マンガ版ＧＸしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版ＧＸ世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様

VS遊戯デッキ 遊児対神楽坂 その二

　今回は話の流れ上新しい幻想体は出ません。

　どうしても新しく考えるより元々あるカードの方が使いやすいんですよね。なので新しいのが見たいという方は少々お待ちを。

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　遊児　LP２８００　手札３　モンスター　幸せなテディ　母なるクモ　魔法・罠　伏せ２

　神楽坂　LP４０００　手札３　モンスター０　魔法・罠０

「俺のターン。カードを１枚伏せ、手札から魔法カード『死者転生』を発動。このカードは手札を１枚捨て、墓地のモンスター１体を手札に加える。墓地より幻獣王ガゼルを手札に加え召喚！」

　先ほどキマイラの融合素材として使われた角の生えた獣が、守りの構えをとって場に現れる。だが壁モンスター１体だけならすぐに押し込めるぞ。

「さらに魔法カード『光の護封剣』を発動する。これで貴様のモンスターは３ターンの間攻撃できない」

　効果により空から光の剣が俺の場に降り注ぎ、モンスター達を囲い込んで動きを封じる。

「光の護封剣とはまた面倒なカードを。だが、これでお前の手札は切れたぞ。護封剣が消えた後凌ぎきれるかな？」

「今はただ、つかの間の優位をじっくり楽しんでいるが良いぜ。俺はこれでターンエンド」

　手札が０で劣勢だっていうのに神楽坂のあの余裕。あれは一種の空元気か、それともあの伏せカードに何かあるのか？　この状況では判断つかないな。

「しっかし流石遊戯さんのデッキだ。そう簡単にダメージは与えられないか」

「ああ。遊児が攻めきれてないんだな」

　まあこのタイミングで光の護封剣を出されると一気に攻撃の手が止められる。マズい時に出されたなとは思う。

　しかしそれならそれで、時間があるうちにこっちも攻め手を増やしていくだけのことだ。

「俺のターン。スタンバイフェイズに母なるクモの効果発動！　俺の場に子蜘蛛トークンを守備表示で特殊召喚する！」

　子蜘蛛トークン　星１　ＡＴＫ５００　ＤＥＦ５００　昆虫族　地

　手のひらサイズの一般的なサイズよりやや大きめの蜘蛛が、母なるクモの繭の中からボトリと産み落とされる。これ虫嫌いの人が見たら失神ものじゃないか？

「攻撃が出来ないと言うなら、さらに場に展開していくのみ！　俺は手札から『幻想体　三鳥　罰鳥』を攻撃表示で召喚！」

　俺の場に腹に赤い模様の付いた白い小鳥が召喚される。

　このカードは攻撃される際、破壊こそされるもののプレイヤーへのダメージは０。そして相手のモンスターを道連れにしていく。

　攻撃表示にしておいて攻撃してくればそのまま迎え撃てるし、幸せなテディと合わせることでより戦闘面に関しては盤石になるはず。

　だが、俺がモンスターを出したのを見て神楽坂は静かに笑みを浮かべたのだ。

「ふっ！　お前が新たなモンスターを召喚するのを待っていたぜ。俺はこの瞬間罠カード『黒魔族復活の棺』を発動！　このカードは、相手がモンスターを召喚した時、そのモンスターの魂と自分のモンスター１体と引き換えに、墓地にある魔法使い族１体を復活させる」

　えっ！　それって確か自分の生け贄にするモンスターも魔法使い族じゃないといけない奴じゃなかったっけ？　いや、それよりも重要なのは、

「墓地にある魔法使い族のモンスターだと？　バカな。お前の墓地にあるのはキマイラとバフォメット」

　そうそう。十代の言った通り、今神楽坂の墓地にはそれしかモンスターが居ないはず。……待てよ？

「いや。あったのさ。俺が墓地に魔法使い族を送るチャンスが」

「そうか！　ガゼルを手札に戻した時に使った死者転生。あれのコストで捨てたヤツだな？」

「ご名答！　俺はガゼルと罰鳥を生け贄に、いでよ！　『ブラック・マジシャン』！」

　神楽坂の場に、どこぞの吸血鬼でも眠っていそうな仰々しい意匠の棺が出現し、一度蓋が開いてガゼルと罰鳥を吸い込んだかと思うと、そのまま入れ替わりに黒い衣装を身に纏った魔術師が出現する。

「ブラック・マジシャン。こいつが遊戯さんのデッキの象徴とも言えるモンスター」

「攻撃力２５００。なるほど。さっきから余裕ぶっていたのはこれを狙っていたって訳か」

　しかし困った。マズイことに、今の俺の手札にはブラック・マジシャンを何とかできるカードはない。また幸せなテディでダメージ覚悟で効果破壊しようにも、光の護封剣のせいでこっちからは攻撃できない。

　召喚できればある程度は何とかできるカードは有るが、さっき召喚権も使ってしまったから出すことは出来ない。神楽坂め。トークンが出た時に使わないと思ったらこれを見越してか。

「ここは耐えるとするか。母なるクモを守備表示に変更してターンエンドだ」

　幸せなテディの戦闘破壊耐性は攻撃表示の時のみ。なので敢えて攻撃表示で残しておく。……まあ２度同じ手には引っかからないだろうけどな。

「俺のターン。俺は魔法カード『千本ナイフ』を発動！　このカードは、自分の場にブラック・マジシャンが存在する時、相手モンスター１体を破壊する」

　神楽坂の周囲に大量のナイフが出現する。ドローしたカードが除去カードとは良い引きだな。ならこのタイミングで狙うとすれば、

「またそいつに抱きしめられちゃ敵わないんでな。幸せなテディを破壊だ！」

　滞空していたナイフが一斉にテディに向かって殺到する。ならば、

「永続罠発動！　『業務終了』。場のPEカウンターを５つ取り除くことで、魔法・罠・モンスターの効果の発動を無効にし、破壊する。俺は幸せなテディと母なるクモからそれぞれPEカウンターを使用！　千本ナイフは無効だ！」

　幸せなテディ　PE６→３

　母なるクモ　PE２→０

　何かのスイッチを押す絵柄のカードが場に出現したかと思うと、多数のナイフがテディに当たる直前に消失する。

　……ふう。間に合ったか。業務終了は効果が強い分、カウンターの消費がかなり激しいんだよな。序盤ではあまり使えないのが難点だ。

「小賢しい真似を。なら、ブラック・マジシャンで母なるクモを攻撃！　『黒・魔・導(ブラック・マジック)！』

　黒き魔術師の放つ光弾が、母なるクモに直撃して打ち砕く。残された子蜘蛛はその様子を見てどこか寂しそうだ。

「これでターンエンド、……ふっ！　貴様程度のデュエリストが俺に勝とうなんて、千年早いぜ」

「言ってくれるじゃないか。エースを出しただ(・)け(・)で(・)ご満悦か？」

　だがブラック・マジシャンだけならともかく、まだ光の護封剣が残っているので攻撃は出来ない。こっちも除去カードを引くか耐えしのぐかしないとな。

「俺のターン。ドロー！　……俺は永続魔法エンサイクロペディアを発動！　効果により、幸せなテディのPEカウンターを３つ使い、墓地のレベル４以下の幻想体を特殊召喚する。戻ってこい罰鳥！」

　幸せなテディ　PE３→０

　場のタブレット端末が光り輝き、先ほど見せ場もなく退場させられた白い小鳥を攻撃表示で呼び戻す。当然場に出たことでクリフォトカウンターも４つ乗る。

　罰鳥　ATK１００　CC４

「そして俺は、幸せなテディと子蜘蛛トークンを生け贄に、『幻想体　魔法少女　絶望の騎士』を守備表示で召喚！　１枚伏せてターンエンドだ」

　古ぼけたテディベアと親を失った子蜘蛛を生け贄に、黒き涙を流す異形の女騎士を場に召喚し、次への布石を打ってひとまず終了。罰鳥の効果でターン終了時にクリフォトカウンターが１つ減る。

　絶望の騎士　DEF２６００

　罰鳥　CC４→３

「あのカード！？　僕達とのタッグデュエルで出てきたカードだ！」

「ああ。あの時は苦戦させられたよな」

「だけどこれで、いくらブラック・マジシャンとはいえ迂闊に攻撃出来なくなったんだな！」

　今のところ手札にブラック・マジシャンを倒せるカードはない。だが持ちこたえるだけであればこれで十分だ。

「どうやらブラック・マジシャンに手も足も出ないようだな。俺のターン」

「だが、そっちだって絶(・)望(・)の(・)騎(・)士(・)に(・)は(・)攻撃できないだろう？　こっちの方が守備力は上だからな」

「……そう言って罰鳥への攻撃を誘っているようだが、その鳥の効果は知っている。俺もカードを１枚伏せてターンエンドだ。姑息な手も無駄だったな」

　まあそんな簡単に引っかからないわな。しかし流れは完全に膠着状態だ。これはどちらが先に状況を打破できるカードを引くかにかかっているな。

「では俺のターン。ドロー」

　カタカタ！

　引いたカードは罪善さんか！　……よし。ならここは一つ仕掛けてみるか。

「こらえろ遊児！　このターンで光の護封剣の効果は終わる。そうすればきっと逆転のチャンスはある！」

　隼人の言葉通り、このターンのエンドフェイズに光の護封剣は消える。だが、

「ああ。確かにこのターンをしのげば消える。でも、別(・)に(・)こ(・)っ(・)ち(・)か(・)ら(・)仕(・)掛(・)け(・)て(・)も(・)構(・)わ(・)な(・)い(・)だ(・)ろ(・)う(・)？　俺は手札から『幻想体　たった一つの罪と何百もの善』を守備表示で召喚！　頼むぜ罪善さん！」

　たった一つの罪と何百もの善　DEF２００

　俺の場に現れたのは、毎度おなじみ輝きを放つ頭蓋骨。そして、

「罪善さんの効果発動！　俺の場か手札、どちらかのカード数×３００のLPを回復する。俺は場のカードを選択。枚数は罪善さんも含めて６枚！」

「合計１８００ポイントだと！？」

「それだけじゃない！　俺は罪善さんの効果にチェーンして永続罠『幻想体　テレジア』を発動！　このカードによりさらに５００回復し、光の護封剣を破壊する！」

　罪善さんが神々しい光を放つのと同時に、最初からずっと伏せてあったカードがオープンされ、くるくると人形の回るオルゴールが音楽を奏で始める。

「上手いっ！　これならターン終了まで待つこともなく光の護封剣を突破できる」

「ふっ！　それはどうかな？　俺は伏せてあった速攻魔法『サイクロン』を発動！　テレジアを破壊する！」

　三沢の感心する声も虚しく、神楽坂の場から巻き起こった疾風がオルゴールを吹き飛ばし、さらにそれによって場のカードが減り罪善さんの回復量もダウンする。

　遊児LP２８００→４３００

「ああ。惜しいっ！」

「だが、これで遊児のLPは神楽坂を上回った。フィールドだって数だけなら遊児の方が優勢だ。まだまだ勝負は分からないぜ！」

　と皆は言ってくれているが、ここでテレジアが壊されたのはちょっと痛手だ。これで罪善さんを絶望の騎士で守りながら、相手の伏せカードを毎ターン壊していくという手は使えなくなった。

「仕方ないか。俺はこれでターンエンド。これによりまた罰鳥のカウンターが１つ減る」

　罰鳥　CC３→２

「よし。３ターン経過！」

　俺のターン終了の宣言と共に、光の護封剣の効果が切れて光の剣が消滅する。……ふう。やっとか。

「やった。これで久城君も攻撃が仕掛けられるぞ！」

「ふっふっふ。次に奴が攻撃に回ることができればの話だがな。俺のターン！」

　神楽坂は引いたカードを見てニヤリと笑った。これはそう簡単には突破させてくれなさそうだ。

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　度々で申し訳ないのですが、またアンケートを実施します。

　今回はカードやキャラクター関係ではなく、単に皆様の嗜好についてお聞きしたく思います。

　特に強制力もないので、お気軽に意見を頂ければ幸いです。