マンガ版GXしか知らない遊戯王プレイヤーが、アニメ版GX世界に跳ばされた話。なお使えるカードはロボトミー縛りの模様   作:黒月天星

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 GXで変な語尾の先生といえば……この頃だったら二択ですね。




 六日でUA約9000。もうこの時点で私の処女作より多いじゃないかあぁっ! と少しやるせない気分に。これがクロスオーバーパワーだと言うのか。


初遭遇は変な語尾の先生でした。

 さて、この世界への第一歩を踏み出した俺だが、すぐに立ち止まることになった。扉の横に誰か立っていたからだ。

 

「どうだったにゃ? 今日から君が3年間暮らす部屋の感想は?」

「え~っと……貴方は?」

「ぼくはここの寮長を務めている大徳寺という者だにゃ。君は久城遊児君……でいいかにゃ? ちなみに違ったら不審者ってことになるにゃ」

 

 そう冗談めかしていう目の前の人。腰まで伸びた長髪を一本にまとめ、柔らかい表情に糸のような細い瞳。そして眼鏡をかけて独特の語尾で喋る様子はどことなく飄々としたイメージを抱かせる。この人がオシリスレッドの寮長か。

 

 俺が自分が久城遊児だと言うと、大徳寺さんはどこかホッとした様子で話してくれた。実は俺のことは事前に連絡が来ていたという。一日遅れの新入生。体調不良により実技テストを欠席したものの、筆記テストが優秀な成績だったので滑り込みでオシリスレッドに配属された異例の生徒として。

 

 ってディーの奴一体どういう設定にしてんだよっ!? デュエルの学校なのにデュエルなしで合格って、余程成績優秀じゃないと無理だぞ。ハードル上げるんじゃないよ!

 

 俺が勝手に部屋に入っていたことは、事前に部屋の場所を聞いて、逸る気持ちを抑えられなくてということで何とか説明が付いた。

 

「しかし来るとは聞いてたけど、ここまで一人で来るのは意外に大変だったんじゃないかにゃ? 案内も無しで」

「ははは。ある程度は説明してもらいましたから。……ちょっと体力的にはしんどそうですが」

「にゃ?」

 

 マンガ版で見たことは有るが、少し先ほど周りを見ただけでもこのデュエルアカデミアが広大な敷地を誇っているのは分かる。

 

 何せ本棟と思われる場所まで目測でもかなりの距離があるし、寮の近くに普通に森やら海が見えるのだ。自然に囲まれているといえば聞こえは良いが、一つ間違えば寮の近所で遭難という事態にもなりかねないな。

 

「……さて。本来なら自宅に制服や教科書を届けるんだけど、君の場合は現地で直接受け取りという話だったにゃ。諸々はぼくの部屋で預かっているから取りに来てほしいにゃ。それにしても変わってるにゃ~」

 

 自宅も何も、戸籍が捏造したものだから届けられないんだよ。内心大徳寺さんの言葉に苦笑しながらも、俺はこの寮長さんに着いていった。

 

「ここだにゃ」

 

 大徳寺さんの部屋はどことなく和風な雰囲気の部屋だった。ちゃぶ台もあって、その上には湯呑みなんかもある。生活感と清潔感を両立出来ている感じだな。

 

 ちゃぶ台の横には堂々と昼寝している縞模様の猫が居た。大徳寺さんが言うにはファラオという名前らしい。飼い猫かな?

 

「君の荷物は……あったあった。これにゃ!」

 

 大徳寺さんは隅に置かれていた段ボール箱を持ってきた。かなり重いのか少しふらついている。危ないから素早く段ボール箱を受け取る。

 

「おっと。大丈夫ですか?」

「あぁ。これはすまないにゃ。この中に君に渡す分が入っているから、早速部屋で確認して欲しいにゃ。君は初日だから、午後から授業に参加してもらうので焦らなくても良いのにゃ」

「これはどうも。何から何までありがとうございます!」

 

 ディーの差し金かもしれないが、細やかな配慮をしてもらって俺は大徳寺さんに頭を下げる。

 

「じゃあぼくはこの部屋に居るから、中身の確認と着替えが終わったらまた声をかけてほしいのにゃ」

「分かりました! では……失礼します」

 

 俺は意気揚々と段ボール箱を抱え、先ほどの自分の部屋に戻った。箱はそこそこ重かったが、学生時代に戻ったみたいで気分は上々。階段を上るのも気にならなかったな。

 

 

 

 

「……やっぱりいないよな」

 

 自室に戻った俺だが、そこにはもうあの賑やかな“元”神様は居なかった。時計の針はもう時を刻み始めていたし、完全にチュートリアルは終わったという事だろう。一度始まったらもう過度の干渉は出来ないと言っていたしな。

 

 カタカタ。カタカタ。

 

「大丈夫だよ罪善さん。どうせ今頃ディーのことだから、こっちのオロオロしてる顔を見て笑ってるぞ」

 

 適当に考えたことだが、割と良い線いっていると思う。一瞬でも感傷的な気分になって損した気がするな。

 

 あと不意に現れた罪善さんに内心ドキッとしたのは内緒だ。普段はカードの中に居るらしいのだけど、こんな感じに急に実体化されるとまだ慣れない。

 

 俺は静かに箱を下ろして中身を確認する。目録に載っている通り教科書や筆記用具等、授業で使うであろう品々に、通信機能やその他諸々の機能が付いた小型のタブレット。後は運動用のジャージと、それにマンガで見たのと同じオシリスレッドの制服。……やはりというか想像以上に真っ赤だ。

 

 俺はこれまで着ていた服(何故か俺の私服の一つ。ディーが用意しておいたらしい)を脱ぎ捨て、制服に身に着ける。……うん。サイズはピッタリ。動きやすいし丈夫そうで悪くない。

 

 他にもこまごまとした物を確認し、最後に一際厳重に梱包されているそれを確認し腕に装着する。ここの生徒の必需品とも言えるデュエルディスクだ。十代達も腕に着けていた。

 

「……意外に軽いな。しかしこれを着けたまま動き回るとなるとやっぱり重いかな」

 

 デカい見た目や展開機能がある割に、そこまで重くはない感じだ。せいぜいちょっとしたダンベルぐらいってとこかな? しかし短時間ならともかく、長いこと着けてたら腕が疲れそうだ。

 

 こりゃあ勉強だけじゃなく体力を付けることも必須になるぞ。……まあそっちはこんな自然に囲まれた場所で生活してたらそれだけで普通に鍛えられそうだけど。

 

「……よし。記載漏れは無しと」

 

 確認は出来たし問題ないだろう。俺は再び大徳寺さんの部屋に行く。

 

「うんうん。問題はなさそうだにゃ。じゃあ午前中の間に、簡単にこの学園の案内をするにゃ。ちなみに午後一番の授業はぼくの担当する錬金術だからよろしくにゃ!」

「よろしくお願いします……って錬金術っ!?」

 

 こうして俺は午前中いっぱいを、大徳寺さん改め大徳寺先生の学園案内に費やしたのだった。

 

 

 

 俺は大徳寺先生に大まかに学園内の案内をしてもらった後、午後からの授業に普通に参加した。と言っても今日は全寮合同の授業が多く、おまけに入学したばかりということもあって互いの顔もろくに覚えていない生徒が多い。

 

 なので事前に連絡の行っていた教師陣はともかく、俺がしれっと紛れ込んでいても他の生徒からは特に反応はなかった。まあたかだか一日遅れの新入生ってだけで注目されるはずもないよな。

 

 そうして一日授業を受けてみた感想は、デュエルのことと一部の授業(錬金術とか)を除けばいたって普通の学校だったという事だ。内容とかも俺の高校時代とそこまでは変わらなかったな。

 

 あと肝心要のデュエルに関する授業だけど、やはりまだ二日目(俺に至っては初日)なので実戦の類はなく、どちらかといえば基礎的な説明が多かった。魔法や罠の種類とかな。

 

 そうして今日の授業は終わり、自室に戻ったところで大徳寺先生からお呼びがかかった。どうやら寮の生徒が集まる夕飯時に食堂で、皆に俺のことを紹介するらしい。

 

「じゃあ久城君。ぼくが先に行って簡単な連絡事項を伝えた後で合図するから、それと同時に入って来てくれにゃ」

「はい。……でも、今さらですけどここまでしていただかなくても」

「気にしない気にしない! 一日遅れだけど歓迎会は大切にゃ。……じゃ。先に行くにゃ」

 

 大徳寺先生はそう言って席を立った。俺一人のために歓迎会というのも気恥ずかしいが、折角紹介してくれるというのだから素直に受け取ろう。

 

 食堂の場所は分かっているし、特に準備することもない。明日の用意なんかは食事の後でも出来る。俺はすぐに大徳寺先生の後を追った。

 

「……という訳で、二日目にもなると少しずつ肩の力が抜けて、周りを見る余裕が出てきた生徒もいるかも知れないにゃ。だけど肩の力を抜きすぎないように。まだまだ学園生活は始まったばかりなのだからにゃ」

 

 食堂の扉の前で様子を伺うと、大徳寺先生が寮生に向けて何やら話しているのが聞こえた。ちなみに俺に至ってはまだ初日だからな。肩の力を抜くどころの話じゃない。

 

 だけど先生の言いたいことも何となく分かる。要するに力を入れ過ぎても抜きすぎてもダメだと言っている訳だ。締める所はビシッと締めないとな。

 

「じゃあ最後に、事情により一日遅れでこの寮に入ることになった生徒を紹介するにゃ。……入ってきてほしいにゃ」

 

 合図だ。俺ははいと返事をして食堂の扉を開けた。中の生徒の視線が俺に集中する。好奇心の目。興味ありげな目。どこか憐憫するような目。様々な視線を受けながら俺は大徳寺先生の横まで歩いていく。

 

「彼が新入生の久城遊児君にゃ。皆さん仲良くしてくださいにゃ」

「久城遊児です。一日遅れですが、皆さんと同じ新入生のつもりです。これから3年間の間、よろしくお願いしますっ!」

 

 俺はそう言って深く頭を下げる。こういうのは第一印象がとても大事だ。礼儀正しく言っておいて損はない。

 

 少し経って頭を上げると、俺は寮生の中に見知った顔を見つけた。それは、

 

「おうっ! よろしくな遊児! これから3年間仲良くしようぜ」

「ちょっとアニキ……そんな大声で言うもんじゃないっすよ。皆呆れてるじゃないっすか」

 

 それはこの物語の主人公。持ち前の明るさと正義感を武器に、HEROと共に闇の決闘(デュエル)を戦い抜いたデュエリスト。遊城十代が原作そのままの姿でそこに居た。

 

 隣に座っているのは同じく原作キャラの丸藤翔。それともう一人同じテーブルに居るのは……誰だろうか? 一瞬カードのデス・コアラを想像させたがあれは人間だ。

 

 まあ原作キャラ以外でも、一緒に食事をする友人くらい居るだろう。単に描写されてなかっただけかもしれないしな。

 

 とにかく。とにかくだ。物語の主人公が目の前で動いて話していることに、俺は何となく不思議な感覚を覚えた。感動……に近いのかもしれないな。

 

 それと同時に心の中の何処かではっきりと自覚した瞬間だった。ああ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 余談だけど、オシリスレッドの食事は中々に美味かった。ちょっと品数が少ないのが欠点だったけどな。皆ももっと食えば良いのに。

 




 ノーネではなくにゃ~でした。個人的にはクロノス教諭も大好きなのですが、場所柄最初に会うのならこっちだなと。

 次回から概ね原作沿いに、それを遊児視点で描いていくスタンスになります。デュエルも毎回はしないぐらいの割合ですのでどうかご容赦ください。

 それと今のアンケートはこの話で一応一区切りです。結果はこれからの話の参考にさせていただきますので、皆様誠に投票ありがとうございました。




 次の投稿は、また一日おいて次の月曜ぐらいの予定です。感想、コメントなどガンガン募集中ですので気が向いたらよろしくお願いします。
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