マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 注意! 今回独自設定タグが仕事します。

 何か設定に不備が見られましたら、優しくかつはっきりと教えていただければ幸いです。


遊児対悪霊 その三 黒い森の怪物

 

『『黒い森の入口』だと?』

 

 俺の場に現れた門を見て、悪霊はどこか警戒するような素振りを見せる。それもそうか。幻魔の扉と見た目だけはどこか似ているからな。

 

 これは今日、ディーから餞別として黒い森の怪物のカードと一緒に渡された物だ。なので使うのも映像で見るのも初めて。……予想より数段禍々しいのは俺だって文句を言いたい。

 

「黒い森の入口。このカードは、場の幻想体と名の付くモンスターが破壊されたターンに発動可能。手札、デッキ、墓地から三鳥を一枚選びこのカードの下に重ねる。俺はデッキから『幻想体 三鳥 大鳥』を選択」

『カードを重ねる? 珍しい効果ね』

 

 カミューラが少し驚いているが、こういう重ねる類のカードが出始めたのは確かエクシーズ辺りからだったか? なら確かに珍しいかもしれない。

 

 大鳥のカードを黒い森の入口に重ねると、門の中に黒々とした空間が現れた。そこに精霊化した大鳥自身がズシンズシンと入って行き、中の空間に黄色い光が灯る。

 

「黒い森の入口は、重ねた三鳥の種類に応じて効果が追加される。今一枚重なった事で、このカードは自身の効果以外で破壊されない効果を得る」

『何が来るかと思えば、ただの虚仮脅しか。こうしてラビエルが召喚された以上、我らの優位は動かんっ! さあ。お前のターンだバランサーっ!』

「言われずともっ! 俺のターン。ドローっ!」

 

 

 

 悪霊 LP2400 手札2 モンスター 幻魔皇ラビエル 魔法・罠 血の代償 闇の呪縛 DNA改造手術(悪魔族)

 遊児 LP1100 手札2 モンスター なし 魔法・罠 エンサイクロペディア 黒い森の入口 伏せ1

 

 

 

 と言ったものの今の状況はすこぶる悪い。こちらにモンスターは0。LPも1100と下級モンスターの直接攻撃でも勝負が着く。

 

 おまけに相手の場には、罠が効かず魔法とモンスター効果も発動ターンのみ有効という耐性のあるラビエルが鎮座している。今は耐えるだけで精一杯か。

 

「俺は『幻想体 小さな魔女 レティシア』を守備表示で召喚!」

 

 小さな魔女 レティシア DEF600

 

『が、頑張るのっ!』

『おい我が生け贄よっ!? こんなとんでもない奴相手に我が運び手を呼び出すんじゃないっ!?』

 

 抗議するネクを抱えながら、DNA改造手術の効果で小さな悪魔の羽が生えたレティシアがむんっとポーズを決める。

 

『その瞬間ラビエルの効果。相手がモンスターを場に出す度、同数の幻魔トークンを特殊召喚する』

 

 幻魔トークン DEF1000

 

 くっ!? トークンは攻撃宣言が行えないとはいえ、この調子で出されたらキリがない。おまけにターン数制限もない。しかし……今はこっちも出すしかない。

 

「レティシアの効果発動。ラビエルを選択し、互いにLPを1000回復するかカードを一枚ドローする。俺はドロー効果を選択」

『プレゼントだよっ! え~いっ!』

 

 レティシアは手から作り出した赤いハート型の何かを投げつけた。ハートはラビエルの頭上に停止し、そのまま互いの場に光を降り注がせる。

 

『ふん。こちらにも引かせるとは自棄になったか。精々震えてカードを引くが良い』

 

 悪霊がそう嘲る様に言うが、こちらは自棄になったつもりはない。狙うは一つ勝利のみ。

 

「ドロー。……よし。俺は永続魔法『エンケファリン生成』を発動。一ターンに一度、場の幻想体を一体選び、そのレベルの半分のPEカウンターをこのカードに乗せる。レティシアのレベルは4。よって二つのPEカウンターが乗る」

 

 エンケファリン生成 PE2

 

 レティシアから小さな光が二つ浮かび上がり、そのまま俺の傍に滞空する。

 

「そして場のエンサイクロペディアの効果。PEカウンターを二つ使い、手札のレベル4以下の幻想体を特殊召喚する。『幻想体 オールアラウンドヘルパー』を守備表示で特殊召喚し、クリフォトカウンターを二つ乗せてターン終了。そしてターン終了時にヘルパーのカウンターが一つ減る」

 

 オールアラウンドヘルパー DEF1700 CC2→1

 

〈ピピっ! ガードプロセス実行中〉

『ハハハっ! 実に涙ぐましい努力だ。必死に壁を増やす様は滑稽だな! だがこちらもトークンを追加だ』

 

 少し悪魔っぽくトゲトゲしくなったヘルパーが出現するのを見て、悪霊は嗤いながらもう一体トークンを特殊召喚する。

 

『だがそれらは全て、幻魔の力の前では無意味であると知るが良い。我らのターンっ! ドロー』

 

 

 

 悪霊 LP2400 手札4 モンスター 幻魔皇ラビエル 幻魔トークン×2 魔法・罠 血の代償 闇の呪縛 DNA改造手術(悪魔族)

 遊児 LP1100 手札0 モンスター レティシア ヘルパー 魔法・罠 エンサイクロペディア 黒い森の入口 エンケファリン生成 伏せ1

 

 

 

『幻魔に魔法・モンスター効果は発動ターンしか通用しない。よってレティシアの効果も打ち消されるっ!』

 

 グオオオオオンっ!

 

 ラビエルが一声咆哮を上げると、レティシアの飛ばしたハートが中に居た何かごと破壊される。レティシアは少し悲しそうだ。

 

『我らは幻魔トークン一体を生け贄に、手札から『ヴァンパイア・ロード』を攻撃表示で召喚。そして血の代償の効果! LPを500払い、さらに『ヴァンパイア・バッツ』を攻撃表示で召喚!』

 

 悪霊 LP2400→1900

 

 ヴァンパイア・ロード ATK2000

 ヴァンパイア・バッツ ATK800

 

 悪霊の場に現れるモンスター達。数を増やしてこっちを圧倒する気か。だが、

 

『おのれぇっ! よくも私の(しもべ)達をっ!』

 

 カミューラが憤るのも無理はない。ヴァンパイア・バッツとして現れたのは、良く見れば馴染みのコウモリ達だった。しかしどのコウモリも精気がなく羽ばたきも弱々しい。

 

『何を言う。お前のではなく我らの僕である。……しかし情けない事よ。この身体を形作るために精気を吸ったがもう半死半生とは』

「僕扱いするならもっときちんと使ったらどうだ? 自分のDNA改造手術のおかげでヴァンパイア・バッツの効果が空振ってるぜ」

『お前などこれで充分よ。バトルだ。まずはラビエル。そこの鉄くずを粉砕せよっ!』

 

 ラビエルの剛腕が襲い掛かり、ヘルパーをガードの上から破壊して衝撃波を巻き起こす。

 

「うおおおっ!?」

『次だ。ヴァンパイア・バッツでレティシアに攻撃っ!』

 

 よろめく俺に対し追撃をかけるように、悪霊はコウモリ達にレティシアへの攻撃命令を出す。しかし、

 

 キイキイっ!

 

『……コウモリさん達』

 

 コウモリ達はレティシアを見て、明らかに攻撃を躊躇っていた。

 

 それも当然の事。カミューラが昏睡状態の間、一番コウモリ達を世話して可愛がっていたのはレティシアなのだから。

 

『何をしている。僕は僕らしく働かんかっ!』

 

 キイキイっ!?

 

 業を煮やした悪霊が放つ黒い霧が、コウモリ達を蝕んで悲鳴を上げさせる。……野郎。

 

『コウモリさん達っ!? ……私は大丈夫だからっ! 攻撃してきて良いんだよっ!?』

 

 レティシアの悲痛な叫びに、コウモリ達は痛みに苦しみながらもよろよろと向かって行き、

 

『痛っ!?』

 

 一羽が代表して、力なく羽でぺしっとレティシアの額を引っ叩く。どれだけ力なく優しく気遣った一撃であろうとも、一撃は一撃。戦闘を行ったと見なされて、レティシアはそのまま退場する。

 

『アイテテテっ!? 何故我がっ!?』

 

 代わりと言わんばかりにネクがたっぷり引っ叩かれていた。こっちには容赦はないらしい。

 

『それで良い。まったく使えぬ僕よ。要らぬ手間をかけさせる。さあバランサーよ。お前の場にモンスターはもう居ない。これで終わりだっ!』

 

 悪霊はヴァンパイア・ロードに攻撃指令を出す。この攻撃が通れば俺のLPは尽きるだろう。……通ればの話だが。

 

「永続罠発動! 『幻想体 肉の灯篭』。相手の攻撃宣言時、このカードをモンスター扱いで攻撃表示で特殊召喚し、クリフォトカウンターを一つ乗せる。ヴァンパイア・ロードと攻撃力は同じだ。さあどうする?」

 

 肉の灯篭 ATK2000 CC1

 

 俺の場に地面から一輪の花が咲く。しかしその下に潜む巨大な何かは、やってくる獲物を虎視眈々と狙っていた。

 

 以前カミューラと戦った時は、カミューラは相打ちを嫌って戦闘を取りやめた。対して悪霊は、

 

『構わん。攻撃を続行だ』

 

 命を受けて突き進むヴァンパイア・ロードに、地面から巨大な口を開けた何かが食らいつく。しかし捕食されながらもヴァンパイア・ロードは最期の抵抗で口の中から攻撃を加え、そのまま相打ちとなって破壊された。

 

『我らはカードを一枚伏せてターンエンド。あくまで戦闘破壊なのでヴァンパイア・ロードは蘇生せぬが、今度こそお前のモンスターは0。手札も尽き、残ったのはカウンターがなければ使えぬカードと破壊されないだけの門。もうお前に打つ手はない。ハハハハハハっ!』

 

 勝ちを確信したのだろう。悪霊は余裕たっぷりに高笑いする。まあここまで来たらほぼ勝ち確と言えなくもないのでやる気持ちは分かる。……だがな。

 

「俺はターン終了に合わせて黒い森の入口の効果を発動。幻想体が破壊された事で、俺は墓地から罰鳥を選択し重ねる」

 

 今度は墓地から精霊状態の罰鳥が現れ、パタパタと門の中に入っていき中に赤い光が灯る。

 

『ほぉ。まだ諦めんのか』

「当然だろう?」

 

 少なくとも、十代や万丈目ならこんな状況であろうと、最後の最後まで諦めない。まだLPが残っている限り、次のドローに全てを賭ける。

 

『バランサー。私がアナタ相手に言うのもお門違いというものだけど……勝ってちょうだい。私がやるならまだしも、私以外が(しもべ)達をあんな目に遭わせるなんて絶対に許せない』

「……分かった。任せろ」

 

 カミューラの多少ねじ曲がってはいるもののコウモリ達を心配する言葉に、俺は力強く頷く。

 

 状況は最悪一歩手前。絶体絶命大ピンチ。しかし、まだ手はある。逆転のピースはいつだってデッキの中にある。

 

「俺のターン。ドローっ!」

 

 

 

 悪霊 LP1900 手札1 モンスター 幻魔皇ラビエル 幻魔トークン ヴァンパイア・バッツ 魔法・罠 血の代償 闇の呪縛 DNA改造手術(悪魔族) 伏せ1

 遊児 LP1100 手札1 モンスター0 魔法・罠 エンサイクロペディア 黒い森の入口 エンケファリン生成

 

 

 

「……俺は手札から『幻想体 たった一つの罪と何百もの善』を守備表示で召喚し効果発動! 俺の場のカードの数×300のLPを回復する。俺の場のカードは四枚。よって1200回復」

 

 遊児 LP1100→2300

 

『今更その程度回復して何になる。次のターンラビエルの攻撃で終わりだ』

「俺の狙いは回復だけじゃない。黒い森の入口の効果を発動。三鳥が二種類以上重なっている時、一ターンに一度自身の幻想体を一枚破壊する事で、場の表側表示の魔法・罠カードを一枚破壊する。罪善さんと血の代償を破壊。頼むぞ罪善さん」

 

 カタカタっ!

 

 罪善さんは俺の合図で勢いよく光を放ちながら突撃し、血の代償を破壊してまた精霊状態に戻って帰還した。

 

『むおおおっ!? おのれ悪あがきを。だが今度こそ万策尽きたなっ!』

「罪善さんが破壊された事で、黒い森の入口に最後の三鳥が重ねられる。デッキから審判鳥を選択っ!」

 

 これまで多少なりともロープでラビエルを拘束し続けていた審判鳥が、ゆらゆらと門に入り込み、門の内部で黄、赤、黒の輝きが渦を巻く。

 

「黒い森の入口に三鳥が全て揃った事により、最後の効果が発動する。それはこのカードを破壊する事で重なっている三鳥を場に特殊召喚し、その後デッキから『深く暗い森』を発動する効果っ! と言ってもこの効果で呼び出した三鳥は攻撃力0。効果も無効化されるがな」

 

 大鳥 DEF0

 罰鳥 DEF0

 審判鳥 DEF0

 

 門がガラガラと崩れ落ちる中俺の場に出現したのは、それぞれ三鳥の特徴を持った三つの卵だった。そして深く暗い森が展開される事で、周囲の空気がどこか深みを増す。

 

『……は、ハハ、ハハハハハっ! 何が出るかと思えば、所詮はただ壁を増やしただけか! どこまで行っても時間稼ぎよ。一度に三体出たためこちらはトークンを呼び出すスペースが足りないが、その程度すぐに蹴散らしてくれるっ!』

 

 悪霊はまた高笑いをするが、まだ気が付いていないのだろうか? さっきから命令以外で動こうとしなかったラビエルが、()()()()()()()()()()()()()

 

 拳を構える必要のある“怪物”が、これから現れる事を察したかのように。

 

「条件は整った。なにせコイツの召喚条件は、場に三鳥と深く暗い森全てが揃っている事なんでね。だが幻魔に真っ向から対抗できるとなると、正直今のデッキではコイツしか居ない」

 

 そして俺は、黒い森の怪物にして最大の森の守護者を召喚する。

 

 

 

「融合召喚。現れろ。『幻想体 三鳥合身 終末鳥』」

 

 

 

 夜明けまであと……。

 




 何とは言いませんが、遂に怪物が顕現しました。細かな能力はまた次回に。

 最初は遊児対万丈目戦でチラ見せする事も考えてはいたのですが、いくら何でも友人相手にこんなガチの中のガチの危険カードを使うか? と自問自答した結果、対幻魔戦まで先延ばしになりました。




 ちなみに黒い森の入口の効果は大体こんな感じです。

『黒い森の入口』

 永続罠

①自分の場の幻想体モンスターが破壊されたターン発動可能。手札、デッキ、墓地から『幻想体 三鳥』を一枚選びこのカードの下に重ねる。
②このカードが場にある限り、コントローラーは攻撃宣言を行えない。
③このカードに重なっている三鳥の数により、以下の効果を適応する。
 ・一種類以上 このカードは自身の効果以外で破壊されない。
 ・二種類以上 一ターンに一度、自分の場の幻想体モンスター一体を破壊し、場の表側表示の魔法・罠カードを一枚破壊する事が出来る。
 ・三種類以上 このカードを破壊し、重なっている三鳥を三種類まで場に特殊召喚し、その後デッキから『深く暗い森』を発動できる。この効果で特殊召喚した三鳥の攻撃力は0となり、効果も無効化される。


 作中では演出の都合で明言しませんでしたが、地味に遊児は出したターンからセルフロックが掛かっていました。

 幻魔の扉に対抗してかなり厄介な性能になりましたが、アニメで言う所の対決戦用切り札なので寛大な心で許していただければ。
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