暇を持て余した神々の遊びに巻き込まれた件について 作:見知らぬ幽霊
3次試験も主人公組は原作通り滑り込みで合格。そこでタイムオーバーとなり、4次試験の説明と狩るプレートを決めるクジも引くことになった。
私の狩らねばならないプレート番号は16。この番号の者には覚えがあった。確かトンパさんだった。これは当たりだ。と内心ガッツポーズをしながらも何食わぬ顔でみんながクジを引くのを見届けた。
狙うプレート相手は問題ないだろう。問題なのは誰に狙われているのか分からない事だ。できるのなら原作の合格者とキルアくんのターゲットだけにはなりたくない物だ。
♢♢♢
結果から言えば、4次試験も私は問題なく合格した。けれども、移動の飛行船の中には原作では見た事のない人物が2人、3人だろうか。生憎と原作全てを覚えているわけではない為、確信は持てないが恐らく3人はいる。
どこか見覚えのある鎧、剣を装備している少女。どこか見覚えのあるトンファーを構えた少年。それと、全く見覚えのない容姿の整った少女。
お察しの通り1人目はモードレッド、2人目は雲雀恭弥の容姿だ。ワーヲタクデヨカッタ。けれど3人目だけは検討も付かない。白く美しい髪に優しげな顔立ちの美少女なら、一目見たら忘れない筈だ。私の知らない作品か私が原作を覚えていないかのどちらかだろう。まあそれは置いておく。見覚えのないものに対して考察したところで大した意味なんてないのだから。
それに、私のように見た目と能力がチグハグならば幾ら容姿を知っていてもその情報は役に立たない。寧ろ、先入観がある方が戦闘をする上では最悪の事態を招きやすい。できる限り意識はしないでおきたいところだ。
けれども、やはりその3人だけ詳しいことが分かっていないため、バレない程度に様子を見ることにした。
モードレッドさん(仮)と雲雀さん(仮)は単独行動が多めなのかな。それに対して、その少女は主人公組と行動をよく共にしているようだ。モードレッドさんとも度々話をしているが雲雀さんとはあまり仲が良いわけでは無いように見えた。なんか一方的に雲雀さんがその少女を睨んでいるのを見かけたし。何したんだ一体。また、ヒソカさんにも話しかけているのをよく見かける。どんな強者なんだ。
まあ面倒事に巻き込まれなければそれでいいか。と考えるのをやめて、束の間の休息を楽しもうとカフェテラスへと移動する。……否、したかった。
「ねぇ、ちょっといいかな?」
先程気になっていたその少女に話しかけられたのである。やはり同じ境遇の方で何か聞きたいことでもあるのだろうか。そうでなくても、何か情報を得られるチャンスだ。そう思い、素直に応じる事にした。
「私に何か?」
「貴女、誰狙いなの?」
「……ええと?」
思っていたのと違う質問が来た為、なんと返せば良いのか分からず困惑する。
「……どういう意味でしょう?」
「なるほど」
いやなるほどとは?
困ったように首を傾げる。意味のわからない質問をされ、素直に聞き返せば勝手に納得され。どう返せばいいのだろうか。
「ええと、御用がないのでしたらもう宜しいですか?」
「ごめんなさい。最後にこれだけ」
「はい、何でしょう?」
「アダルトリオってわかる?」
「アダルトリオ……?」
またしても聞きなれない言葉に聞き返せば、分からないよね。と苦笑された。
「変な質問のお詫びに忠告しておくね。ヒソカとギタラクルには近付かない方がいいよ」
「それでしたら問題ありません。近付きたくない危険な人物だと思っていますので」
「うん、呼び止めてごめんね」
「いえ、失礼します」
にこやかに応じた後、意味がわからなかったなと首を傾げる。まあ聞き返したところで教えて貰えなかったし、別段深い意味もないのだろう。敵意より善意の方が強かったし。大人しく忠告は受け入れておこう。
そして今度こそ、飛行船内のカフェでゆっくりお茶でも飲もうとカフェテラスへと向かった。
カフェテラスで紅茶とフレンチトーストを頼み、のんびりと過ごしていれば学ラン服を着た黒髪の少年、恐らく雲雀さんだと思われる人物が私に近付いてきた。
「……何か?」
「キミ、ヒソカとギタラクルと戦いたいと思う?」
「いえ全く」
その問いに脊髄反射並の速さで答える。すると、その返答で私に興味をなくしたのか「そう……」と一言だけ告げてその場を離れていった。
一体何だったんだろうか。それにしても今日はやたらと忠告が多い日だなと首を傾げる。
もしかして、私の見た目がとても弱そうだから危険人物を予め私に教えてくれているのだろうか……。確かに身長は小柄だが、そんなに弱そうに見えるの……?なんか悲しくなってきた。
そう考えれば考えるほど先程まで楽しんでいたお茶の時間も楽しめなくなってしまい、早めに切り上げて自室で会長との面接まで休もうと胃に紅茶を流し込んだ。
そして席を立とうとしてふと思った。
雲雀さんって声高めなんだ。漫画でチラッと見ただけだから知らなかったな。
♢♢♢
あれから数時間自室で休んでいれば、漸く面接に呼び出された。
緊張しつつも部屋に入れば、座布団に座るように促されたので「失礼します」と静かに腰をおろす。
「さて394番は何故ハンター試験に?」
「戸籍が無いためですね。ハンターライセンスを持っているだけで信用されますし、安全な仕事も取りやすくなりますから」
会長は「ふむふむ」と筆を取りサラサラと紙に書いてゆく。
「なるほどのぅ。では、1番注目している者は誰かな?」
「44番ですね。嫌でも意識してしまいます」
「では、1番戦いたくない者は?」
「それも44番……あと405番ですかね」
「ふむ、その理由は?」
理由を問われ一瞬閉口する。44番は単純に関わりたくないし、強いから戦いたくない。それを答えるのは簡単だ。けれど、405番の少年と戦いたくないのは何故だろうか。
「44番は強いですし戦いにくいから、ですかね。405番とは、多分私は戦えないんだと思います」
「なるほどのう。下がって良いぞ」
「はい、失礼致します」
結局明確な理由を話すことは出来なかった。私は確かにゴンくんのことを漫画の知識で知っているが、だとしても何故戦いたくないのだろうか。私が忘れている原作の知識にその答えが載っているだろうか。どうもスッキリしないまま私は自室へと向かった。