マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 久しぶりに遊児のデュエル開幕です。

 また使用した幻想体の能力と感想をあとがきにまとめておきますので、よろしければご一読ください。


遊児対悪霊 その一 死者と呪われた生者

 

 遊児 LP4000 手札5

 悪霊 LP4000 手札5

 

 

 

『先攻は我らが頂く。ドロー』

 

 じっと腕を拘束された状態で佇むラビエルを背に、悪霊はカードを引く。

 

『……クククっ。悪くない手札だ。我らはモンスターをセット。カードを二枚伏せ、ターンエンドだ』

『なら俺のターン。ドロー』

 

 さて。どうするか。

 

 悪霊の初手は無難で静かな立ち上がり。一切カードから読み取れる情報はない。カミューラのデッキを使っているとするならヴァンパイアをメインとしたアンデット主軸のデッキか?

 

 まずは攻めてみない事には始まらないが、生憎今の手札に強めのアタッカーが居ない。となると、

 

「俺は『幻想体 三鳥 罰鳥』を攻撃表示で召喚。召喚時にこのカードにクリフォトカウンターを四つ乗せる」

 

 罰鳥 ATK100 CC4

 

 俺の前に、実体化していた罰鳥がパタパタと飛んでくる。映像ではなく精霊自身が出るらしい。

 

「バトルだ。罰鳥は効果により相手に直接攻撃が出来る。行け罰鳥!」

『ぐっ!? この鳥風情がっ!?』

 

 悪霊 LP4000→3900

 

 罰鳥は悪霊に向かって行き、そのまま頭部を勢い良くつつく。悪霊はすぐに振り払うが、見ると僅かに黒ずんだ血が出ている。……やはり闇のデュエル。ダメージはそのままリアルに影響するか。

 

 しかし罰鳥は初手のモンスターとしてはそこそこ悪くない。攻撃力自体は軽微だが、攻撃された時戦闘ダメージを0にし、相手を道連れに破壊する効果がある。地味に壁モンスターとして有能だ。まずはこれで出方を見る。

 

『俺はこれでバトルフェイズを終了。そしてそのタイミングで罰鳥の効果。戦闘を行ったバトルフェイズ終了時にPEカウンターを二つ乗せる」

『その瞬間を待っていたぞっ! 永続罠発動。『血の代償』!』

 

 罰鳥 PE2

 

 このタイミングで血の代償か!? 血の代償はLPを500支払う事で、自分のメインフェイズか相手のバトルフェイズに通常召喚を可能にするカード。バトルフェイズ終了時という追撃しづらい瞬間を狙ってきたか。

 

『我らはLPを500払い、手札からモンスターをセットする』

 

 悪霊 LP3900→3400

 

 またもセット。相変わらず正体は分からないか。しかし着実にモンスターを増やされている。ちょっとマズイな。

 

「なら今度こそバトルフェイズを終了、メインフェイズ2に俺もカードを二枚伏せてターン終了だ。そしてターン終了時、罰鳥のクリフォトカウンターを一つ減らす」

 

 罰鳥 CC4→3

 

 

 

 

 悪霊 LP3400 手札2 モンスター 伏せ2 魔法・罠 血の代償 伏せ1

 遊児 LP4000 手札3 モンスター 罰鳥 魔法・罠 伏せ2

 

 

『我らのターン。ドロー。セットしたモンスターを反転召喚。二体共『デス・ラクーダ』だ』

 

 デス・ラクーダ ATK500

 

「これはまた厄介なカードを」

『デス・ラクーダの効果。このカードが反転召喚に成功した時、カードを一枚ドローする。よって二枚ドロー』

 

 ラクダのゾンビがベロンと長い舌を伸ばし、デッキからカードを悪霊に届ける。

 

『血の代償もデス・ラクーダも、私のデッキには入っていなかった。勝手に私のデッキを弄ったわね?』

 

 カミューラの怒りの滲む声に、悪霊はニヤニヤしながら答える事はない。この調子だと何が入っていてもおかしくないな。

 

 しかしデス・ラクーダか。コイツの厄介な所は、自身の効果で裏側守備に変更する事で毎ターンドロー可能な点にある。放っておけばおくほどドローされてしまう訳だから、早めに対処しなくてはならない。

 

『我らは『ゴブリンゾンビ』を攻撃表示で召喚。バトルだ。ゴブリンゾンビで罰鳥に攻撃! その鳥の効果は知っている。破壊されても一向に構わんぞっ!』

 

 ゴブリンゾンビ ATK1100

 

 剣を持った異形が悪霊の場に召喚され、そのまま罰鳥に向けて駆けだす。ゴブリンゾンビは墓地に送られた時、守備力1200以下のアンデットを手札に加える効果がある。

 

 おそらく悪霊の狙いは効果で加えたカードを血の代償で召喚に繋げる事。この調子でポンポンカードを増やされてはたまらない。なので、

 

「速攻魔法発動! 『幻想体解放』。場の幻想体を任意の数墓地に送り、その数×3までのレベルの幻想体をデッキから特殊召喚する。罰鳥を墓地に送り、デッキから『幻想体 美女と野獣』を守備表示で特殊召喚」

 

 美女と野獣 DEF700

 

 罰鳥がふわりと飛んで剣を躱したかと思うと、代わりにデッキからやってきたのは恐ろしい見た目のモンスターだった。

 

 茶色の野牛のような胴体と前脚に対し、後ろ脚と腹の一部は昆虫のそれ。二本の捻じれた角からは紫の花が咲き乱れ、顔面には小さな数十の翡翠色の複眼がギョロギョロとせわしなく動き回っている。

 

 控えめに言って精神を削る見た目の幻想体だった。……なんでこう幻想体は心臓に悪い奴ばっかなんだっ!? というか美女要素どこっ!?

 

『たかが守備力700で何が出来る。攻撃を続行。ゴブリンゾンビで美女と野獣に攻撃だ』

「美女と野獣は戦闘で破壊されない。ただし攻撃を受けたこのモンスターは、エンドフェイズまで攻撃力0になって攻撃表示に変更されるがな」

 

 美女と野獣 ATK1100→0

 

 ゴブリンゾンビの剣で身体を傷つけられると、野獣はふらふらと前脚を折ってその場にうずくまる。

 

『フハハハハ。所詮人間の浅知恵よ。確かにゴブリンゾンビは墓地に行かずサーチは出来なかった。だが攻撃力0のモンスターなど、戦闘破壊出来ないだけの置物も同じ。サンドバッグにしてやるわ。デス・ラクーダ一体で攻撃だ!』

 

 遊児 LP4000→3500

 

 追撃するデス・ラクーダが野獣に突進して角を叩き折り、その角が俺の頬を掠めて薄く裂く。

 

 ああ痛い。だから闇のデュエルなんて嫌いなんだ。だが、当の野獣はそのまま嗤うような声を上げて地面に崩れ落ちた。

 

「ああ。言い忘れていたが、攻撃力0の状態の野獣はダメージ計算後に効果で破壊される。そして……()()()()()()()()()()()

『呪いだと……何だこれはっ!?』

 

 そこには()()()野獣が立っていた。それはデス・ラクーダの成れの果て。

 

 胴体と脚は牛と虫のそれに代わり、頭部からは角が生え、顔面にはぶつぶつと複眼が浮き上がる。ゾンビの身体は皮肉にも、内側から呪われし生きた身体へと作り変えられていた。

 

()()()()()()()()()()()()()()()。デス・ラクーダのコントロールはこちらに移り、幻想体 美女と野獣扱いとする。勿論効果も同じだ」

 

 デス・ラク―ダ(野獣)はよろよろと俺の場に移動し、そのまま反転して複眼を悪霊に向ける。

 

「さあどうする? 残ったデス・ラク―ダで攻撃するか? 勿論美女と野獣の戦闘耐性が追加された以上、破壊されるのはそちらのみだがな」

『おのれ……バトルフェイズを終了。メインフェイズ2にさらにカードを一枚セットし、デス・ラクーダを自身の効果で裏守備に変更。ターンを終了する』

 

 鋭い牙をギリギリと噛みしめながら、悪霊はさらに守りを固めて布陣を整える。

 

 実際デス・ラクーダ一体を奪ったとはいえ、カードアドバンテージだけならまだまだ向こうが有利。放っておいてもドロー加速され、下手に攻めればゴブリンゾンビで次の手に繋げられる。面倒だな。

 

『あらあら。えげつないカードを使う事。どっちが悪役だか分からないくらい』

 

 カミューラは離れた所からそう野次を飛ばす。どっちが悪党か分からないか。まあ間違っちゃいない。

 

 幻想体はどう見たって清く正しいって見た目じゃない。実際の性格はともかく、見た目だけなら大半が十代のヒーロー達に倒される怪物側だろう。

 

 なら……俺は敢えてこう言い返すとしようじゃないか。

 

 痛みも苦しみも恐怖する物だが、今宵限りはそんなそぶりも見せずに悪党らしく。

 

 

 

「さて。こっからは大人の時間。未来ある青少年には見せたくない血みどろファイトだ。悪党同士仲良く削り合おうじゃないかっ!」

 




 いかがでしたでしょうか? 作中で明言されているように、悪霊のデッキはカミューラのそれを幻魔用に再構築しています。

 そして今回久しぶりに新幻想体が出たので下に能力などを載せておきます。





『幻想体 美女と野獣』

 星2 ATK1100 DEF700 獣族 地

 効果
 ①このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時、このカードにPEカウンターを2個乗せる。
 ②このカードは戦闘で破壊されない。
 ③このカードが攻撃を受けたダメージステップ後、エンドフェイズまで攻撃力が0となって攻撃表示になる。
 ④攻撃力0の時に戦闘を行ったこのカードは破壊され墓地へ送られる。その後戦闘を行った相手モンスターのコントロールを得る。そのカードはこのモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る。




 “呪いを解くことはできません、繰り返すだけです”。

 正確には野獣ではなく、野獣を殺した者が次の野獣になってしまう呪いが幻想体。

 原作において野獣は莫大な富を持つ城の主であり、その醜悪な見た目から城に立ち入ったものは出てこられないと言われていた。

 ある時、一人の女性が使用人として雇われる。

 その女性は富に目が眩んだのか、はたまた見た目から悪と断じたためか野獣を刺し殺した。

 しかし結果として、女性には富と城が継承されると共に呪いまでついてきてしまったというオチ。美女と野獣というより(元)美女が(現)野獣である。

 なおその呪いは今も継続中。誰かに呪いを肩代わりする以外での解呪の見込みは現在絶望的だったりする。
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