暇を持て余した神々の遊びに巻き込まれた件について 作:見知らぬ幽霊
日本人女性の平均寿命は確か85くらいだったか。余りにも長すぎる寿命に早死にしたいわ!!!と願ったことはある。否定しないとも。
けれど享年20は酷くないか?
「いや〜すみませんねぇ。こちらの都合で早く死んで貰ったのでまあ文句を言われるのは仕方がないんですけど。ま、我々の都合に振り回される程度の存在であったことを悔やんでください」
辺り一面真っ白な世界にぽつんと佇み、ヘラヘラと笑いながらそういう目の前の人物に、怒りを通り越して呆れてしまう。口から溜め息が溢れそうだ。もうその身体もないのだが。
なんだろう。こうも悪びれもなくそう言われると、何を言っても無駄なんだなって先に悟ってしまう。これが私の運命だったんだなって。というかそう思うしかないのだが。
「話が早くて助かりますよ。いやぁもっとギャンギャン騒がれたら魂サクッと壊してまた違う魂補充しなきゃならなかったんで。面倒なことにならなくて楽で良かったです」
サラッと恐ろしいことをいう目の前の人物に思わずぶるりと震える。自分が諦めの早い性格で命拾いしたわ。もう既に死んでるんだけど。
そこでふと気付く。私が使い物にならなかった場合サクッと魂壊して他の人補充する予定だったってことは、私は何かしないといけない事でもあるのだろうか。
「そうですそうです。いや〜マジで貴女楽で良いですよ。この魂担当で良かったです」
はぁ……。ええと、それで何をすれば良いんですかね?
私が思ったより扱いやすい存在で本当に良かったのかガッツポーズを行う目の前の男性、らしき存在。さっきはちょっとした悲しみの中でいたためちゃんと見てはいなかったが、サラリーマンのように紺色のスーツを着こなす目の前の人物をマジマジと見る。でも何故か、顔は認識できなかった。
「ええとまあ、
その玩具が私だったってワケですか。は〜神々の遊びに巻き込まれたってワケね……。
「はい。まあそれで適当な魂を選んで違う世界に送り込んで、その魂が何をするのか観察して遊ぶワケです。それに選ばれたのが貴女なんですよ〜いやぁ可哀想ですねぇ。
はいはい。で、そんなモルモット的な存在である私はどんな世界に飛ばされるんですか?
「最近我々が気になっている世界ですね。ハンター協会やら暗黒大陸やら念能力やら色々娯楽があって楽しいと思いますよ」
というかその作品にどハマりした同業者が1から世界作っちゃったんですよね〜と笑うリーマンに顔が引き攣る。流石神様と言うべきか。
しかもよりにもよって『HUNTER × HUNTER』の世界ですか。死亡フラグ乱立な世界で困惑だわ。まあ神様は退屈しないでしょうねぇ。
ニコニコ楽しそうにしている目の前のリーマンに対し、私は絶望する。遠い目をするどころではない、なんなら今すぐ魂を壊してもらった方が幸せなのかもしれないと思うレベルに絶望している。
「いやいや、一般人として過ごすのも良いんですよ?その辺は自由になさって下さい。まあ、余りにもつまらない人生でしたらうっかり間違えて消しちゃう可能性もありますし、他の転生者に貴女を殺すように言うかもしれませんねぇ」
そのお言葉で平穏な人生を送る選択肢が結局ないのは分かりました。ええ、ええ、分かりましたとも。
「分かってくださって助かります。いやぁ、本当に貴女楽で良いですね。今機嫌が良いので本来2回だけなんですが、3回スロットを回してあげますよ〜」
スロット、ですか。その口ぶりからするとスロットを回すと何かしら有利になれる何かが貰えるのだろうか。
「そういう事です。じゃ、回しますね〜」
リーマンが楽しそうに3回スロットを回す様子を私は静かに眺めた。1回目は092、2回目は224、3回目は154だった。果たしてその数字がどう左右されるのだろうか。
「ふむふむ、なるほどぉ!決まりましたよ〜」
はあ。と気の抜けた相槌を打つがリーマンは気にした様子もない。
「貴女は胡蝶しのぶの容姿で直死の魔眼持ち、相棒が山の翁ですね。いいですねぇ。特に山の翁と直死の魔眼の相性は最高ですよ〜」
因みに容姿に性格とか口調は影響されますからね。本質は貴女でも多少お淑やかで女の子らしくなるんじゃないですかね〜とお気楽そうに言うリーマンに思わず空いた口が塞がらないった。
いやいやいやいや、直死の魔眼が特にいらね〜〜!!!っていうか胡蝶しのぶさんてなに!?相方じいじもなに!?他作品混じってるんですけど!!
「あ、因みに3回目のスロットは他の転生者にはない特典ですよ。グランドアサシンが付いてくるなんて本当に貴女は運が良い。しかも美少女の容姿付きなんてもう勝ち組ですね〜。あ、因みに容姿だけ、ですので。残念ながら全集中の呼吸等は使えませんよ」
最後の特典は有難いですし、確かに美少女になれたら気分も上がる。呼吸が使えなくても、美少女なのは本当に大変有難いんですよ。でもこの世界では大分危ないだろうがァ!!山賊とか盗賊とかいるんだぞ。あんな美少女なら絶対狙われるじゃん!!あ、待ってください。つまり直死の魔眼も危なくない?アレは集中して死を見ようとすれば目の色が青く変化するようになっているから尚更危ないのでは?と思わず頭を抱える。人体収集家とかいるし、普段からお面でも被っておくべきか……?
そんなことをウンウンと考え込んでいたら、ぐらりと私の魂が揺れる。えっ?と小さく声を漏らして下を見れば白い空間だった場所に私を覆い隠すほどの黒い穴があった。
「それでは行ってらっしゃいませ〜」
そうにこやかに笑うリーマンに思わず、糞が。と呟いてから私の記憶は途絶えた。
♢♢♢
あのリーマン野郎に穴に落とされてから早15年、私と
因みに、何故山の翁をおじい様と呼んでいるかと言うと普通に赤子の頃から育てて貰い、孫のように接してもらっているからである。勿論、きちんと本人からの了承も得ている。「好きに呼ぶが良い」というお言葉を聞きましたもの。
先程赤子の頃から育ててもらったと言ったが、なんでも山奥に捨てられていた私を何故か現界していたおじい様が不思議に思いながらも育てたとか。その辺は前世の私の記憶もなく、ただの赤子であった為曖昧なのだが。まあ知らなくてよかった。流石におしめ替えて貰ってる時に記憶が戻っていたら絶望的である。その辺の配慮に関してはリーマン野郎に感謝だ。
まあおじい様も直死の魔眼も持っているし、人里に置いても人の手には負えないと判断したのだろう。お陰で私がこの魔眼に蝕まれることも無く、オンオフ切り替えできるようになったのでとても有難い。
育ててもらった恩もある為、修行が一段落したところで私はこの身に起きた事全てを包み隠さず話したのだが、さすが
現界してから聖杯の存在も、
ただあのメソポタミアでの戦いにより冠位では無くなったのだが、それでも彼の力は計り知れない。あれでも、あの糞リーマンがグランドアサシンって言っていたからまだ冠位なのだろうか?うーん、その辺は保留だな。
しかし、それにしても聖杯もないというのにおじい様を現界するという力技。さすが神。でもそんな無駄なことに力を使わずに人類の救済に是非とも力を使って欲しいのだが、その人類自体も滅んでも問題ないと思っているのだろうなぁと思うと、思わず眉間に皺が寄る。
やはり糞野郎だな、まあ人でないものに同じような価値観を望んでも仕方がないことなのだろうけれど。
そんなら事を考えながら修行を行っていれば、おじい様が「そろそろ頃合いか」と呟いた。
「汝は生を受け、これまで我の元でよく励んできた。もうこの地に縛られなくても良いだろう」
「つまり、ハンター試験を受けても良いということでしょうか?」
修行が一段落した。否、これはもしやハンター試験にいける許可を頂けたんだろうか?と思い、尋ねてみた。するとおじい様は小さく頷き、「然り」と答えた。それに漸くか!とガッツポーズをする。
私は赤子の頃捨てられた為戸籍がない。なので身元を保証するハンターライセンスが必要であると考え、ハンター試験を受けたいと前々から相談をしていたのだ。その為に色々鍛えて貰っていたし、念の修行だって行っていた。私の念能力については今は割愛させて頂こう。
「ここより5日ほど南へ赴けば人里に出るであろう。そこから先は汝の力のみで試験場に辿り着かねばならぬ」
「試験場に辿り着くのも試験のうちなのですね」
そう返せば、おじい様は深く頷いた。
「おじい様も行きませんか?試験場までも着いてからも勿論自分の力のみで行くつもりですが、どうですか?」
「ならぬ。我が行けば気が緩むであろう。堕落は許さぬ」
確かに、おじい様がいれば私の警戒心は緩むだろう。何せ冠位を冠するアサシンがそばにいるのだから。その為、私はその言葉を否定できなかった。なので静かに了承して身支度を始めた。
「それでは、何かお土産を持って帰りますね」
「これまでの成果を発揮出来るのならばそれで構わぬ」
なるほど、合格してこいってことね。とその応援に嬉しくなり、思わず頬が緩む。
「それでは行ってきます」
「気をつけるが良い」
「はい!」
かくして、私のこの世界での第一歩が始まったのであった。
因みにスロットの結果ですが、サイコロアプリ使って、鯖の番号と誕生日で決まりました。最初の0、1、2は固定です。じゃなきゃキャラとか能力とか探すの大変なので…パズドラとかから探したら楽かなぁ。
092→両儀式(殺)、224→胡蝶しのぶの誕生日、154→山の翁
型月だけじゃなくて他作品のキャラも入れようとした結果これです。じいじの口調どうなってるんですかね…サイコロ許しません。