マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様 作:黒月天星
新入生歓迎会後。自室にて。
「ワオっ!? アンビリーバボー! まさかこんなウサギ小屋かウナギの寝床みたいな部屋で暮らすなんて。この寮の生徒は皆何か戒律でも守ってるのかい?」
「こってこての古い欧米ムーブどうも。残念ながらここが俺と君の部屋だよ。ようこそレッド寮へ」
目の前で大げさに驚きを露にする青年に、俺は少々皮肉気にそう切り返す。
デイビット・ラブ。
漫画版GXにおいて登場するデュエリストの一人であり、作中デュエル回数たった三回(それも内一度はまともな描写すらない)ながらもその濃い個性と鮮烈なプレイングから印象に残ったキャラでもある。
それがまさか目の前に現れ、しかも同室になるとあっては妙な感動を覚えるな。以前のレイといいデイビットといい、この部屋はもしや転入生の受け入れ部屋になっていないだろうか?
「さてと。荷物整理はこんなこんな所か。ヘイMr.遊児。まあ長い付き合いになるかは分からないが、同じ部屋同士ルームメイトとして仲良くやろうじゃないか!」
スッとデイビットがにこやかに手を差し出してくる。俺は反射的に握手し返そうとして……ふとデイビットの耳元で妖しげに光るイヤリングを見て直前で手が止まった。
もし
確たる証拠もなく疑いたくはない。しかし漫画版の悪役のイメージがどうしても拭えない。
手を取るべきか。様子を見るべきか。俺は一瞬悩んだ末、
コンコンコン!
「お~い! 遊児。居るかぁ?」
「っ!? ……ちょっと失礼」
ホッとしたようなそうでもないような、そんな気持ちでデイビットに断りを入れて俺は扉を開ける。そこには、
「よお遊児! それと……居たな転入生! 俺とデュエルしようぜっ!」
「ちょっとアニキぃ。もう夜だよ。近所迷惑だって。ごめんね久城君」
いきなりそんな事を言いながら、相変わらずの勢いで乗り込んできた
「あのな。もう夕食も済んですっかり夜なんだぞ」
「えへへ。悪い悪い。でもどうにもそっちの奴の事が気になっちゃってさ」
呆れる俺に笑って頭を下げながら、十代はデイビットの方をキラキラした目で見る。
「なあ転入生! デイビットだっけか。お前アメリカアカデミアから来たんだろ? 昼間のエド・フェニックスやしばらく前に居たアビドスもそうだけどさ。やっぱり海外のデュエリストもスッゲ~奴ばっかなのか? なら俺としちゃあワクワクして居ても立っても居られなくてよ。だから頼む! 俺とデュエルしようぜ!」
「エド……フェニックス?」
一瞬、エドの名前を聞いてデイビットの眉が上がる。確か漫画版ではエドはアメリカアカデミアに在籍していたな。こっちの世界では違うようだけど、多少の繋がりはあるのかもしれない。
「あ~……悪いがレッドボーイ。今日はミーも着いたばかりで疲れてるんだ」
「十代。戦うのは明日でも出来るだろ? もう今日は遅いんだから帰りな」
「そうっすよアニキ。久城君の言う通りっす!」
しかしそれはそれとして、デュエル馬鹿にこんな時まで付き合ってたらたまらない。さっさとお帰り願おうとして、
「
「そうだぜ! な~んだ俺も案外名が知られてたんだな!」
「……気が変わった。デュエルだったか。やろうじゃないか」
突然デイビットはデュエルディスクを荷物から取り出すと、俺達を置いてさっさと外へ出る。
「よっしゃあ! そうこなくっちゃ!」
「あっ!? 待ってよアニキ。久城君も行こう!」
そしてそれを追う二人を見て、俺はもやもやとした気持ちをため息で吐き出し、
『ふふっ! 面白くなってきたねぇ』
「面白がっている場合か。もしデイビットがまかり間違って漫画版みたいな奴だったら」
『まあまあ。そこはそれ。なるようになるさ』
ふわりと現れて楽観的な態度を崩さないディーを嗜めながら、俺も十代達を追う事に。
考えてみれば、原作では十代とデイビットは結局デュエルしていなかったな。その意味では……少しだけ楽しみだ。
「「デュエルっ!!」」
流石にレッド寮前の広場では他の生徒の迷惑になる。よって少し離れた森の近くまで移動して始まった二人のデュエル。
その先手はデイビットからだった。
「ミーのターン。手札から『クオンティティー』を守備表示で召喚」
クオンティティー 機械族 星1 DEF400
「更に魔法カード『スクラップ置き場』を発動。機械族モンスターを対象に、同名のカードをデッキから任意の枚数墓地に送る。デッキからクオンティティーを二枚墓地へ」
デイビットの場に鈍く光る金属で出来た小さなロボットが現れ、追加で同じカードがガラガラと墓地へ送られていく。
見たところデイビットのデッキは漫画版と同じらしい。という事は……まさかあのカードも?
「カードを二枚伏せ、ミーはこれでターンエンド。さあ十代。そっちのターンだ」
「ああ! 行くぜ。俺のターン。ドロー!」
十代は自分の手札とデイビットの場を見比べ、
「俺は手札からワイルドマンを攻撃表示で召喚。罠の効果を受けないワイルドマンなら伏せカードも怖くないぜ。バトルだ。ワイルドマンでクオンティティーに攻撃」
十代の場に現れたワイルドマンの斬撃が、クオンティティーを両断する。だがデイビットにはまるで慌てた様子はなく、寧ろ不敵な笑みを浮かべている。
「やった~! 良いぞアニキっ!」
「俺はカードを一枚伏せてターンエンド。……さあ。わざわざ初手で墓地にカードを送るなんて事をしてきたんだ。何か面白れぇ事を企んでるんだろ? 早く見せてくれよ!」
「言われるまでもないね。ミーのターン! ドロー!」
デイビット LP4000 手札3 モンスター なし 魔法・罠 伏せ2
十代 LP4000 手札4 モンスター ワイルドマン 魔法・罠 伏せ1
「……ふん。ミーは手札から『クオリティー』を攻撃表示で召喚」
クオリティー 機械族 星4 ATK1200
次にデイビットが繰り出したのは、先ほどのロボットを少しがっしりさせたような同型のモンスター。この流れ……気を付けろ十代。デイビットの狙いは、
「そして召喚時にリバースカードオープン。罠カード『ジェネレーション・チェンジ』。ミーのモンスターを破壊し、同名カードを一枚手札に加える。クオリティーを破壊し、デッキからクオリティーを手札に」
「今度は同じカードを手札にか。さっきからデッキ圧縮ばかり……なっ!?」
「えっ!?」
十代と翔は目の前の状況に思わず驚きの声を上げる。何故なら、
クオンティティー ×3 DEF400
「さっき倒したクオンティティーが場に……しかも
「クオリティーの効果。このカードが破壊された時、墓地のクオンティティーを可能な限り特殊召喚するのサ。そして更に魔法カード二重召喚を発動。これでこのターンもう一度召喚可能」
そこでギラリとデイビットの目つきが鋭くなった。まるで獲物を前にした捕食者のように。
「クオンティティー二体を生け贄に、ミーはこのカードを召喚する。さあ現れろ。
The big SATURN ATK2800
場に、機械仕掛けの土星の巨人が顕現した。
はい。原作では結局なかった十代対デイビット戦開幕です。
ただデイビットは少ないデュエル回数の上使っているカードもあまり描写されていないので、当時のカードプールから相性が良さそうなカードを独自設定で使わせていただきます。