり抜けるように、鍵はそのままどこかへと飛んでいく。

 

 何が何だか分からないが、どう考えても一つこれだけは言える。

 

『追いかけるぞ! あれを放っておいたら三幻魔が復活するっ!?』

「走れっ!」

 

 俺は大鳥に頼んで背に乗り、万丈目達と一緒に空飛ぶ鍵を追いかけ始めた。

 




 良い所でしたがデュエルはここで中断です。終末鳥を期待していた方は申し訳ありません。なにせ周囲の被害がとんでもないことになりますので。

 今回の流れは、本当になりふり構わずリアルでの被害を度外視して勝ちに行けば僅かの差でバランサーが、このまま進めばドロー力で万丈目がやや有利という状況でした。

 さて、ここからは少々原作と流れが違います。出来れば次回からも読んで頂ければ幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。