マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 いつの間にかUAが40000を超えていました! まだ書き始めて一月と少ししか経っていないというのにっ!

 これも読者の皆様のおかげです。これからもちょこちょこ書いていきますので、暇つぶしにでも読んで頂ければ幸いです。



 次話も明後日投稿予定です。やっぱり二作同時連載は結構きついのですよ。



ランク差別と憤る俺

 

 制裁タッグデュエルからしばらく経ったある日。

 

「あらっ!? アナタは確か……久城君だったかしら?」

「どうも。天上院さん。この前の特待生寮以来かな?」

 

 たまには十代達とではなく一人で昼休みに購買に行くと、そこで偶然明日香にバッタリ出くわした。向こうもいつもの取り巻き(ジュンコとももえだったか?)が居ない。

 

「私達だっていつも一緒に居る訳じゃないのよ。アナタだってそうでしょ?」

 

 明日香が俺の思っていることに気づいたように言う。考えが読まれたかな。

 

「まあね。たまには一人で居たい時もある。……丁度良いか。一つ聞くけど今空いてるか? 一度じっくり話がしたいと思ってたんだ」

「アナタと? ……そうね。たまには良いかもね」

 

 明日香は少し思案して了承した。よし。情報源ゲット!

 

「OK。じゃあ場所を変えようか。……ところでもう食事はしたか? してないなら話代として奢らせてもらうよ」

「昼食はまだよ。奢ってくれるのは良いけど……フフッ。私の話代は安くないわよ!」

「なあに。一食ぐらいなら多分なんとかなるさ。幸い懐は少々暖かいんでね」

 

 この前手に入れたDPもあるし、言ってもあくまで食事だ。明日香がそこまで大食いなんてことはないだろうし、無茶苦茶値段が張るという事もないだろう。俺は明日香を伴って購買部のイートインスペースに向かった。

 

 

 

 

 食事(明日香の頼んだメニューはそこまで高い物ではなかったが、デザートにケーキなんかの甘いものをたっぷり注文された)を終え、食後のコーヒーで一服しながら軽く雑談。

 

 何故か微妙に周囲から嫉妬の視線が飛んできたが、明日香は慣れっこなのかあまり気にしない。流石マンガ版でミス・アカデミアに選ばれただけのことはある。……俺は少しダメージが来たんだけどな。

 

 それと少し話した程度だが、どうやら明日香は十代に興味を持っているようだった。ヒロイン枠という事で、アニメ版では十代とそういう関係になっていくのだろうか? ただあのデュエル馬鹿が恋愛関係に傾くとはとても思えないのだが。

 

 そんなこんなでコーヒーも残り僅かになった頃、いよいよ話の本題に入ることにした。

 

 正直言って聞きたいことは多々有る。カイザーのこと、吹雪のこと、マンガ版とは違っていても、これからの展開に参考になるかもしれない知識は大いに越したことはない。

 

 だけど、俺が最初に訊ねたのはそのどちらのことでもなかった。

 

「えっ!? 万丈目君のこと?」

「ああ。同じオベリスクブルーの生徒ってことで何か知らないか?」

 

 万丈目準。オベリスクブルー所属の1年生。性格は()()()()()()()()()

 

 マンガ版では、子供の頃に精霊の宿るカード『光と闇の竜』を手に入れたことがきっかけでカードを始め、『光と闇の竜』と共に数々のジュニア大会に出場して優勝している。

 

 その後その実力と経歴から、アカデミアで高校入学では異例のオベリスクブルーに配属。しかし万丈目財閥の出身であることから金の力だの家柄のおかげだのと陰口をたたかれ、敢えて『光と闇の竜』を封印して自分自身の力を証明しようとする。

 

 その後十代に敗北するが、再び『光と闇の竜』と共に戦う事を決めて十代と再戦。僅差であるが()()()()()()()()()

 

 最終決戦でも十代とタッグを組み、ラスボスであるトラゴエディアと戦うなど、ライバルでありながらもう一人の主人公とも言える活躍をしてみせた。

 

 実を言うとマンガ版において十代と同じくらい……部分部分においては十代よりも好きなキャラクターだ。……だというのに。

 

「この前十代と翔の制裁タッグデュエルを見に行った時、万丈目の姿を見かけたんだけどな。その……何と言うか」

「荒れていた……という事かしら?」

 

 明日香の言葉に俺は静かに頷く。デュエルをしていた十代を見る目。あれはどこか憎悪とか恨みとかそういうものを感じさせるものだった。

 

 この世界がマンガ版ではなくアニメ版だという事は分かっていたが、まさかここまで変わっていたとは知らなかった。少なくともマンガ版ではあんな描写は一度たりともなかったからな。

 

 月一テスト以来姿を見ていなかったが、あれだけの男が本編に、つまりは十代に関係しないはずがないと思いこちらからの接触は避けていた。いずれは向こうから接触してくると。……それが仇になったかもしれない。

 

「そうね。万丈目君は前々からあまり性格の良い生徒とは言えなかったけど、ここ最近は特に酷いかもしれないわ。……切っ掛けになったのは、おそらく十代とのデュエル」

 

 あの時かっ! マンガでは十代に敗北したことから『光と闇の竜』を再び手に取る決心をしたが、どうやらアニメ版では悪い方向に話が進んだみたいだ。

 

「それにこのところクロノス先生とも折り合いが悪いって話だし、追い詰められているのかもしれないわね」

 

 クロノス先生か。マンガでもそうだったが、あの人結構エリート志向が強い所があるからな。その上今のこの学校はランクが全てという風潮がマンガ版より強い。

 

 それなのに、エリートであるオベリスクブルーがランクが最底辺であるオシリスレッドの生徒に負けたとあっては、万丈目も多少肩身の狭いことになっているのかもしれない。それも原因かな。

 

「そっか。……ありがとう。参考になった」

「そう。なら良かったわ」

 

 丁度そこで昼休み終わり間近のチャイムが鳴った。……俺は残ったコーヒーをグイっと飲み干し、そのままゆっくりと席を立つ。

 

「今日は色々と聞けたし楽しかったよ。また話そうな! まあ次は流石に奢りかどうかは分からないが」

「……ねえ。一つ聞かせて」

「うんっ!? なんだい?」

 

 次の授業に向かおうとする時、後ろから明日香に呼び止められた。

 

「アナタと万丈目君って面識は無いって話よね? それなのに、どうしてそこまで気にするの?」

 

 そう言えばどうしてだろうな? 確かに主要キャラの一人なので、関わっておけば何かと良さそうというのはある。しかしそれを言うなら、目の前の明日香やカイザーに声をかけても良いはずだ。

 

 俺は少し考えて、自分なりの結論を出す。

 

「……そうだな。俺と万丈目に()()()面識は無い。だけど、俺はアイツが実は凄い奴だと知っている。今はどこか歪んでいるかもしれないけど、いずれ必ず立ち直る。そう信じているから……かな」

 

 マンガ版とアニメ版が違うっていうのはよく分かっている。それでも、その人物の本質が違うっていうのはそうそうない筈だ。

 

 ならマンガ版で見せたあの面も確かに有るはずだ。真っすぐ『光と闇の竜(パートナー)』と共に戦い抜いたあのプライドと輝きも。

 

「そう。……アナタって少し変わってるわね」

「一応誉め言葉として受け取っておくよ。じゃあな天上院さん」

 

 俺は軽く明日香に手を振りながら、次の授業に向かったのだった。え~と、次は体育だったかな?

 

 

 

 

 ふぃ~。まだ身体が重い。俺は講堂の机に突っ伏していた。先ほどのレッド・イエロー合同の野球の試合中に、久々に思いっきり身体を動かしたので心地よい疲労が残っている。

 

「しかし十代め。最後の最後で三沢との勝負を選んで逆転負けとは」

 

 レッドチームの投手を務めた十代だったが、なんと最終回ツーアウトからわざと連続でフォアボールをするという暴挙に出る。それもそうしないと三沢と当たらないからという無茶苦茶な理由で。

 

 そして見事に三沢に逆転満塁サヨナラホームランをかっ飛ばされてゲームセットである。勝負自体は構わないが、せめて勝ってほしかった。これでも俺は負けず嫌いなんだ。

 

 おまけにホームランボールが運悪くグラウンド近くを歩いていたクロノス先生に直撃。おかげで治療のため授業開始が少し遅れている。十代と翔は何やら三沢に連れられてラーイエローの寮に行ってしまったし、色々と予定が狂ってしまったぞ。

 

「なんだとっ!? 席替えっ!? しかも……あんな隅っこに?」

 

 何やら上の方の席が騒がしい。何があったかと視線をあげてみれば……そこにはなんと丁度気にしていた万丈目の姿が!

 

 どうやら自身の席が勝手に変更されていたようだ。おまけに待遇もやや悪くなっていたようで、同じくブルーの生徒が何やらひそひそ話している。

 

「クロノス教諭。これはどういう事です? ボクがどうしてあんな席にっ!」

「それはシニョールがオシリスレッドの生徒に負けたからデ~ス。そしてそれだけではありません。シニョールは明日、ラーイエローの三沢大地と、寮の入れ替えを賭けたデュエルをしなければなりませン~ノ」

 

 万丈目がようやく来たクロノス先生に確認を取るが、クロノス先生はすげなくそう告げる。

 

 そんな無茶苦茶な。いくらなんでも一度負けただけだろっ! それに負けこそしたが、デュエルの内容自体は見事なものだった。

 

 出すのが難しいVWXYZを見事召喚し、終始場を制圧し続けていた。あれは十代だから逆転できたのであって、俺が同じ状況になったら逆転できるかどうか分からない。むしろ出来る奴の方がおそらく少ない。

 

 それに寮の入れ替えというのなら、オベリスクブルーの生徒でも成績の悪い生徒からのはず。万丈目のどこが成績が悪いと言うのかっ! テストの結果が勝ち負けだけで決まるなら、とっくにもっと多くの者が変更になっているはずだ。特にレッド寮の生徒とか。十代とかっ!

 

「それじゃあ、負ければ俺はラーイエローに格下げっ!?」

「さあさあ早く席に着くノ~ネ()()()()()

 

 憤慨する万丈目に、クロノス先生は無慈悲にも手をパンパンと叩いて急かす。この場合の自分の席が()()()()()()なのは明白だ。

 

 その様子を見て周囲の生徒、オベリスクブルーどころかラーイエロー、オシリスレッドの生徒の一部までもがクスクスと嗤う。

 

「……くっ!」

 

 万丈目はその空気にいたたまれなくなったのか、席には座らずそのまま講堂を走り去ってしまう。だというのに、嘲笑うような声は小さくもまだ止むことが無い。

 

 ……今なんとなく分かったような気がする。万丈目が変わったのは負けが直接の原因じゃない。根本にあるのはこの学園の行き過ぎたランク至上主義の風潮だ。

 

「…………ああもうっ! 先生っ! ちょっと用事が出来ましたので早退しますっ!」

「なっ! どこ行くノ~ネそこの……なんだ。オシリスレッドならどうでも良いノ~ネ。ご自由にどうぞナノ~ネ」

 

 クロノス先生は手をパタパタと振って授業の準備を始める。このオシリスレッドなぞ生徒ではないと言わんばかりの態度にムカッとくるが、それはひとまず呑み込んで俺は万丈目を追って走り出した。

 

 原作の流れなんかはよく分からないが、これはどう考えてもマズイ流れだ。ただでさえ精神的にごちゃごちゃしている今の万丈目に追い打ちを掛けたら、一体どんなことになるか分かったもんじゃない。

 

 何をどうすれば良いかは具体的によく分からないが、こういう時は一人にしないことが肝要だ。待てって万丈目! 話くらいなら聞くからさっ!

 

 





 遊児は実は万丈目が推しキャラだったのですっ! ただしマンガ版の方のですが。

 もしアニメのおジャマ達と絡む万丈目の姿を見たらどうなるんでしょうねぇ。書いてる本人もちょっとニヤニヤしてます。
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