嫌だと思えばブラウザバック。
あれから数日経った。
未だに僕は『衛宮切嗣』であることに慣れていない。
なんというか、違和感があるのだ。
確かに今の僕は『衛宮切嗣』である。
しかし、同時に前世の僕でもあるのだ。
それに、ある問題が発生したのだ。
シャーレイが原因で今いる島は壊滅し、僕は父を殺し、師匠である女性に拾われるのだが・・・。
それがいつなのかが分からない。
それに段々と記憶が薄れているのだ。
思い出した直後はほぼ全てを覚えていたのに今では大まかな内容しか覚えていない。
原因は分からない。
ただ一つ覚えていること、いや、決めたことは『衛宮切嗣』のような悲劇に塗れた人生は送らない。
それだけだ。
そう思っていたのに。
今僕の目の前には血塗れで殺してくれと懇願するシャーレイの姿があった。
シャーレイ「私を殺して!このままじゃ、ケリィも襲っちゃう!だから!だからお願い!私を殺して!」
切嗣「僕は・・・僕には・・・出来ない!」
僕はそれだけ言って背を向け走り出した。
耳をふさいで。
そうしないと声が聞こえるから。
シャーレイの悲痛な叫び声が聞こえるから。
僕のせいだ。
僕が覚えてさえいれば!
物語は変えられないんだ。
それを酷く実感し、目の前が滲んで、霞んで、みっともなく涙を溢れさせながら僕はひたすらに走った。
気がつけば周りは火の海だった。
先程まで聞こえていた叫び声も呻くような声も聞こえない。
僕はただ、その光景を眺めることしかできなかった。
僕は無力だ。
未来を知っているのにその未来を変えることも出来ない。
僕はなんのために、『衛宮切嗣』になったのだろう。
僕の覚悟は、決意は、なんだったのだろう。
誰かが来た。
足取りはしっかりしているからちゃんと生きた人だろう。
顔は見えない。
顔を見ようとしているのに見えない。
青い髪の女性「――――――」
青い髪の女性が何かを言って僕に何かを渡した。
その間になにか話したような気もするし話していないような気もする。
よくわからない。
僕はただ、その手に渡された一丁の拳銃を握りしめるだけだった。
青い髪の女性を伴って僕の家に行く。
ドアを開ければ父がいた。
父「あぁ、切嗣。無事だったのか。ここはもうダメだ。早く次のところへ行こう」
違う。コレは父ではない。
自分の研究のせいで大勢の人が死んだのにその目には彼らを悼む感情は写らない。
ならば、コレはなんだ?
父ではない。人の死を悼むことの出来ない奴は害虫にも劣る。
だから、コレは僕が処分しないと。
害虫「切嗣?どうしたんだ?どこか怪我でも・・・切嗣。どうやって拳銃を調達したんだ?」
害虫は今更僕の握る拳銃に気がついたようだ。
遅い。
僕は銃口を害虫に向けた。
害虫「切嗣!どういうつも・・・あ」
害虫が何かを喋っていたが気にせず引き金を引いた。
何度も、何度も引き金を引いた。
害虫が動かなくなっても、引き金を引いた。
そこから先の記憶はない。
意識が戻ったのは青い髪の女性の前にテーブルを挟んで座り、コーヒーを差し出されてからだった。
青い髪の女性「――――――」
あぁ、恐らく彼女が『ナタリア・カミンスキー』。
『衛宮切嗣』の母親がわりで、魔術の師匠であり、『衛宮切嗣』が殺した女性。
別に誰でもいい。
だって、未来は変えられない。
唯一の変えられる人物の僕が覚えていないから。
多分ナタリアも僕が殺すのだろう。
それが、ストーリーだから。
物語は変えられない。
なら、僕は『衛宮切嗣』になろう。
冷酷で、非道で、無愛想で、目的のためなら犠牲も厭わない。
そんな人物になろう。
だから、今は、これからは『ナタリア』から全てを盗もう。
銃の扱いも、魔術も、戦闘技術も、知識も。
全てを盗もう。
僕が『ナタリア』を殺すまでは。
まずは皆さん思われると思うんですが、この作品の切嗣はFateの切嗣のことをあまり理解していません。
まぁ、1度見て切嗣に興味持っただけの男なんで。
あぁ、あとついでに言っておくと前話とこの話はただのプロローグです。
なんなら、第四次聖杯戦争もプロローグのようなものです。
第四次聖杯戦争までの流れは原作とほぼ同じなので飛ばし飛ばしで行きます。