マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 今回は展開の都合上少し短めです。


万丈目対吹雪 その四 目覚める意思

 

「俺はカードを一枚伏せ、ターンを終了する」

 

 死者蘇生で真紅眼の黒竜を復活させた万丈目。しかしメインフェイズ2であったためこれ以上の追撃は出来ず、伏せカードを出して吹雪の手番へと回す。

 

「……私のターン。ドロー」

 

 

 吹雪 LP3600 手札3 モンスター 真紅眼の不死竜 真紅眼の飛竜 X-ヘッド・キャノン 魔法・罠 アンデットワールド リビングデッドの呼び声

 万丈目 LP1600 手札0 モンスター アームド・ドラゴンLV7 真紅眼の黒竜 魔法・罠 ダイレクト・ボーダー 伏せ1

 

 

(先ほどのターン。万丈目は黒竜を戦闘破壊し死者蘇生で復活させた。その事がどう戦局に影響するか)

 

 二人の戦いを見守るカイザーは静かに思案する。

 

 今の場面、()()()()()()()()()()()()()という手もあった。

 

 二体の攻撃力は同じ。そしてアンデットワールドが健在な以上、そのまま奪われたX-ヘッド・キャノンを取り返す事も、墓地に居ると厄介な真紅眼の飛竜を戦闘破壊して引っ張り込む事も出来た。

 

 勿論黒竜の方が吹雪にとってサポートカードが多く、残しておくと危険という思惑もあったかもしれない。特に『黒炎弾』を引かれれば、一気に万丈目はLPを0にされるのでそれを嫌ったという可能性も。

 

 だが、そんな事とは関係なく、

 

(黒竜と対峙させることで、吹雪の心を呼び覚ます。もしやお前は……それを狙っているのか?)

 

 

 

 

「私は手札から『アタッチメント・ドラゴン』を召喚し効果発動。このカードは召喚、反転召喚、特殊召喚時に相手モンスターの装備カードとなり、表示形式を変更する。その後そのモンスターは表示形式を変更できない。アームド・ドラゴンを守備表示に変更」

「むっ!?」

 

 アームド・ドラゴンLV7 ATK2800→DEF1000

 

 吹雪の場に現れた竜が、そのままアームド・ドラゴンに纏わりついてむりやり動きを封じる。

 

「バトルフェイズ。真紅眼の飛竜で、()()()()()()()()()

「……そうきたか。迎え撃て黒竜!」

 

 飛竜は主人の命で黒竜に突撃するが、攻撃力は黒竜の方が上。黒竜のブレスによって、その身に爪が届く前に焼き尽くされる。

 

 吹雪 LP3600→3000

 

『あれぇ? 何でこっちの方が攻撃力が上なのに攻撃してきたのかしらん?』

「分からんのか? 飛竜は墓地に居る時、そのターンモンスターを召喚していなければ同じく墓地の真紅眼の黒竜を特殊召喚できる。多少ダメージを受けてでも、早めに墓地に送っておくことを優先したんだ。そして当然次は」

 

 不思議がるイエローに簡単な解説をすると、万丈目は次の展開を予想して身構える。不死竜の効果はアームド・ドラゴンLV7には通用しない。つまり次の標的は、

 

「不死竜で、真紅眼の黒竜に攻撃。……私の下に戻れっ! 黒竜」

 

 向かい合う二体の攻撃力は互角。不死竜が青色の、黒竜が赤色の炎を口内に溜め、今にも敵に向けて吐き出そうとしたその瞬間、

 

「罠発動! 『攻撃の無力化』。不死竜の攻撃を無効にし、その後バトルフェイズを終了させる」

 

 互いの中間にエネルギーを無力化する空間が出現。このままブレスを吐いても互いに届かないと分かったのか、二体のレッドアイズはそのままブレスを中断する。二体共どことなく横槍を入れた万丈目にどことなく不満そうだ。

 

「このままレッドアイズ同士で相打ちに持ち込み、残るX-ヘッド・キャノンでアームド・ドラゴンを破壊。次のターン飛竜の効果で黒竜を蘇生させる流れに持ち込みたかったんだろうが、当てが外れたな」

「……メインフェイズ2。私はX-ヘッド・キャノンを守備表示に変更。ターンエンド」

 

 

 

 

「俺のターン。さて。まだ目を覚めないのか? なら……ここらで一つキツイのを見舞ってやろう」

 

 そう言って万丈目は、ニヤリと笑ってドローしたカードを発動する。それは、

 

「魔法カード『大嵐』。効果は当然知ってるよな? さあ。全てまとめて吹き飛ぶが良いっ!」

 

 大嵐により、場の全ての魔法・罠が破壊されていく。万丈目の場のダイレクト・ボーダーも吹き飛ぶがそんな事は関係がない。何故なら、

 

「上手いっ! これならアンデットワールドも、リビングデッドの呼び声もまとめて破壊される」

 

 みるみると場のモンスター全てに纏わりついていた人魂がフィールド魔法ごとはぎ取られ、モンスター達はアンデットから元の種族へと戻っていく。

 

 そしてリビングデッドの呼び声で復活していた不死竜もまた、カードが無くなった事で再び墓地へと還った。

 

「おっとそれだけじゃないぜカイザー。アームド・ドラゴンに装備されたアタッチメント・ドラゴン。こいつは今装備魔法扱い。つまりそいつも破壊されることで、アームド・ドラゴンもまた解放される」

 

 吹きすさぶ風はアームド・ドラゴンを拘束していた竜も吹き飛ばした。アームド・ドラゴンはいつでも攻撃に移れるぞとばかりにぶるりと一度大きく震える。

 

 実質万丈目は大嵐とダイレクト・ボーダーの二枚消費に対し、吹雪はアンデットワールド、リビングデッドの呼び声、真紅眼の不死竜、アタッチメント・ドラゴンの四枚を消費させられた形となった。

 

 そして、それは数の上だけでの消費に収まらない。

 

「……ぐっ!? あがっ!?」

『アニキっ!? なんか向こうの様子がおかしいのよん?』

 

 突然これまで無表情だった吹雪が、頭を抱えて苦しみだした。

 

「やはりな。アンデットワールドと真紅眼の不死竜。闇のカードと思わしき物をまとめて破壊したんだ。少しは催眠なりなんなりの影響が弱まるのは必然。……一気に畳みかけるぞ! アームド・ドラゴンを攻撃表示に変更し、バトルフェイズっ!」

 

 待ってましたとばかりに攻撃態勢に移るアームド・ドラゴンと黒竜。そして、万丈目の指示は、

 

「アームド・ドラゴンでX-ヘッド・キャノンに攻撃。そして吹雪さん。黒竜でアンタに直接攻撃だっ!」

 

 ダイレクト・ボーダーが無くなった以上、直接攻撃を阻む物はない。まず先駆けとして、アームド・ドラゴンの腕刃がX-ヘッド・キャノンを切り裂いて破壊する。

 

 そして黒竜が先ほどまでよりも凄まじい勢いで、口内にブレスを溜め始めた。それは、どこか操られる主人に活を入れるべく奮い立っているようで、

 

「放て真紅眼の黒竜っ! 目を……覚ませぇっ!」

 

 先のターンの宣言通り、黒竜の一撃が吹雪の目を覚まさせるべく叩きこまれた。

 

 

 

 

 吹雪 LP3000→600

 

 単純にダメージのみを考えるなら、黒竜を先駆けにして攻撃力の高いアームド・ドラゴンで直接攻撃した方が良かった。だが万丈目はダメージよりも、吹雪の目を覚まさせる事を優先した。結果として、

 

「ぐおおおっ!?」

 

 強烈なブレスを受け、吹雪はふらふらとバランスを崩し膝を地につける。だが、闇のデュエルにしては肉体へのリアルダメージは大分少なかった。

 

「吹雪っ!?」

 

 急いで駆け寄ろうとするカイザーを、万丈目は手で制する。

 

「まだ勝負は終わってないぜカイザー。俺はこれでターンエンド。……立てよ吹雪さん」

 

 膝を突いたまま動かない吹雪に、万丈目は発破をかけるように語り掛ける。

 

「アンタが噂で聞いていたカイザーのライバルなら、あのデュエル馬鹿(十代)が苦戦し、久城の奴が認めるデュエリストならっ! ……そして」

 

 そこで万丈目は少しだけ逡巡した後、どこか意を決したかのように叫ぶ。

 

 

「あの()()()()()()()()()()()()()()だというのなら、いつまでも操られてないで目を覚まして立ち上がって見せろっ!」

 

 

「…………ずるいなぁ。君は」

 

 その言葉に、ふらつきながらもゆっくりと吹雪は立ち上がる。

 

「明日香を引き合いに出されては、立ち上がらない訳にはいかないじゃないか」

 

 その顔はもはや無表情ではなく、瞳にははっきりとした意思が満ちていた。

 




 逆転のどさくさで、明日香への思いの丈をぶちまける万丈目でした。まあ相手は場合によってはお兄さんになるかもですししょうがないね!

 次回万丈目対吹雪戦完結予定。お楽しみに。
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