マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

200 / 280
 祝! 幻想体解説話なども含めて200話達成!

 ここまで長くこの話を続けられたのも、日頃から読んでくれている読者様のおかげです。

 いよいよ今の章も終わりが見えてきましたが、まだお付き合いいただければ幸いです。


閑話 語られる理事長の目的と、奮起するクロノス先生

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 それは十代とアムナエル、バランサーと万丈目が戦いを繰り広げる中でのこと。

 

 アムナエルによってアカデミア本棟に跳ばされていた鍵の守り手達。彼らは自分達だけのけ者にされたと知るや、一旦鮫島校長に事のあらましを説明すべく校長室に集まっていた。

 

「まったく。ここまでキ~テ、いざ戦いという所でむりやり解散だなン~テ、ありえないノ~ネっ!」

「まあ少し落ち着きたまえ。生徒達の事は心配だが、試合自体は正しく執り行われる筈だ。……それにバランサー君も居る。最悪の事態にはならないさ」

 

 事情を説明しながらも、クロノス先生は酷く憤慨していた。それを宥める鮫島校長。そんな中、

 

 

 ズオオオオオンっ!

 

 

 突如強烈な音と振動が外から響き渡る。

 

「なっ!? 何事なノ~ネっ!?」

「……見ろっ!? なんだアレはっ!?」

 

 真っ先に外を見たカイザーが、驚きで表情を変える。それに続くようにそれぞれ外を見ると、

 

「光の……柱?」

「一本だけじゃない……あちこちから空に向けて柱が伸びてるぞっ!?」

 

 島を囲むように、外周部から一本ずつ光の柱が伸びていく。そして、

 

「……ぬっ!? クロノス教諭っ!? 胸に提げている鍵がっ!?」

「鍵? 鍵がどうかしまし……何でス~ノっ!?」

 

 ピカアアンっ!

 

 突如クロノス先生の提げていた鍵が光を放ち、首からするりと抜けてそのままいずこかへと高速で飛び去って行く。

 

「まっ……待つノ~ネっ!?」

「あの方角はまさか……諸君っ!? 追うのだっ!?」

 

 真っ先に追いかけるのは持ち主であるクロノス先生。そして何か気が付いたのか、一拍遅れて青い顔をした鮫島校長が走り出す。

 

「俺達も行こうっ!」

「明日香は今度こそ僕と一緒に留守番だ。流石にその状態で鍵を追って全力疾走とはいかないからね」

「私も……いえ。分かったわ。今回ばかりは仕方ないわね」

 

 そして体調を気遣われた明日香と付き添いの吹雪を残し、カイザーと三沢も後を追って部屋を飛び出した。

 

 

 

 

 空飛ぶ鍵を追いかける鍵の守り手達。そして、その終着点は、

 

「やはり七精門かっ!?」

 

 遠目に見えていた奇妙な七つの建造物。それが普段地底にある七精門がせり上がってきた姿であると、鮫島校長はすぐに看破した。

 

 そして、そこに鍵がするりと入り込み、また一つ光の柱が島の外周から伸び上がる。

 

「これは……どうなっているのか不明だが、まだ負けていないクロノス先生の鍵が吸い込まれた事で柱が増えたという事は」

()()()()()()()()()()()()、ここに鍵が揃った時点で封印が解けるという事かっ!」

 

 そう言うカイザーの言葉を肯定するように、また一つどこかから鍵が飛来して柱が増える。

 

「あわわマズイノ~ネっ!? あと一つで封印がっ!?」

「まだだ。最後の一つさえ死守できれば……来るっ!?」

 

 そこに飛んでくる最後の鍵。しかしそうはさせまいと、鮫島校長を始めとした面々が身体を張って掴み取ろうとする。

 

 幸いここに居るのは、日々デュエリストとしてカードの実力、並びにそれを十全に扱うデュエルマッスルも鍛えている男達。いかに空飛ぶ鍵だろうと、四人も居れば誰か一人は捕まえられる。

 

 そうして鍵に飛び掛かろうとした瞬間、

 

 

「させぬぞっ!」

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()

 

 大質量の物体の落下。直撃こそしなかったものの、その衝撃で周囲に砂埃が巻き上がり鍵の守り手達は鍵を見失う。その一瞬の隙が、鍵を建造物へと到達させた。

 

 そして現れる七本目の光の柱。それに呼応するように、七つの建造物の中心にあたる場所がゴゴゴと地面からせり上がり、そこから三枚のカードが浮き上がる。

 

「むぅっ!? 三幻魔の封印がっ!?」

 

 鮫島校長が声を上げる中、ロボットから伸びたアームが三枚のカードを回収した。

 

「カードが奪われるぞっ!?」

「それよりもまず、あのロボットは一体何なノ~ネ!?」

 

 一同が慌てふためく中、突如ロボットの内部から声が聞こえてくる。それは、

 

「フフフ。鮫島校長。私の声を忘れたのかね?」

「その声は……影丸理事長っ!?」

「時は満ちた。今ここに、三幻魔復活の儀式を行う」

 

 鮫島校長の理事長という発言にも驚いたが、その影丸の続けた言葉に一同はさらに驚愕する。

 

「どういう事だっ! まだセブンスターズとの戦いが終わっていないのに、何故封印が勝手にっ!?」

「最初からそういう仕掛けだからだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 その言葉は本当かと一同は鮫島校長を見とと、校長は無言で肯定しつつ影丸を睨みつける。

 

「七つの鍵はお前達とセブンスターズを戦わせ、この島にデュエリストの闘志を蔓延させるための道具に過ぎない」

 

 影丸は語った。自分は数年前、永遠の命と世界の覇権を手にすると言われる伝説のカード三幻魔を手にした事。だがその力を覚醒させるには、デュエリストの闘志に満ちた空間が必要だった事。そのためにこの学園を創り上げ、三幻魔の復活に見合うデュエリストを育てていた事を。

 

「本来なら戦いが終わるまで私は動かぬ予定であったが、予想外にデュエリストの闘志が島に蔓延するペースが早くてな。カミューラの反乱は少々驚いたが、それも踏まえてセブンスターズ達は思ったより良い働きをした。……だが、もう用済みだ」

「ならば、お前の野望を打ち砕くため俺が相手をしよう。このアカデミアのカイザー。丸藤亮がっ!」

「いいや。セブンスターズ達も利用されていただけという事であれば、俺も黙っていられない。タニヤの誇りも込めて、この三沢大地がお前と戦うっ!」

 

 利用されていた怒りも込め、カイザーと三沢。二人の生徒が名乗りを上げる。だが、

 

「いや、皆さん少々お待ちを。……影丸理事長。()()をお忘れですかな?」

 

 そこに鮫島校長が待ったをかける。

 

 一歩前に進み出ると、どこからともなく出したデュエルディスクを構える。

 

「あくまで戦うのはセブンスターズと学園から選出したメンバーのみ。それが済むまで理事長本人は手を出さず、もし学園側が勝利すれば三幻魔を諦める。これが互いの折衷案だった筈。それを破るおつもりならば……()()()()()()()()()()()

「鮫島か。確かにお前ならば、デュエルで多少は私にも対抗できよう。だが……残念だ。()()()()()()()()()

 

 ぶわっ!

 

「むおっ!?」

 

 その瞬間、三幻魔のカードから衝撃波が走り、構えていた鮫島校長を吹き飛ばした。

 

「今のは……三幻魔の力」

「その通り。まだ覚醒には至らぬが、この程度なら造作もない。この三幻魔に挑めるのは、最低限自らも何かの力を持つか、何かしらの精霊を従える者のみ。これにはデュエルの腕は関係がない。……どれ。見定めてやろう」

 

 ぶわっ!

 

「ぐあっ!?」

「ぐぅっ!?」

 

 さらに理事長の周囲へと衝撃波が走り、カイザーと三沢を校長と同じく吹き飛ばす。そして、

 

「ノ~~…………アリャっ!?」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「な、何がどうなっていまス~ノっ?」

 

 そう呆然とするクロノス先生の頭上に、

 

 

 パタパタっ!

 

 

 一羽の小鳥が舞い降りた。

 

「わっ!? この鳥またワタ~シの頭の上にっ!? しっしっ! ここは危ないからさっさとどっか行くノ~ネっ!」

 

 クロノス先生は手をバタバタさせて追い払おうとするが、小鳥は器用に直撃を避けつつ離れようとしない。

 

 それでいて、その視線はずっと影丸の方向を向いていた。その相手こそ、まさしく自分が罰するべき相手だと言わんばかりに。

 

「精霊が力を貸すとは、この中で最低限戦う資格があるのはお前だけか」

「ガビ~ンっ!? ノンノンノンっ!?」

 

 クロノス先生は首をぶんぶんと振って否定する。

 

(精霊だのなんだのオカルトチックな話でス~ガ、ワタ~シにはまるで何が何やら。相手もこの学園の理事長との事でス~シ、ここはいったん撤退を)

 

「別に逃げても構わんぞ。お前は最低限戦う資格があるというだけ。これからここにやってくる遊城十代。或いは万丈目凖に比べれば、精霊が味方しているだけで精霊の力はほとんど持っていない。()()()()にしても大した足しにはならんだろうしな」

「……何でス~ト?」

 

 どこか挑発するようなその言葉に、クロノス先生はたまらず聞き返す。

 

「言ったであろう? 三幻魔復活の儀式を行うと。三幻魔の力をフルに扱うには私の力だけでは足らぬ。強い精霊の力を持つ者から力を奪いプラスしなければ。……セブンスターズとの戦いはその者を見つけるためでもあったが、二人も候補が見つかったのは幸運だった」

 

 フフフと笑いながら、理事長は言葉を続ける。

 

「あとは、ここで三幻魔を用い精霊の力を持つ者を倒す事で儀式は完成する。完全に覚醒した三幻魔を従え、私は永遠の若さを手に入れるのだっ! フハハハハ」

「…………ないノ~ネ」

「ハハハ……何だ?」

 

 どうにか逃げようとしていたクロノス先生は、キッと顔を上げて理事長を睨みつける。

 

「許さないと言ったノ~ネっ! ……ワタ~シ達は教育者。生徒達のより良い未来の選択肢を増やすために居るノ~ネ。それを力を奪って未来を閉ざそうなど……絶対に許すわけにはいかないノ~ネっ!」

「ほぉ。ならばどうするというのだ?」

「決まってるノ~ネ」

 

 教師のみが纏える特注のデュエルコートをばさりとはためかせ、クロノス先生は戦う構えを見せる。

 

「……クロノス先生」

「クロノス……教諭」

 

 倒れ伏す鮫島校長達が見守る中、

 

「このデュエルアカデミア実技担当最高責任者。クロノス・デ・メディチ。未だ健在な鍵の守り手として理事長。アナ~タにデュエルを申し込みまス~ノっ!」

 

 そう啖呵を切ったクロノス先生の姿は、間違いなく誇りある教育者だった。

 

 

 

 

 ただ、それはそれとして、

 

「アナ~タの思い通りにはさせませン~ノ! 影丸理事長っ!」

「くくくっ。良かろう。精霊の力を手に入れ、完全に三幻魔を解き放つ前の肩慣らしだ。……実力を見せてみよクロノス教諭。デュエルアカデミア実技担当最高責任者よ」

 

(つ、つい勢いでやってしまったノ~ネ)

 

 内心ビビりまくっているのも事実だったりする。

 




 こうして、本編の流れに繋がりました。肝心のデュエルが始まらなくてまことに申し訳ございませんっ!

 今回、以前の主人公勢以外で精霊と絡むのは誰かというアンケートから、クロノス先生なら精霊の力はなくとも精霊と絡んでも不思議じゃないと考え、罰鳥が少しだけ力を貸す展開となりました。

 あくまで精霊の力はほぼなく、罰鳥の側から実体化して合わせているという感じです。




 この話までで面白いとか良かったとか思ってくれる読者様。完結していないからと評価を保留されている読者様。

 お気に入り、評価、感想は作家のエネルギー源です。ここぞとばかりに投入していただけるともうやる気がモリモリ湧いてきますので何卒、何卒よろしく!
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