マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様 作:黒月天星
注意! この話では某万丈目の取り巻きのキャラ崩壊、および不快感を覚える可能性があります。
あくまで今作のみの設定であり、場合によってはこうだったかもしれないという温かい気持ちで見守っていただければ幸いです。
「はい。どちら様ですか?」
扉を開けると、そこにはやけに殺気立った感じのブルー生徒が数人立っていた。これは穏便に話し合いとはいかなそうだな。
その中の二人が進み出てくるが……あれ? どっかで見た顔だな。確か……あっ!? 前に万丈目の取り巻きをしてた二人だ!
「お前が久城遊児だな? ちょっとデュエルしてもらおうか」
「ちょっと何なんですか貴方達は? こんな夜に大勢で、近所迷惑でしょうが」
「良いから早くしろ! このオシリスレッド風情が。本来なら呼びつける所だが、ここまで来てやっただけでもありがたく思え」
なんか無茶苦茶なことを言ってるよこの人達。別に従う義理も義務もないのだが……。視界の隅で大徳寺先生がすまなそうな顔してこっちを拝んでるんだよな。
「……はあ。分かりました。じゃあひとまず訳を聞かせてもらいましょうか。大徳寺先生の部屋で」
え~そんにゃっ!? とか聞こえてきたが、それくらいは責任を持ってほしい。どんなに頼りなさそうでもこのオシリスレッドの寮長なのだから。
一度大徳寺先生の部屋に行って話を聞いてみた所、大雑把にだが事のあらましが見えてきた。どうやらこのブルー生徒達は、今回の代表決定戦に文句を付けに来たようだ。
俺の予想通り、まだラーイエローのトップでありクロノス先生も高く評価している三沢は良いが、ドロップアウトボーイだのなんだの言われているオシリスレッドの十代が出ることが不満だったらしい。
最初はブルー寮長であるクロノス先生に直談判したがこれは決定事項なノ~ネとすげなく断られ、次はブルー女子寮の鮎川先生に頼んで明日香を推薦してもらおうとしたが本人がそれを拒否。
そして最終手段としてオシリスレッドの寮長である大徳寺先生に直談判したところ、辞退してもらえるよう寮長として頼んでも良いと返答したという。ただし、
「ただし、それは少なくとも君達が辞退させる十代君よりも強いというのが最低条件。暫定的にとは言え推薦を受けている十代君への挑戦は許されないので、代わりにオシリスレッドの成績優秀者である久城遊児君を倒せたら……と、いうことなのにゃ」
「なるほどなるほど……って言うと思ったんですか大徳寺先生っ!」
とりあえず怒りを込めて大徳寺先生を軽く睨みつけると、余計すまなそうな顔でこちらを拝みだす。拝むくらいならやらないでほしい。
「あのですね。まがりなりにも十代が代表に選ばれるかどうかの瀬戸際ですよ。それをこんな勝手に代表を変えさせようだなんてことが通ると思っているんですか? しかも本人に了承も取らずに他の人の勝敗に委ねようだとか……それとあんたらもあんたらだっ!」
あまり大きな声を出すと迷惑になるのでやや声を抑えめに一喝すると、やっぱりこいつらも少しだけ委縮したようだった。こんな程度でビビんじゃないよ。反省自体はしてほしいけどな。
「
「なんだこの……オシリスレッドの分際で」
「レッドもブルーもあるかっ! これは単なる礼儀の問題だっ! まだ最初に自分達の寮長であるクロノス先生に相談する
そこでこいつらは黙り込む。自分達の行動を思い返しているのだろう。
「あんたらは結局のところランクでしか相手を見てないんだよ。自分達が一番で、ブルー女子が同格。だからそこの天上院明日香を推薦した。そこならまだ自分達のプライドが守れるからだ。……で、それすらダメだったので仕方なく直接オシリスレッド寮に来た。相手が格下だからといって、仮とは言え明日決戦を控えている選手にこんな夜に大勢で。迷惑だとは考えなかったのかっ!? いや」
俺はそこで軽く首を振ってより強くこいつらを見据える。
「
ランクランクランクっ! 皆して同じことばかり。序列があるまではまだ仕方がない。勝ち負けも優劣も必要だし避けられないことだ。だからといって上の序列が何をやっても良い訳じゃない。
「この……言わせておけばオシリスレッドの分際で。表に出ろっ! 学園最底辺がエリートに盾突くことがどういうことかデュエルで教えてやるっ!」
「まだ言うか。そうじゃないだろう? レッドがブルーに盾突くんじゃなくて、
「は、はいにゃっ!」
なんでそんなにびくついてんだ大徳寺先生。他のブルー生徒が全員部屋から出た後で、俺は静かに大徳寺先生に頼み事をする。
「先生には立会人をお願いします。この調子で下手にごねられても仕方ないので」
「ま、任せておくにゃ。……
最後が少し引っかかる言い方だが、まあ良いだろ。俺は大徳寺先生と共にブルー生徒達の後を追った。
着いたのは寮から少し離れた場所にある広場。そこそこ広くてソリッドビジョンのデュエルをするにはもってこいであり、よくレッド生徒も利用している場所だ。
俺達はそこの中央に集まってしっかり取り決めをする。
「え~っと。デュエルの方式は一対一。ブルー生徒は代表一名を決めて戦ってもらうにゃ。そしてここにいる久城遊児君に勝った場合、明日の準備をしているはずの遊城十代君にぼくから代表決定戦の辞退を薦めるのにゃ。それで異論はないかにゃ?」
「……失礼。少し待ってもらえませんか?」
「にゃ? なんですかにゃ?」
相手側は異論無しと頷くが、流石にこちらとしては納得いかないので口を出させてもらう。
「あの、それはこっちが勝っても何のメリットもないですよね。それで負けたら一方的に、しかも人のデュエルの結果で辞退させられるなんておかしくないですか?」
「……なにが言いたいんだオシリスレッド」
万丈目の取り巻きの一人がそう返す。立ち位置からしてこいつが代表ってとこか。だけどそれは今回無駄になるかもしれないな。
「そもそもの前提である、
「馬鹿な! それではそもそもデュエルをやる意味がない」
「意味ならある。代わりに明日の朝一番で十代に挑めるよう大徳寺先生には働きかけてもらう。朝一であれば代表決定戦の良いウォーミングアップになるだろうし、そちらとしてもどうせなら実力でねじ伏せて代表の座を勝ち取りたいだろ?」
俺の言葉に、ブルー生徒達は少し悩んでいるようだった。これで試したいのはデュエルに対するプライドがあるかどうか。
もし本当に自分達の強さに、自分達の積み上げてきたエリートの立場に自信と誇りがあるのなら、これを断る理由はない。
彼らは集まって何か話し合い……そして、
「良いだろう。そもそも俺達エリートが落ちこぼれのオシリスレッドに負けるはずがない。戦う機会さえもらえるのなら構わないさ」
承諾した。それすら無いようであれば目も当てられなかったが、そんなことにはならずに少しだけホッとする。
「よし。交渉成立だ。……それとついでに俺個人への迷惑料ってことで、俺が勝ったら特別DPを支給してもらいたい。これで良いですね大徳寺先生」
「ちょっ!? 特別DPって……にゃ、にゃぁ。申請が大変だけど何とかやってみるにゃ」
大徳寺先生はものすごく困った顔ながらも同意する。別にDPには困っていないが、完全なタダ働きというのも嫌なので一応請求しておく。……すみませんね。だけど最初にこっちを巻き込んだのはそちらってことで頑張ってください。
まあ負けるつもりはないけどな。
俺達以外の生徒は少し離れ、広場の中央には勝負する俺達と立会人の大徳寺先生が残る。そして互いの位置についてデュエルディスクを展開するだけなのだが。
「……なあ。確か万丈目の取り巻きだったよな。そういえばまだ名前を聞いていなかった。戦う相手の名前くらいは知っておきたいから聞かせてくれ」
「何を言っている? 今お前が言ったじゃないか? 取巻だ」
「? だから取り巻きなのは知ってるから名前を教えろって言ってんの!」
「だから取巻だって言ってるだろうが!」
どうにも話がかみ合わないと思ったが、どうやら取巻太陽という名前だったらしい。ピッタリすぎるにもほどがある名前だな。
さて、じゃあそろそろ位置に着くとするか。俺はそのまま取巻に背を向け、
「しかし今の言葉を聞いて思い出したよ。万丈目は今頃どうしてるだろうなぁ。あの惨めにもラーイエローに引き分けて逃げ出した奴はさ」
その言葉に足を止める。これは俺の後ろの取巻達の会話か。まだ戦っても居ないのにもう俺に勝った気でぺらぺらと。
「ああ居たよなそんな奴。情けないったらないよなぁ。格下に引き分けるなんてブルーの恥晒しだ」
「ホントホント。そんな奴とつるんでたらこっちまでそんな目で見られるもんな。逃げ出してくれて逆にせいせいしたって感じだ」
知らず知らずのうちに拳を握りしめ、
「俺、アイツ嫌いだったんだよね。実家は財閥で金持ちらしいし、どうせこの学園へも金の力で入ったんだぜ!」
「言えてる言えてる! もしくはコネでも使ったのかもよ。そうじゃなきゃブルーになれなかったのかも」
奥歯をギリリと噛み締める。そして、
「明日の朝遊城十代を倒して代わり三沢と戦う。……なんだ余裕だな! 何せオシリスレッドのドロップアウトと、コネと金の力でブルーだった万丈目と引き分けた奴だもんな」
「楽勝楽勝! 俺が代わりたいくらいだぜ」
「ああ。万丈目の奴ふらっと戻ってこないかな。そうしたらもう奴に気を遣わずに勝ってやるんだけどな。
「………………ふぅ」
静かに息を吐いた。
「君達いい加減にする……にゃあっ!?」
何故か小さく悲鳴を上げて俺の顔を見る大徳寺先生。何か付いているだろうか? いや、今はそんなことはどうでも良いか。
「大徳寺先生。早くデュエルを始めるとしましょうか。俺もさっさと終わらせて明日に備えたい。……十代と三沢の勝負となるときっと名勝負になるでしょうからね。万全の状態で観戦しないと」
「そ、そうだにゃ」
そそくさと離れた場所に移動する大徳寺先生を見ながら、俺は位置についてデュエルディスクを展開し、取り出したデッキをセットして準備を終える。相手も準備は整っているようだな。
「さあ始めよう。最底辺がエリートに盾突いたらどうなるか教えてやる」
「……ああ。教えてもらおうか。お前が本当に万丈目より強いかどうかをな」
ゴメン万丈目。本来なら万丈目自身が戻ってきてこいつらを黙らせるのが筋なのだろうけど、今回ばかりはこっちも我慢を止めることにする。
遊児の逆鱗に触れました。しかもいっぺんに。……途中までは我慢しようとしていたんですけどね。
次回は明後日投稿予定です。