マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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クロノス対影丸 第一の幻魔

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 森を抜けた先で俺達が見たのは、七精門の中央で睨み合うクロノス先生と妙な多脚型ロボットだった。

 

 その周囲には怪我をしたのか、どこかよろよろとしている鮫島校長、カイザー、三沢の姿がある。……いやこれ一体どういう状況!?

 

「お~いっ!? 皆~っ! 無事かっ!?」

 

 そこへ十代も駆け込んできた。いつも胸に提げている鍵が見当たらない所を見ると、どうやらあっちも鍵が飛んで行ったらしいな。

 

「ふふふ。来たか。精霊の力を強く宿した者達にバランサーよ」

「……むっ!? 十代君っ! バランサー君っ! 万丈目君もっ!」

『鮫島校長っ!? これは一体?』

 

 真っ先にこちらに声をかけてきたのは鮫島校長だった。よろよろと歩いてくる鮫島校長から、事の次第を説明される。

 

「つまり、あのロボットの中に居る影丸理事長が全ての黒幕って訳か」

「で、その影丸理事長が三幻魔の力を完全に操るためには強い精霊の力が必要で」

『そのために精霊の力を持つデュエリストを倒してその力を手に入れようと』

 

 ざっくり説明を受けて俺達は呆然とする。前に大徳寺先生からも聞いてはいたが、あの理事長まさかここまでするとは。

 

「今はこうして、最低限戦う資格があるとみなされたクロノス先生が身体を張って理事長に戦いを挑んでいるといった具合です。……くぅ。肝心な時に戦えないとは校長として不甲斐ない」

『気を落とさずに。こればかりは適性がない事にはどうにもなりませんからね。しかしクロノス先生に適性があったとは知らなか……なぬっ!?』

 

 そうしてクロノス先生をよく見れば、なんと頭の上に罰鳥が悠々と乗っかっている。……そういえばこの場所は森の近く。ぎりぎり縄張り判定で三鳥も手を貸す事態になっていた訳か。

 

『理事長っ! これはどういう事です? この戦いはあくまで学園側とセブンスターズの戦いのはず。まだ全て終わっていないのにこんな所に出張ってくるとは明らかなルール違反ですが?』

「ルール違反? そもそも最初から裏切る気だったのは貴様だろうに片腹痛いわバランサー。アムナエル、そしてそこに居る鮫島と手を組み、私の計画を潰すために動いていたことは知っている。表面上は従っていたので手を下すことはなかったが、事ここに至ればもう用済みよ」

 

 ぐっ!? まあ当然バレてはいるわな。こちらとしては、理事長に介入される隙を作らずに今日一日で全ての戦いを終わらせる予定だったが、それを読んでこっちがデュエルしている真っ最中に乗り込んでくるとは。

 

「こうなったら……クロノス先生っ! ホントは俺がやりたいけど仕方がない。そんなじいちゃんなんかデュエルでぶっ飛ばしてくれっ!」

 

 十代が檄を飛ばすが、肝心のクロノス先生はどこか不安そうだ。まあ気持ちは分かる。今回の相手はどう見てもヤバい。

 

 アニメで言うなら間違いなくクライマックス。一年生編のラスボスか何かだろうな。そんな相手とデュエルはやりたくない。だが、

 

「ま、任せるノ~ネ!」

 

 そんな状態であっても、逃げることなくクロノス先生はしっかりとその両の足で立っていた。

 

「よかろう。では、闇のデュエルを始めようか」

「……ハッ。三幻魔だろうが何だろうが、デュエルとは青少年にとっての光。よって闇のデュエルなど認めませン~ノっ! それをたっぷり指導して差し上げるノ~ネ」

 

 

 

「「デュエルっ!」」

 

 こうして、全ての元凶との戦いが幕を上げた。

 

 

 

 

 クロノス LP4000

 影丸 LP4000

 

「先行はもらうノ~ネ。ワタ~シのターン。ドローっ! 手札から『古代の機械(アンティーク・ギア)兵士(ソルジャー)』を守備表示で召喚。カードを一枚伏せ、ターンエンドなノ~ネ」

 

 古代の機械兵士 DEF1300

 

 始まりは静かな立ち上がり。クロノス先生は壁モンスターと伏せカード一枚で様子見と言った所か。

 

 対して影丸理事長の動きは、

 

「私のターン。ドロー。……私は、()()()()()()()()()()

 

 理事長の操るロボット。そのアームが器用にデュエルに三枚のカードをセットしていく。だが、

 

「妙だな。アイツ。自分の伏せるカードの種類を宣言したぞ」

 

 十代が言うように、本来伏せカードが魔法か罠かなんて宣言する必要はない。

 

 勿論心理戦のブラフとして宣言する場合もあるが、それにしては三枚ともというのも妙な話。

 

「まさかデュエルの初心者って事は?」

「それはないよ。影丸理事長のデュエルの腕はかなりのものだ」

 

 初心者によくある失敗かと万丈目が口にするが、鮫島校長がそれを否定する。しかし三枚の罠……うんっ!? ()()っ!? 確か幻魔の召喚条件って!?

 

「そう。これこそが幻魔を呼び出すのに必要な条件なのだよ。さあ見るが良いっ! 第一の幻魔をっ! 私は三枚の罠を生け贄に、手札の『神炎皇ウリア』を攻撃表示で特殊召喚!」

 

 その言葉と共に、場に伏せられていた三枚のカードがふわりと舞い上がり、その中心から巨大な火柱が吹き上がる。

 

 そしてそれが収まった時、凄まじい咆哮と共に中から現れたのは、どことなく神のカードの一枚『オシリスの天空竜』に似た禍々しい赤竜。

 

 神炎皇ウリア ATK0

 

「これが……幻魔」

 

 クロノス先生がそう冷や汗をかきながらポツリと漏らす。

 

 見ただけで分かるがあれはヤバい。日頃から幻想体達と接している俺だから言えるが、これまで出たどの精霊、幻想体よりも格段に危険だ。

 

「ウリアの特殊効果発動。『トラップディストラクション』」

「何です~の? ……うぎゃっ!?」

 

 ウリアの放つ波動が周囲に響き渡り、クロノス先生の伏せていたカードが破壊される。

 

「三幻魔に罠は通用しない。通用するのは発動ターンの魔法・モンスター効果のみ。また、ウリアは効果により1ターンに1度、セットされた罠を破壊できる」

 

 げっ!? マンガ版神のカードと同じ耐性持ちかよ。ただあくまで破壊されるのが罠だけなのはまだ救いか。

 

「そして、ウリアの攻撃力・守備力は自身の墓地の罠×1000ポイントとなる。墓地の罠は三枚。よってウリアの攻撃力は」

 

 神炎皇ウリア ATK0→3000

 

「いきなり攻撃力3000か」

「ウリアよ。その雑魚を焼き尽くせ。『ハイパーブレイズ』っ!」

 

 ウリアの吐いた炎のブレスが機械兵士を包み込み、そのまま凄まじい火力で焼き尽くしてしまう。そして、その余波はクロノス先生にも牙をむく。

 

「ぐぬ……アチチチっ!?」

「クロノス先生っ!?」

「ふふふ。熱いか? 闇のデュエルにより、プレイヤー自身もこうして痛みを受ける。今回はダメージがなかったことからこの程度で済んでいるが、ダメージが大きければ大きいほど当然……サレンダーするかね?」

 

 コートの裾にちょっぴり火の粉が飛んで慌てていたクロノス先生だったが、その言葉を聞いてすぐさま首をブンブンと横に振る。ついでに頭に乗っている罰鳥も同様だ。

 

「ならば、私はこれでターンエンド。さあ。お前のターンだ。クロノス教諭」

 

 

 

 

 クロノス LP4000 手札4 モンスター0 魔法・罠0

 影丸 LP4000 手札2 モンスター 神炎皇ウリア 魔法・罠0

 

「これは……クロノス先生の分が悪いな」

「ああ。相手は攻撃力3000。そして罠は問答無用で破壊され、魔法やモンスター効果も1ターンしか効かない。おまけに相手のデッキには、それと同格のカードがあと2体も」

 

 カイザーと三沢は冷静に今の状況を分析する。

 

 確かに今の流れは完全に理事長の方にある。おまけにアニメ版の強力な耐性持ちの幻魔がこれ以上出てきたらますます状況は不利になる。だが、

 

『どう思う十代? クロノス先生がこのまま負けると思うか?』

「い~や。ちっとも。だってクロノス先生は強いからな!」

 

 十代はそうにかっと笑う。ああ。俺も同意見だよ十代。

 

 少なくとも、クロノス先生の眼はまだ幻魔相手に死んでいない。

 

 とはいえ、闇のデュエルで消耗がこれから激しくなるのもまた事実。万丈目に渡したペンダントをクロノス先生にとも思ったが、もうデュエルが始まってしまった以上効果がどこまで望めるか。

 

 ここは……いよいよアイツの出番かもな。

 

「ワタ~シのターンっ! 手札から魔法カード『天使の施し』を発動! 3枚ドローし、その後手札から2枚捨てるノ~ネ! ……さらに永続魔法『古代の機械(アンティーク・ギア)(キャッスル)』を発動! このカードがある限り、全ての古代の機械の攻撃力は300アップするノ~ネ!」

 

 クロノス先生は手札交換から、アンティーク・ギアの地力を上げるカードを発動。そして、

 

「行くノ~ネ! 私はさらに装備魔法『早すぎた埋葬』を発動! コスト800を支払い、天使の施しで墓地に落とした『トロイホース』を特殊召喚! そして、トロイホースを生け贄に『古代の機械(アンティーク・ギア)巨人(ゴーレム)』を攻撃表示で召喚するノ~ネっ!」

 

 クロノスLP4000→3200

 古代の機械巨人 ATK3000→3300

 

「ほぉ。攻撃力3300か」

「確かに幻魔の力は強大。しか~し、決して無敵ではないノ~ネ。効果の効きが悪いのナ~ラ、真っ向から打ち破るのみ。バトルなノ~ネっ! 古代の機械巨人で、神炎皇ウリアを攻撃っ! 『アルティメット・パウンド』っ!」

 

 機械巨人の鉄拳が、三幻魔の一角を打ち砕いた。

 




 耐性をガン無視して力でねじ伏せる。単純ですが分かりやすい対処法です。まあ問題は、それが出来るほど高打点を揃えられるかどうかという点ですが。




 この話までで面白いとか良かったとか思ってくれる読者様。完結していないからと評価を保留されている読者様。

 お気に入り、評価、感想は作家のエネルギー源です。ここぞとばかりに投入していただけるともうやる気がモリモリ湧いてきますので何卒、何卒よろしく!
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