マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 今回も少し短めです。

 最近連休だというのに忙しくて筆の進みが遅いんですよねぇ。


十代へのカミングアウト その二

 

「ごめんな。大分遅れて。ちょっと急用が長引いてさ」

「なあに気にすんな! それで? こんな時間に俺に話って何なんだよ遊児? あっ! レティシアちょっとそこの菓子取ってくれ」

『うん。 ……はい! 十代お兄ちゃん!』

「おぅ! ありがとな」

 

 十代が持ち込んだのか、部屋になかったはずの菓子を机からレティシアに取ってもらう十代。なんかちょっと見ない間にすっごく仲良くなってるんだけど。これは思わぬ好印象……じゃなくて!

 

「いやそれっ! その時点でおかしいと思わないか? カードの精霊が普通に物に触ったりできる所とか!」

「…………そういやそうだな!」

 

 気づけよっ! 十代の場合常日頃から精霊と関わっているから、不自然が不自然だと分からないって感じなんだよな。

 

 そこら辺を今回ついでにじっくりと腰を据えて話さないと……っと!?

 

 椅子に腰掛けようとした時、一瞬身体の力が抜けてふらついたのをレティシアが支えてくれる。

 

『大丈夫!?』

「あ、ああ。ありがとなレティシア。助かったよ」

「遊児お前……本当に大丈夫か? なんか顔色も悪そうだぞ」

「大丈……いや。正直少し疲れてる」

 

 ここで見栄を張っても仕方ないな。俺は椅子に座って完全に背もたれにもたれかかる。しばらくこうしてだらけていたいぐらいには疲れてる。

 

「ヘルパー居るか? 居たらすまないけど熱いコーヒーを一杯淹れてくれ。……ごめん十代。もうちょっとだけ待ってくれるか? コーヒー飲んで頭をシャキッとさせるから」

「ああ。良いぜ! ……遅れたけどこの菓子も食えよ! 翔がこの前のノートの礼だってさ」

 

 人の礼の菓子を勝手に食うんじゃないよ。まあレティシアが食べて喜んでいるみたいだから良いけどさ。

 

 ヘルパーが素早くコーヒー抽出作業を始めるのを横目に見ながら、俺は十代にどう切り出そうか考えていた。

 

 

 

 

「……ふぅ。やっぱヘルパーのコーヒーは疲れた身体に沁みるなぁ」

 

 熱いコーヒーと翔から貰った菓子を飲み食いしてほっと一息つき、どうにか少しはマシな調子に戻る。これなら途中でふらつくってこともないだろう。

 

「待たせたな十代」

「ああ。……遊児。それだけ疲れてたのって、俺をここに呼んだのと関係あるのか?」

「無関係……と言いたい所だけど、直接じゃないが関わってるな」

 

 十代が少しだけ普段より真面目な顔で聞いてくるので、俺も下手に誤魔化さず正直に話すとする。

 

「まあ一つずつ話すよ。まず……前提として聞いてほしいのが、()()()()()()ちょっと普通じゃないってことだ。……皆出てきてくれ」

 

 俺の言葉と同時に、すでに出ているレティシアとヘルパー以外の精霊化できる幻想体がまとめて出現する。……インパクト重視で呼んだけど、この部屋でまとめてはマズかったかな? ちょっと狭い。

 

 ディーの光球は見当たらない。やはりアイツ自身は十代とはなるべく接触したくないようだ。

 

「うわっ!? いっぱい出てきたな!」

「こいつらが今のところ精霊として出ている幻想体だ。じゃあ一人ずつ紹介していこうか。まずは罪善さん……と言っても前に紹介したな」

「よお! また会ったな! ハネクリボーも会いたがってたぜ!」

 

 クリクリ~! カタカタ!

 

 十代の言う通り、ハネクリボーが嬉しそうに羽を広げ、罪善さんがそれに返すように軽く光を放つ。

 

「次はレティシアとヘルパー。正式名は『幻想体 小さな魔女 レティシア』と『幻想体 オールアラウンドヘルパー』だ。この二人もさっきまで一緒に居たから何となくは分かるかな?」

「ああ。レティシアは遊児を待っている間、張り切って俺をもてなそうとしてくれた良い奴で、ヘルパーはどうやら万能型家事ロボットって奴らしいな。さっき待ってる間に聞いた」

『えへへっ! 十代お兄ちゃんに褒められちゃった』

〈ピピっ! ヘルパーロボットだよ〉

 

 褒められたレティシアが嬉しそうに頬に手を当て、ヘルパーはいつも通り言いつけを待って待機中だ。

 

「OK。俺が居ない間に仲良くなっていて何よりだ。その次は……ちょっと振り向いてみな十代。驚くかもしれないからそっとな」

「驚くって何が……わっ!? なんだコイツ? エビ?」

 

 十代が後ろに立っていたウェルチアースのエビ頭の漁師のどアップを見て驚く。まあ最初は誰だって驚くわな。

 

「カード名は『幻想体 蓋の空いたウェルチアース』。そのエビ頭の漁師と後ろの自販機でセットの幻想体だ。能力は……実際に見た方が早いか。ウェルチアース。ジュースを一本くれ!」

 

 百聞は一見に如かずとばかりに、俺はいつも通りウェルチアースに飲み物を頼む。するとエビ頭の漁師がこくりと頷き、自販機から缶ジュースを一本取りだして差し出してくる。……よし。蓋は開いてないな。

 

「ほら十代! 俺は今コーヒーを飲んだばかりだからやるよ! 大分待たせたお返しにな」

「サンキュー! って、これこの前レイの送別会でお前が持ってきたジュースじゃないか! ……なるほどコイツのものだったのか!」

「ああ。頼めばいくらでもくれる。元手も掛から……いや。エネルギーという意味では掛かっているな。うん。まあ制限付きだがジュースを出す能力だと思ってくれればいい」

 

 十代は早速蓋を開けてジュースを飲みだす。俺が来るまでにコーヒーを飲んだだろうにまだ飲むのか? 飲みすぎて腹を壊しても知らないぞ。

 

「それで次は……葬儀さんなにそんな隅っこで佇んでるの? ほらっ! 紹介するから前に出て」

『……管理人よ。私に構わず紹介を続けてくれ。どうにもその少年と私は相性が良くなさそうなのだ』

「なんだなんだ!? エビ頭の次は蝶の頭かよ!? すっげ~!」

 

 葬儀さんの顔を見ると、十代が驚いたようなワクワクしたような複雑な表情をする。流石主人公! このくらいじゃあんまり動じないな。

 

「『幻想体 死んだ蝶の葬儀』。通称葬儀さんだ。いつも背負ってる棺は、開けると中から蝶の大群が出てきて敵を撹乱してくれる。少し気難しい所があるが良い人だ」

「それはなんとも派手な技だな。見た目もシュッとしてるし、俺のヒーローと組んで戦ったらカッコ良さそうだ」

『カッコいいというものは求めていないのだが……』

 

 十代の勢いに葬儀さんはどこか疲れた様子。さっきの戦いの疲れがまだ残っているのか? だったら悪いことしたかな?

 

「それと最近精霊化した『幻想体 幸せなテディ』と、幻想体じゃないけどうちで居候しているカードの精霊のネクだ」

「あっ! このクマのぬいぐるみ。この前レイの船に乗ってた奴だ! 確かあの時罪善さんが追っかけて行って軽い騒ぎになったんだよな」

 

 十代が思い出したようにそう言うと、テディはトコトコと十代の方に近づいて両手を広げる。どうやら抱っこしてほしいようだ。

 

 持ち主は俺なので十代が抱きしめても問題はないはずだが、一応用心のためさりげなくテディの腕を引っ張ってこっちに抱き寄せる。……十代が羨ましそうに見ているのは無視だ無視。

 

『ふっふっふ! 久しぶりだな我が生け贄候補よ』

「うん!? 久しぶり? ネクって言ったか? お前以前にどこかで会ったっけ?」

『まあお前が知らないのも無理はない。だが私はお前を見ていたぞ。今こそ聞いて恐怖に震え恐れ慄くがいい。私の名は』

『こらっ! ネクちゃん。めっ! 十代お兄ちゃんを怖がらせようとしちゃダメだよ!』

 

 今こそ出番とばかりに自身のことを明かそうとしたネクだったが、良い所でレティシアに叱られて中断される。……最近ますますネクとレティシアの力関係がはっきりしてきた気がするな。

 

 これはもしいつかネクがダーク・ネクロフィアとして復活しても、レティシアに頭が上がらなくなるんじゃないだろうか? それだと安全で良いんだが。

 

 

 

 

「とまあ以上がうちの精霊達だ。ざっと顔と名前は覚えたか?」

「ああ! なんか面白れぇ奴らだな!」

「……まあここまではな。それじゃあ大まかに紹介も終えたことだし、いよいよ本題に入らせてもらうとするか」

 

 俺のその言葉に、十代も普段とは違う何かを感じ取ったのか少し顔が引き締まる。

 

「ここまで話したのはあくまでも前提。このことを知った上で頼みたいことがある。聞いてくれるか?」

「おうよ!」

「……いや即答するなよっ! まだ内容も何も言ってないだろが!」

「えっ!? だって遊児は友達だろ? よっぽどのことじゃない限り聞くぜ?」

 

 何を言っているんだとばかりにキョトンとした顔で返す十代に、俺はこういう奴が詐欺とかに引っかかるんだろうなと頭を抱えつつも、内心とても嬉しかった。事情を聞かずとも手を貸してくれるという友人。それがどんなに心強いことか。

 

 俺が話す判断をしたのは、どうやら間違っていなかったみたいだ。

 





 簡単な現状の幻想体達のおさらいでした。こうしてみると結構増えてきましたね。

 次回は三日後更新予定です。

読者の皆様が主に楽しみにしているのはどれですか?

  • 遊戯王のデュエル描写
  • ロボトミーの幻想体の様子
  • 遊児とそれぞれの原作キャラの絡み
  • どれも同じくらい楽しみ
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