暇を持て余した神々の遊びに巻き込まれた件について 作:見知らぬ幽霊
他視点ちょいちょい入れますね。視点の殆どは転生者です。
目が覚めたら────
っていや、どんな悪夢やねんおいコラ。
そんなツッコミを真っ先に入れつつも、身体が浮遊する感覚、どこかぼんやりとした真っ白な空間にこれが夢であることを俺は確信した。夢ならば問題ない。なので、早く目覚めねーかなぁとぼんやりとその空間に漂っていた。
「いやぁそれが夢じゃないんだよねぇ」
そう言いながら上空から降りてきたその人物は、背中に真っ白な羽が生えていた。
いやこれが夢じゃないならなんなんだよ草も生えんわ。と呆れたように見ていたら、その人物はふん!と得意げに笑う。
「キミもう死んでるんだよ。で、その魂を有効活用してあげよっかな〜ってボクが来たのさ」
ちょっと何言ってるか分からない。
「えッこれで分かんないとかやばくない?キミ日本人だよね?異世界転生物のテンプレだよ?」
なんでその説明で分かると思ったんだよ。つか、心読めんのかい。
「うん、だってキミ今魂だけだから、話すことなんて出来ないでしょ。だからキミの思考をボクが読み取って意思疎通してんの」
ふーん。と適当に相槌を打てば、目の前の人物はどうやら少し拗ねてしまったようだ。え?興味無いなら聞くなって?いや、だってどうせ夢なんだし別に良いじゃん。
そう思っていれば、相手は本当に呆れたようだった。
「もしかして事故のショックで記憶飛んでんのかな。キミ死んでる自覚マジで無さそうだもんね」
死んでる自覚ないよ。夢だと思ってるし。まあでもとりあえず話せるなら話そうかな〜みたいなノリノリ。
「めんどくさっ。まあ仕方ないか。きちんと説明するね」
はぁ、やれやれ。と大袈裟に困ったように目の前の人物はそう言った。
「キミさ、車に轢かれそうになった子供を助けようとして死んでるの。ほら、折角の休日だからって本屋さんとか行こうとした途中に起きた事なんだけど思い出せる?」
え、マジで俺死んでんのかなぁ。ちょっと信じてきちゃった。思い出せないから頑張ってちょっと思い出そう!とウンウンと唸りながらない脳みそフル回転させる。
「魂が記憶してる事だから脳みそぶっちゃけ関係ないんだけどね」
うっせ!思い出すのに集中させろや!
「はいはい」
俺は今日休日で……暇だから本屋に行こうとして……そうだ、信号待ちだったんだ……!信号待ちだった事を思い出せばその後の記憶が鮮明に思い出させる。
「思い出せたようだね。残念だけど、キミは即死。子供も助からなかったよ」
助からなかったのか……。
「うん、キミには悪いけど無駄死にってやつだね。というか、子供はどう頑張ってもあの時点で死ぬ運命だったんだよ。キミ達がどう動こうともそれは揺るがない。残念だけどね」
その言葉が俺の心を抉った。というか、折角助けようとしたのに無駄死にってちょっと酷くない……?
「酷いも何も事実だよ。それにボク達が決めた命運に本人が抗おうとするなら兎も角、第三者が介入したところで無意味だし。キミがその程度の存在だったことを恨むんだね」
ぐぬぬ……。だとしても、俺の命の代わりに子供が助かってくれれば良かったのになぁって思うし、悲しいのは変わらないよ。
「うーん、っていうか、あの子は多分死んだ方が良かったと思うよ。あの子のお姉ちゃんちょっと狂っててさ。このまま生きててもどの道殺されたし、なんなら魂自体消滅するみたいな感じになったと思うね」
え、いやいやそれどういう事!?お姉ちゃん狂ってるとか、魂消滅とかって何……こわい……。
そう尋ねれば、困ったように目の前の天使らしき人物は口を開いた。
「いやねー……妹に両親取られちゃったって嫉妬してて、しかも学校では好きな人が友人と恋人だったってことを恨んでて、こんなに頑張ってるのに誰も私の事認めてくれない〜だとか思い込んでてさ。精神的にキてるみたいなんだよなぁ。
まあそれで妹と両親と友達とその恋人を殺して、違う世界に転生してチヤホヤされようと思い込んでる厨二病なんだよね」
泥沼すぎて思わず閉口した。元より開く口はないのだが。
「因みにさ、神の中に役割とかはあっても邪神とかそういうのはない。でも神の殆どはキミ達の言う人でなしでろくでもない奴らばかり。誰かをサクッと殺してその魂を違う世界に移して遊ぶなんてことは珍しくもないのね。だからあの子のお姉ちゃんがそういう行動したら面白がって、そのお姉ちゃんの望む通りに転生してあげるんだろうね」
さすが神様と言うべきか。ってか神々の知りたくない情報について知ってしまったんだけど、この記憶消去できません!?
「しても良いけど、ボク加減上手くないし。失敗したら廃人になるよ?」
やめておきます。と即答でお断りする。それに天使もどきさんはウンウンと頷く。
「それがいいね。で、話を戻すけど、キミはもう死んでる。それについてはもうイイよね?」
勿論、把握しております!
「はい、宜しい。それで、まあキミが死ぬのは帳簿には書いてなかったんだよ。だから同じ世界に転生するにしても大分時間がかかるし、その間魂だけ現世に長時間放置してると悪霊化して最悪魂壊すはめになるんだよね。で、それだとこちらの予測不足だから申し訳ないし、キミを異世界転生しようかと思ってさ」
なるほど、一応考えてくれてたのか。有難いです。
「これはボク達の失態だからね。だからちゃんと担当の奴らにきちんと担当した人間の性格の把握、行動の予測はしとけって言ってたんだけどな。尻拭いは結局ボク達がやる事になるんだし、後でお灸を据えなきゃね。
で、転生するついでに幾つか特典をあげるんだけど。ちょっと待ってね」
へ?良いですけど。と言って静かに待っていれば、天使もどきさんは3つのサイコロを振った。その数は076だった。
その数をみてペラペラと冊子を捲る天使らしき人物を見ながら俺は静かに待つ。
「まあ能力的には申し分ないから生きていけそうだけど」
そうボソリという天使もどきさんに、え、なに?どういう事なの?と首を傾げる。もう首もないんだけどさ。
「っていうかその天使もどきってやめてよね。天使さんでいいよ」
分かりました天使さん!
「うん、で、結果なんだけど。キミ、モードレッドの能力容姿で転生ね。まあ女の子になっちゃうんだけどさ、平気だよね」
え……俺女の子になるの……なんやて工藤!!!!!
「うるさいなー。サイコロで決まったんだしそこは諦めてよね。ボクは他の神と違って1回しかサイコロ振らないって決めてるから!」
でもでもまさか彼女すら出来なかったのに、このまま女の子で生まれ変わるなんて……。絶望だぁ…!
「死んだ時より絶望してるの謎すぎるんだけど。因みに転生する世界は『HUNTER × HUNTER』ってとこがモデルになった世界ね。ちゃんとキャラもいるよ」
しかも死亡フラグビンビンじゃねぇか……!!!
「ホントにうるさいなーもう。仕方ないでしょ、なるようになれって祈っときなよね。生まれ変わった後はボク何も手助けとかしないから。質問するなら今この時だけだよ。時間は有限、何か聞きたいことがあるなら早くしてね」
なんか凄い親切だな天使さん。ええと、他の転生者と遭遇したりする?
「勿論いるよ。中には原作のキャラに成り代わってる人もいるね」
なるほどなるほど。じゃあ、モーさんの宝具とかって念能力だったりすんの?
「ちょっと違うかな。これは戦いながら宝具展開する力を貯めたり、念能力を魔力に置き換えたりする事はできるけど。念を使わなくても使用できるから、根本的には違う能力だよ」
ふむふむ。あとは、俺が転生するのって原作始まる前とかなの?
「悪いけどその辺は世界が勝手に決めるから教えられないよ。元々ボクの管轄の世界じゃないしね」
なるほどなー。おっけい!もう大体聞けたかな。
「じゃあ、世界に飛ばすよ。良い旅路を」
ありがとな〜!と最後に伝えれば、視界が真っ黒になり俺の意識は暗闇の中に沈んだ。
♢♢♢
「まあ、さっき話した人でなしのろくでなしってボクの事なんだけどね」
勿論その言葉は先程『HUNTER × HUNTER』の世界に飛ばされた魂には聞こえるはずもなかった。
先程あの男の魂に説明した内容は嘘ではない。けれど、この神にとって先程の魂は玩具だ。手助けはしないとは言ったが、掻き乱さないとは言っていない。余りにもつまらない人生を送るのなら、きっとあの魂は消滅させられるだろう。けれど、そんな忠告なんて聞かされていないのだ。
どう動くのか楽しみだなぁと神はニヤリと笑う。
「いい話には裏があるもんだよ」
さーてと、部下がやらかしたことには変わりないし後処理やっていきますかね〜。それに、その女の子も転生させてあげなきゃ!と神は鼻歌交じりに部下の元へと向かった。