マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 祝お気に入り50突破!

 皆様のご期待に応えるべく、まだまだ頑張っていきますよ!




 ……というものの、デュエル描写ってホント難しいっ!

 チュートリアルデュエルだからカードの動きは説明しなきゃいけないし、基本オリカだからその分の説明もいる。デュエル描写を書いている先駆者の皆様の苦労が分かります。

 またあとがきに幾つかの幻想体の簡単な説明と個人的な印象を乗せておきますので、気が向いたらどうぞ!

 コメントなどいつでも大歓迎です!



ディ―とのチュートリアルデュエル その二

 遊児 LP3200 モンスター 雪の女王 宇宙の欠片 魔法・罠 エンサイクロペディア 伏せ2 手札2

 

 〇ディ― LP1000 モンスター なし 魔法・罠 ロボトミーコーポレーション クリフォト暴走 伏せ1 手札3

 

 

 

 

 さっきまでずっと静かに浮いていた罪善さんが、まるで警戒しろとばかりにカタカタと骨を鳴らしている。油断したらやられるなこりゃ。

 

『さて。僕のターンだけど、まずフィールドの『ロボトミーコーポレーション』の効果を発動。デッキから3枚めくり、幻想体があれば手札に加えることが出来る』

 

 ディーはそう言ってデッキから3枚めくり……何も言わずデッキに戻してシャッフル。何も出なかったらしい。

 

『まあそういうこともたまにはあるさ。これは君も使っていたら稀に起こり得ることだからね。気を付けるように』

「気を付けるって……こればっかりは運だろうよ」

『こほん。え~っと、僕は手札から魔法『人ならざるモノからのギフト』を発動。これは手札の幻想体1枚を捨てることでカードを3枚ドローする。そしてドローしたカードの中に星2以下の幻想体があった場合、それを公開することで1体まで特殊召喚できる。……まあもし1枚も幻想体が無かった場合、そのまま手札を全て捨てるデメリットがあるんだけどね』

 

 ディ―は光球なのに軽く咳払いをした後、魔法カードで手札補充に加えてモンスター展開を狙う。しかしフィールド魔法といいこれといい、やや運に左右されるところはあるけどかなり強力なカードだ。

 

『僕は手札の『幻想体 輝く腕輪』を捨て、カードを3枚ドロー……今度は来たね。今引いた『幻想体 蓋の空いたウェルチアース』を公開し、守備表示で特殊召喚だ』

 

 フィールドに出されたのは、派手な装飾のされた自動販売機の前に立つ、2体のエビの頭をした魚人のカードだった。何故かエビなのに漁師の格好をしている。……突っ込みたい所は多々有るが、むしろ獲られる側では?

 

 蓋の空いたウェルチアース 星1 ATK700 DEF400 魚族 水

 

『さあ次だ。僕は手札から永続魔法『幻想体 ラ・ルナ』を蓋の空いたウェルチアースを対象にして発動! 自分フィールドにラ・ルナトークンを攻撃表示で特殊召喚し、ラ・ルナ本体にはクリフォトカウンターを3個乗せる』

 

 次に場に出されたのは、古いピアノと椅子に座った老婦人の描かれたカード。おそらく選択したカードがピアノを弾くとかそういう流れなのだろうけど……あのエビが弾くのか? 想像したらシュールだ。

 

 ラ・ルナ CC3

 ラ・ルナトークン 星6 ATK2200 DEF1700 天使族 光

 

『ラ・ルナで選択したモンスターは攻撃が行えない。そして選択したモンスターがフィールドから離れた時ラ・ルナは破壊され、トークンも消える。本体は意外に軟なんだよね』

「だけどほぼデメリットなしで攻撃力2200をタダ出しかよ!? 割と強くないか」

『驚くのはまだまだこれからさ。さらに僕は伏せてあった永続罠『幻想体 1.76 MHz』を発動。効果によりモンスター扱いで守備表示で特殊召喚だ』

 

 まだディ―の展開は終わらない。開始からずっと伏せてあったカードがリバースし、ノイズのような絵柄のカードがモンスター扱いで現れる。

 

 1.76 MHz 星2 ATK0 DEF1700 雷族 光

 

「こいつをさっきのターン壁にしなかったってことは……生け贄要員か!」

『そういうこと! ただこのカードには他にも効果があってね、1ターンに1度、互いにモンスターの置かれていない自分のモンスターゾーンの数×200ダメージを受けるのさ。

「くっ! こっちの使っていないゾーンは三つだ」

『こちらは二つ。よって互いに600ダメージと400ダメージだ』

 

 遊児 LP3200→2600

 ディ― LP1000→600

 

『そしてお待ちかね。いよいよ上級モンスターのお目見えだ! 覚悟は良いかい?』

「良くないって言っても勝手に来るんだろっ!」

『まあねっ! 僕は1.76 MHzを生け贄に、『幻想体 三鳥 審判鳥』を攻撃表示で召喚だ』

 

 ノイズのようなカードを生け贄にして場に出されたのは、どこか不気味な姿のカードだった。無理に例えるなら非常に瘦せこけた黒いダチョウとでも言おうか。

 

 頭部を白い包帯のような何かでグルグルと覆い、両側面からは先だけ赤い白い羽が伸びている。今にもぽっきりと折れそうな細い首には名前の由来だろうか、黄金の天秤がぶら下がっている。ただ、天秤は最初から片方に傾いているようだった。傾いているんじゃ公平ではなさそうだ。

 

 三鳥 審判鳥 星8 ATK2800 DEF2300 鳥獣族 光

 

『審判鳥はレベル8だけど、ロボトミーコーポレーションの効果で生け贄は1体で済む。そして審判鳥の召喚時効果。クリフォトカウンターを二つ乗せる』

 

 審判鳥 CC2

 

「……地味に召喚を補助するカードが多いな。コストを少なくしたり生け贄要員をモンスター扱いの魔法や罠で確保したり、動き的には帝デッキに近いか?」

『まあね。ただあっちはどちらかというと速攻型だけど、こちらはどちらかというと場に長く居ることで効果が発動するものが多いかな。……ゲームを続けよう。審判鳥の効果発動! 1ターンに1度、相手フィールド上の守備表示モンスターか裏側表示のカードを全て破壊する。僕は裏側表示のカードを選択』

「げっ!?」

 

 俺の場の伏せカードが2枚とも破壊される。どちらも攻撃反応型だったからこのタイミングじゃ使えない。

 

『さあて。大分厳しくなってきたんじゃないのかな?』

「確かにな。正直かなりしんどい」

 

 盤面はかなり不利だ。だけど向こうのLPは残り僅か。このターンを防ぎ切れれば何とか。

 

『じゃあそろそろバトルといこうか。バトルフェイズ。審判鳥で雪の女王を攻撃だ!』

 

 遊児 LP2600→2000

 

 雪の女王が破壊され、攻撃力の差である600ダメージを受ける。……まずい。雪の女王が戦闘破壊されたってことは。

 

『雪の女王が戦闘破壊されたことで、効果で除外されたキュートちゃんがそのままの表示形式で場に戻る。戻ってこいキュートちゃん。そしてラ・ルナトークンで宇宙の欠片を攻撃』

「ぐっ! だけど宇宙の欠片の効果により、戦闘を行う時相手に500ダメージだ」

 

 宇宙の欠片は破壊されるが、ディ―の残り少ないLPをさらに削る。

 

 ディ― LP600→100

 

『ではこちらも残ったキュートちゃんでダイレクトアタック。……互いに満身創痍って感じだねぇ』

「よく言うよ。こっちは終始掌の上って感じだぞまったく」

 

 遊児 LP2000→1000

 

『バトルフェイズ終了時。戦闘を行った幻想体はそれぞれPEカウンターが乗る。キュートちゃんは2つ。ラ・ルナトークンはラ・ルナ本体に3つ。審判鳥は4つだ』

 

 キュートちゃん PE2

 ラ・ルナ PE3

 審判鳥 PE4

 

『そしてメインフェイズ2。僕は手札から永続魔法『幻想体 何でも変えて差し上げます』を発動する』

 

 最後の手札を使ってディ―が出したのは、内側にびっしりと鋭い棘の生えた人形のような容器だった。どこぞの拷問器具かこれは?

 

『何でも変えて差し上げますの効果発動。1ターンに1度、自分フィールドのモンスターを墓地に送ることで、その攻撃力分のLPを回復する。僕はキュートちゃんを墓地に送る』

 

 ディ― LP100→1100

 

 動きに無駄がないな。これでLPを回復した上に、キュートちゃんが居なくなったから残りは攻撃力の高いモンスターと守備表示のエビ頭だけだ。余計攻めづらくなった。……カードが強くないって絶対嘘だろアレ。

 

『そこでロボトミーコーポレーションの三つ目の効果が発動。幻想体が場を離れる時、乗っていたPEカウンターは全てロボトミーコーポレーションに収集される。僕はこれでターン終了だ』

 

 ロボトミーコーポレーション PE2

 審判鳥 CC2→1

 ラ・ルナ CC3→2

 

 ターン終了と共に、それぞれのカウンターが一つずつ減る。しかし先ほどまでのこっちの優勢は何だったのか。たった1ターンでLPもフィールドも一気にひっくり返された。唯一勝っているのは手札の枚数のみだ。

 

『一つヒントを出そうか。審判鳥はターン終了時にクリフォトカウンターが0の場合、フィールド上の守備表示モンスター、又は裏側表示のカードを全て破壊してその数×800ダメージを互いに受ける効果がある。がっちり守備を固めて持久戦に持ち込めば、次の僕のターンに効果ダメージで引き分けもあり得るね』

「持久戦に持ち込めば……だろ?」

 

 そもそも持ちこたえることが難しい。こっちの場には永続魔法『エンサイクロペディア』のみ。

 

 対して向こうのフィールドはモンスターだらけ。ただでさえ攻撃力2000越えのモンスターが2体も居る上に、守備表示か裏側でセットしたカードを問答無用で根こそぎ破壊するという凶悪さだ。防御に回った時点で引き分けより先に押し切られる。

 

 つまり次のターンで攻めて勝負を決めないといけない。……だけど。俺は手札を確認する。今の手札にこの状況を打破するカードはない。

 

『まあ久城君もブランクがあるにしてはよくやったよ。この敗戦を機にこれからデッキ調整を』

「ちょっと待った。……まだ負けるって決まった訳じゃないぞ」

 

 俺は今のディ―の言葉を聞き逃せずに待ったをかける。

 

『へぇ。この状況でまだ勝つことを諦めないと? この敗色濃厚の場面で?』

「敗色濃厚だけどまだ負けてはいないだろ。それに忘れてないか? 俺は死ぬ直前でも生きることを考える男だぜ」

 

 俺はそこで、前のターンのディ―への意趣返しとして、同じようにふふんと不敵な笑みを浮かべて見せた。

 

「ギリギリまで勝利に向けて粘ってやるよ。この状況で逆転したら……最高に面白いだろ!」

 




 これだけやっているのにまだ1ターン。何とか次で終わりにしますので、原作キャラを心待ちにしている方はもう少しだけお待ちを。

 以下、幻想体の説明と印象です。



『幻想体 蓋の空いたウェルチアース』

 星1 ATK700 DEF400 魚族 水

 効果
 ①1ターンに1度、モンスターの攻撃宣言時に発動できる。攻撃宣言を行ったプレイヤーはデッキトップをめくり互いに確認する。モンスターであればレベルの合計×100LPを回復する。モンスターでない場合、攻撃宣言をしたモンスターを除外する。その後めくったカードをデッキに戻してシャッフルする。この効果は相手ターンでも使用できる。
 ②このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時、このカードにPEカウンターを1個乗せる。

 エビ頭の漁師と自動販売機。自販機からはジュース飲み放題。飲むだけで体力が回復するので結構便利。……ただし最初から蓋が空いているものは即死トラップ。




『幻想体 ラ・ルナ』

 永続魔法
 ①自分フィールド上のモンスター1体を選択し、ラ・ルナトークン(星6 ATK2200 DEF1700 天使族 光)を特殊召喚。その後このカードにクリフォトカウンターを3個乗せる。選択したモンスターは、このカードがある限り攻撃が出来ない。
 ②選択したカードが場を離れた時、このカードとラ・ルナトークンは破壊される。
 ③1ターンに1度発動可能。このカードのクリフォトカウンターを1つ取り除き、LPを1000払う事で、次の自分のターンまで自分フィールド上のモンスターの攻撃力は800アップする。
 ④ラ・ルナトークンが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時、このカードにPEカウンターを4個乗せる。
 ⑤自分のターン終了時、カードに乗っているクリフォトカウンターを1つ取り除く。
 ⑥自分のターン終了時、このカードにクリフォトカウンターが乗っていない場合、このカードを破壊し、ラ・ルナトークンも破壊される。

 ピアノと老婦人。どんな人でも上手く弾けるピアノ。ただし弾いていると老婦人が暴れる。しかも強い。命を削った演奏中は仲間の力を引き上げるのでかなり有能。だけど使いすぎに注意。




『幻想体 1.76 MHz』

 永続罠

 効果
 ①このカードを(星2 ATK0 DEF1700 雷族 光)モンスター扱いで、守備表示で特殊召喚する。
 ②特殊召喚に成功した時、このカードにクリフォトカウンターを4個乗せる。
 ③このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時、このカードにPEカウンターを2個乗せる。
 ④1ターンに1度発動可能。互いのプレイヤーに、それぞれ自身のモンスターの置かれていないモンスターゾーン×200のダメージを与える。
 ⑤自分のターン終了時、このカードに乗っているクリフォトカウンターを1つ取り除く。
 ⑥自分のターン終了時、このカードにクリフォトカウンターが乗っていない場合、互いのモンスターゾーンを1つずつ選択し、このカードが居る限り使用不能にする。その後このカードにクリフォトカウンターを4個乗せる。

 肉体を持たない電波そのものの幻想体。近くに居るだけで怒りっぽくなる。その上勝手に陣地を広げていくので放っておくと面倒。あと目が疲れる。




『幻想体 三鳥 審判鳥』

 星8 ATK2800 DEF2300 鳥獣族 光

 効果
 ①このカードの召喚、特殊召喚、リバース時、このカードにクリフォトカウンターを2個乗せる。
 ②このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時、このカードにPEカウンターを4個乗せる。
 ③1ターンに1度、相手フィールド上の守備表示モンスター、又は裏側表示のカードを全て破壊する。
 ④自分のターン終了時、このカードに乗っているクリフォトカウンターを1つ取り除く。
 ⑤自分のターン終了時、このカードにクリフォトカウンターが乗っていない場合、フィールド上の守備表示モンスター、又は裏側表示のカードを全て破壊し、その数×800ダメージを互いに受け、このカードにクリフォトカウンターを2個乗せる。対象が居ない場合、このカードを破壊する。

 三鳥というのは独自設定の名前。三位一体の黒き森の怪物。ある事情で目を失ったので、自身の天秤が決まった方に傾いているの気付いていない。……あるいは知らないフリかもしれないが。

 範囲攻撃は単体でも厄介だが、合体すると手に負えない。




 如何だったでしょうか? ロボトミーを知らない読者の方でも何となく雰囲気を知って貰えれば幸いです。

ロボトミキャラの中で精霊として出てほしいキャラは?(すでに確定しているキャラは省きました)

  • 蓋の空いたウェルチアース
  • 今日は恥ずかしがり屋
  • 空虚な夢
  • キュートちゃん
  • 死んだ蝶の葬儀

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