東方 白狐伝   作:蛸夜鬼の分身

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弐章 諏訪大戦の巻
第一話 新たな時代


?「良し、このくらいですかね」

 

 私は『東風谷《こちや》 稲穂《いなほ》』。洩矢神社の風祝《かぜはふり》です。今は神社近くの山で筍取りをしています。

 

稲穂「うんうん。これだけ集めれば沢山の筍料理が作れますね」

 

 籠いっぱいに入った筍を見て満足していると、何だか辺りの空気が冷たくなってきました。

 

稲穂「⋯⋯寒っ! え、何でこんなに寒いんですか!?」

 

 どうやらこの地面から冷気が出てるみたいですね。一体どういう事でしょうか⋯⋯。

 

稲穂「⋯⋯ちょっと掘ってみますか」

 

 私は手に持っている鍬で足下の地面を掘り起こしてみる事にしました。

 

 暫く掘り進めていると、ガギンッ! という音を立てて鍬が何かに当たり、土を退かすと何やら大きな水晶の様な物を見つけました。

 

稲穂「何でしょう、これ⋯⋯」

 

 う~ん、これ以上は鍬では無理ですね。諏訪子様にお願いしましょうか。

 

 私はひとまず水晶を放っておいて神社へと戻る事にしました。

 

~???side~

 

?「⋯⋯暇だな~」

 

 私の名前は『洩矢《もりや》 諏訪子《すわこ》』。この辺りの信仰を得ている土着神だよ。

 

 え? 神様なのに何で縁側でゴロゴロしてるのか、だって?

 

 神でも暇なものは暇なんだよ。それに最近は国も安定してきて神頼みをしてくる人間もいないからね。

 

稲穂「諏訪子様ー。ただいま戻りましたー」

 

 あっ、筍取りしてた稲穂が帰ってきたね。私は飛び起きると玄関に向かう。玄関には籠いっぱいに筍を入れた稲穂が立っていた。

 

稲穂「諏訪子様、先程大きな水晶の様な物を見つけたんですけど⋯⋯」

 

諏訪子「水晶っ!?」

 

 筍を見ながら美味しい筍料理に思いを馳せていると、稲穂からそんな事を言われた。

 

諏訪子「何それ、凄く気になるんだけど! 今すぐ案内してよ!」

 

稲穂「は、はい! こっちです!」

 

~少女移動中~

 

稲穂「ここなんですけど⋯⋯」

 

諏訪子「へくしゅ! な、何か寒くない?」

 

稲穂「はい。多分この水晶からの冷気だと思います」

 

 稲穂が指を差した先を見ると、地面から少しだけ顔を出した水晶が見える。でも水晶と言うよりも氷に近い様な⋯⋯。

 

諏訪子「取り敢えず掘り起こしてみようか。せいやっ!」

 

 私は能力を使って水晶を掘り起こす。私の能力は『岬を操る程度の能力』で、簡単に言えば大地を操る事が出来る。

 

 で、水晶を掘り起こすと周りの空気が冷やされて真っ白に染まった。と言うか、この水晶凄く大きい⋯⋯大体七尺(約二メートル)くらいかな?

 

稲穂「流石諏訪子様! 素晴らしいです!」

 

諏訪子「えへへ~⋯⋯じゃなくて!」

 

 どうしてこの山にこんなのが埋まってるの!? それに⋯⋯

 

諏訪子「中に、人が⋯⋯?」

 

稲穂「えっ? あ、本当ですね⋯⋯ええっ!?」

 

 稲穂が驚くのも無理はないよね。こんな冷たい水晶に人が入ってるなんて⋯⋯封印にしては術式も何もないし⋯⋯と、この水晶の正体について考えていた次の瞬間

 

 ビシッ!

 

二人「「えっ?」」

 

 突然、この水晶にヒビが入った。水晶のヒビは私達が驚いてるのを他所にどんどん大きくなっていく。そして遂に⋯⋯

 

 バキンッ!

 

 大きな音を立てて水晶が砕け散った。キラキラと輝く水晶の中から、雪の様に真っ白な毛並みの狐耳と尻尾を持つ男が出てくる。

 

稲穂「人じゃ、ない?」

 

諏訪子「⋯⋯この男、多分白狐だね」

 

 神聖な動物として知られている白狐。でも何でこんな場所に?

 

 警戒しながら近付いてみると、どうやら男は気絶してる様で起きそうにない。呼吸はしてるので死んではないみたいだね。

 

稲穂「ど、どうしますか?」

 

諏訪子「う~ん⋯⋯見捨てるのも後味が悪いから連れて帰ろうか?」

 

稲穂「わ、分かりました」

 

 あーうー⋯⋯これは面倒な事に巻き込まれたかな?

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