暇を持て余した神々の遊びに巻き込まれた件について   作:見知らぬ幽霊

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KYな転生者共には気をつけろ

 色々気になる事もあったが、最終試験日となった。

 試験内容は原作通り、逆トーナメント。私の試合数は2回。残念ながら最も低い回数だ。それもそうだろう。他の受験者とは違い、私は目立つ事もなかった。それに、私はハンターになりたい訳では無いのだから印象値も良くはない筈だ。だって、ハンターになりたい者と比べれば思いの強さが余りにも違いすぎるのだ。会長だって私なんかより、ハンターになりたい者により多くのチャンスを与えたいと思うのは当たり前だ。

 そう簡単に納得するあたり、ダメだなぁと仮面で見えないことをいい事に苦笑する。声は漏らさなかったからまあ問題はないだろう。と一応確認のため周りの様子を窺うが、誰も気付いていないようだった。まあ気付いたとしても問題ないと判断したのだろう。

 それに安堵と共に食えない顔で愉快そうに説明するネテロ会長に対して、他の試験官の表情がどこか複雑そうだったのが印象に残った。

 さてと、ちゃんと対戦相手を見なければと逆トーナメント表をみる。私の対戦相手になるのはレオリオさんかボドロさんだろう。クラピカさんやヒソカさんと対決するのは真っ平御免だし、雲雀さんやモードレッドさんも強いから私と対戦するまでに負けることもなさそうだ。

 

 表の確認も説明も終わり、早速第1試合が始まる。ゴンくんとハンゾーさんの試合だ。

 まずゴンくんが距離を取り、自分の武器である速度を使い相手の隙を作り出そうとするがその速さにハンゾーさんはなんてことの無いようについていき、ゴンくんに手刀を打ち込んだ。

 そこからは一方的な試合だった。ハンゾーさんはゴンくんが気絶することを許さず、休むことも許さず、話が聞ける程度の気力だけ残し、痛めつけた。

 その光景に怒りを表す者もいれば、目を背ける者、読み取れない表情で静観する者に別れた。

 友の為に怒っている彼等の気持ちはよく分かる。けれど、それ以上に私はハンゾーさんに同情した。

 確かにハンゾーさんは惨たらしいことをゴンくんに行っている。けれども、私はそれ以上に惨い拷問を知っていた。何せ、ハサンを殺すハサンであるおじい様に扱かれていたのだ。知っていて当然だろう。

 勿論、ハンゾーさんも忍びであるのならばそれ以上に残虐なやり方を知っているはずなのだ。

 例えば爪を剥く。皮を剥ぎ、目を潰す。指を切り落とす等。例え、やり過ぎたとしても命に別状もないように処置する方法だって知っているだろう。

 けれども、彼はそれをしないのだ。否、出来ない。

 だって彼はもう既にあの少年を気に入っていたのだから。

 みんなは覚えているのだろうか。試験が始まる前、彼が審判に気絶をするのもダメなんだなと確認を入れていたことを。ただ単に気絶させる方が参ったと言わせるよりも遥かに楽だ。その為に確認をしたかっただけなのかもしれない。

 けれど、私はその質問がハンゾーさんの最後の希望の確認のようにも取れたのだ。できるのなら痛めつけずに終えたいという、最後の願いの確認のようにとれた。

 行動を共にすることがなくても、何日間もいれば人となりくらい分かる。凄く気に入っていて仲良くしたいと思わなくても、なんとなくその子感じが良いなと思うくらいならあるだろう。

 私が思うに、ハンゾーさんはもう既にゴンくんのことを少しだけ気に入っていたんじゃないだろうか。だから試合を始める前、難しい顔をしていたのではないか。

 勿論、ただの憶測だ。でも、

 

「腕の骨を折る」

 

 そう言った彼の声音は力みすぎていなかっただろうか。

 

 ボキリと鈍い音が静かに響いた。ゴンくんは声にならない悲鳴をあげ、必死に痛みを耐えている。

 クラピカさんとレオリオさんは怒りを抑えるので精一杯のようだった。

 けれどもその空気も、マヌケにも不意をつかれたハンゾーさんがゴンくんからの攻撃をモロにくらったことで、殺伐とした空気が一瞬にして和やかになる。

 だって余りにもマヌケすぎる。申し訳ないが私もさすがに笑った。

 もうそこからはゴンくんのペースに巻き込まれ、ハンゾーさんは陥落。納得のいかないゴンくんを気絶させ、降参することにより第1試合は終了した。

 どこかスッキリしている顔のハンゾーさんに一言お疲れ様ですと労えば、困ったような顔でお礼を言われた。

 

 そして直ぐに第2試合が始まったのだが、第2試合はクラピカさん対ヒソカさんではなく、モードレッドさん対雲雀さんだった。

 試合の開始の合図と共に雲雀さんがモードレッドさんの頭目掛けてトンファーを振るう。しかし、モードレッドさんはそのトンファーを軽々と剣で受け止めていた。それに雲雀さんは不愉快そうに眉を顰める。

 

「ちょっと、なんで鞘から抜いてないわけ?」

「殺しがなしだからに決まってんだろ」

 

 呆れたようにそう答えるモードレッドさんに雲雀さんは更に機嫌が悪くなっているようだった。トンファーと鞘がギチギチと鳴る音で、更に力を入れたのだなと理解する。

 

「ボクをそう簡単に殺せると思ってるの?」

「うわーめんどくさい奴だコイツ」

 

 モードレッドさんがそう言った途端どうやら雲雀さんはブチ切れたようだった。その後は暴れるに暴れ、広間は悲惨な状況に。

 それを見かねたのと、参ったと言う気配がないからだろう。モードレッドさんは疲れた顔で「参った」と一言宣言した。しかし、それで益々気を悪くしたのか雲雀さんは暴れるに暴れる。

 最終的にモードレッドさんの背負い投げや手刀、武術のオンパレードで雲雀さんの動きを止め、第2試合が終了した。

 お疲れ様ですと労いたいところだが、空気を読まずに無意識に煽っていたモードレッドさんにも非はあったと思う。喧嘩両成敗というやつだ。

 あと白髪の美少女ではなく美少年だったアルスラーンくんはその光景を見て「人がキレる瞬間ってあんな感じなんだな」と笑っていた。あの子もあの子で中々大物のようだ。恐るべし287期ハンター試験である。

 

 第3試合はヒソカさん対クラピカさん。ここは原作通りの展開だったので割愛しよう。

 

 第4試合はハンゾーさん対アルスラーンくんだった。

 中々良い試合になるのではないかと思っていたのでこの試合は本当に驚いた。なんと試合が始まって、アルスラーンくんとハンゾーさんが会話を一言二言交わして直ぐにハンゾーさんが降参したのである。

 会話もなんてことも無かった。ただアルスラーンくんが「降参して頂けるだろうか?」と聞いただけだ。その後直ぐにハンゾーさんは負けを認めていた。

 恐らく操作系の能力なのだろう。それか、特典なのだが。

 とりあえず、私と戦うようなことがなくて良かったと安堵した。能力の使用制限が分かっていないのに戦うなんて御免だ。

 

 第5試合はモードレッドさんとヒソカさん。

 この試合も中々白熱していたが、ヒソカさんがそこそこ愉しんだ後負けだと宣言してモードレッドさんの勝利となった。

 

 第6試合、ハンゾーさん対ポックルさん。この試合も原作通り呆気なくポックルさんが負けを認めた。

 

 第7試合、ヒソカさん対ボドロさん。原作通りボドロさんも粘っていたが、ヒソカさんに何か耳打ちされその後静かに負けを認めた。

 

 第8試合はキルアくん対ポックルさんだったが、キルアくんがつまらないという理由で負けを宣言、ポックルさんの勝利。

 

 第9試合、ボドロさんの怪我を理由にレオリオさんが試合の延期を求めた為、先にキルアくん対ギタラクルさんの試合となった。ここも原作通りの展開になるのだろうと静観していたのだが、恐ろしく空気を読まないヤツの言葉で場が凍りついた。

 

「アイツブラコンのDV予備軍みたいな奴だな」

 

 声のした方を見れば、赤と白のデザインの鎧を装着した人物、そうモードレッドさんがそこに立っていた。

 

「ふふふ。余り言ってはダメだよモードレッド。ギタラクル殿も気にしているかもしれないだろう?」

 

 貴方が言うな。というか火に油を注いでるのが貴方です。

 私の横で上品に笑うアルスラーンくんに誰もがそうツッコミを入れただろう。嗚呼ほら見なさい、ギタラクルさんがこっちを見ているじゃないか。

 

「シノブもそう思うよな?」

「何故私に振るんですか」

「なんとなくだけど。じゃあシノブはあんな兄貴分欲しいと思う?」

「……返答を控えさせて頂きます」

「それってつまり欲しくないって事じゃねーか」

「……愛が一方通行で無くなると良いですねとしか」

 

 そう呟けば、フォローになってねぇ!とぎゃははとモードレッドはお腹を抱えて笑った。その度に鎧がガチャガチャなるので少し煩わしい。

 

「まあ、ゴンくんを殺しに行くのはよした方が良いかと。不合格になりますよ」

 

 そう話題を変えれば「それは困ったなぁ」と大して困ってなさそうな声音でギタラクルさんは呟いた。

 

「じゃあ、合格してからゴンを殺そう」

「閃いた!みたいな顔をしているのがまた面白いな」

「ちょっと黙って頂けます?」

 

 頭痛がしてきたと頭に手を当てるが、モードレッドさんもアルスラーンさんも気にした素振りもない。巻き込むくらいならアフターフォローもしてください!私のその嘆きは他の転生者共には届いていないようだった。

 

 

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