キメラアントの王にエクスカリバーをぶち込みたい   作:のくたーん

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前のお話から期間が空いて申し訳ございません。
実生活が色々と忙しく、二次創作に時間を掛ける事ができませんでした。
誤字脱字などありましたら、誤字報告をお願いいたします。

ちなみにロンストンシティのモデルはボストンです。


移動×密航×雑踏

 ロンストンシティは、サヘルタ合衆国の東部にある歴史ある都市です。サヘルタ合衆国で起こった数多くの革命は、ここロンストンシティを発起され合衆国全土へと広がっていきました。サヘルタ合衆国が自由を愛し、また自由を得るために国民全員が努力をするという素晴らしい文化はまさにロンストンシティから始まったと言っても過言ではありません。

 

穏やかな四季のはっきりした気持ち良い気候。革命当時から残る古き良き建物と現代のビル群が共に立ち並ぶ人間の発展を感じさせる街並み。半径五百メートル以内に必ず病院があり、半径一キロメートル以内にはあらゆる症状に対する専門病院が点在している安心安全な医療密集地帯。

 

住むに良し、観光するに良し、それが歴史と発展の街『ロンストンシティ』です!

 

 

 

 ロンストンシティに関する情報が書いてある両開きの紙のパンフレットを読み終えた俺は、そのパンフレットをゴミ箱へ放り込んだ。足の下から来る揺れに耐えながら、狭い通路を歩きさっきまで俺が座っていた座席へともう一度腰かけた。

 

流星街を出発して約一ヶ月が経過した。流星街への不法投棄を終えたトラックの荷台に乗り込んで俺のロンストンシティへの移動がスタートした。トラックが最寄りのまともな町に着くと、そこで地図を調達し進路を練った。

 

まずは大陸を移動してサヘルタ合衆国へ行かなければならなかった俺は、トラックを降りた町から最も近い空港を目指してバスや電車に無賃乗車した。何度か警備員や駅員に発見されたが、俺が子供である事そしてIDを提示する事ができないことが幸いし、処分をどうするか発見者が迷っているうちに逃げ出せた。

 

いくつも町を通る最中に、適当な家に忍び込んで食料やハンターハンターの世界の通貨であるジェニーを頂いた。八歳の子供しかもIDを持たないというハードモードで移動するのは大変だったが、俺はなんとかして空港に辿り着き、サヘルタ合衆国へ向かう飛行船を見つけた。

 

しかし、飛行船はバスや電車とはセキュリティが段違いに厳しく忍び込む事は不可能だった。飛行船のチケットを買おうにもIDがなければ、チケットを発見する事ができない。誰かのIDカードを奪ってチケットを購入したとしても、どこかのタイミングで顔写真のチェックや身分証明書の提示を求められればアウトだ。残念ながら俺はこの世界の飛行船の搭乗手続きや船内の様子などはまったく分からなかったので、強引に船内へ進む方法は取れなかった。

 

そこで俺はサヘルタ合衆国へ向かう旅行者を乗せる飛行船ではなく、物資を運ぶために不定期に飛び立つ飛行船に忍び込んだ。物質はコンテナの中に積まれており、飛行船はそのコンテナを積みこんで出発する。飛行船であれば二、三日でサヘルタ合衆国へ到着出来るし、セキュリティも人間を乗せる飛行船に比べて大雑把だった。

 

かくして俺は食料品を乗せてサヘルタ合衆国へ向かう飛行船を見つけ、まんまとそのコンテナの中に忍び込み密航に成功した。ちなみに俺が忍び込んだコンテナの中にあったのは、大量のスナック菓子だった。これが冷凍食品や生鮮食品だったら俺ごと冷やされてしまって凍死していた。今回は運が良かったが、次に密航する時はコンテナの中身もきちんと確かめないといけない。

 

 

 

 サヘルタ合衆国へ密入国した俺は、コンテナの積み込み作業の隙をついてコンテナから抜け出した。そのままでは空港の外へ出られなかったので、親の作業現場に忘れ物を届けに来た子供を演じて作業現場の大人達を利用し、空港の外へ抜け出すことが出来た。

 

空港を抜け出した俺は、適当なタクシーに乗り込み密航する前に住宅から集めたジェニーを使ってロンストンシティの近隣の町まで移動した。ここでジェニーを使い果たしてしまったので、また不審者ライフを送る事になってしまった。と、ここまでがつい昨日までのお話。

 

この壮絶な大陸間密航物語の最中に瞑想や座禅など、色々な精孔を開かせる行為を試してみたが成果はまったくもってゼロだった。何かオーラを感じる訳でもなく、何かが体を包む感覚を得る訳でもなく、ただ得たのは犯罪経歴のみ。

 

そうしてまったく念の感覚が掴めない俺にとってエクスカリバーを使うための希望は、流星街でリンが教えてくれた「サンビカ・ノートン」というハンターだけだ。このやたらに揺れる電車が次に停車すれば、そこはロンストンシティだ。さっきのパンフレットには革命がどうとか歴史がどうとか病院がどうとか書いてあったが、とりあえずこの電車の無賃乗車をしっかりと決めて「ハリバード」とかいう大学を探そう。

 

「次の停車駅はロンストンシティサウスアッシュ、ロンストンシティサウスアッシュ。開くドアは左側です。次の停車駅は…………」

 

無賃乗車をしっかりと決める決意をしていると、頭上から電子音とアナウンスが聞こえた。どうやらもうすぐにロンストンシティに停まるようだ。そわそわと電車の座席の上で待っていると、耳障りな金属のブレーキ音が聞こえ車体が停止した。

 

ぞろぞろと乗客が電車から吐き出されるように降りて行き、俺もその流れの中に逆らわずに電車から降車した。ホームは高床式になっており、地上十メートル程度の位置に設置されている。勿論ホームには落下防止の柵が設けられており、高床式のホームから下へ向かうエスカレーターには今しがた降りた乗客がぞろぞろと乗って下へ向かっている。柵の向こう側にはビルが立ち並んでいて、遠くには古めかしい塔のようなものが見える。

 

一通り観察を終えると、俺もエスカレーターに乗り下へと向かった。エスカレーターが終わると左右へ分かれるコンクリートの通路があり、すぐ右手側には改札がある。左手の通路は恐らく反対側の改札へ向かう通路なのだろう。

 

 

 

 改札には四基の自動改札機があり、その四基の両サイドに駅員が駐在している窓口がある。無理矢理ダッシュで突破してもいいが、この先の地形が分からないため最悪袋小路で捕まる可能性もある。この世界に来て数多の無賃乗車を繰り返したことで、ただ突っ切るだけが無賃乗車のやり方ではないと俺は知った。

 

まずは、駐在している駅員をチェック。どちらの駐在員も真面目そうで切符がないと子供が言ってもやんわりと「黙ってもう一度買え」と言って来そうな感じだ。自動改札機を通る人間は、サラリーマンやオフィスレディっぽい人物が多くて、忙しそうにガションガションと自動改札機を通っている。

 

こういう場合は、自分がまだ子供である事を利用する。表情オーケー、声色オーケー、つぶらな瞳オーケー、そんでもって駐在員に話しかける。

 

「あのぉ、ごめんなさい。お母さんを見ませんでしたか?」

 

「うん?どうしたんだいボク……もしかしてお母さんとはぐれちゃったのかい?」

 

「あのね、お母さんお家を出た時もすっごく急いでてね。電車から降りたらボクの事を置いて先に行っちゃったの」

 

俺の年齢は正確にはカウントしてないのでよく覚えていないが、八歳か九歳くらいだ。流星街で暮らしていたおかげで体はあまり発達しておらず実年齢よりも幼く見える。そこで親とはぐれた純真な子供の演技をして駐在員へ話しかけた。

 

また、切符は母親が持っている事も合わせて伝えると駐在員は仕方ないといった様子で窓口から出てきて俺に応対した。拙い言葉しか喋れない演技をしつつ、母親が離婚した事そして母方の実家に帰る道中であること、実家の場所は分かるという事を駐在員に伝えた。

 

「君をお母さんの実家に連れて行きたいのはやまやまだけど、おじさんはお仕事があるからついていけないんだ。キミ一人でお母さんのお家まで行けるかな?」

 

「だいじょうぶ!駅の近くにばぁばの家があるからそこまで歩いてく!」

 

「うーん……小さい子供を一人で行かせるのは心苦しいけど…………気を付けるんだよ」

 

「ありがとう!おじさん!」

 

駐在員は心配そうな笑みを浮かべて、俺を駅の外へと連れ出して見送ってくれた。駐在員へ手を振りながら、少し歩き駐在員から見えない位置まで進むと俺は改めてロンストンシティの街並みを見つめた。

 

灰色のコンクリートの道とオレンジ色のレンガの道が入り混じり、その道の上を老若男女様々な人々が歩いて行く。雲を突き抜けるように高いビルは今俺が居る場所からは見つからないが、頭を上げないと全貌を把握できない程の大きさのビルが群れを成したようにあらゆる場所に建っている。だが、ビルのような現代的な建物の中に古ぼけた昔の建物が所々に残っている。

 

この街に彼女―――サンビカ・ノートンが居る。そして、俺は絶対に念能力を手に入れる。決意を胸に抱き、俺はロンストンシティの雑踏の中へと踏み出して行った。




次回、念能力が……。
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