マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 さて。遂に一段落です。


戦いの代償。そして事件の顛末 その二

 

「バトルだ! 『E・HEROフレイム・ウィングマン』で、翔にダイレクトアタック!」

「うわあああっ!?」

 

 十代が召喚したモンスターの攻撃が翔に直撃する。これにてLPは0となり、翔はそのまま立っていられずに尻もちをついた。

 

「ガッチャ、楽しいデュエルだったぜ! 翔」

「あいたたた。やっぱり強いっすよアニキは」

 

 ああ。やはりデュエルはこうじゃなきゃ。闇のデュエルだのなんだのじゃない。純粋にゲームとして楽しみ、或いは競技として互いを磨く物でないと。

 

 レッド寮の二階から、俺はのんびりと二人のデュエルを眺めていた。そんな中、ふとこれまでの事を思い出す。

 

 幻魔を巡る戦いが終わり、俺が目を覚ましてからしばらく。こうして学園は穏やかな日常を取り戻しつつあった。

 

 ただ、まるで何も起きなかったという訳ではない。物騒な展開がなかったというだけで、様々な事があったんだ。

 

 まず、俺がバランサーとして暗躍していた事を、鍵の守り手達や関係者に告白し謝罪した。二重スパイとは言え一応敵側であったので、嫌われたり軽蔑されたりするかと覚悟していたのだが。

 

 

『えっ!? 何で俺達が嫌うんだ? 寧ろ助けてもらって助かったぜ』

『ああ。別にバランサーが何かしら悪さした訳でもないしな というより聞く限りでは、未然にセブンスターズが暴走するのを防いでいたという感じだ』

『それに、審判役として貴方はいつも公正だった。そこに敵も味方もないわね』

『それを言ったら僕なんかそのままセブンスターズだったよ?』

 

 

 これである。まったくこいつらはお人好し過ぎるぞ。……その内何か礼をしないとな。

 

 

 

 

 次に進級試験。学生にとって一年の総決算であり、ある意味十代にとっては幻魔より恐るべきものである。試験官と戦う実技試験はともかく、筆記試験では大いにリアルなLPを削られたとは本人の談だ。

 

 しかし終わってみれば、少なくとも俺の知り合いは()()()()進級できる事となってホッとしている。……翔曰く定期的にレッドの面子で集まってやっていた勉強会のおかげだとか。役に立ったのなら何度か誘った甲斐があった。

 

 そして、意識不明で試験に不参加だった俺の処遇だが、

 

 

()()()で進級っ!? なんですかそれ?』

『にゃにゃ! 何って君が以前ここに入学してきた時もその枠で入ってきたのにゃ! 特殊な事情で進級試験を受けられなかった場合、それまでの成績や授業態度等を考慮して試験の代わりにするっていう制度にゃ』

 

 

 という具合で、無事俺も進級となった。

 

 ちなみに本来この制度、余程の成績優秀者でないと使われず俺はギリギリ対象外だったらしいが、そこは大徳寺先生やクロノス先生、鮫島校長等の推薦分の加点でOKとなったらしい。……堂々とは言えないが、セブンスターズに対応していた事も加点に繋がったんじゃないかと思う。

 

 

 

 

 次の大きな出来事は隼人について。なんと俺が眠っている間に、隼人が学園を去る事となった。

 

 これはまた以前のような親子間トラブルかと身構えたが、よくよく聞いてみればあの遊戯王無印に登場したペガサス・J・クロフォードの会社、インダストリアル・イリュージョン社(長いのでI2社)に入社したというのだ。

 

 この時点で俺はとんでもなく驚いた。何故って隼人が学生から直接就職するのもそうだが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だったからだ。どうやらマンガ版とは違い、アニメ版では戦いで大怪我こそしたものの生きていたようで、今でも会長としてバリバリ仕事をしているのだとか。

 

 ……確かペガサスが死んだことで彼を慕う天馬夜行が暴走し、三幻神と対を成す三邪神を引っ張り出してくる遊戯王Rという外伝があった筈だが、その辺りは無かったことになるのだろうか? こっちにはもう三幻魔が出てるし、これ以上対抗馬が出てきたら厄介すぎるぞ。

 

 話が逸れたが、元々隼人はデュエリストとは別にカードデザイナーの素質があった。これは学園祭で隼人が書き上げたコスプレデュエルの看板の絵が、結構な人気を得ていた事からも明らかだ。

 

 そして学園生活中に自分のデザインでI2社に応募した所、それがなんとペガサスの目に留まり、本人からカードデザイナーとして入社しませんかと推薦されたという。この辺りは人づてなので詳しい内容は分からない。しかしそこに待ったをかけたのはクロノス先生だ。

 

 そして始まったのは隼人とクロノス先生のデュエル。勝ってデザイナーの道へ転向するか、負けてこのまま進級するか。……こうしてみると原作無印の戦いの儀を思い出すな。

 

 クロノス先生が『古代の機械(アンティーク・ギア)巨人(ゴーレム)』でもって隼人の覚悟を問うなら、一年間の成果を見せるべく隼人は『マスター・オブ・OG』を繰り出して立ち向かう。

 

 結果、あと少しという所まで追い詰めたものの、リミッター解除で攻撃力を倍にした古代の機械巨人にクロスカウンターを決められマスター・オブ・OGはノックアウト。隼人の敗北となった。

 

 しかしそこは割と人情派のクロノス先生。これだけの実力と覚悟があるのなら、デザイナーに転向してもやっていけるノ~ネとその背を押し、無事隼人はI2社に就職した……と言う話だ。くそぅ。何で俺はそんな時に寝込んでたんだっ!?

 

 

 

 

 さて。もう一つ大きな出来事と言えば、カイザーの卒業記念模範デュエルだろうな。これはちゃんと俺も生で見た。

 

 カイザーが最後の対戦者に指名したのは十代だった。この辺りは流石主人公と思ったが、もう一つ気にかかったのは万丈目の事。なにせ居心地の良かったアカデミアノース校を離れてまでここに戻ってきたのは、この卒業デュエルでカイザーと戦うためなのだから。だが、

 

 

『正直に言って、俺が戦う相手は十代にしようか、或いはお前にしようか、最後まで悩んだよ。どちらと戦っても、間違いなく新たな門出にふさわしい最高のデュエルになると考えたからだ』

『なら、何故俺じゃなく十代に?』

『最後の決め手になったのは……お前は()()()()()()()()()()()()()()のだろう? 万丈目。だから今回は十代を選んだ。……先にプロの世界で待っている。戦いたいのなら、上がってくる事だ』

『……ああ。待っていろ』

 

 

 という二人の会話を偶然聞いてしまった俺はどうすれば良いのだろうか?

 

 ちなみに万丈目の越えたい相手とは吹雪さんの事らしく、なんでも操られて普段よりキレがない吹雪さんに引き分けて相当悔しかったのだとか。今では時折デュエルを挑み、やや負け越しながらも少しずつ盛り返しているという。

 

 ……なお終わった後では二人で明日香談義をするのが通例だとか。明日香談義って何っ!?

 

 そして肝心の十代対カイザーの卒業記念模範デュエルだったが、これまた凄まじく白熱した。

 

 最初は以前負けた相手とあって珍しく委縮していた十代だったが、途中で吹っ切れたのかなんと()()()()()()()()()()()()()という暴挙に出た。これが食事フェイズという奴なのだろうか?

 

 トメさん特製の握り飯をたらふく頬張り、ついでにお茶で一服してからは完全にいつものデュエルを全力で楽しむ十代。

 

 何度倒しても復活してくるカイザーのサイバー・エンドに真っ向勝負で立ち向かい、最後の最後で互いに繰り出したのはまさかの同カード『決闘融合-バトル・フュージョン』。

 

 双方攻撃力20000越えという滅茶苦茶な融合モンスター同士の殴り合いは、以前カイザーが使った『決戦融合-ファイナル・フュージョン』を十代が使用し、両方50000を超える効果ダメージを受けて引き分けという壮絶な幕引きとなった。桁がおかしいレベルだが、一年の総決算ならこれくらい派手なのも有りかもしれない。

 

 

 

 

 最後に……大徳寺先生の事を話すとしようか。

 

 結論から言えば、大徳寺先生は見事十代達が進級試験に合格したのを見届け、この年度を最後に教職を退いた。表向きはだが。

 

 実際は、その身体がいよいよ本当に限界を迎え、崩壊する様を誰かに見せたくはないから最後の旅に出るという事だった。

 

 この事を知っているのは俺や鮫島校長等本当に一部の者のみ。生徒は勿論の事、顔に出るクロノス先生にも秘密だった。……まあ実際に戦った十代や、名探偵万丈目サンダーなら勘づいていたかもしれないが。

 

 出発前日、最後にレッド寮生総出で準備した“さよなら大徳寺先生パーティー”は非常に盛り上がり、

 

『そう暗い顔をしないでほしいのにゃ! ……君のおかげで、戦いの途中で終わる筈だった私がここまで来れた。君には感謝してもし足りない。本当にありがとう』

 

 そんな言葉を俺に遺し、錬金術師アムナエルこと大徳寺先生は学園を去った。

 

 後日、大徳寺先生の秘密研究室にて、彼の生存の証である元の肉体のミイラが完全に風化していたのを確認。俺はそのまま何も言えずに研究室を出て、

 

 

 

『やあっ! 戻ってきちゃったにゃ!』

『いや何()()()()()()()()()()()()()()!?』

 

 

 

 しれっとディーと同じ光球のような姿の幽霊になり、帰ってきた大徳寺先生に突っ込みを入れたのは悪くないよな?

 

 そのまま通りすがりの愛猫ファラオに飲み込まれ、地縛霊ならぬ()縛霊としてしばらく現世を謳歌する大徳寺先生であった。俺のしんみりした気分を返してほしい。

 

 

 

 

 さて。大きな出来事は大まかにこんな所だろうか?

 

 その間に俺のズタボロにされた身体もだいぶ良くなり、ディーによるとまだ完全ではないが、精霊関係の力も少しずつ戻りつつあるという。

 

 二年生になったらまたアニメ版のとんでもない事件が発生するかもしれないが、それまでもうしばらくささやかな休息を楽しむのは問題ないだろう?

 

「お~い遊児! そんなとこで見てないで、お前もデュエルやろうぜ!」

「そうっすよ久城君。一緒にやりましょうよ」

 

 おっと。そんな事を考えていたら、下の二人から声を掛けられた。いくら安静にしていた方が回復が早いとはいえ、やはりゲームは見てるだけでなく実際にやってこそだろう。なので、

 

「そうだな。それじゃあちょっとだけやるとするかっ!」

 

 カタカタ。カタカタ。

 

「……ああ。分かってるよ罪善さん。羽目を外しすぎないようにするって」

 

 俺は隣で心配そうに歯を鳴らす罪善さんに一声かけて、一歩一歩階段を下りていく。そして、

 

「待たせたな二人共。まだ病み上がりなので言わずとも分かると思うが」

「ああ! 身体に活を入れるために全力で行くぜっ!」

「それなら僕も頑張るっす!」

「いやそこはお手柔らかにだろっ!? ……まあ良いけどさ。手加減なんかお前らのガラじゃないだろうし」

 

 俺は困りながらも少し笑ってしまうという複雑な顔で、デッキをセットしたデュエルディスクを展開する。それに合わせて、罪善さんがやれやれという雰囲気で俺の隣にそっと移動する。

 

 さあ。久々にいつもの掛け声で行くぞっ! せ~のっ!

 

 

 

「「「デュエルっ!!!」」」

 




 という訳で、最後はかなり駆け足になりましたが長い長い一年生編もこれで終了となります。……いやホントに我ながら長かったっ!? 第一話は2020年発ですからねっ!?

 割と飽きっぽい所のある作者ですが、ここまで200話を越えて書き続けられたのは読者様方の熱い応援及び心温まる感想のおかげです。誠にありがとうございました。

 この勢いで、諸々の伏線回収もしつつ二年生編も書きたい所ではあるのですが、久々にアニメ版を見直したり他の作品も書かなきゃという事もあり、この話はいったんここで完結扱いとさせていただきます。

 続きは……まあいつになるかは分かりませんが、気が向いたらまた書くぐらいの感じでのんびりやっていこうと思うので、気長にお待ちいただければと思います。



 ちなみに、お待ちいただいている間退屈だという事であれば、作者のオリジナル作品で一番人気の『悪の組織の雑用係』や、そこから派生した『悪の組織の新米幹部』。或いはここと同じく幻想体達が出ている『見滝原に魔法少女(幻想体)が居るのはおかしくないよね?』などがおススメですよ!(ダイマ)




 最後に、もう一度読者様に感謝を。

 ここまで長い間ついてきてくれた皆様方。本当にありがとうございました。

 そして、この作品が少しでも、皆様の心に残るものであったのなら幸いです。
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