マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 注意! 一部カードの効果は、アニメ版ではなくタッグフォース準拠でお送りします。


クロノス対影丸 究極巨人対三幻魔

 

「茂木っ! 助けに来てくれたのかっ!?」

「うん。久城君から連絡を貰って……ふわぁ。眠たいけど助けに来たよ!」

 

 十代の嬉しそうな声に、茂木は眠そうにえへへと笑って見せる。

 

 間に合ったか! 俺は内心ホッとしていた。

 

 このデュエルが始まって少しした時、俺は念のため茂木に連絡を取って大鳥に迎えに行かせていたんだ。

 

 茂木の精霊の力は、自身の周囲の者を強制的に脱力させる物。それは三幻魔の周囲の精霊から精気を吸収する力と似た所がある。

 

 ならそういう類同士が近くに居れば、多少ではあるが干渉しあえるのではないかと思ったんだが、

 

「おのれ……茂木もけ夫。精霊の力こそ強いが自身でコントロールできず、奪うには不適当と放置していたが、まさか僅かとはいえ幻魔の力に抗えるとはな。道理で想定よりもこの肉体の若返りが遅いと思ったわ」

 

 どうやら読みがドンピシャだったようだ。影丸理事長は少し苛立つようにそう吐き捨てる。

 

「あはは……少し抗えるだけで、精気を吸う事を止める事は出来てないんだけどねぇ。それにもけもけ達も精霊。結局の所幻魔に精気を吸われちゃうから、そう長くは保たなそう。その分他の人達が脱力する事態にはならなそうだけど」

 

 もけ……もけぇ。

 

 茂木が困った顔で言うように、もけもけからも精気が僅かずつ幻魔に吸収されている。そして自身も周囲に影響を与え続けているためか、もけもけの表情は既にやや疲れ気味だ。だが、

 

「いや。それで充分なノ~ネ。シニョール茂木」

 

 クロノス先生はそう力強く口にし、罰鳥が頭の上でパタパタと羽ばたき追随する。

 

「オカルトなン~テインチキ臭いと以前なら笑っていたでしょうが、以前アナ~タを利用してシニョール十代を潰そうとした私が言えた義理じゃないノ~ネ。細かい理屈は良く分かりませんが、あと数ターンだけで良いので持ちこたえてくださイ~ノ!」

「はあい。でも不思議な縁だねぇ。あの時の先生が、今じゃ十代君達の為に戦っているんだから」

 

 確かにな。あの頃のクロノス先生は酷い性格だった。自分の保身の為に生徒を追い出そうとしたりとかな。

 

 だが、今のクロノス先生は少し前とは違ってきた。相変わらず保身の事を考えるし強敵を前にしてビビったりもする。でも、最後には頑張って生徒の為に身体を張る。教師として。

 

 それを茂木も分かっているのだろう。相変わらずの眠そうな顔で、ふふっと穏やかにそう笑う。

 

「さあ。デュエルを再開するノ~ネ影丸理事長っ! アナタの野望。ここで食い止めてみせまス~ノっ!」

「来るが良いっ! 捻り潰してくれよう。クロノス・デ・メディチっ!」

 

 

 

 

 クロノス LP1500 手札3 モンスター0 魔法・罠 古代の機械城

 影丸 LP3700 手札0 モンスター 神炎皇ウリア 降雷皇ハモン 魔法・罠 失楽園

 

 

「しかし、影丸理事長の場には攻撃力4000の幻魔が2体。そして罠カードはウリアに問答無用で破壊され、壁モンスターを出してもハモンの効果ダメージが来る。厳しい状況だぞ」

 

 三沢は冷静に今の状況を分析する。実際今の状況は極めて不利だ。だが、

 

「でも、クロノス先生はまだ諦めてないみたいだぜ。頑張れクロノス先生っ!」

 

 十代の言う通り、クロノス先生の顔はまったく勝算のない男の顔じゃなかった。

 

 まだ勝ち筋はある筈だ。古代の機械(アンティーク・ギア)デッキには、それだけのポテンシャルがある。

 

「ワタ~シは魔法カード『強欲な壺』を発動! カードを2枚ドロー」

「よし。クロノス先生も手札増強が入ったぞ。まだ行けるっ!」

「魔法カード発動! 『古代の(アンティーク・)整備場(ギアガレージ)』! 墓地に存在する『アンティーク・ギア』モンスターを手札に加える。古代の機械巨人を選択するノ~ネ」

 

 そう来たか。場には必要な生け贄を減らす機械城もあるし、手札から出す方法もない訳じゃない。

 

 しかしまだ攻撃力が足らないし、単に壁にするだけなら機械兵士の方が出しやすい。それでも機械巨人を選んだとなると次の一手は。

 

「これで準備は整いましタ~ノ。私は魔法カード『融合』を発動! 手札の()()()()()()()()()を素材にしまス~ノ!」

「クロノス先生が……融合?」

 

 誰かがそうポツリと呟く。

 

 そう言えば、クロノス先生はこの一年、デュエルで一度も融合召喚を行っていなかった。情報も出なかったし、もしやまだ実装されていないのかと思っていたが、どうやら違ったみたいだ。

 

「生徒相手に見せる事はないと思っていたこのカード。しかし、幻魔相手なら話は別。アンティーク・ギアの奥の手中の奥の手。今こそお見せするノ~ネっ! 融合召喚っ!『古代の機械(アンティーク・ギア)究極(アルティメット)巨人(ゴーレム)』っ!」

 

 古代の機械究極巨人 ATK4400→4700

 

 ウオオオオオン!

 

 重厚な咆哮のような駆動音と共に出現したのは、まるで半人半馬(ケンタウロス)のような姿の機械仕掛けの巨人だった。

 

 自慢の剛腕はさらに厳つくなり、左腕に至っては巨大なメタルクローを装着している。おまけに機械城の効果でさらに攻撃力を上げ、かの究極竜の4500をも超えている。

 

「攻撃力……4700だとっ!?」

 

 これには流石の影丸理事長も驚きを隠せない。一度ウリアを力で突破された上、自慢の幻魔をさらに真っ向勝負で超えてくるとは予想できなかっただろう。

 

「覚悟するノ~ネ幻魔。バトルなノ~ネ! 古代の機械究極巨人で降雷皇ハモンに攻撃っ!」

「ヌアアアっ!?」

 

 前よりも強化された巨人の鉄拳が、今度はハモンを粉々に打ち砕く。

 

 影丸 LP3700→3000

 

「……すげぇ。すげぇぜクロノス先生っ!」

「ホッホッホ! これくらい、このワタ~シにかかれば当然です~ノヨ。これでターンエンドなノ~ネ」

 

 十代が目をキラキラさせて憧れの視線を向けるのに対し、クロノス先生は満更でもないように笑う。なんだかんだこうストレートに褒められる事ってあんまりなかったからな。

 

 さあ。互いの手札は0。

 

 しかし攻撃力だけなら究極巨人の方が優れているが、失楽園によって向こうは手札補充が出来る。

 

 このまま押し切れるか? クロノス先生。

 

 

 

 

「私のターン。ドロー。そして失楽園の効果によりさらに2枚ドロー」

 

 予想通りと言うか、影丸理事長は効果により手札を補充してくる。そして、

 

「実の所、ここまでやるとは思っていなかった。まさかウリアに続きハモンまで倒して見せるとはな」

「お褒めに預かり光栄なノ~ネ。その辺り査定に反映してもらえると助かるノ~ネ」

 

 理事長の僅かに感心したような言葉に、クロノス先生は軽口を叩くようにそう返す。ただし、その言葉と裏腹に表情は真剣。冷や汗までかいている。

 

 それもそのはず。

 

「何だ……このプレッシャーは!?」

 

 影丸から……正確に言えばその()()からとんでもない圧が放たれていたからだ。

 

 奴め。今のドローで最後の1枚を引き当てたな。

 

「謝罪してやろう。所詮前菜とお前を舐めていたことに。私はフィールド魔法()()()()()()()()()()! そして効果によりさらに2枚ドロー」

 

 ちょっと待て。いやまさか……そんなのアリかっ!? こいつ手札からフィールド魔法を張り替えやがったっ!? しかも現代じゃ同名カードのターン1制限があるのに普通にこっちは張り替えで使えてるしっ!? これもアニメ版効果かっ!? おまけに、

 

 

 

“私は新しい世界を歓迎するためにランタンを燃やした者。私はあなたを治す薬を持って来た医者。私は道をたどる巡礼者”。

 

 

 

 トクンっ!

 

 まただ。またどこかから声がした。

 

 酷く優しそうで、穏やかで、それでいて……どこか痛ましく恐ろしい。そんな声が。

 

 きょろきょろと見まわしてみるが、そんな奴は影も形もない。失楽園が発動する度に声が聞こえるのは一体どういう事だ? ……まあ良い。今はデュエルの方が問題だ。

 

「私は魔法カード『死者蘇生』を発動。墓地のハモンを攻撃表示で特殊召喚する」

 

 降雷皇ハモン ATK4000

 

 やっぱりか。ハモンもウリアと同じく現代版とは効果が違ってる。本来なら自分の効果以外で特殊召喚出来ない筈だが。

 

「まだだ。私は手札から『幻銃士』を攻撃表示で召喚。召喚時効果により、場に2体の銃士トークンを守備表示で特殊召喚する」

 

 幻銃士 ATK1100

 銃士トークン×2 DEF500

 

 影丸の場に、背中に二本の筒を背負った悪魔とそのトークンが出現する。……マズイ。生け贄も揃った。となれば次の流れは、いよいよアイツが来る。

 

 

 

 

「さあ。見るが良い。これこそが最強の幻魔っ! 場の幻銃士と2体の銃士トークンを生け贄に捧げ、現れろっ! 『幻魔皇ラビエル』っ!」

 

 地の底から、最後の幻魔がやってくる。

 




 次回クロノス対影丸戦決着予定。

 なんだかんだ言っても、耐性なんか知らんと言わんばかりの高打点同士の殴り合いは結構好きなんですよね。頭悪いしスマートじゃないけど楽しいというか。

 そういう意味では理事長からの評価が割と高くなっているクロノス先生でした。次回の査定は期待できるかもしれません。




 この話までで面白いとか良かったとか思ってくれる読者様。完結していないからと評価を保留されている読者様。

 お気に入り、評価、感想は作家のエネルギー源です。ここぞとばかりに投入していただけるともうやる気がモリモリ湧いてきますので何卒、何卒よろしく!
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